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デネブ・プロキオン
06 解れていく
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「‥‥!?」
ギョッとして少年を見つめる。
何故‥‥私の心が読めるのか!?
「‥‥あ、すみません。
変な事を言うとお思いでしょうが‥‥
だけど、さっきあなたに手を握られた時、そう思ったのです」
少年が不思議そうに言う。
「私と同じか!?
君も誰かの声が聞こえたのか!?」
私と同じように、信じるしかないと思わせるあの声を聞いたのか!?
「いいえ。
でも、見えているので‥‥」
少年を凝視してしまっている私に、少年が微笑む。
ふんわりと柔らかに温かい空気に包まれる。
あぁこれ‥‥君だけの‥‥
君の温度‥‥
「僕は魔力無しですが、なぜか魔力が見えるんです。
あなたはかなり大きな魔力をとてもよく制御出来ています。
それも自己流なら、とてもすごい事です。
大変な苦労と努力を重ねて来られたのだと推察します。
その制御を無効化して突発的に暴走していた魔力が制御下に入りました。
なぜか、間違いないと断言できます。
魔力暴走はもう起こりません。
‥‥今まで大変な苦労をされて来たのですね‥‥
もう、大丈夫ですよ。」
船の中の小さな応接間。
少年と向かい合わせに座り、小さなテーブルの上で固く拳を握りしめていた。
その拳を、少年の繊細で美しい手が柔らかく包む。
その瞬間、拳も、私の心も、あたたかく解れていく。
「‥‥ありがとう。
‥‥良かった‥‥
君に恐がられずに済む‥‥」
思わず子供の様な本音を漏らすと。
「?
恐いなんて思うはずありません。
助けて頂いて、親切にして頂いて。
感謝しかありません」
嬉しい。
嬉しいという感情を、生まれて初めて解かった。
顔が熱い。
もしかしてまた赤面しているのか‥‥?
テーブルの上の手から少し目を上げる。
少年の首元までキッチリと合わせられていたバスローブが少し緩まり、痛々しい傷が覗いている。
「‥‥その‥‥君の体の傷‥‥」
「あ、す、すみません。
お目汚しで‥‥
不快なものを見せてしまって‥‥」
少年が慌ててバスローブの襟元を直す。
長い睫毛が美しい瞳に影を落とす。
少年のその一つ一つが私の胸を締め付ける‥‥
「違う!
不快なのは、君に暴力を振るった奴だ!
君を‥‥多分長い間苦しめ続けた奴‥‥
私はそいつが許せないのだ!」
悔しい‥‥許せない‥‥
一体、どれだけ苦しい時間を過ごしたのだろうか‥‥!?
もっと早く少年に出会えていたら‥‥!
王宮の西門ではなくそいつを粉々にしてやれたものを!
少年がこんなになるまで出会わずにいた自分も許せない!
少年は私の顔をジッと見て‥‥
ハッと瞳を揺らして‥‥‥
ギョッとして少年を見つめる。
何故‥‥私の心が読めるのか!?
「‥‥あ、すみません。
変な事を言うとお思いでしょうが‥‥
だけど、さっきあなたに手を握られた時、そう思ったのです」
少年が不思議そうに言う。
「私と同じか!?
君も誰かの声が聞こえたのか!?」
私と同じように、信じるしかないと思わせるあの声を聞いたのか!?
「いいえ。
でも、見えているので‥‥」
少年を凝視してしまっている私に、少年が微笑む。
ふんわりと柔らかに温かい空気に包まれる。
あぁこれ‥‥君だけの‥‥
君の温度‥‥
「僕は魔力無しですが、なぜか魔力が見えるんです。
あなたはかなり大きな魔力をとてもよく制御出来ています。
それも自己流なら、とてもすごい事です。
大変な苦労と努力を重ねて来られたのだと推察します。
その制御を無効化して突発的に暴走していた魔力が制御下に入りました。
なぜか、間違いないと断言できます。
魔力暴走はもう起こりません。
‥‥今まで大変な苦労をされて来たのですね‥‥
もう、大丈夫ですよ。」
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その拳を、少年の繊細で美しい手が柔らかく包む。
その瞬間、拳も、私の心も、あたたかく解れていく。
「‥‥ありがとう。
‥‥良かった‥‥
君に恐がられずに済む‥‥」
思わず子供の様な本音を漏らすと。
「?
恐いなんて思うはずありません。
助けて頂いて、親切にして頂いて。
感謝しかありません」
嬉しい。
嬉しいという感情を、生まれて初めて解かった。
顔が熱い。
もしかしてまた赤面しているのか‥‥?
テーブルの上の手から少し目を上げる。
少年の首元までキッチリと合わせられていたバスローブが少し緩まり、痛々しい傷が覗いている。
「‥‥その‥‥君の体の傷‥‥」
「あ、す、すみません。
お目汚しで‥‥
不快なものを見せてしまって‥‥」
少年が慌ててバスローブの襟元を直す。
長い睫毛が美しい瞳に影を落とす。
少年のその一つ一つが私の胸を締め付ける‥‥
「違う!
不快なのは、君に暴力を振るった奴だ!
君を‥‥多分長い間苦しめ続けた奴‥‥
私はそいつが許せないのだ!」
悔しい‥‥許せない‥‥
一体、どれだけ苦しい時間を過ごしたのだろうか‥‥!?
もっと早く少年に出会えていたら‥‥!
王宮の西門ではなくそいつを粉々にしてやれたものを!
少年がこんなになるまで出会わずにいた自分も許せない!
少年は私の顔をジッと見て‥‥
ハッと瞳を揺らして‥‥‥
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