束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中！？》

第二章

45 新しい関係 その1

夜が明けたばかりの清々しい大空を翼竜の背で楽しむ美少年、アル。

遥か下、エリダヌス伯爵家の西の屋敷の屋上に、愛する二人の姿を認めます。



「ベガ、アルタイル、大空散歩は終わりだよ！
屋上へ‥‥彼等の所へ下りて！」



≪キュン！≫
≪ギュム～～ン‥‥≫



いいお返事のベガと、不満気なアルタイル。

赤い方の翼竜・アルタイルは、アルがバルコニーの手すりからジャンプした時、ベガから一瞬遅れたせいでアルを乗せられなかったのが悔しいのです。



「フフッ、拗ねないの。
次はアルタイルに乗せてもらうからね？」



≪キュン！≫



次の約束をもらって、アルタイルもようやくご機嫌になりました。


あ‥‥ホラ、もう屋上に到着です。

アルは、ベガが着地するのももどかしく、ヒラリと飛び下ります。



「デネブ様ッ、シリウス様ッ、」



ぼ～～っとアルの姿に見惚れていた二人は、弾かれた様に声を上げます。



「「‥‥ハッ！　あ、お、お早う‥‥」」
「愛してます！」


「「‥‥ッッ！！」」



早朝の大空散歩でテンションが爆ハイのアル。

挨拶よりも先に溢れる想いが口から迸ります。


美丈夫たちは頭真っ白で絶句します。

輝く笑顔で最高の言葉をくれた美少年。

喜びに高揚する心‥‥


『私も愛している』


‥‥そう返す前に、美丈夫たちの心はさらに掻き乱されてしまいます。


屋上の強い風は少年の薄い夜着の上からその肢体‥‥

その輪郭を浮かび上がらせ、かと思えば無遠慮に夜着の裾を開はだけてスラリと伸びた美しい足のその白く艶めかしい太腿までも露わにします。


目を逸らせばいい‥‥

目を逸らすべきだ‥‥


そう思うのに、風のいたずらでチラチラと露わになる妖しい素肌を食い入るように見つめてしまう美丈夫たち。