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4 戦い
86 スート王、ぶちまける 1
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ドゥルケ・スートは、かつてジョーカー王家から追放された廃王子の子孫である。
『我は不当にジョーカー王国を追われた身である――古代人の力を持つ我を一族は恐れたのだ――ジョーカー王国の真の王は我なり――我が子孫よ――いつの日か我の無念を晴らし、真の王としてジョーカー王国を統べよ』
追放男の遺志は子孫に綿々と受け継がれ、ドゥルケへと繋がる。
ドゥルケはこの廃王子の肖像画に瓜二つ。
自分は不遇の先祖の生まれ変わり――自分こそが彼の無念を晴らすのだ。
北方の地――中でもジョーカー王家は古代人の血を濃く受け継いでいると自国他国共に認めている。
特に茶髪茶眼は古代人の先祖返りだとされ、実際に古代人の最大の特徴である『不思議な力』が表れる者も稀に――
と自慢げに話すスート王をテネブラエ公が遮る。
「‥!?‥待て、お前はそんな事一言も言わなかった――『自分もこの色のせいで家族にも疎まれている』と言っていたではないか!?」
「‥ふふん、そう言った方が共感を得やすいからに決まっているでしょう?
疎まれる?――ふふふん、逆に物心ついた頃には両親ですらこの私の足元にひれ伏して私が誰なのかを示してくれましたよ?
茶髪茶眼は古代人の先祖返り――そんな常識も知らずご自分の色で悩む姿は滑稽で笑いを堪えるのに苦労しましたよ――我らの茶髪茶眼と平民のそれとではまるで色が違うのに。
我らの色は琥珀色――平民の朽葉色と一緒にするとは…
大体、カード帝国は古代人に関する知識も関心も低すぎる――ジョーカー王国と同じくらい色濃く古代人の尊い血を受け継いでいるというのに」
せせら笑いながら話すスート王に、テネブラエ公の瞳は陰る。
「…最初から…一番初めの学校での出会いからお前は私を謀っていたのだな…」
「ええ!…あまりにチョロくて拍子抜けしましたっけ…こちらの言う事を何でも信じるものですから、もしや裏があるのではと最初は警戒しましたが――まぁ、『赤子の手をひねるようなもの』とはこういう事を言うのだとすぐに分かりました」
「そうか…それで私を利用してジョーカー王国を内乱に陥れたのだな」
スート王はニヤリと口角を上げてますます饒舌になる。
ジョーカー王国は昔から世継ぎ問題で揉めている。
都合のいい事に若き日のテネブラエ公――43年前のカード皇帝クラールス・カードは皇后の同郷の親友アクワ姫と恋に落ちた。
アクワ姫はジョーカー王の第3妃となるべき身。
激しい恋に身を焦がしつつも3か月後にはジョーカー王国へ向けて旅立った。
カード皇帝には『来世で一緒に』と別れを告げたのだ。
だが、ジョーカー王国に着いてもアクワ姫の婚姻はなかなか進まなかった。
アクワ姫がカード皇帝の子を身籠っていたからだ。
ジョーカー王はアクワ姫にカード皇帝の元へ行くことを勧めた――
「お前はアクワ姫が妊娠していたことを知っていたのかッ」
眉間に深く皺を刻んだテネブラエ公がスート王の演説を遮る。
「当たり前ですよ…ジョーカー王の側近の中に私の手の者を入り込ませていましたからね――ジョーカー王は腑抜けにも結婚前に不貞を働いた淫乱女を罰するでもなく優しくカード皇帝の元へと促したんです」
「‥ッ、私には、ジョーカー王は極悪非道、冷酷無比だとッ‥」
いやいやいやと首を左右に振り、スート王が続ける。
「腰抜けですよ!
私なら婚姻前に腹を膨らませた女など生きたまま猛獣に食わせますがねぇ…
――ま、第3妃ですからね…
第1妃と第2妃に子が出来ず子を産ませる為だけに娶る妃ですから…
ところがアクワ姫、この温情溢れる提案を断った――既婚者皇帝との罪深き激しい恋は既に色褪せ、淫乱姫は優しい王に新たな恋を始めていたんですな」
「‥ッ‥
やはり…彼女は私を想って泣き暮らしていたというのも‥」
「もちろん嘘ですよ!
