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王と王妃の秘め事
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「今日は、王、いえ陽子さんにお見せしたいものがあるんです」
いつものようにアルバイト先である現場に顔を出し、さあ今日も土をほじくり返すかと意気込む陽子を捕まえて、碓井が掛けた第一声がそれだった。
なにかしら。また過去にまつわる何かなんでしょうけど。
なぜだかは知らないがやたらと過去に固執する碓井は、こうやって事あるたびに発掘された遺物を陽子に見せてきた。まるで早くすべてを思い出せと言わんばかりに。
仮にすべてを思い出したところでどうなるのだろう。危うい人の記憶など、さすがに学会で発表するには値しないはずだ。
この翡翠の首飾りは、古代の王フュオンティヌスが王妃ルクレティウスに贈ったものなのです。陽子は碓井にもらった太古の首飾りをいじりながら考える。これは本来あなたからもらったものだけど、今の私には似合わない。あなたが身に付けている方が良いでしょう、と。
そんな歴史的発見物を貰ってしまっていいのか陽子は困惑したが、これは初めて私が発掘したシャンポリオンの遺物なのです、だがらぜひとあんまり碓井が強く言うものだからそのままなんとなしに身に付けている。確かに彼女に与えたものだった気もする。花に似せて彫らせた淡い翠の石。たぶん、彼女の誕生日だとかに、今と変わらぬプレゼントの類いとして。
けれど確たる文献もないのにそんな絵空事、自分が覚醒者だとわかっている人はともかく、それ以外のお偉いさんにどう信じてもらうのだろう。
だがその確認作業もどうやら「仕事」のうちには含まれるらしく、ならば肉体労働よりは断然楽だしと陽子はその誘いにすぐ乗っていた。なにしろ碓井と二人きりになれるのも良かった。あのなんだか妙に仲の良い幼馴染みや、親しげな生徒も付いてこない。この時間だけは碓井を独り占めできるのだ。落ち着いた部屋でコーヒーを飲みながら二人、過去の話をするのは楽しかった。王と王妃の緊密な関係。
まるで昔そのままの二人の関係のように密やかに、その皮膚の下脈々と愛の血潮が流れていればいいのに。陽子はそう願わずにはいられない。相手がどう思っているかその本心は分からなかったが、少なくとも陽子の肌にはそれが流れていたのだから。
今日もいつものあの碓井の教授室に連れていかれるのかと思いきや、なぜだか彼女は彼の運転する車に乗せられて、見慣れすぎて今更珍しくもなんともない日本一の山、富士山麓を走っていた。すでにうっすらと白化粧を施したその山の麓。湖面に映るススキがきれい。案外近くになんて来ないから、ドライブ気分で楽しいかも。いや、そうじゃなくて。
「あの、碓井先生。見せたいものってなんですか?」
「一番目立つあれですよ」
「あれって、富士山?シャンポリオンと何か関係があるんですか?」
今さら富士山に連れてこられるなんて、それぐらいしか理由は思いつかなかった。
「その通り。何か、思い出されませんか?王国の象徴である火の山。ご存知ですか?富士山のまたの名は芙蓉山というのを」
「芙蓉?あの花の?」
夏場に咲いている、大ぶりの花を思い出す。故郷にやたらと咲いていたそれを、まるで陽子のようじゃないかと祖母に言われて嫌だったのをふと思いだした。
祖母との思い出はそのくらいだ。そのすぐ後だろうか、祖母は学者だったとか言う祖父と一緒に乗った飛行機で事故に遭い、二人とも亡くなってしまったと母から聞いている。むろん葬儀に出た記憶もない。それほどには陽子が幼い頃だったのだ。
フヨウのヨウはヨウコのヨウだね。そう言われてもちっともピンとこなかった記憶だけ。
それだけが深く陽子の記憶に残されただけだった。今思い返しても腑に落ちない。だって音が同じなだけだったし、なにより人の手のひらほどもある、自己主張の強い大きな花。
その姿が嫌だった。さらにそれらは夏の嵐に巻き込まれて、見るも無残にぼとりと道端に落ち、よく踏みにじられていた。まるでお前は無価値なのだとばかりに。その姿を見るのが嫌だった。
しかしなぜあれと富士山が関係あるのだろう、そう陽子が思っていると、
「芙蓉の花のように美しいから、などという説もあるようですが、しかし私はそれは違うのではないかと思っています」
「確かに、あまり富士山ぽくは無いもの、あの花は」
「強いて言えば大きさでしょうかね、類似点は。それより、フヨウという言葉が、フュオンティヌスから取られているとしたら?」
