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終焉のアンリミテッド
アイリ③
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今日は訓練の休みの日でアースを出て街を歩く。暖かい日で、いつもの街も穏やかに見える。
空調が効いて清潔な建物から、喧騒と雑多な匂いのする此処へ来るのは何時ものルーティンだ。
目的の場所に着き両開きの扉を開けると、皆一斉に此方を見る。
シスターはわたしの姿を認めると頷き、奥の懺悔室へと行くように言った。
「こんにちは神父さん。今日もお願いします」
「こんにちはアイリ。いつもありがとう」
この教会に祈りに来る様になってから、わたしは寄付をしている。
訓練生でも仕事の報酬は少しはある。本当は欲しく無いけれど、お金はどんな形で手に入ったとしても、お金で有る事に変わりないと割り切った。
この教会の神父はまだ若い男の人で、二歳ぐらいの男の子を引き取って育てている。
「あいりー」
ショーゴの様な黒髪の、まだ舌足らずな話し方でわたしの姿を認めると走って来て飛び付いた。
「マコ、今日も元気だね」
目線を合わせて頭を撫でるとマコはニコニコしてわたしをぎゅっと抱き締める。
クリクリの瞳で可愛い子だ。こんなに小さいのに両親とも亡くすなんて。
「アイリ、懺悔室においで」
呼ばれて中に入ると、わたしは罪を懺悔する。
そして懺悔室を出ると神に祈る。わたしと兄の秘密が明らかにならぬように。
◇◇◇
アースに戻ると真っ先に兄の元に向かう。
「お兄ちゃん、教会に行って来たよ。マコ元気だったよ」
兄は何も言わず、ただ癒してくれる。わたしはどうしたら良いのか分からず途方に暮れていた。
ショーゴ、あなたにだけは知られたくない。これが悪夢なら良かったのに。毎日、目が覚める度に思う。
空調が効いて清潔な建物から、喧騒と雑多な匂いのする此処へ来るのは何時ものルーティンだ。
目的の場所に着き両開きの扉を開けると、皆一斉に此方を見る。
シスターはわたしの姿を認めると頷き、奥の懺悔室へと行くように言った。
「こんにちは神父さん。今日もお願いします」
「こんにちはアイリ。いつもありがとう」
この教会に祈りに来る様になってから、わたしは寄付をしている。
訓練生でも仕事の報酬は少しはある。本当は欲しく無いけれど、お金はどんな形で手に入ったとしても、お金で有る事に変わりないと割り切った。
この教会の神父はまだ若い男の人で、二歳ぐらいの男の子を引き取って育てている。
「あいりー」
ショーゴの様な黒髪の、まだ舌足らずな話し方でわたしの姿を認めると走って来て飛び付いた。
「マコ、今日も元気だね」
目線を合わせて頭を撫でるとマコはニコニコしてわたしをぎゅっと抱き締める。
クリクリの瞳で可愛い子だ。こんなに小さいのに両親とも亡くすなんて。
「アイリ、懺悔室においで」
呼ばれて中に入ると、わたしは罪を懺悔する。
そして懺悔室を出ると神に祈る。わたしと兄の秘密が明らかにならぬように。
◇◇◇
アースに戻ると真っ先に兄の元に向かう。
「お兄ちゃん、教会に行って来たよ。マコ元気だったよ」
兄は何も言わず、ただ癒してくれる。わたしはどうしたら良いのか分からず途方に暮れていた。
ショーゴ、あなたにだけは知られたくない。これが悪夢なら良かったのに。毎日、目が覚める度に思う。
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