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第三章
12 狂犬の胸の内
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何で!? 何でこうなるの!?
何で王太子が婚約するのに条件を出されなきゃいけないのよッ!?
温室でぶつかって来た不敬女子カペラ。
10人中10人が素通りする地味女だったけど、家柄は最高だった。
(まさか公爵家の二女だったなんて。
注目されるのが嫌でブスメイクでもしているのかしら?
まぁ、子供が産めれば何だっていいわ。
いい年して中々婚約者が決まらなかった王太子‥‥
これでサッサと男子を儲けてくれれば、王太子の地位も一つ固まるわ!)
ニヤニヤしながら夫‥‥国王陛下に二人の婚約の許可を得ようとしたら‥‥
「何ッ!? カペラはシリウスの妻であるはず!
お前達は憐れで健気なシリウスから妻を奪うというのかッ!?」
‥‥激怒したのよ。
いつもは柔和で温厚な陛下が。
赤髪に金目が怒ると凄い迫力なんだからヤメテよ!
大体『憐れで健気』って誰の事よ!?
どうやら元気になったらしいのに、陛下や先王陛下の山の様なお誘いを一度も受けずに完全無視してるらしいじゃない!
『無礼で不遜』の間違いでしょッ!?
キィッ!
「陛下、カペラはその婚姻について、ただの手違いだと説明しましたわ!
事実、信頼できる医術師にも処女であると診断されておりますわ!
夫婦関係になかった証拠でございましょう?」
私はイラつく心を押し隠し、極上の微笑みを浮かべながら説明したのに‥‥
「”信頼できる医術師 ”などおらぬ。
金次第で如何様にも診断を操作できると、そなたならよく知っていよう」
ギッ、クーン!
ちょ、な、何よ!?
まさかバレてる!?
私が陛下と婚約する前の検査、お金で解決したって事‥‥
その分野では最高の腕を持つ医療魔術師に、
『何度も再生し過ぎたせいで、処女膜再生魔法がきかなくなっている』
って言われて仕方なく大金を配った‥‥その事を言ってるの!?
い、いいえ、バレるはずないわッ!
だって、アレに関わった者達は、もう土の中なんだから!
実家の仕事は確かよ。
漏れがあったはずない。
陛下はカマをかけているだけ!
‥‥いいえ、カマをかけることすらしないはず‥‥
そうよ、だって!
”陛下は私を疑わないし、罰しない ”!
絶対に、ね!
そうよ、そうだったわ、うっかり動揺してしまったけど‥‥
アレ(古代××)、掛け直したばかりじゃない!
そうだったわ、
全然大丈夫、
ヨユー‥‥!
「まぁ?
医術師を信じられなかったら、病気になった時困りますわ。
信じなければ、治るものも治りませんものォ‥‥」
小首を傾げながら言ってやったわ。
こうすれば今でもカワイイって事、自分でよーく分かってるんだから!
‥‥アラ?
ナゼか陛下の顔から表情と血の気が抜け落ちたわ。
怒っている顔よりはいいので良かったわ!
その時陛下の側近がスッと陛下に近付き何か耳打ちしたの。
耳打ちとか何なのかしら?
感じ悪いわね。
「‥‥うむ。 ここへ通せ」
「まぁッ!? 陛下!?
今は私と大切な話をしている最中でございましょう?!
こんなプライベートな場に他人を通すなんて‥‥」
信じられないわ!
家族の大切な空間に他人を呼び込むなんてッ
酷いわ、屈辱だわ、私に対する侮辱だわ!
キィィィッ!
「エリダヌス伯爵家の庭師が来たのだ。
シリウスに関して話があるらしい。
‥‥彼はシリウスの婚姻に深く関わったのだ」
庭師ィィィィッ!?
に、庭師風情が、おっ、王に、こんな、気楽に、会いに!?
無い! 無いわよ! 無いッ‥‥
「そのように顔をしかめるのではない。
シワが凄い‥‥あ、いや。
シリウスの庭師はただの庭師ではない‥‥
ああ、来たか。
ああ、よい、堅苦しい挨拶は抜きだ。
それより、シリウスの婚姻が白紙とはどういう事なのだ!?
可哀想に、シリウスは納得しているのか!?
傷ついているのではないか!?」
ハイ親バカ~~~!
ハイアウト~~~!
って、えぇっ!?
誰よこのヨダレもんの極上のイケおじ様はぁッ!?
ハッ!
そう言えば‥‥思い出したわ!
プロキオン卿とエリダヌス卿を臣籍降下させた時、当時王太子だった陛下をぶん殴ったという側近‥‥公にはされなかったから知る人は少ないけど‥‥
陛下はその不敬すぎる側近を公開拷問処刑するでもなく、『父上にも殴られた事無いのにッ』と文句を言うでもなく、なんとお礼を言ったらしいわ。
『ありがとう‥‥愛する我が子を冷酷に手放す私を、誰かに殴って欲しかった』
とか。
その話を聞いた時は『もしや殿下はM!?今度ベッドで殴ってみようかしら』なんて思ったものだけど‥‥
確かに確かに!‥‥彼に殴られたら‥‥感じるかも‥‥燃えるかも!
