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2 四花繚乱
39 30年越しの
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「‥会いたかった‥!
ソル姫――あぁ!」
皇帝は絶句する。
謁見の時はベールを被っていた為、その姿を見ることは出来なかった。
ただ、凛とした立ち姿、纏う空気で『彼女に間違いない』と確信したのだった。
今、ソルはベールを被っていない。
『月光の間』への近道――薄暗く細い秘密の通路でどこかに引っかけてしまい、考えてみればベールを被る必要もないのでそのまま置いて来たのだ。
ベールを外したソルは、女神の様に美しく尊い姿である。
「俺と同い年だなんて信じられない…!
まるで魔法の様だ…
記憶の中の美しい少女がそのまま成長し、一番美しい時のまま時間を止めてしまったかのようだ」
「まぁ?――そのお言葉、そのままお返し致しますわ。
銀の髪に銀の瞳は魔法を使えたという古代人の王の先祖返りのお姿ですわね。
陛下こそ、魔法を御使いね?」
「それを言うなら金の髪に金の瞳だって古代人の王の先祖返りだ。
――なるほど、君は30年前俺に魔法を掛けたのだな?
だから俺は周りに嗤われ心配され呆れられても君しか考えられなかったんだ」
「30年前のわたくしは、魔法なんて使えませんでしたわ」
「これが魔法でなくて何と言う?
ホラ、今もどんどん強く――抗えない…永遠に解けない魔法だ。
無自覚でこんな魔法を使うなんて君は呆れるほど危険な女性だ」
「き、危険‥」
「あ、いや、言葉が違うか‥うぅ‥」
皇帝は言葉を詰まらせる。
心の準備は出来ていたはずなのに、いざソルを目の前にすると幼き日の自分に――
上手く気持ちを伝えられない不器用な少年に戻ってしまう…
(臆病者!‥逃げてはいけない、彼女を捜すのに尽力し彼女の魅力に命を散らした『影』に顔向け出来ない――不器用でも、みっともなくても気持ちを伝えねばならない)
皇帝はソルが好きすぎて逆に彼女から目を逸らしてしまいそうな自分を叱咤し、震える唇を開く。
「‥相変わらず君の圧倒的な魅力は俺を口下手に、不器用な男にしてしまう。
30年、君を忘れた事は無いのに嬉し過ぎて頭が真っ白になってしまっている。
伝える術は言葉しかないのにどう言えば伝えられるのか分からない。
言葉の無力さに――いや、自分の無能さに委縮するしかない」
「ルー‥カード皇帝陛下、わたくしは充分ありがたいと思っております。
こうして会って下さっただけで充分ですわ」
「結婚して欲しい」
ソルの足元に跪きその手を取ったままだった皇帝。
ソルの手に額を当て、声を絞り出す。
「―――え…」
「心臓が煩すぎて思考できないからド直球で行く。
結婚して欲しい」
『結婚して欲しい』?――2度言われてもソルには信じられない――だって…
「あの、わたくし‥」
「30年前、君に恋をした。
――あの賭けを覚えているね?
君が手紙に書いてくれた――
『君の8才の誕生日に、君が喜ぶプレゼントを贈る。
そのプレゼントが気に入ったら俺の願いを叶えてほしい』という」
「…気に入らなかったら、月をクッキーにしてわたくしに下さるのでしたね」
「賭けはまだ決着していない。
君は誕生日前日に攫われてしまったから」
「ええ、月のクッキーを食べ損ねたままです」
「――うん、決めつけているね。
だが、俺にも自信がある。
30年間大切にとっておいた君への誕生日プレゼントは――ああ、丁度帰って来た」
「え?‥帰って?
――ハッ‥まさかッ」
窓の外に視線を向けた皇帝。
その視線を追い掛けたソルはその美しい目を見開いた――
ソル姫――あぁ!」
皇帝は絶句する。
謁見の時はベールを被っていた為、その姿を見ることは出来なかった。
ただ、凛とした立ち姿、纏う空気で『彼女に間違いない』と確信したのだった。
今、ソルはベールを被っていない。
『月光の間』への近道――薄暗く細い秘密の通路でどこかに引っかけてしまい、考えてみればベールを被る必要もないのでそのまま置いて来たのだ。
ベールを外したソルは、女神の様に美しく尊い姿である。
「俺と同い年だなんて信じられない…!
まるで魔法の様だ…
記憶の中の美しい少女がそのまま成長し、一番美しい時のまま時間を止めてしまったかのようだ」
「まぁ?――そのお言葉、そのままお返し致しますわ。
銀の髪に銀の瞳は魔法を使えたという古代人の王の先祖返りのお姿ですわね。
陛下こそ、魔法を御使いね?」
「それを言うなら金の髪に金の瞳だって古代人の王の先祖返りだ。
――なるほど、君は30年前俺に魔法を掛けたのだな?
だから俺は周りに嗤われ心配され呆れられても君しか考えられなかったんだ」
「30年前のわたくしは、魔法なんて使えませんでしたわ」
「これが魔法でなくて何と言う?
ホラ、今もどんどん強く――抗えない…永遠に解けない魔法だ。
無自覚でこんな魔法を使うなんて君は呆れるほど危険な女性だ」
「き、危険‥」
「あ、いや、言葉が違うか‥うぅ‥」
皇帝は言葉を詰まらせる。
心の準備は出来ていたはずなのに、いざソルを目の前にすると幼き日の自分に――
上手く気持ちを伝えられない不器用な少年に戻ってしまう…
(臆病者!‥逃げてはいけない、彼女を捜すのに尽力し彼女の魅力に命を散らした『影』に顔向け出来ない――不器用でも、みっともなくても気持ちを伝えねばならない)
皇帝はソルが好きすぎて逆に彼女から目を逸らしてしまいそうな自分を叱咤し、震える唇を開く。
「‥相変わらず君の圧倒的な魅力は俺を口下手に、不器用な男にしてしまう。
30年、君を忘れた事は無いのに嬉し過ぎて頭が真っ白になってしまっている。
伝える術は言葉しかないのにどう言えば伝えられるのか分からない。
言葉の無力さに――いや、自分の無能さに委縮するしかない」
「ルー‥カード皇帝陛下、わたくしは充分ありがたいと思っております。
こうして会って下さっただけで充分ですわ」
「結婚して欲しい」
ソルの足元に跪きその手を取ったままだった皇帝。
ソルの手に額を当て、声を絞り出す。
「―――え…」
「心臓が煩すぎて思考できないからド直球で行く。
結婚して欲しい」
『結婚して欲しい』?――2度言われてもソルには信じられない――だって…
「あの、わたくし‥」
「30年前、君に恋をした。
――あの賭けを覚えているね?
君が手紙に書いてくれた――
『君の8才の誕生日に、君が喜ぶプレゼントを贈る。
そのプレゼントが気に入ったら俺の願いを叶えてほしい』という」
「…気に入らなかったら、月をクッキーにしてわたくしに下さるのでしたね」
「賭けはまだ決着していない。
君は誕生日前日に攫われてしまったから」
「ええ、月のクッキーを食べ損ねたままです」
「――うん、決めつけているね。
だが、俺にも自信がある。
30年間大切にとっておいた君への誕生日プレゼントは――ああ、丁度帰って来た」
「え?‥帰って?
――ハッ‥まさかッ」
窓の外に視線を向けた皇帝。
その視線を追い掛けたソルはその美しい目を見開いた――
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