「ふゅおん……ふよおん……ふよう?ちょっと無理があるんじゃないの?」
「なに、日本語というのは徐々に変化していく言語です。たとえば、空の雲は籠る、すなわち太陽が籠るから、ですね、そこからコモリ―コモ―クモと変化している。濁るも水が巡る、からメグル―メゴルーミゴル―ニゴルと展開した。なんていうのもありますし」
「まあ、それがアリならなんでもアリな気がするけど」
「でまあ、そうだったと仮設していきましょう」
ハンドルを握りながら碓井は涼しげな顔で言った。
「仮説と検証を繰り返して、多くの学問は成り立っているんです。で、そうであるならば、フュオン王は富士山と密接な関係にあったはずだ」
思わずその横顔に見とれていた陽子は、意識をこちら側へと呼び戻す。
「富士山ってそんな大昔からあるんですか?」
「正確に言えば古富士と呼ばれる、今よりも低い活火山だったようです。常に噴煙をあげ、時折赤いマグマを流すそれは、古代人にとってひどく畏れ多いものであったでしょう。現に、おとなしい今の富士でさえ、それは日本というこの国の象徴でもあるのですから」
「そりゃあ、そうだけど」
確かに、沖縄くんだりから本州に来て、本当は東京に行ってみたかったけれど少し怖くなってその手前、ここ静岡に根を下ろしたのが若かりし頃のわたしだけど、その悔しさを少し持っていたわたしにさえ、この山はやっぱりすごいんだなって思ったけれど。
「でも、わたし……というかフュオンティヌスが、どうしたらこの山と密接な関係とやらになるんでしょう。確か、富士山にはコノハナサクヤヒメっていう神様がいるんでしょう?」
陽子はおぼろげな記憶を頼りに答えた。きれいな名前の神様がいるのね、そう思って覚えていたその名前。あまり富士山の神様っぽくない名前だけど、そうも思っていたことを思い出す。
その問いに、碓井は力強く答えた。
「コノハナサクヤヒメは古事記や日本書紀が出典の神。サピエンスが作りだした架空の存在です。それより昔、紀元前にも富士は信仰されていたはずなんです。王は、恐ろしい火山を治める力を持っていたとしたら?」
「わたしが?そんなこと出来るわけないじゃないですか、神様じゃあるまいし」
「けれど古代において、王イコール神に等しかったはずなんです。だから、歴代の王は皆その力を持っていたとされていた。ルクレティウスの記憶では、その時代時代の王の名があの山にはつけられていた。たとえば先王レムノス王の代ではレムノス山、その前はトラキア山、さらに前にはキュレネ山。フュオンティヌスが最後の王だったから、今の人々は芙蓉山と呼ぶようになった」
「でも、わざわざ王が変わるたびに山の名前まで変えるの?」
それって面倒じゃない?地図とかどうするのかしら。いや、あの時代に正確な地図があったのか定かではないけれど。そう思い陽子が問えば、
「なに、今だって山の名前どころかわざわざ年号を変えているではありませんか」
と事もなげに返される。
「確かに。明治、大正、昭和、平成……」
「新たな天皇が即位してつけられるのが年号。似たような習慣は今の日本においても残されている。天皇の血筋は貴い、それは神の血でもあるからだ。そういう信仰ははるか昔からあったはずなんです。あるいは、シャンポリオンの文化をのちの日本人が踏襲したのかもしれない」
「でも、本物の神様じゃない」
さすがに、自分が神の生まれ変わりだなんて認めるほど、陽子はまだうぬぼれてはいないつもりだった。
「奇跡を信じさせれば、誰だって神になれるのですよ。たとえば噴火を予知する能力。予知というほど神秘的なものではなかったかもしれない。でも感覚が鋭ければ、それくらいわかるかもしれない。もっとも、現代の科学技術をもってしても地震の予測はなかなかに難しいようですから、よほど感覚がすぐれていたのでしょうが」
「そんなんで神様だなんて」
「人は誰しも何かを信じ、すがっていきたい生き物ですからね。でまあ、とりあえず富士山の話は置いておいて」
そこで碓井は車を停めた。河口湖の湖畔、開けた駐車場。すっかり残暑の厳しさもなりを潜め、ブルーの車体から降りれば涼しい風が陽子の髪を撫ぜて行った。
「ほんとうは、これは建前なんです。陽子さんを連れ出すための」
まるでいたずらっ子のような瞳で、碓井が陽子を見つめて口を開いた。白いシャツに黒のパンツ。いつもと変わらぬ仕事着の碓井だが、場所が場所なだけにひどく新鮮に見えた。
建前?仕事熱心なこの先生が、その何より優先すべき事柄を置いて、さらに建前を必要としている。わたしを連れ出すために。なぜ?
