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30 異変
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ロサは静かに慣れ親しんだ諦めの思考に落ちる。
オワリだ…
呪いを発動させるわけにはいかない。
そうなる前に死ななければならない。
だが私は自死出来ない。
『ロセウムの女』の血のせいだ。
この血は『体を守る』事に特化している。
自分に刃を向ければ意思を無視して体は動かなくなる。
自分に対して攻撃魔法を打つことも出来ない。
だが…『ただ魔力を圧縮する』事は出来る。
そしてそれを一気に開放することも。
それが自爆。
私が唯一自死できる方法。
まだ呪いが発動されていない今のうちに自爆――
『他に何か方法があるかもしれない!』
はッ…
昨日のシアンの言葉が蘇る。
『ただ力になりたいだけなんだ!』
心に満ちる――
(こんな温かさを感じることが出来ただけで私はもう一生分の幸せを手にしたのかもしれない――呪われた血を持つ私には過ぎた事だ――もう、いいだろう。誰にも迷惑を掛けない深海に転移してそこで自爆しよう‥はッ!?)
クラリ目眩がする。
力…
魔力が抜けて行く。
(まさか!?)
「「ロサ様!」」
「クース、トース、どうしよう…今月はまだのはずなのに…
始ま‥」
「こちらへ!」
「く…」
「頑張って下さい!とにかく誰にも見られずここを出なければ!」
必死に気配を消してそろそろと部屋を出て行くロサ達…
カルミアが騒いでいるので、シアンと側近達は気付かない。
「ア、アタシ、ピンクのお酒ぇ、」
意味不明のカルミアの言葉をかき消す大声が廊下から聞こえる。
「おい!何事だ!?私の仮面舞踏会で騒ぎを起こすなど覚悟は出来ているんだろうな!?」
喚き散らしながら入室して来た仮面舞踏会の主催者ウェヌスタ男爵は。
室内に居るキラキラしい御方が仮面を外すのを目にした瞬間、床に這いつくばる。
夢!?悪夢!?何でここにこの御方が!?
「こ、これは第一王子殿下ッ!ご、ご機嫌麗しく‥」
「麗しくない。不快極まりない。私の騎士団を寄越すよう王宮に連絡せよ」
「ははっ、直ちに!おいっ早馬を‥はッ」
ウェヌスタ男爵は捕縛されているカルミア達を見て蒼褪める。
カルミアが王子妃である事を知りながら気付かない振りをして色々と違法行為、違法薬物の数々を提供して大金を巻き上げて来たのだ。
「この罪人どもはこのままこの部屋に隔離。
私の騎士が来たら身柄を渡すように」
「ははっ」
(どうする…決まっている…騎士が来る前に殺すしかないな…)
そんな男爵の心を見透かした様にシアンが釘を刺す。
「その女は罪人とは言えフランマ出身。事故だろうが過失だろうが本人の意思によるものだろうが何かあればフランマが出張って来るだろう。その時はお前は勿論ウェヌスタ男爵一族郎党の首を差し出さねばならない。気を付ける様に」
「えっ‥は、ははっ」
(クソッダメか)
「それと」
「はいッ何なりと!」
「いかがわしい会の開催と違法薬物の横行…その罪人達も『ピンクのお酒』とやらではじけている様だ」
「え、あの強力な媚薬‥い、いえ、私は何も与り知らぬことで‥」
「それで通るものか。覚悟しておけ」
「ヒッ‥」
(さぁ、これでゆっくり話せる!自爆なんかさせな‥)
振り返るシアンは背中に庇ったはずのロサの姿が無い事に漸く気付く。
「‥なッ‥ロサ嬢は!?」
「えッ‥居ない!?」
「さっきまでは殿下の後ろに居たはずですが‥」
焦りだす主従。
「急げ!急いで見つけろ!でなければ――」
自爆されてしまう!!
オワリだ…
呪いを発動させるわけにはいかない。
そうなる前に死ななければならない。
だが私は自死出来ない。
『ロセウムの女』の血のせいだ。
この血は『体を守る』事に特化している。
自分に刃を向ければ意思を無視して体は動かなくなる。
自分に対して攻撃魔法を打つことも出来ない。
だが…『ただ魔力を圧縮する』事は出来る。
そしてそれを一気に開放することも。
それが自爆。
私が唯一自死できる方法。
まだ呪いが発動されていない今のうちに自爆――
『他に何か方法があるかもしれない!』
はッ…
昨日のシアンの言葉が蘇る。
『ただ力になりたいだけなんだ!』
心に満ちる――
(こんな温かさを感じることが出来ただけで私はもう一生分の幸せを手にしたのかもしれない――呪われた血を持つ私には過ぎた事だ――もう、いいだろう。誰にも迷惑を掛けない深海に転移してそこで自爆しよう‥はッ!?)
クラリ目眩がする。
力…
魔力が抜けて行く。
(まさか!?)
「「ロサ様!」」
「クース、トース、どうしよう…今月はまだのはずなのに…
始ま‥」
「こちらへ!」
「く…」
「頑張って下さい!とにかく誰にも見られずここを出なければ!」
必死に気配を消してそろそろと部屋を出て行くロサ達…
カルミアが騒いでいるので、シアンと側近達は気付かない。
「ア、アタシ、ピンクのお酒ぇ、」
意味不明のカルミアの言葉をかき消す大声が廊下から聞こえる。
「おい!何事だ!?私の仮面舞踏会で騒ぎを起こすなど覚悟は出来ているんだろうな!?」
喚き散らしながら入室して来た仮面舞踏会の主催者ウェヌスタ男爵は。
室内に居るキラキラしい御方が仮面を外すのを目にした瞬間、床に這いつくばる。
夢!?悪夢!?何でここにこの御方が!?
「こ、これは第一王子殿下ッ!ご、ご機嫌麗しく‥」
「麗しくない。不快極まりない。私の騎士団を寄越すよう王宮に連絡せよ」
「ははっ、直ちに!おいっ早馬を‥はッ」
ウェヌスタ男爵は捕縛されているカルミア達を見て蒼褪める。
カルミアが王子妃である事を知りながら気付かない振りをして色々と違法行為、違法薬物の数々を提供して大金を巻き上げて来たのだ。
「この罪人どもはこのままこの部屋に隔離。
私の騎士が来たら身柄を渡すように」
「ははっ」
(どうする…決まっている…騎士が来る前に殺すしかないな…)
そんな男爵の心を見透かした様にシアンが釘を刺す。
「その女は罪人とは言えフランマ出身。事故だろうが過失だろうが本人の意思によるものだろうが何かあればフランマが出張って来るだろう。その時はお前は勿論ウェヌスタ男爵一族郎党の首を差し出さねばならない。気を付ける様に」
「えっ‥は、ははっ」
(クソッダメか)
「それと」
「はいッ何なりと!」
「いかがわしい会の開催と違法薬物の横行…その罪人達も『ピンクのお酒』とやらではじけている様だ」
「え、あの強力な媚薬‥い、いえ、私は何も与り知らぬことで‥」
「それで通るものか。覚悟しておけ」
「ヒッ‥」
(さぁ、これでゆっくり話せる!自爆なんかさせな‥)
振り返るシアンは背中に庇ったはずのロサの姿が無い事に漸く気付く。
「‥なッ‥ロサ嬢は!?」
「えッ‥居ない!?」
「さっきまでは殿下の後ろに居たはずですが‥」
焦りだす主従。
「急げ!急いで見つけろ!でなければ――」
自爆されてしまう!!
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