妃殿下、私の婚約者から手を引いてくれませんか?

ハートリオ

文字の大きさ
30 / 52

30 異変

しおりを挟む
ロサは静かに慣れ親しんだ諦めの思考に落ちる。

オワリだ…

呪いを発動させるわけにはいかない。

そうなる前に死ななければならない。

だが私は自死出来ない。

『ロセウムの女』の血のせいだ。

この血は『体を守る』事に特化している。

自分に刃を向ければ意思を無視して体は動かなくなる。

自分に対して攻撃魔法を打つことも出来ない。

だが…『ただ魔力を圧縮する』事は出来る。

そしてそれを一気に開放することも。

それが自爆。

私が唯一自死できる方法。

まだ呪いが発動されていない今のうちに自爆――

『他に何か方法があるかもしれない!』

はッ…

昨日のシアンの言葉が蘇る。

『ただ力になりたいだけなんだ!』

心に満ちる――

(こんな温かさを感じることが出来ただけで私はもう一生分の幸せを手にしたのかもしれない――呪われた血を持つ私には過ぎた事だ――もう、いいだろう。誰にも迷惑を掛けない深海に転移してそこで自爆しよう‥はッ!?)

クラリ目眩がする。

力…
魔力が抜けて行く。

(まさか!?)

「「ロサ様!」」
「クース、トース、どうしよう…今月はまだのはずなのに…
始ま‥」
「こちらへ!」
「く…」
「頑張って下さい!とにかく誰にも見られずここを出なければ!」

必死に気配を消してそろそろと部屋を出て行くロサ達…

カルミアが騒いでいるので、シアンと側近達は気付かない。

「ア、アタシ、ピンクのお酒ぇ、」

意味不明のカルミアの言葉をかき消す大声が廊下から聞こえる。

「おい!何事だ!?私の仮面舞踏会で騒ぎを起こすなど覚悟は出来ているんだろうな!?」

喚き散らしながら入室して来た仮面舞踏会の主催者ウェヌスタ男爵は。

室内に居るキラキラしい御方が仮面を外すのを目にした瞬間、床に這いつくばる。

夢!?悪夢!?何でここにこの御方が!?

「こ、これは第一王子殿下ッ!ご、ご機嫌麗しく‥」
「麗しくない。不快極まりない。私の騎士団を寄越すよう王宮に連絡せよ」
「ははっ、直ちに!おいっ早馬を‥はッ」

ウェヌスタ男爵は捕縛されているカルミア達を見て蒼褪める。

カルミアが王子妃である事を知りながら気付かない振りをして色々と違法行為、違法薬物の数々を提供して大金を巻き上げて来たのだ。

「この罪人どもはこのままこの部屋に隔離。
私の騎士が来たら身柄を渡すように」
「ははっ」
(どうする…決まっている…騎士が来る前に殺すしかないな…)

そんな男爵の心を見透かした様にシアンが釘を刺す。

「その女は罪人とは言えフランマ出身。事故だろうが過失だろうが本人の意思によるものだろうが何かあればフランマが出張って来るだろう。その時はお前は勿論ウェヌスタ男爵一族郎党の首を差し出さねばならない。気を付ける様に」
「えっ‥は、ははっ」
(クソッダメか)

「それと」
「はいッ何なりと!」
「いかがわしい会の開催と違法薬物の横行…その罪人達も『ピンクのお酒』とやらではじけている様だ」
「え、あの強力な媚薬‥い、いえ、私は何もあずかり知らぬことで‥」
「それで通るものか。覚悟しておけ」
「ヒッ‥」

(さぁ、これでゆっくり話せる!自爆なんかさせな‥)

振り返るシアンは背中に庇ったはずのロサの姿が無い事に漸く気付く。

「‥なッ‥ロサ嬢は!?」

「えッ‥居ない!?」
「さっきまでは殿下の後ろに居たはずですが‥」

焦りだす主従。

「急げ!急いで見つけろ!でなければ――」

自爆されてしまう!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様には愛人がいますが気にしません。

りつ
恋愛
 イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ

恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。 王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。 長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。 婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。 ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。 濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。 ※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

処理中です...