動揺する陽子の内心を表すかのように、秋風が乱舞する。しかし急に強くなった風など気にもせずに、碓井は唇を開いた。
「あなたと会えるのは、いつも仕事現場だ、プライベートじゃあない。私は本来、あなたと一番密接な関係であったはずなのに、仕事という立場を通じて、どうにも突き放して見ていてしまいやしなかったか」
「それは……」
そうです、そうでした。わたしがどれほど優しい碓井さんに恋い焦がれていたか。
けれどそんな言葉は口から出してはいけない。そう思うほどには陽子は大人ではあった。だって、今のわたしには家庭がある。子どももいる。たとえ愛などなくても、契約を結んだ以上逃れられない夫や義母という存在もある。わたしが心のなかで、秘かに思うくらいなら害はないだろう、そう思って今までこのひと時を過ごしてきた。けれどそれを、よりによってその本人に、碓井に認められでもしてしまったら!
もう平穏な日々には戻れまい。それほどの覚悟を持って向かい合わなければならないことだというのに。
「それは当たり前でしょう、過去は過去、今は今。わたしはたとえ過去に偉大な王だったとしても、今はこんなんですし。そんな、先生みたいな立派な方と、必要以上に親密になれるわけないじゃないですか」
自制心が口を突いて出た。違う、本当はそんなこと思っていやしないのに。
「そう……ですよね」
陽子の言い分に、碓井は少し傷ついたような顔をした。やめて、そんな顔なんてされたら、わたしに気があるんだって思い込んで有頂天になってしまうじゃない。所詮かなわぬ空想、妄想。そう割り切ってやってきたというのに。
「いえ、急に変なことを言ってすみません。でも、こうして陽子さんとデート出来たの、楽しかったです、俺は」
「デート?」
なんて久しぶりに聞く言葉だろう。その甘美な言葉を陽子が反芻していると、
「本当は、このまま帰したくなくて、この先のペンションを押さえておいたんです。なんてネタバレしたらダメですよね、下心満載みたいで。だからどうにも俺はモテないらしいんです。こないだ粕川くんにも小言を言われてしまって」
「そんな、こんな10も離れたオバサンに、冗談はやめてくださいよ」
まさかの予想だにしない展開に、陽子の舌が勝手に自分を蔑みだす。本当はうれしくてたまらないのに。ああ、わたしはまだ女として見てもらえているのだ。そう思うと、今さら愛してもいない夫や義母に遠慮を感じるのも虚しくなってきたのは確かだった。だって、あの人たちにわたしは女として、いや違う、人としてすら愛されていないではないか。
そう気づいてしまった陽子は、大人としての理性などかなぐり捨ててしまいたい衝動に駆られた。だって、良一さんだって若い女と遊んでるじゃない、なのになぜわたしばかりが遠慮しなければならないの!
