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サイキックチルドレン

ユウリ①

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「新しく来た子の面倒を見て欲しいんだ」
 室長の言葉に僕は頷いた。
 この施設で、いま一番の年長だから頼まれ事は良くある。
 今回来た子はテレパスだと聞いた。
 神経をすり減らす能力だと思う。
 妹の夢見予知の能力を見ていても、時たま凄く辛そうにしている時がある。
 だから出来るだけ自分の『力』で治してあげたい。

「ユウリ、キール見なかった?」
 金髪で巻き毛の小さい男の子が、息を弾ませて声を掛けて来た。この施設では一番年少で皆から可愛がられている。

「キールならプレイルームに居たよ。あ、それからルイ、新しい友達が来たんだよ。君と同い年のショーゴという子」
 ルイは深緑の瞳を輝かせて興奮したのか、ぴょんぴょん跳ねている。
「わ~い! ボクと同じ歳の子が来たの? 仲良く出来るかなー?」
「実験で少し疲れてるから体調良くなったら皆に紹介するよ」
 
 丁度僕もプレイルームに用事があって、ルイと一緒に部屋に入って行くと、アイリ以外の全員が揃っていた。
「あ、いた。キール、探したんだよ~」
 キールを見つけるとルイは嬉しそうにそばに行って座る。
 僕の一つ下のキールは白銀の長い髪を揺らし、アメジスト色の瞳でルイを認めると、柔らかく微笑んだ。

 プレイルームには机も椅子も無い。この部屋では皆、思い思いに寛いだり能力を使って遊んだりするので、危険が無いように物を出来るだけ排除している。
「ユウリ、新しい子が来たって本当?」
 キールと同い年の赤毛のクレアが、熊のぬいぐるみを宙に浮かしながら話しかけて来た。 
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