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11 赤い刀身の剣
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襟の後ろを持たれたイブ。
あっと言う間に連れ去られ
「うッ!」
ラミアが立つ大岩に投げつけられてしまう。
激しく体を打ち付けられて倒れ込んだまま起き上がれないイブ。
「「イブッ!!」」
「動くな!」
人間階段を余裕で下りて
倒れ込んでいるイブの側に立つラミアが叫び。
騎士の1人に持たせた剣をスラリと抜くとイブの顔の前に突き付ける。
「ハッ!」
(この剣は!)
イブはその赤い刀身の剣に見覚えが――
(巻き戻り前…
私はこの剣に貫かれた!)
前回の記憶が押し寄せ体が震える。
「ッ!
‥その赤い剣はッ!
‥やめろ!
イブに何もするな!
何でも言う通りにする!
だからイブを傷つけないでくれッ!」
これまでどんな状況でも冷静だったブルーベルだが。
赤い刀身の剣を目にした途端取り乱して叫ぶ。
勝利を確信したラミア。
「やっと自分の立場が分かった様ね!
ブルーベル‥いえ、
シラー殿下!
この女を助けたければ私の夫となりなさい!
この私――
世界を統べるレムレース帝国の皇帝の妹‥
ラミア・レムレースのね!」
気が緩み自分の正体を明かす。
「帝国の‥!?
――イマーゴー王国は帝国の隠れ蓑だったのか!
それで入国の審査も緩く‥
私は帝国から逃れる為に旅立ったのに…
まんまと帝国の懐に飛び込み気付かぬまま囚われていたという訳か…」
ブルーベル‥
いやシラーがガックリと肩を落とす。
(ベル様がシラー殿下?
あぁだから…)
巻き戻り前の全てを思い出したイブ。
巻き戻り前も似たような状況になった。
あの時は森の中。
逃げる途中でラミアと騎士達に囲まれた。
イブへの愛を叫んだブルーベル。
巻き戻り前は美しく優秀なブルーベルに本気で恋をしていたラミア。
思わずカッとして『私のものにならないなら死んじゃえ!』と叫びブルーベルに赤い刀身の剣を向けた。
とっさに身を挺してブルーベルを庇い剣を受けたイブ。
(さっき、ベル様があんなにも取り乱されたのは…
私が前回あの赤い剣で刺し貫かれたから…
あんなに必死になってくれるなんて…)
数か所骨が折れているらしく立てない為倒れたまま赤面するイブ。
痛みで朦朧とする頭で更に考える。
(あの後、ベル様‥シラー殿下が時戻り魔法を掛けたのね…
瀕死の私を救う為…
でも詠唱する時間なんか無かったはず‥)
死んだ者は巻き戻れない。
詠唱には長い時間が掛かる。
(私はほぼ即死に近い状態だった…
長い詠唱は待てなかったはず‥
‥ハッ‥)
その瞬間、頭の中でずっと鳴り続けていた音が言葉の形をとる。
【汝、繋ぎとめる存在
得たり。
詠唱封印、
ここに消滅す】
イブは目を見開く。
少し前から強くなっていた風が更に強くなった様である。
ラミアは自慢の金髪を風に靡かせ
すっかり上がった気分のまま騎士にシラーを連れて来る様命じる。
倒れたままのイブ。
その側に立つラミア。
そこへ騎士に後ろ手を取られシラーが連れて来られる。
イブが血を流しているのを見て殺す勢いでボースを睨むシラー。
「あらあら、
そんな目をして…
後々困るのはシラー殿下よ?」
歌う様に言うラミア。
イブを目の端に映し。
2人を苦しめる為に今後のシラーの処遇を話す。
「世界を統べる帝国…
でもね、強ければ強いほど更なる『力』が欲しくなるというもの。
お兄様は世界でたった2人だけ存在する『魔力持ち』にロックオンした。
その1人が精霊王の血を引くと言われるスピーリトゥス精霊国の第一王子…
シラー殿下、あなたよ。
スピーリトゥス王家の中でも魔力持ちが生まれたのは100年ぶりだそうね。
お兄様はその血を皇家に引き入れたくて私に命を下した。
シラー殿下と子を生せと。
お分かり?
