6 / 16
06 精霊王と精霊姫
しおりを挟む
シャラララ~~ン!
「はッ! 精霊界!」
人間界の王宮の『控室D』から有無を言わさず飛ばされた精霊姫。
突如目の前に広がる世界にやはり精霊界に戻されてしまった事を知る。
全く、こんな事が出来るなんて、モーブ猊下は本当に人間なのかしら?
シャラララ~~ン!
「はッ! 精霊宮!」
精霊界の入り口だったはずなのに、今度は精霊宮の入り口に飛ばされていて、ギョッとした門番と目が合い、お互いにアワアワしていると――
シャラララ~~ン!
「はッ!?
お、お父様ッ!?
何をやって‥‥」
「おわぁッ!?
精霊姫ッ!?
なッ‥‥どうやって私の隠れ別邸に――
私の結界をどうやって突破したのだ!?」
「きゃあぁぁぁッ!
精霊姫様ッ!?
どうして正妃様の御令嬢がコチラへ!?」
どうやら精霊姫が最終的に飛ばされた先は精霊王の隠れ別邸の寝室。
まさに愛人との ”真っ最中 ”だった精霊王は強い結界を張っていたにも拘らず室内に現れた娘・精霊姫にビックリドッキリを隠せない。
「はッ‥‥この残滓ですらキラキラと美しい魔法は――」
「ちょ‥精霊王様ッ」
精霊王がガバと裸のままベッドから立ち上がる。
急に精霊王に退かれて大開脚状態で全裸が露わになってしまった愛人は足を閉じるのも忘れてシーツを手繰り寄せる。
もはや愛人の存在など完全に忘れ、精霊王は恍惚の表情で語り始める。
「あぁ、我が花、
我が光、
我が命‥‥
我が憧れ、
我が永遠の恋人――
この我の愛を拒んだ唯一の人間、
モーブ猊下であるな!」
「お父様ッ!
ちゃんと服を着て下さいませ!」
精霊姫は全裸で元気いっぱいの父の姿にドン引きである。
魔法で瞬時に身なりを整えさせ、口を開く。
「確かに私をここへ飛ばしたのはモー‥」
カッッ!
シュォッ!
「ああ、私だ」
一瞬の雷光と僅かに空気を揺らしただけで、モーブ猊下が姿を現わす。
「「モーブ猊下ッ!!
‥‥ウッ!?」」
「…まぁ!
何て美しい人間‥‥
是非お近付きに‥‥
くはッ!?」
モーブ猊下の出現に嬉しそうに声を上げた精霊父娘と興味津々の精霊王の愛人だが、金縛りにあった様に体を動かす事が出来ない。
モーブ猊下は淡々とした声で精霊王に告げる。
「精霊姫が私に近付かない様に、精霊姫が人間界のゲートを通れない様にすると約束したはずだが簡単に反故にされ怒りを禁じ得ない。
やむを得なく精霊界から人間界への全ゲートを消滅させる」
「なッ!
ま、待て!
そんな事をしたら、モーブ猊下に会いに行く事も、覗き見する事も出来なくなる!」
「その為にやる!
(覗き見?そんな事していたのかキモチワルイ!)」
カッと強く光ったモーブ猊下から光が四方八方に飛んで行く。
「これでゲートは消滅した。
私が死ぬまでゲートは再生されない。
私の寿命が残りどれほどか分からないが、精霊にとっては大した長さではない」
「ま、待てッ!」
「話を聞いて‥‥」
精霊王と精霊姫が同時に声を上げるが。
「私はポエムバトルで忙しい」
とつれない声。
直後、
カッッ!
シュォンッ!
一瞬の雷光と僅かに空気を揺らし、モーブ猊下が姿を消す。
『ポエムバトル』という魅惑のワードを残して。
モーブ猊下が消えたと同時に金縛りが解けた父娘は顔を見合わせた後ガックリと床に伏す。
「お父様、どうにか」
「――ならない。
モーブ猊下は人間とは思えない魔法を使う。
全く‥‥お前が本気で怒らせるからここまでバッサリやられるのだ。
もう会えない‥‥
どうしてくれるのだ」
「『ポエムバトル』、面白そうですわね」
愛人が呟く。
言うな。
言ってくれるな。
精霊父娘は滂沱の涙を流す。
「はッ! 精霊界!」
人間界の王宮の『控室D』から有無を言わさず飛ばされた精霊姫。
突如目の前に広がる世界にやはり精霊界に戻されてしまった事を知る。
全く、こんな事が出来るなんて、モーブ猊下は本当に人間なのかしら?