「冗談じゃありません。オバサン?あなたがオバサンなら、世の女性は全員とっくに死んでますよ。確かに私が最初に会ったのは、冴えない主婦で、まさかこの方が王だとはとも思いました。けれど、こうして輝きを取り戻したあなたはとても美しい。そこで私はようやく気がついたのです、この気持ちに」
「気持ち……」
その先を聞くのが怖い気もした。聞いたが最後、戻れないような気がしたから。けれどそんな陽子の心情などお構いなしに、碓井はすっかり諦めてしまったのだろうか、あっけらかんと言い放つ。
「いえ、でもこんなこと急に言われたって、あなたを困らせるだけですよね。なにしろあなたには家庭があるんだ。急に、こんなしがない男に求愛されたところで、今さらなびくはずなどないのに」
ああ、バカなことを言ってしまってすみません、けれど楽しい夢を見れて俺は幸せでした。そう早合点した碓井が、美しい風景などもはや目もくれずに車のドアを開こうとする。乗れば浜北に帰り、各々の仕事に戻るだけだ。おそらくそこから先は、ないのだろう。
けれど、このままここに残ったならば。
陽子は人生の分岐点に立たされているのだと感じた。今のこの感情に身をゆだねるべきなのか、それともつまらぬものに縛られて、みすみすそれらを手放すべきなのか。
失ってわたしは耐えられるのだろうか。このつまらぬわたしの日々に光を投げかけてくれた存在を。たとえそれがわたしが王だからでも何でもよかった。この急なチャンスに陽子の心が急いた。少なくともこの手にある限り、振り向かせる可能性はあるはずだ。そのか細い光を信じたい気持ちだった。過去のわたしではなく、今のわたしだけを愛してくれるかもしれない。現に、碓井は今のわたしは輝いていると言ってくれた。それはフュオンティヌスではなく、陽子を好きになってくれたからでしょう?
疑っている余裕などなかった。どんな形であれ、そこに自分を愛してくれる可能性があるのだ。一瞬勇樹のことが頭をよぎったが、けれどあの子だって分別のない子どもではもうないのだ。それに、きっと過去のことも思い出す。そうすれば納得してくれるかもしれない、ああ母さんは本来結ばれるべきはあの父さんじゃなかったんだね、と。
そうなれば、陽子の答えなどもう決まっていたようなものだった。車に乗り込まない陽子を訝しげに碓井が見やれば、
「家には、仕事で遅くなると言っておきます。べつに、私の作る料理より、デパ地下の惣菜の方がありがたい人たちですもの。わたしなんて帰らなくたって、今さら」
とうつむきがちに言う彼女の姿があった。
「しかし、息子さんは?」
こんな状況で、息子を気遣うなんて優しいんだか、バカなんだか。陽子は思わず笑い出しそうになるのをこらえ、「それは、先生から粕川さんにうまく言ってくれれば。あの子、粕川さんにお熱みたいだから、彼女の言うことなら何でも言うこと聞きますよ。それに、ちょうど今日は塾の日だし」と返す。
「そうですね、じゃあ粕川くんには確実に単位をあげるから、ちょっと勇樹君を食事にでも連れ出しておいてくれと連絡しておきましょう」と言って碓井は笑った。「夜まであなたといられるなんて、夢のようだ」とも。
見つめ合うにすぎなかった二人の秘め事は、こうして芽吹いたのだった。今まで深く肌の下、暗渠を流れていた血潮を吸って。この先どうなるかなんて陽子にはわからなかった。その芽が花開くのかどうかも。けれど、今の彼女はそれを欲した。自分を愛してくれる存在を。
そう考えれば、愛なんて打算的なものなのかもしれなかった。かつて良一が陽子を愛してくれたように。その計算が、碓井にはあったのかもしれない。すなわち、王を手放すまいとする努力ゆえの。けれどそれでも、そんなことは陽子にはどうでもよかった。わたしを愛してくれさえいれば。それほどに彼女は飢えていたのだ。
