そのまさか

ハートリオ

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25.恋慕

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クニンニ様――現王の覚えめでたく次の王となるであろうこの国の第一王女様。

生まれながらのドSと誰もが認識していた女の、まさかのドMデヴューを目撃し、ヤカフ・ギネオア伯爵邸の“奥様の部屋”にいるヤカフ伯爵、その妻ベナ、ベナの専属メイドで執事キヤギネの妹リーク、第一王女の側近達4名は、第一王女とキヤギネのやり取りを、何か夢でも見ている様にただ傍観するしかない状態です。


いつもなら頭のおかしい暴君ぶりで今頃は誰にも有無を言わせずベナを殺害し終えていたであろう第一王女は、従順な小動物の様にキヤギネの言いなりになっています。

「それではそろそろお引き取りを。」容赦なく畳みかけるキヤギネに、さすがに第一王女の側近たちにスイッチが入ったようで、ギャンギャン騒ぎ出します。


「何っ、貴様! お茶の一つも出さずに追い返すと言うのかっ!?」
「あまりに無礼であろう! 万死に値するぞ!」
「我が女神様の尊いお体に無体を働くとは・・もはやその首、無いと思え!」
「たかが伯爵家の、たかが使用人のくせに・・」

「うるさいッッ!!」
第一王女の、いつもの高圧的な声が響き、キヤギネを除く皆が震えあがります。


「憎らしい男ね・・でもいいわ、今日の所は大人しく帰ってあげる。 でも、一つ条件があるわ。 今後私の事は“クニンニ”と名前で呼びなさい。 他の皆と同じ呼び方なんてイヤよ。 そうするなら帰ってあげ・・」


「クニンニ様、お帰りはあちらでございます。」


「・・あッッ・・」

軽くイってしまったらしい第一王女のしおらしい悲鳴に、一同は目を丸くし、キヤギネは眉を顰めます。



ダダダッ、ダダダッ、ダダダッ、ガラガラガラガラ・・

ヤカフ伯爵邸から出て来た馬車――第一王女の御一行は、“水の宮殿”を目指し、森の中を疾走しています。 隣国から買い入れた夜目が効く特別な馬のお陰で昼と同じスピードで移動できます。 夜のお出かけが格段に便利になりました。


「クックックッ・・いるのよねェ、あんな男が・・・!! あんな鋭い眼で、この私を睨み続けるとか・・・年下のクセに、生意気なんだからァ・・クックック・・」

紅潮した頬に、潤んだ目を細め、夢見る少女のていの第一王女に対して、側近達は不満気です。 彼等は皆高位貴族――使用人の横暴な振る舞いは許せません。

「あぁ、我が女神様・・・! おいたわしゅうございます! お美しいその手が、腕が、どんどん腫れて・・・あの、憎き男めが!! たかが伯爵家の使用人の分際で、我が女神様に触れるだけでも許されぬというのにっ・「うるさい!」 ガツッ!!


「コォォッ!? オッ、オッ、オッ、オッ、・・・」

第一王女は、自分を心配し憤慨する側近の口に閉じた扇の金属製の持ち手部分を向けて思いっきりぶっ刺します。
今まで一番のお気に入りだったその側近は、外傷性ショックで呼吸もままならないまま、疾走する馬車から蹴り落とされます。 他の側近達は静かに目を伏せたまま、あの伯爵家の執事には手出し無用と悟ります。


それでも第一王女は念押しします。
「いいわね! キヤギネは私のものよ! 私のものに手を出せば、地獄を味わわせてやるからねェ!」


「「「 ははっ! 」」」


どこかキヤギネに似た側近達が声を揃えます。 キヤギネ似の男を探し集め、教育し、側近に据えているのです。 側近には、性欲処理もさせるので、一番大切な条件なのです。 ――たとえ剣術が弱くても、下の剣が強ければOK、しかし、もし第一王女の求めにすぐに応えられなければ、その剣を切り落とされる事になりますので、この国イチの危険な仕事と言えるかもしれません。

「・・ハァ、ハァ・・」
先程キヤギネに強く掴まれた腕が脈打つ度にジンジン痛みます。
折れてはいないものの、ヒビが入っているのかもしれません。 
(ミシッ、ていったわ・・) 自分の腫れあがった腕をウットリと見つめながら口角を上げれば、ヨダレが溢れ流れます。 体はほてり、我慢の限界です。 もうとっくにぐっしょりと濡れた下半身は、痛い程強く疼き、思わず自分の指で刺激しても一瞬の慰みにしかなりません。

「あぁッ・・、お前ッ、しなさいッ! 早く、挿れなさいッッ!」

指名された側近は、「ははっ! ありがたき幸せ! あぁ、我が女神様・・お美しゅうございます・・」とか言いながら素早く下の剣を勃たせ、挿入します。 スピードが大切なのです。

「アァッ、キヤギネ、キヤギネェェッッ・・」

側近のそつの無い仕事にカラダは快感を得るものの、ココロは切なさで満たされます。

欲しいッ!! 本物のあなたがッ!! 本物のあなたに抱かれたいッッ!!
・・・近いうちに、必ず、本物のあなたとこうして見せるわ! 必ず、必ずッ・・

「キヤギネェェェッッ、あッ、あぁ~~~~~~ッッ・・・」





ゾゾゾッ・・・

自分の知らない所で自分の名前を連呼され、絶叫されている男は、不快な悪寒を感じ、小さく溜息をつきます。  さて、・・・
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