んん、ヤダぁ、濡れて来ちゃったぁんッ‥‥
何で王太子が婚約するのに条件を出されなきゃいけないのよッ!?
温室でぶつかって来た不敬女子カペラ。
10人中10人が素通りする地味女だったけど、家柄は最高だった。
(まさか公爵家の二女だったなんて。
注目されるのが嫌でブスメイクでもしているのかしら?
まぁ、子供が産めれば何だっていいわ。
いい年して中々婚約者が決まらなかった王太子‥‥
これでサッサと男子を儲けてくれれば、王太子の地位も一つ固まるわ!)
ニヤニヤしながら夫‥‥国王陛下に二人の婚約の許可を得ようとしたら‥‥
「何ッ!? カペラはシリウスの妻であるはず!
お前達は憐れで健気なシリウスから妻を奪うというのかッ!?」
‥‥激怒したのよ。
いつもは柔和で温厚な陛下が。
赤髪に金目が怒ると凄い迫力なんだからヤメテよ!
大体『憐れで健気』って誰の事よ!?
どうやら元気になったらしいのに、陛下や先王陛下の山の様なお誘いを一度も受けずに完全無視してるらしいじゃない!
『無礼で不遜』の間違いでしょッ!?
キィッ!
「陛下、カペラはその婚姻について、ただの手違いだと説明しましたわ!
事実、信頼できる医術師にも処女であると診断されておりますわ!
夫婦関係になかった証拠でございましょう?」
私はイラつく心を押し隠し、極上の微笑みを浮かべながら説明したのに‥‥
「”信頼できる医術師 ”などおらぬ。
金次第で如何様にも診断を操作できると、そなたならよく知っていよう」
ギッ、クーン!
ちょ、な、何よ!?
まさかバレてる!?
私が陛下と婚約する前の検査、お金で解決したって事‥‥
その分野では最高の腕を持つ医療魔術師に、
『何度も再生し過ぎたせいで、処女膜再生魔法がきかなくなっている』
って言われて仕方なく大金を配った‥‥その事を言ってるの!?
い、いいえ、バレるはずないわッ!
だって、アレに関わった者達は、もう土の中なんだから!
実家の仕事は確かよ。
漏れがあったはずない。
陛下はカマをかけているだけ!
‥‥いいえ、カマをかけることすらしないはず‥‥
そうよ、だって!
”陛下は私を疑わないし、罰しない ”!
絶対に、ね!
そうよ、そうだったわ、うっかり動揺してしまったけど‥‥
アレ(古代××)、掛け直したばかりじゃない!
そうだったわ、
全然大丈夫、
ヨユー‥‥!
「まぁ?
医術師を信じられなかったら、病気になった時困りますわ。
信じなければ、治るものも治りませんものォ‥‥」
小首を傾げながら言ってやったわ。
こうすれば今でもカワイイって事、自分でよーく分かってるんだから!
‥‥アラ?
ナゼか陛下の顔から表情と血の気が抜け落ちたわ。
怒っている顔よりはいいので良かったわ!
その時陛下の側近がスッと陛下に近付き何か耳打ちしたの。
耳打ちとか何なのかしら?
感じ悪いわね。
「‥‥うむ。 ここへ通せ」
「まぁッ!? 陛下!?
今は私と大切な話をしている最中でございましょう?!
こんなプライベートな場に他人を通すなんて‥‥」
信じられないわ!
家族の大切な空間に他人を呼び込むなんてッ
酷いわ、屈辱だわ、私に対する侮辱だわ!
キィィィッ!
「エリダヌス伯爵家の庭師が来たのだ。
シリウスに関して話があるらしい。
‥‥彼はシリウスの婚姻に深く関わったのだ」
庭師ィィィィッ!?
に、庭師風情が、おっ、王に、こんな、気楽に、会いに!?
無い! 無いわよ! 無いッ‥‥
「そのように顔をしかめるのではない。
シワが凄い‥‥あ、いや。
シリウスの庭師はただの庭師ではない‥‥
ああ、来たか。
ああ、よい、堅苦しい挨拶は抜きだ。
それより、シリウスの婚姻が白紙とはどういう事なのだ!?
可哀想に、シリウスは納得しているのか!?
傷ついているのではないか!?」
ハイ親バカ~~~!
ハイアウト~~~!
って、えぇっ!?
誰よこのヨダレもんの極上のイケおじ様はぁッ!?
ハッ!
そう言えば‥‥思い出したわ!
プロキオン卿とエリダヌス卿を臣籍降下させた時、当時王太子だった陛下をぶん殴ったという側近‥‥公にはされなかったから知る人は少ないけど‥‥
陛下はその不敬すぎる側近を公開拷問処刑するでもなく、『父上にも殴られた事無いのにッ』と文句を言うでもなく、なんとお礼を言ったらしいわ。
『ありがとう‥‥愛する我が子を冷酷に手放す私を、誰かに殴って欲しかった』
とか。
その話を聞いた時は『もしや殿下はM!?今度ベッドで殴ってみようかしら』なんて思ったものだけど‥‥
確かに確かに!‥‥彼に殴られたら‥‥感じるかも‥‥燃えるかも!
んん、ヤダぁ、濡れて来ちゃったぁんッ‥‥
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