いかに押さえてくれていたのが宿泊施設とはいえ、さすがに外泊すれば家の人々も訝しげに思うだろう。まるで共犯者のように事実の隠ぺいを図る二人は、帳が下りる頃まで湖畔のペンションで戯れていた。碓井にはわからないだろうが、懐かしい昭和の香りのするその場所は、自身の若かりし頃を思い出したものだった。すでに愛想を尽かした夫との、甘い日々。昔には確かにあったはずのその楽しかった日々。それはそのまま、碓井との関係をも彷彿とさせた。過去が取り持つうたかたのようなこの時間。やがてそれも、遠い、さらに遠い昔のことになってしまうのだろうか。
けれどもそんな感傷を抱いてさえも、久しぶりに重ねた肌はひどく心地が良かった。生き物としての根幹を揺さぶられるかのような。ああ、彼の隣りこそ、わたしの生きるべき場所だったのよ。そう思うほどに。
帰りの車の中で、陽子はうつらうつらと考えていた、このままわたしはどこに向かうのだろう。けれども後悔はするまい。これはわたしが選んだことなのだから、と。
そう思う陽子の横で、碓井が薄く笑ったような気がしたが、それは疲れ眠気を覚えた陽子には知り得ぬことであった。
いつものようにアルバイト先である現場に顔を出し、さあ今日も土をほじくり返すかと意気込む陽子を捕まえて、碓井が掛けた第一声がそれだった。
なにかしら。また過去にまつわる何かなんでしょうけど。
なぜだかは知らないがやたらと過去に固執する碓井は、こうやって事あるたびに発掘された遺物を陽子に見せてきた。まるで早くすべてを思い出せと言わんばかりに。
仮にすべてを思い出したところでどうなるのだろう。危うい人の記憶など、さすがに学会で発表するには値しないはずだ。
この翡翠の首飾りは、古代の王フュオンティヌスが王妃ルクレティウスに贈ったものなのです。陽子は碓井にもらった太古の首飾りをいじりながら考える。これは本来あなたからもらったものだけど、今の私には似合わない。あなたが身に付けている方が良いでしょう、と。
そんな歴史的発見物を貰ってしまっていいのか陽子は困惑したが、これは初めて私が発掘したシャンポリオンの遺物なのです、だがらぜひとあんまり碓井が強く言うものだからそのままなんとなしに身に付けている。確かに彼女に与えたものだった気もする。花に似せて彫らせた淡い翠の石。たぶん、彼女の誕生日だとかに、今と変わらぬプレゼントの類いとして。
けれど確たる文献もないのにそんな絵空事、自分が覚醒者だとわかっている人はともかく、それ以外のお偉いさんにどう信じてもらうのだろう。
だがその確認作業もどうやら「仕事」のうちには含まれるらしく、ならば肉体労働よりは断然楽だしと陽子はその誘いにすぐ乗っていた。なにしろ碓井と二人きりになれるのも良かった。あのなんだか妙に仲の良い幼馴染みや、親しげな生徒も付いてこない。この時間だけは碓井を独り占めできるのだ。落ち着いた部屋でコーヒーを飲みながら二人、過去の話をするのは楽しかった。王と王妃の緊密な関係。
まるで昔そのままの二人の関係のように密やかに、その皮膚の下脈々と愛の血潮が流れていればいいのに。陽子はそう願わずにはいられない。相手がどう思っているかその本心は分からなかったが、少なくとも陽子の肌にはそれが流れていたのだから。
今日もいつものあの碓井の教授室に連れていかれるのかと思いきや、なぜだか彼女は彼の運転する車に乗せられて、見慣れすぎて今更珍しくもなんともない日本一の山、富士山麓を走っていた。すでにうっすらと白化粧を施したその山の麓。湖面に映るススキがきれい。案外近くになんて来ないから、ドライブ気分で楽しいかも。いや、そうじゃなくて。
「あの、碓井先生。見せたいものってなんですか?」
「一番目立つあれですよ」
「あれって、富士山?シャンポリオンと何か関係があるんですか?」
今さら富士山に連れてこられるなんて、それぐらいしか理由は思いつかなかった。
「その通り。何か、思い出されませんか?王国の象徴である火の山。ご存知ですか?富士山のまたの名は芙蓉山というのを」