シャラララ~~ン!
「はッ! 精霊宮!」
精霊界の入り口だったはずなのに、今度は精霊宮の入り口に飛ばされていて、ギョッとした門番と目が合い、お互いにアワアワしていると――
シャラララ~~ン!
「はッ!?
お、お父様ッ!?
何をやって‥‥」
「おわぁッ!?
精霊姫ッ!?
なッ‥‥どうやって私の隠れ別邸に――
私の結界をどうやって突破したのだ!?」
「きゃあぁぁぁッ!
精霊姫様ッ!?
どうして正妃様の御令嬢がコチラへ!?」
どうやら精霊姫が最終的に飛ばされた先は精霊王の隠れ別邸の寝室。
まさに愛人との ”真っ最中 ”だった精霊王は強い結界を張っていたにも拘らず室内に現れた娘・精霊姫にビックリドッキリを隠せない。
「はッ‥‥この残滓ですらキラキラと美しい魔法は――」
「ちょ‥精霊王様ッ」
精霊王がガバと裸のままベッドから立ち上がる。
急に精霊王に退かれて大開脚状態で全裸が露わになってしまった愛人は足を閉じるのも忘れてシーツを手繰り寄せる。
もはや愛人の存在など完全に忘れ、精霊王は恍惚の表情で語り始める。
「あぁ、我が花、
我が光、
我が命‥‥
我が憧れ、
我が永遠の恋人――
この我の愛を拒んだ唯一の人間、
モーブ猊下であるな!」
「お父様ッ!
ちゃんと服を着て下さいませ!」
精霊姫は全裸で元気いっぱいの父の姿にドン引きである。
魔法で瞬時に身なりを整えさせ、口を開く。
「確かに私をここへ飛ばしたのはモー‥」
カッッ!
シュォッ!
「ああ、私だ」
一瞬の雷光と僅かに空気を揺らしただけで、モーブ猊下が姿を現わす。
「「モーブ猊下ッ!!
‥‥ウッ!?」」
「…まぁ!
何て美しい人間‥‥
是非お近付きに‥‥
くはッ!?」
モーブ猊下の出現に嬉しそうに声を上げた精霊父娘と興味津々の精霊王の愛人だが、金縛りにあった様に体を動かす事が出来ない。
モーブ猊下は淡々とした声で精霊王に告げる。
「精霊姫が私に近付かない様に、精霊姫が人間界のゲートを通れない様にすると約束したはずだが簡単に反故にされ怒りを禁じ得ない。
やむを得なく精霊界から人間界への全ゲートを消滅させる」
「なッ!
ま、待て!
そんな事をしたら、モーブ猊下に会いに行く事も、覗き見する事も出来なくなる!」
「その為にやる!
(覗き見?そんな事していたのかキモチワルイ!)」
カッと強く光ったモーブ猊下から光が四方八方に飛んで行く。
「これでゲートは消滅した。
私が死ぬまでゲートは再生されない。
私の寿命が残りどれほどか分からないが、精霊にとっては大した長さではない」
「ま、待てッ!」
「話を聞いて‥‥」
精霊王と精霊姫が同時に声を上げるが。
「私はポエムバトルで忙しい」
とつれない声。
直後、
カッッ!
シュォンッ!
一瞬の雷光と僅かに空気を揺らし、モーブ猊下が姿を消す。
『ポエムバトル』という魅惑のワードを残して。
モーブ猊下が消えたと同時に金縛りが解けた父娘は顔を見合わせた後ガックリと床に伏す。
「お父様、どうにか」
「――ならない。
モーブ猊下は人間とは思えない魔法を使う。
全く‥‥お前が本気で怒らせるからここまでバッサリやられるのだ。
もう会えない‥‥
どうしてくれるのだ」
「『ポエムバトル』、面白そうですわね」
愛人が呟く。
言うな。
言ってくれるな。
精霊父娘は滂沱の涙を流す。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる