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第一章
24 君しかいない
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「‥‥何を言っているのか分くぁらない。」
デネブ様の端正なお口がひん曲がっています。
‥‥どうしよう‥‥
もしかして、笑う所‥‥
「君はバカなのか?
何回言わせる気だ?
私は愛人を決めなければならない。
妻に約束してしまったのだ。」
伯爵様が怒気を含んだ声で返します。
どうやら、笑う所ではないようです。
え~と、今から10分ほど前。
デネブ様はピクリとも動かない不審者5名を騎士団に押し付‥‥渡しました。
詳しい話を訊きたそうな騎士団長を鬼の形相で無言にさせながら。
僕はベテルとギウスに帰って体を休める様に言いました。
きっと、後から恐怖がやって来るはずだから、耐えられるように。
このまま帰るのかと思っていた伯爵様が、
「愛人を決めたい。」
と仰るので、3人で第一応接室に戻ってきました。
そうそう、愛人を決めるって、夫人に約束させられていましたもんね!
階段も第一応接室内も建物や家具に全く被害が無く、シン‥‥としています。
あんな事があったなんて信じられません‥‥
デネブ様が不審者3名を追いかけて行った窓だけが開け放たれたままです。
そろそろ夕刻の生温い風が僅かにカーテンを揺らしています。
窓を閉めながら下の通りを見ても、通りにも何の被害も出ていない様子。
あれだけ不審者にダメージを与えながら、他には一切被害を出さないなんて。
お二人とも、魔力量もさることながら、そのコントロールもお見事過ぎです!
「すぐにお茶を‥‥」
そう言いながら茶器を乗せたワゴンのあるドアへ向かう途中で、
「アル君、そこに居ては話しづらいから、掛けてくれ。」
と貫禄ある様子でソファに腰かけている伯爵様が仰います。
え、僕、要ります?
――― ああ、そうか。
伯爵様の要望を聞いて姿絵を用意しなきゃか。
「はい。 失礼致します。」
そう言って、赤い瞳に不穏な光を宿らせているデネブ様の隣に腰かけると同時に、
「愛人を決めたい。
というかアル君を愛人にしたい。」
伯爵様がそう仰って‥‥
えぇッ!?
「わ‥‥私ですか?」
ふかふかソファから転げ落ちそうになりながらそう聞き返すと‥‥
「君に頼みたい。‥‥君しかいない。
アル君、私の愛人になってくれ。」
と、無表情な顔で言われ ―――
「‥‥何を言っているのか分くぁらない。」
とデネブ様がお口をひん曲がらせる事態になり、今に至るワケです。
デネブ様、鬼顔が戻らなくなってしまったのでしょうか‥‥
折角のイケメンが台無しです。
う、いえ、正直に言います。
鬼顔は鬼顔で、ステキです!
デネブ様の端正なお口がひん曲がっています。
‥‥どうしよう‥‥
もしかして、笑う所‥‥
「君はバカなのか?
何回言わせる気だ?
私は愛人を決めなければならない。
妻に約束してしまったのだ。」
伯爵様が怒気を含んだ声で返します。
どうやら、笑う所ではないようです。
え~と、今から10分ほど前。
デネブ様はピクリとも動かない不審者5名を騎士団に押し付‥‥渡しました。
詳しい話を訊きたそうな騎士団長を鬼の形相で無言にさせながら。
僕はベテルとギウスに帰って体を休める様に言いました。
きっと、後から恐怖がやって来るはずだから、耐えられるように。
このまま帰るのかと思っていた伯爵様が、
「愛人を決めたい。」
と仰るので、3人で第一応接室に戻ってきました。
そうそう、愛人を決めるって、夫人に約束させられていましたもんね!
階段も第一応接室内も建物や家具に全く被害が無く、シン‥‥としています。
あんな事があったなんて信じられません‥‥
デネブ様が不審者3名を追いかけて行った窓だけが開け放たれたままです。
そろそろ夕刻の生温い風が僅かにカーテンを揺らしています。
窓を閉めながら下の通りを見ても、通りにも何の被害も出ていない様子。
あれだけ不審者にダメージを与えながら、他には一切被害を出さないなんて。
お二人とも、魔力量もさることながら、そのコントロールもお見事過ぎです!
「すぐにお茶を‥‥」
そう言いながら茶器を乗せたワゴンのあるドアへ向かう途中で、
「アル君、そこに居ては話しづらいから、掛けてくれ。」
と貫禄ある様子でソファに腰かけている伯爵様が仰います。
え、僕、要ります?
――― ああ、そうか。
伯爵様の要望を聞いて姿絵を用意しなきゃか。
「はい。 失礼致します。」
そう言って、赤い瞳に不穏な光を宿らせているデネブ様の隣に腰かけると同時に、
「愛人を決めたい。
というかアル君を愛人にしたい。」
伯爵様がそう仰って‥‥
えぇッ!?
「わ‥‥私ですか?」
ふかふかソファから転げ落ちそうになりながらそう聞き返すと‥‥
「君に頼みたい。‥‥君しかいない。
アル君、私の愛人になってくれ。」
と、無表情な顔で言われ ―――
「‥‥何を言っているのか分くぁらない。」
とデネブ様がお口をひん曲がらせる事態になり、今に至るワケです。
デネブ様、鬼顔が戻らなくなってしまったのでしょうか‥‥
折角のイケメンが台無しです。
う、いえ、正直に言います。
鬼顔は鬼顔で、ステキです!
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