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サイキックチルドレン

ユウリ②

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「本当だよクレア。元気になったら皆に会ってもらうね」
 熊のぬいぐるみを、一緒に遊んでいたケイトに渡し顔を見合わせてクスクス笑っている。
「ユウリ、手を貸してくれる?」
 クレアより一つ下の彼女は僕に手を引かれ、まるで小さな淑女の様だ。

 ふんわりとした金髪にマリンブルーの瞳で僕をじっと見つめると言った。
「ふぅん、ショーゴって言うのね彼。まるで女の子のようにキレイな子」
「うん、名前はそうだけど……。女の子とは違うよ」
「そうね、ごめんねユウリ。勝手に読んでしまって」
「ううん、ケイト気にしないで大丈夫だから」
 ケイトは場所、物、人の記憶が視えるサイコメトラーの能力がある。

「アイリは元気? たまには顔を見たいな」
 クレアが聞いてくる。今度はサイコロの玩具を手を触れずにコロコロ転がし遊び出した。
「元気だよ。今度ショーゴと一緒に連れて来るから待ってて」

 僕は本来の用事を済ます為にキールの近くに行った。
「キール体調はどう? ちょっと触らせてね」
 このところキールは、連日透視の実験ばかりで大分参ってるみたいだった。
 額に手をかざし目を瞑る。集中するとキールの中の黒くてモヤモヤしたものが消えていく。

「ありがとうユウリ。いつも悪いね」
 物静かなキールは『癒し』をすると、いつも済まなそうな顔をする。

 ヒーリング能力を持つ子は余り居ないらしく、ここでは重宝がられている。
 本来だと次の誕生日が来て十二歳になると、次の『場所』へ行くのだけど。
 生まれつき身体の弱いアイリのために、彼女が十二歳になるまで猶予が与えられている。

 僕達兄妹には両親と言うものは居ない。
 ここの室長が実験の為に、能力を持つ精子と卵子を使って作った人間だ。
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