美しい私が醜いお前なんかと結婚する訳が。
どの王家も跡継ぎを守る為その存在を隠すもの…
だからシラー殿下について分かっていた事は魔力持ちだという事と年齢だけ。
密かにイケメンを期待していたのにコレじゃとんだ貧乏くじだわ!」
そう言いながら赤い刀身の剣を鞘に戻すラミア。
それを見てシラーはホッとする。
だがラミアは代わりに短剣を手にする。
「魔法を使う為には長い詠唱を唱える必要があるそうね?」
「そうだ。
私は魔法に興味が無かったから理由は知らないが――
1つの魔法を発動するのにも1時間ほどの長い詠唱を唱えなければならない。
私の魔法は脅威にはならないだろう」
そう答えるシラー。
「‥それでもね。
念の為に魔法が使えない様にさせて貰うわ!
子種さえあればいいのだもの。
跪かせなさい!」
騎士により跪かせられるシラー。
愉悦に歪んだ表情でシラーの髪を掴み顔を上向かせるラミア。
「先ずは詠唱出来ないように舌を切る!
その後は薬を使ってでも子作りに専念させる!
2人子供が出来たら…
シラー殿下を気に入っているボースにくれてやるわ!
ボースに壊されるまで慰み物にされるといいわよ!」
ボースが舌なめずりしている。
ボースはシラーの巻き戻り後のオジサン体型がいたくお気に入りで。
巻き戻り前と違い今回はシラーに懸想しているのだ。
「さぁ、私が手ずから切ってあげる!
舌を出しなさい!」
「皇妹ラミアよ。
気でも触れているのか?」
――!?――
一同がギョッとして声のした方を見る。
ゆらり立ち上がったのは――
誰?
あっと言う間に連れ去られ
「うッ!」
ラミアが立つ大岩に投げつけられてしまう。
激しく体を打ち付けられて倒れ込んだまま起き上がれないイブ。
「「イブッ!!」」
「動くな!」
人間階段を余裕で下りて
倒れ込んでいるイブの側に立つラミアが叫び。
騎士の1人に持たせた剣をスラリと抜くとイブの顔の前に突き付ける。
「ハッ!」
(この剣は!)
イブはその赤い刀身の剣に見覚えが――
(巻き戻り前…
私はこの剣に貫かれた!)
前回の記憶が押し寄せ体が震える。
「ッ!
‥その赤い剣はッ!
‥やめろ!
イブに何もするな!
何でも言う通りにする!
だからイブを傷つけないでくれッ!」
これまでどんな状況でも冷静だったブルーベルだが。
赤い刀身の剣を目にした途端取り乱して叫ぶ。
勝利を確信したラミア。
「やっと自分の立場が分かった様ね!
ブルーベル‥いえ、
シラー殿下!
この女を助けたければ私の夫となりなさい!
この私――
世界を統べるレムレース帝国の皇帝の妹‥
ラミア・レムレースのね!」
気が緩み自分の正体を明かす。
「帝国の‥!?
――イマーゴー王国は帝国の隠れ蓑だったのか!
それで入国の審査も緩く‥
私は帝国から逃れる為に旅立ったのに…
まんまと帝国の懐に飛び込み気付かぬまま囚われていたという訳か…」
ブルーベル‥
いやシラーがガックリと肩を落とす。
(ベル様がシラー殿下?
