忖度令嬢、忖度やめて最強になる

ハートリオ

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12 エクアの願い

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アッキピテル公爵。
38才イケオジである彼は現王の弟であり王立女学園の学園長。
アウィス伯爵とは学生時代からの親友である――

彼は今。
親友の娘である学園の2年生アウィス伯爵令嬢エクアを自宅に連れ帰り。

エクアの望み通り迅速に行動した。

公爵家の優秀な騎士に馬を走らせエクアが泣きながら書き上げた手紙を最速で7人の関係者に届け。
アウィス伯爵邸には治安騎士を送り全員を捕縛。
エクアが証言した通り地下の蔵書庫にあるアウィス伯爵夫人の日記を回収。
やはりエクアの証言からアウィス伯爵夫人の隠し部屋を発見した。

エクアには消化のいい温かなスープを飲ませて。
落ち着いたところで呼んでおいた数名の医師に診てもらう。

結果、エクアは見た目通りボロボロで。
栄養失調と長年の怪しげな薬物摂取により体はまともに機能しておらず。

手紙を読んだアウィス伯爵が飛んで来た時、本当なら少しは回復しているはずの頬の腫れはどす黒く硬化しいよいよ酷い状態になっており。

医師達全員に腫れも色も一生回復しないだろうと断言されて。

ザ・冷静沈着と言われて来た父は娘を抱きしめ泣き崩れた。
生まれた時から天使だ妖精だとその美しさで周りを驚かせてきた娘は色狂いの愚母によって美しかった顔に一生消えない痣を付けられたのだ――

「命が助かっただけで良しとしてください!
いえ、まだ命が助かったとは言い切れません!
エクア様が幼少のころから摂取させられて来た数々の薬物がいつどんな作用を起こすか何とも言えないのです…」

怒りを隠せない医師の声にアウィス伯爵の怒りにも火が付く。

「エクア…君を苦しめてきた悪魔はこの父がこの手で成敗‥」

久しぶりに見る父の顔に(こんな顔だっけ?)と思いながらエクアは口を開く。

「そんな事より私を安全な…あの人が手出しできない遠くの修道院に入れてください」
「なッ!?修道院って…なぜ‥」

娘が何を言っているのか理解できない父は娘の顔――痛ましい顔を覗き込む。
エクアは淡々と願いを口にする。

「本当はどこか適当な家に養子縁組してほしかったのですが。
顔に一生消えない大きな痣が出来てしまってはそれは叶わないでしょう?
だからどこかの修道院でひっそりと生きます。
お手数で申し訳ありませんがこれで縁が切れるのですからどうかよろしくお願いします」

そう言って深く頭を下げるエクアにアウィス伯爵は震えながら叫ぶ。

「君は私の子だ!
大切な娘だ!
どこにもやらない!」
「?‥もうとっくの昔に私の事は捨てたじゃないですか?
…あ。そう、皆さんの前ですものね。
本音は言えませんよね‥」
「‥は!?
何を言っているんだ!?
君は‥私の言葉が信じられないのかい!?」

涙を流しながらそんなことを言うアウィス伯爵にエクアは眉を寄せる。

「…王都にあの人と2人きりにしてご自分は愛する息子達と領地暮らし…
私とは今までに何度会いましたか?
話をした事は?
私は思い出せません。
それは『捨てた』としか言えないですよね?
実際にそうして捨てたのに‥その涙の意味が分かりません。
言うつもりはありませんでしたが伯爵が意味不明の演技を続けるのなら言います。
私はアウィス伯爵家に生まれたくなかった」
「エク‥あぁ私が悪かった!
『エクアは私がいないとダメなの。領地?…体が弱い子だから優秀な医師の多い王都にいないと何かあった時心配だわ』とあの女に言われて信じてしまった!
本当は君を領地に連れ帰り一緒に暮らしたかったんだ!」

必死に言い募るアウィス伯爵だがエクアの心は動くはずがない。

「言葉では何とでも言えますよね。
事実、あなたは私を捨てた。
放り出したと言葉を変えてもいいです。
同じ事です。
私は殺される寸前で学園長に保護してもらったから今死なずにいます。
それが今ここにある全てで。
私はアウィス伯爵家に生まれたくなかった。
あの人も産むつもりなんかなかった。
あの人の日記に書いてありました。
高位貴族を狙った『妊娠屋』だったって」

――『妊娠屋』!?
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