束の間のアル《廃王子様は性欲ゼロなのに熱・愛・中!?》

ハートリオ

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第三章

11 招待状

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「招かれざる客?
シリウス様を狙った刺客?
‥‥許せないね」



アルが眉をピクリとさせ無表情に不快を纏わせます。



「ハッ‥‥アッ、あの‥‥はい‥‥」

(‥‥恐い。
優し気で天使の様な微笑みを浮かべているアル様しか知らなかったけど‥‥
こんなに恐い空気を纏う事もあるなんて‥‥
美しく優しく、人を魅了し惑わせる少年、というだけではない様だ‥‥
何やら底知れぬ少年だ‥‥
刺客の事、言ってよかったのかな‥‥?)


従者は不安に耐えきれず主であるエリダヌス卿へ視線を泳がせます。



「「無限の魔力を手に入れた‥‥とは、どういう事だろうか‥‥」」

(‥‥恐い。
我が主とプロキオン卿は異母兄弟。
とはいえ会ってまだ一カ月ほど。
それなのに完全シンクロしている‥‥)


従者は色々な種類の恐怖を感じ、思わず胸に手を当てます。



「無限の魔力を手に入れた‥‥それが事実なら、確かに最強と言える。
厄介だね‥‥‥
(‥‥それでも逃げるわけにはいかない‥‥)
二週間後の王家主催のパーティー‥‥
来いと言われてもね‥‥
招待状も無いし‥‥これから届くのかな‥‥」



気だるげに呟くように話すアル‥‥

こんな時でもダダ漏れしている魅惑の色気。

アルを除く全員が強めの目眩を感じます。


強めの目眩にクラクラしながら ”招待状 ”というワードに反応したのは‥‥



「‥‥アッ! 招待状!
忘れてました!
王宮から招待状が届いていたんでした!
どうぞ、こちらです!」



恐怖で手を当てていた胸がカサついている事に『?』状態だった従者。

王都中心街の屋敷に届いた郵便物を持って来ていた事を思い出します。

招待状を一番上にして、郵便物を差し出します。



「‥‥ン‥‥」

(郵便物はナゼか私に差し出されている‥‥
主であるシリウス様を差し置いて私が受け取っていいのだろうか?)



そんな疑問に躊躇しながら従者を見るアルですが‥‥

従者は忠誠を誓ったワンコの様なキラキラを放っています。


ヒョイ。

横から腕を伸ばしてエリダヌス卿が郵便物を受け取ります。



「ハッ‥‥アッ!
も、申し訳ございませんッ!!」



郵便物を差し出す相手を間違えていた事にやっと気付いた従者。

真っ赤な顔で謝ります。



「別にいい。
私がお前でもアルしか目に入らない。
気にしなくていい」



主にそんな風に言われて従者はさらに真っ赤になってしまいます。


チラリと甘い視線をアルに送りながらエリダヌス卿が招待状の封を切ります。

豪奢な封筒から出て来た豪奢で芸術的な透かし彫り金ケース入りのカード。

内容を読む三人‥‥



「「「船上パーティー!?」」」



アル、プロキオン卿、エリダヌス卿が声を揃えます。


二週間後の王家主催のパーティーは海上で‥‥

巨大な船の上で執り行われる様です。



「ッ、つまり、海上の逃げ場のない船の上へ私達三人を呼びつけるのが目的か。
私達三人をどう煮たり焼いたりするつもりなのか‥‥
‥‥はぁ、怪しさしか感じないね‥‥」



気だるげにソファの背に体を預け、天を仰ぎながら溜息混じりに呟くアル。

アルの声は小声でもよく通り、耳の奥をゾクゾクと刺激します。


その刺激に思わずソワソワと赤面し、ドキドキする妖しさを感じてしまうのは仕方のない事のようです‥‥
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