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第一章
37 名前で呼んで
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「‥‥アル‥‥」
ハッ!?
甘い、熱い声‥‥
更に後ろから抱きしめられていますっ!!
「わわわッ!
ち、違います、伯爵様、僕です!
もう、僕に戻ってますので!!」
「‥‥アルはアルだろう?
アルの中の別人格‥‥
というわけではないのか?」
「はい、いえ、何と言ったらいいか‥‥
別人格ではなく別人だと思って下さい!
自分の事をすごく自然に ”私 ”呼びするヒトと僕とは!
僕は16才になってから自分を ”私 ”呼びするようにしています。
でも、実はまだ慣れていないんです!
だから、ゼッタイ別人です!
だからその、僕には分かりません!
”私 ”が言っていた呪いの意味‥‥
そ、それに伯爵様をバカ呼ばわりした理由!
ベガの ”真の主 ”発言も!
キ、キ‥‥ディープキスしたのも!!
僕は知らない!
僕じゃないんですっ!!」
おかしな事を言っている自覚はあります。
でも、本当の事だから‥‥
伯爵様が無言で体を離します。
う‥‥ホッとすると同時にすごく寂しい…
ストッと伯爵様がベガから飛び降ります。
あ、僕も降‥‥あ。
伯爵様が手を差し出して下さっています。
断るのも失礼かとその手を握ると。
「えッ!? わわッ!? は、伯爵様‥‥」
グイと引き寄せられ、いつの間にか伯爵様に抱えられています。
抱き上げられたような形、です。
「‥‥ありがとうございます。
あの、降ろして下さ‥‥あッ」
伯爵様にギュッとされました。
ドキドキしていますっ!
「‥‥‥ふぅ。
‥‥本当に困った愛人だな‥‥」
「伯‥‥」
「シリウスだ。 名前で呼んでほしい。」
「‥‥え? ああ、いえ、それは出来ません。
名前をお呼びする権利があるのは奥様だけです。
愛人は ”旦那様 ”とお呼び致します。」
「それも慣習か?
”ドルチェ ”が決めたルールか?
君は ”ドルチェ ”では事務員だ。
プロキオン卿も君を愛人として紹介するのを拒否した。
つまり君は個人的に私と愛人契約を結ぶのだ。
私達のルールは私達で決めていこう。
他者が作ったルールに縛られる事は無い。
‥‥シリウスと呼んでほしい。
プロキオン卿の事は名前で呼んでいるだろう?」
「‥‥えッ?
デネブ様?
‥‥‥あ‥‥」
伯爵様がムッとした顔を‥‥
抱き上げられた様な状態のままの至近距離。
見下ろす位置にそんな破壊力Maxの‥‥
た、耐えられませんッ!
「はい‥‥下ろして下さい、シリウス様。」
「ん‥‥‥うん、分かった。
さ、気を付けて。」
そう言って優しく下ろして下さいました。
‥‥今少し、微笑ってましたよね?
優しい微笑‥‥
うぅ‥‥ドキドキが止まりませんっ‥‥
≪キュアッ!≫
突然ベガが驚いた様な声を上げます。
何事!?
「「 ハッ!! 」」
雲が月や星々を隠していたせいで、いつもより暗い夜空。
その雲が少しずつ晴れて‥‥
あぁッ!
雲の切れ間から徐々に姿を現し始めていた月。
とうとうすっかり雲が晴れて、明るい満月が完全に姿を現しました。
その満月を背に何かがこちらへ向かって飛んできます!
「シリウス様、あれはッ‥‥‥!」
そう言いながら僕にはもう分かっていました。
月光に縁取られた輪郭、それは‥‥‥
ハッ!?
甘い、熱い声‥‥
更に後ろから抱きしめられていますっ!!
「わわわッ!
ち、違います、伯爵様、僕です!
もう、僕に戻ってますので!!」
「‥‥アルはアルだろう?
アルの中の別人格‥‥
というわけではないのか?」
「はい、いえ、何と言ったらいいか‥‥
別人格ではなく別人だと思って下さい!
自分の事をすごく自然に ”私 ”呼びするヒトと僕とは!
僕は16才になってから自分を ”私 ”呼びするようにしています。
でも、実はまだ慣れていないんです!
だから、ゼッタイ別人です!
だからその、僕には分かりません!
”私 ”が言っていた呪いの意味‥‥
そ、それに伯爵様をバカ呼ばわりした理由!
ベガの ”真の主 ”発言も!
キ、キ‥‥ディープキスしたのも!!
僕は知らない!
僕じゃないんですっ!!」
おかしな事を言っている自覚はあります。
でも、本当の事だから‥‥
伯爵様が無言で体を離します。
う‥‥ホッとすると同時にすごく寂しい…
ストッと伯爵様がベガから飛び降ります。
あ、僕も降‥‥あ。
伯爵様が手を差し出して下さっています。
断るのも失礼かとその手を握ると。
「えッ!? わわッ!? は、伯爵様‥‥」
グイと引き寄せられ、いつの間にか伯爵様に抱えられています。
抱き上げられたような形、です。
「‥‥ありがとうございます。
あの、降ろして下さ‥‥あッ」
伯爵様にギュッとされました。
ドキドキしていますっ!
「‥‥‥ふぅ。
‥‥本当に困った愛人だな‥‥」
「伯‥‥」
「シリウスだ。 名前で呼んでほしい。」
「‥‥え? ああ、いえ、それは出来ません。
名前をお呼びする権利があるのは奥様だけです。
愛人は ”旦那様 ”とお呼び致します。」
「それも慣習か?
”ドルチェ ”が決めたルールか?
君は ”ドルチェ ”では事務員だ。
プロキオン卿も君を愛人として紹介するのを拒否した。
つまり君は個人的に私と愛人契約を結ぶのだ。
私達のルールは私達で決めていこう。
他者が作ったルールに縛られる事は無い。
‥‥シリウスと呼んでほしい。
プロキオン卿の事は名前で呼んでいるだろう?」
「‥‥えッ?
デネブ様?
‥‥‥あ‥‥」
伯爵様がムッとした顔を‥‥
抱き上げられた様な状態のままの至近距離。
見下ろす位置にそんな破壊力Maxの‥‥
た、耐えられませんッ!
「はい‥‥下ろして下さい、シリウス様。」
「ん‥‥‥うん、分かった。
さ、気を付けて。」
そう言って優しく下ろして下さいました。
‥‥今少し、微笑ってましたよね?
優しい微笑‥‥
うぅ‥‥ドキドキが止まりませんっ‥‥
≪キュアッ!≫
突然ベガが驚いた様な声を上げます。
何事!?
「「 ハッ!! 」」
雲が月や星々を隠していたせいで、いつもより暗い夜空。
その雲が少しずつ晴れて‥‥
あぁッ!
雲の切れ間から徐々に姿を現し始めていた月。
とうとうすっかり雲が晴れて、明るい満月が完全に姿を現しました。
その満月を背に何かがこちらへ向かって飛んできます!
「シリウス様、あれはッ‥‥‥!」
そう言いながら僕にはもう分かっていました。
月光に縁取られた輪郭、それは‥‥‥
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