――全く、女というものは1ミリも信用に値しない――ああソル姫、あなたは別ですよ…私の妃に相応しいと私が認めた唯一の女性なのですから」
剣を抜こうという皇帝の手を押さえながらソルが聞く。
「それでどうやって内乱を起こしたのかしら?」
「それはですねえ‥」
「それは私のせいだッ‥ソル姫ッもう、申し訳ないッ‥こんな男に騙されてッ」
得意げに経緯を話そうとするスート王を遮るテネブラエ公の悲痛な声。
よろめきながらソルの前に歩み出て、膝をついて床に頭をぶつける。
腕がない事を忘れ、手をついて謝ろうとした結果だ。
テネブラエ公はそのまま床に頭をこすりつけ続ける。
『我は不当にジョーカー王国を追われた身である――古代人の力を持つ我を一族は恐れたのだ――ジョーカー王国の真の王は我なり――我が子孫よ――いつの日か我の無念を晴らし、真の王としてジョーカー王国を統べよ』
追放男の遺志は子孫に綿々と受け継がれ、ドゥルケへと繋がる。
ドゥルケはこの廃王子の肖像画に瓜二つ。
自分は不遇の先祖の生まれ変わり――自分こそが彼の無念を晴らすのだ。
北方の地――中でもジョーカー王家は古代人の血を濃く受け継いでいると自国他国共に認めている。
特に茶髪茶眼は古代人の先祖返りだとされ、実際に古代人の最大の特徴である『不思議な力』が表れる者も稀に――
と自慢げに話すスート王をテネブラエ公が遮る。
「‥!?‥待て、お前はそんな事一言も言わなかった――『自分もこの色のせいで家族にも疎まれている』と言っていたではないか!?」
「‥ふふん、そう言った方が共感を得やすいからに決まっているでしょう?
疎まれる?――ふふふん、逆に物心ついた頃には両親ですらこの私の足元にひれ伏して私が誰なのかを示してくれましたよ?
茶髪茶眼は古代人の先祖返り――そんな常識も知らずご自分の色で悩む姿は滑稽で笑いを堪えるのに苦労しましたよ――我らの茶髪茶眼と平民のそれとではまるで色が違うのに。
我らの色は琥珀色――平民の朽葉色と一緒にするとは…
大体、カード帝国は古代人に関する知識も関心も低すぎる――ジョーカー王国と同じくらい色濃く古代人の尊い血を受け継いでいるというのに」
せせら笑いながら話すスート王に、テネブラエ公の瞳は陰る。
「…最初から…一番初めの学校での出会いからお前は私を謀っていたのだな…」
「ええ!…あまりにチョロくて拍子抜けしましたっけ…こちらの言う事を何でも信じるものですから、もしや裏があるのではと最初は警戒しましたが――まぁ、『赤子の手をひねるようなもの』とはこういう事を言うのだとすぐに分かりました」
「そうか…それで私を利用してジョーカー王国を内乱に陥れたのだな」
スート王はニヤリと口角を上げてますます饒舌になる。
ジョーカー王国は昔から世継ぎ問題で揉めている。
都合のいい事に若き日のテネブラエ公――43年前のカード皇帝クラールス・カードは皇后の同郷の親友アクワ姫と恋に落ちた。
アクワ姫はジョーカー王の第3妃となるべき身。
激しい恋に身を焦がしつつも3か月後にはジョーカー王国へ向けて旅立った。
カード皇帝には『来世で一緒に』と別れを告げたのだ。
だが、ジョーカー王国に着いてもアクワ姫の婚姻はなかなか進まなかった。
アクワ姫がカード皇帝の子を身籠っていたからだ。
ジョーカー王はアクワ姫にカード皇帝の元へ行くことを勧めた――
「お前はアクワ姫が妊娠していたことを知っていたのかッ」
眉間に深く皺を刻んだテネブラエ公がスート王の演説を遮る。
「当たり前ですよ…ジョーカー王の側近の中に私の手の者を入り込ませていましたからね――ジョーカー王は腑抜けにも結婚前に不貞を働いた淫乱女を罰するでもなく優しくカード皇帝の元へと促したんです」
「‥ッ、私には、ジョーカー王は極悪非道、冷酷無比だとッ‥」
いやいやいやと首を左右に振り、スート王が続ける。
「腰抜けですよ!
私なら婚姻前に腹を膨らませた女など生きたまま猛獣に食わせますがねぇ…
――ま、第3妃ですからね…
第1妃と第2妃に子が出来ず子を産ませる為だけに娶る妃ですから…
ところがアクワ姫、この温情溢れる提案を断った――既婚者皇帝との罪深き激しい恋は既に色褪せ、淫乱姫は優しい王に新たな恋を始めていたんですな」
「‥ッ‥
やはり…彼女は私を想って泣き暮らしていたというのも‥」
「もちろん嘘ですよ!
――全く、女というものは1ミリも信用に値しない――ああソル姫、あなたは別ですよ…私の妃に相応しいと私が認めた唯一の女性なのですから」
剣を抜こうという皇帝の手を押さえながらソルが聞く。
「それでどうやって内乱を起こしたのかしら?」
「それはですねえ‥」
「それは私のせいだッ‥ソル姫ッもう、申し訳ないッ‥こんな男に騙されてッ」
得意げに経緯を話そうとするスート王を遮るテネブラエ公の悲痛な声。
よろめきながらソルの前に歩み出て、膝をついて床に頭をぶつける。
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テネブラエ公はそのまま床に頭をこすりつけ続ける。
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