あぁだから…)
巻き戻り前の全てを思い出したイブ。
巻き戻り前も似たような状況になった。
あの時は森の中。
逃げる途中でラミアと騎士達に囲まれた。
イブへの愛を叫んだブルーベル。
巻き戻り前は美しく優秀なブルーベルに本気で恋をしていたラミア。
思わずカッとして『私のものにならないなら死んじゃえ!』と叫びブルーベルに赤い刀身の剣を向けた。
とっさに身を挺してブルーベルを庇い剣を受けたイブ。
(さっき、ベル様があんなにも取り乱されたのは…
私が前回あの赤い剣で刺し貫かれたから…
あんなに必死になってくれるなんて…)
数か所骨が折れているらしく立てない為倒れたまま赤面するイブ。
痛みで朦朧とする頭で更に考える。
(あの後、ベル様‥シラー殿下が時戻り魔法を掛けたのね…
瀕死の私を救う為…
でも詠唱する時間なんか無かったはず‥)
死んだ者は巻き戻れない。
詠唱には長い時間が掛かる。
(私はほぼ即死に近い状態だった…
長い詠唱は待てなかったはず‥
‥ハッ‥)
その瞬間、頭の中でずっと鳴り続けていた音が言葉の形をとる。
【汝、繋ぎとめる存在
得たり。
詠唱封印、
ここに消滅す】
イブは目を見開く。
少し前から強くなっていた風が更に強くなった様である。
ラミアは自慢の金髪を風に靡かせ
すっかり上がった気分のまま騎士にシラーを連れて来る様命じる。
倒れたままのイブ。
その側に立つラミア。
そこへ騎士に後ろ手を取られシラーが連れて来られる。
イブが血を流しているのを見て殺す勢いでボースを睨むシラー。
「あらあら、
そんな目をして…
後々困るのはシラー殿下よ?」
歌う様に言うラミア。
イブを目の端に映し。
2人を苦しめる為に今後のシラーの処遇を話す。
「世界を統べる帝国…
でもね、強ければ強いほど更なる『力』が欲しくなるというもの。
お兄様は世界でたった2人だけ存在する『魔力持ち』にロックオンした。
その1人が精霊王の血を引くと言われるスピーリトゥス精霊国の第一王子…
シラー殿下、あなたよ。
スピーリトゥス王家の中でも魔力持ちが生まれたのは100年ぶりだそうね。
お兄様はその血を皇家に引き入れたくて私に命を下した。
シラー殿下と子を生せと。
お分かり?
美しい私が醜いお前なんかと結婚する訳が。
どの王家も跡継ぎを守る為その存在を隠すもの…
だからシラー殿下について分かっていた事は魔力持ちだという事と年齢だけ。
密かにイケメンを期待していたのにコレじゃとんだ貧乏くじだわ!」
そう言いながら赤い刀身の剣を鞘に戻すラミア。
それを見てシラーはホッとする。
だがラミアは代わりに短剣を手にする。
「魔法を使う為には長い詠唱を唱える必要があるそうね?」
「そうだ。
私は魔法に興味が無かったから理由は知らないが――
1つの魔法を発動するのにも1時間ほどの長い詠唱を唱えなければならない。
私の魔法は脅威にはならないだろう」
そう答えるシラー。
「‥それでもね。
念の為に魔法が使えない様にさせて貰うわ!
子種さえあればいいのだもの。
跪かせなさい!」
騎士により跪かせられるシラー。
愉悦に歪んだ表情でシラーの髪を掴み顔を上向かせるラミア。
「先ずは詠唱出来ないように舌を切る!
その後は薬を使ってでも子作りに専念させる!
2人子供が出来たら…
シラー殿下を気に入っているボースにくれてやるわ!
ボースに壊されるまで慰み物にされるといいわよ!」
ボースが舌なめずりしている。
ボースはシラーの巻き戻り後のオジサン体型がいたくお気に入りで。
巻き戻り前と違い今回はシラーに懸想しているのだ。
「さぁ、私が手ずから切ってあげる!
舌を出しなさい!」
「皇妹ラミアよ。
気でも触れているのか?」
――!?――
一同がギョッとして声のした方を見る。
ゆらり立ち上がったのは――
誰?
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