ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ

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33 番外編02 罠を張り巡らせる皇帝

――3か月後。

30万もの大軍でアルゲンテウスへ向かった皇太子。
ところが結界に阻まれ国に入ることが出来ない。
3か月もの間アルゲンテウスの周りをグルグル回り無理やり侵入しようとしては大怪我を負うという繰り返し。
全く戦ってないにも拘らず大惨敗を喫してボロボロになって帰国した。
若く血気盛んで自信しかなかった皇太子は廃人の様に。
『怖い…妖精王…怖い…』
とブツブツ呟き部屋の隅で丸くなる。

廃嫡。
これから再教育しようと思っていた可愛い嫡男を失い後継者問題が発生。
第2皇子がいるにはいるが
皇帝は気が進まない。
父で皇帝である自分よりも尊敬する男がいると言う息子に帝国を譲りたくない。

いずれにしろアルゲンテウスは指1本動かすことなく大勝利。
これでは面子が立たない皇帝。
どうする?
侵入出来ないなら呼びつければいい。
アルゲンテウスに皇帝からの招待状が届く。
『王太子夫妻を帝国祭に招待する』
これは罠。
皇帝の企み。
大切な後継者を廃人にされた恨み
そして帝国の威信を保つため
王太子夫妻の命を貰おうという…

皇帝は気付いていない。
最も手を出してはいけない2人を標的にしたことに。

積んでいることに気付かぬまま
皇帝は罠を張り巡らせる。

先ず。
アルゲンテウスから帝国領までの道中に腕の立つ刺客を配置。
主に裏社会の犯罪者組織や傭兵で手段を選ばない極悪非道な連中に大金を成功報酬に雇う。
ところが夫妻の移動手段は転移。
磨きをかけたルフスの転移で一瞬で帝国領到着。
刺客は待ちぼうけ。
暇つぶしに通りかかる旅人を襲い治安壊滅状態に。
帝国はこの責任を問われることになる。

次に。
謁見。
ここで『皇帝に対する不敬』を理由に首を刎ねてやろうと目論む。
いざ。
謁見の間の両開きの扉の前で皇帝の臣下が作法を説明する。
謁見の間は皇帝が何段もの階段の上の玉座に座り
挨拶に訪れた者はその遥か下方で膝をつく決まり。

「まぁ…我が夫に跪き見上げろと?
(ふっざけるな!)」

ルフスはラルウァに囁く。

「少々お時間を。
場を温めて参ります」
「泣かせてやるなよ」
「お優しいこと」

そして消え――
高い玉座でどう煮てやろうこう焼いてやろうと思案中の皇帝の目前に光とともに出現する。
皇帝は目を瞠りそのあまりの美しさ、神々しさに
『ハッ‥女神様ッ!』と歓喜の表情を浮かべるも一瞬のこと。
突如カラガラと轟音が鳴り響き玉座を形成していた長い階段が崩れ
(敢えて)無残な形のまま部屋の端に積み上げられる。
一瞬で起こったこの現象により皇帝は椅子とともに床に落下。
フカフカの座面に座っていなければ骨折したであろう衝撃に頭が真っ白に。

恐る恐る見上げれば女神の尊い微笑。

(美しい!)

女神はふわりと床に降り立ち

(幻想的!
女神降臨!
尊い!)

「ラルウァ様どうぞ」

そうルフスが言えば重厚な扉が開閉係の重量級の騎士ごとバーンと開く。
訳が分からない力で引っ張られ尻もちをついた重量級の騎士たちは
まだ重量級になる前の子供の頃父親の腕にぶら下がって遊んだ幼き日を思い出し
ケツの痛さも忘れてほっこりする。

皇帝の臣下たちは絶句中である。
自分たちと同じ高さに皇帝がいる。
椅子に座っているのでむしろ低い。
――なんか…
ちっちゃ!?
いつも高いところにおわすから何となく勝手に高身長だと思っていたが
これは立ち上がっても大した高さじゃないな…
自分を見る臣下たちの目がいつもと違い畏敬の念を湛えていない…
怒りとともに正面に目を向ければ

――――――なッ……

これが
ラルウァ・アルゲンテウス
新王国の王太子。
高身長。
威風堂々たる体躯。
放つ威厳。
異次元の美貌。
謎風を受けた白銀髪が幻想的に揺れ
神の降臨とはこうであろうかと思わせる。
そこへ俺の女神が柔らかく寄り添う。

「泣かせてないな」
「褒めてくださる」
「褒めない。他の男に優しくされるのは困る」

そう言って眉根に皺を寄せる。
イケメンめ。
どんな表情も様になる…

『面倒な人ね』と言って俺の女神が笑う。
!!
素の笑顔可愛い!
超絶可愛い!
蕩けるくらい…ハッ!

2人がこちらを見ている!
ッ、何が何やら分からない状況だが
帝国の皇帝として威厳ある姿を見せなければ!
俺の女神が頬を染める様なカッコ良さで――ん?
立ち上がれない!?
力が全く入らない!?
何事だ!?
俺はこの身に起きた異変を側近に知らせ
側近たちのヒソヒソ小会議を待って
このまま挨拶を受けることにした。

この俺が見上げる形で挨拶を受けるなんて――
だが仕方ない。

側近の1人が夫妻にひれ伏すよう命じている途中で夫妻を除く全員が床に張り付くことになってしまったからだ。
どうやら王太子の威圧の様だ。
俺には手加減されている様で圧は感じるもののかろうじて椅子に座れている。
が、他の者達は超至近距離で床しか見えていない。
ハイハイの頃より近い距離だろう…
しかも苦し気な唸り声を上げ震えている。
大丈夫か?
死ぬんじゃないのか?
下手なことを言ってとばっちりを食いたくない…
俺は自衛本能に従い
この異常事態に言及することなく夫妻の挨拶を受けた。
夫妻がイチャイチャしながら退室した時はドッと力が抜けて椅子から床に倒れこんでしまったが。
九死に一生を得た感が半端なかった俺は瞳に薄っすらと感動の涙を湛え
威圧の無い状態の素晴らしさを堪能したのだ…

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