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終焉のアンリミテッド

アイリ④

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 ルイがアースに来る日がやって来た。
 ショーゴの時の様に出迎えに行く。今日はキールも一緒に来ていた。
 ルイは僕よりも彼に懐いていたし、キール本人が希望したからだ。
 二歳年が離れてる彼らは二年振りに会う事になる。他の皆は訓練生達が鍛錬する部屋《サイキックルーム》に任務が無い者は皆揃って待っている。

「あっ、キールとユウリ、久しぶり~」
 僕達に気付いたルイは研究所に居た時と変わらぬ元気さで、走って近づいて来た。
「ルイ、大きくなったねー」
 腕に飛び込んで来たルイを抱き上げるとキールは言った。
 何処に居てもルイは太陽の様に明るい。研究所の職員も彼を認めると自然と笑顔になっていたものだった。

 キールは2年振りに見たのでルイの変化が少しは分かるのかも知れないが、二歳違いの彼らは三十cm以上の身長差がある。
 室長が以前言っていたけど、ルイは能力を使うと体力の消費が激しくて、その為に成長が遅れている可能性があると言っていた。

「皆待ってるよ。その前にここの案内をするね」
 ショーゴの時の様に施設を案内して回って居ると以前出会ったレイジが、やっぱりお供を従えて歩いている場面に遭遇した。

「あ、アンタ前に会った、ユウリだろ? ショーゴは今日は一緒じゃ無いの?」
「レイジ、この前はありがとうね。研究所から来た友達を案内してるんだよ」
「ふーん、今日も綺麗な子なんだな。レイジだ、よろしく」

 ルイは普段だと相手の懐に飛び込んで人見知りなどしなかったのに、今日は俯いて顔を見ずに挨拶をした。
「ぼ、おれはルイ。よろしく」
「キールだよ。よろしくね」
 キールはレイジの顔をじっと見つめ挨拶をする。対照的な態度だけどキールは顔を、ルイは耳朶が真っ赤になっていた。
「レイジ、能力チームなんか構ってないで行こうよ」
 隣でレイジの腕を取り絡めていた赤毛の男の子が言うと、レイジは険しい顔をして手を振りほどいて言った。
「ミキ、何時からお前はオレに指図出来る様になったんだ?」
 サッと血の気が下がった顔で泣きそうな声で謝るミキに、レイジは興味を失った風に何処かに行けとばかりにバイバイと手を振った。

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