Man under the moon

ハートリオ

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10.どこのお宅も色々ある

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「・・あ、姉貴と絶縁してもう10年以上だよ。 昔は俺、ビット村の、ピコの近所に住んでたんだ。 だからいつもピコの側にいれた。 けど、姉貴が俺を邪魔者扱いしてよ・・俺がピコを甘やかし過ぎる、ピコの教育に悪いから、ピコに近付くなって、俺をビット村から追い出したんだ。
姉貴は俺ら一族の長でよ、親父もお袋も親戚の誰も逆らえねえ。 俺も、ずっと姉貴の言いなりだった・・・どんな事でも、逆らえなかった・・・あの時だって・・」


フットさんが蒼ざめ、震えだす。 今日ビット村でもこんな様子のフットさんを見た。 その時も、フットさんはナノの事を話していた。


「フットさん? 大丈夫ですか?」 そう訊くと、フットさんは我に返った様で、


「ハッ・・あ、あぁ・・うん、大丈夫だ、うん、ゴホン、ゴホン!
そ、それで、俺はもうピコに会えないのかと絶望してたらユニが助けてくれてよ、最初は日を決めて会えるようにしてくれて、今では制限無しで会えるようになった。 今日みてえに俺が会いに行ったり、ピコが遊びに来てくれたり。
・・ユニのおかげなんだ。 ユニは顔も天使みてえだけど、心はもっと天使なんだ。 そして最高の父親なんだ・・・
・・ピコとは自由に会えるようになったけど・・けど姉貴とは相変わらず、一切喋ってねえし、顔も合わせない様にしてる。」


“姉貴”というワードを口にする時のフットさんは表情が硬くなる。
ユニの事、ナノに聞いてもらうのは・・・チラッ


「ハッ! い、いや、お、俺は姉貴と関わりたくねえ! 顔も合わせたくねえ!! 大丈夫だよ、来月になればユニは帰って来る! 可愛いピコの成人の祝いに駆け付けねえはずがねえ! この辺の事情に詳しいモルさんなら知ってるだろう? ビット村の娘にとって成人のお祝いは人生の三大イベントの一つなんだ!」


フットさんが必死にナノと関わるのを拒絶する。 だが、ちょっと待て、何で・・


「・・あの、また何か思い違いしてませんか? 俺、この辺初めてで、全然詳しくないですよ?」


「え? いやぁ、だって18才で成人って、ビット村だけなのに知ってたし、それにホラ、あの夕方を知らせるサイレン、あれ、他所の人等はみんなビックリするのに、それも知ってたろ? 知らなきゃ絶対何かあったんじゃねえかってビビるよ、あんなデカい音・・ユニだって、アレに慣れるまで半年位かかったって言ってたぜ?」


フットさんがオジサンにしてはカワイイ目をクリクリさせて主張する。
ふ、オジサンの目がクリクリって・・いや、笑ってる場合じゃないな・・

言われてみれば確かに、普通成人って17才だよな・・シティでも他の地方でも・・
でもまぁ、どこかで聞いた事があったんだろう。 サイレンの音は・・・それも別に驚く事じゃないだろう。 地方では公的機関が鐘や音楽やサイレンで住民に色々知らせるのも知ってた。 そうだ、それだけの事だ。


「そういう ―― 知識があっただけです。 そうですか、ビット村では成人のお祝いはとても大切なんですね。」


それなら確かにユニは帰って来るだろうと思いながら言うと、フットさんが眼を輝かせる。


「そうだよ! 最大の盛り上がりは、娘と父親のダンスなんだ! 娘と父親が二人や家族の思い出の場所でダンスを踊る。 娘は育ててもらった感謝を込めて、父親は娘の成長を祝福して・・・いいだろう、最高だろう・・・」


フットさんの目がウルウル、ウットリしている。
ふ、オジサンの目がウルウル、ウットリって・・いや、別に個人の自由だよな・・


「・・すいません、ちょっと疲れて来たようなので、そろそろホテルへ戻ります。
明日また、ピコさんも交えて話聞かせて下さい。」


「・・え!? あぁ、夕飯を作って食ってもらおうと思ってたんだけど・・そうか、いつの間にかこんな時間か。 これ以上遅くなっても悪いか・・」


「どうも、また明日。」 そう言ってドアへ向かう。


「あぁ、明日・・あ、ユニのサプライズの事、ピコにバレない様に頼むぜ、俺がユニにガッカリされちまう・・」


ハイハイ、ユニにガッカリされたくないよね。 「分かりました。 じゃ。」


「・・・俺さ、ユニに会うまでは、何で姉貴がおかしくなっちまったのか理解できなかった・・でも、ユニに会って、納得しちまった・・・
モルさんの事も、何で姉貴があんなに恐れたのか、今日会って、やっぱり納得したよ・・」


「・・!?」

突然そんな事を言われて動揺する。 ナノが俺を恐れた!? あのナノが!?


「・・それは? それは無い・・逆ですよ? 俺が・・俺の方がナノを恐れた・・(憎んだ)・・」


落ち着け、俺・・! 冷静に、冷・・


「・・・じゃぁお互いに、だったんだな。 ユニを争ったんだから、どっちも引けなかったんだから、しょうがねえよな。 そして、結局勝者がいねえんだから、切ねえよな・・いや、本当はモルさんが勝ってたんだ・・・それを、姉貴が卑怯な手を使って・・・」


俺は、そうだ、本当は、俺が・・・勝って・・いた・・の・・に・・

くらり。 目の前が真っ白になり、意識が、飛・・・
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