「芙蓉?あの花の?」
夏場に咲いている、大ぶりの花を思い出す。故郷にやたらと咲いていたそれを、まるで陽子のようじゃないかと祖母に言われて嫌だったのをふと思いだした。
祖母との思い出はそのくらいだ。そのすぐ後だろうか、祖母は学者だったとか言う祖父と一緒に乗った飛行機で事故に遭い、二人とも亡くなってしまったと母から聞いている。むろん葬儀に出た記憶もない。それほどには陽子が幼い頃だったのだ。
フヨウのヨウはヨウコのヨウだね。そう言われてもちっともピンとこなかった記憶だけ。
それだけが深く陽子の記憶に残されただけだった。今思い返しても腑に落ちない。だって音が同じなだけだったし、なにより人の手のひらほどもある、自己主張の強い大きな花。
その姿が嫌だった。さらにそれらは夏の嵐に巻き込まれて、見るも無残にぼとりと道端に落ち、よく踏みにじられていた。まるでお前は無価値なのだとばかりに。その姿を見るのが嫌だった。
しかしなぜあれと富士山が関係あるのだろう、そう陽子が思っていると、
「芙蓉の花のように美しいから、などという説もあるようですが、しかし私はそれは違うのではないかと思っています」
「確かに、あまり富士山ぽくは無いもの、あの花は」
「強いて言えば大きさでしょうかね、類似点は。それより、フヨウという言葉が、フュオンティヌスから取られているとしたら?」
「ふゅおん……ふよおん……ふよう?ちょっと無理があるんじゃないの?」
「なに、日本語というのは徐々に変化していく言語です。たとえば、空の雲は籠る、すなわち太陽が籠るから、ですね、そこからコモリ―コモ―クモと変化している。濁るも水が巡る、からメグル―メゴルーミゴル―ニゴルと展開した。なんていうのもありますし」
「まあ、それがアリならなんでもアリな気がするけど」
「でまあ、そうだったと仮設していきましょう」
ハンドルを握りながら碓井は涼しげな顔で言った。
「仮説と検証を繰り返して、多くの学問は成り立っているんです。で、そうであるならば、フュオン王は富士山と密接な関係にあったはずだ」
思わずその横顔に見とれていた陽子は、意識をこちら側へと呼び戻す。
「富士山ってそんな大昔からあるんですか?」
「正確に言えば古富士と呼ばれる、今よりも低い活火山だったようです。常に噴煙をあげ、時折赤いマグマを流すそれは、古代人にとってひどく畏れ多いものであったでしょう。現に、おとなしい今の富士でさえ、それは日本というこの国の象徴でもあるのですから」
「そりゃあ、そうだけど」
確かに、沖縄くんだりから本州に来て、本当は東京に行ってみたかったけれど少し怖くなってその手前、ここ静岡に根を下ろしたのが若かりし頃のわたしだけど、その悔しさを少し持っていたわたしにさえ、この山はやっぱりすごいんだなって思ったけれど。
「でも、わたし……というかフュオンティヌスが、どうしたらこの山と密接な関係とやらになるんでしょう。確か、富士山にはコノハナサクヤヒメっていう神様がいるんでしょう?」
陽子はおぼろげな記憶を頼りに答えた。きれいな名前の神様がいるのね、そう思って覚えていたその名前。あまり富士山の神様っぽくない名前だけど、そうも思っていたことを思い出す。
その問いに、碓井は力強く答えた。
「コノハナサクヤヒメは古事記や日本書紀が出典の神。サピエンスが作りだした架空の存在です。それより昔、紀元前にも富士は信仰されていたはずなんです。王は、恐ろしい火山を治める力を持っていたとしたら?」
「わたしが?そんなこと出来るわけないじゃないですか、神様じゃあるまいし」
「けれど古代において、王イコール神に等しかったはずなんです。だから、歴代の王は皆その力を持っていたとされていた。ルクレティウスの記憶では、その時代時代の王の名があの山にはつけられていた。たとえば先王レムノス王の代ではレムノス山、その前はトラキア山、さらに前にはキュレネ山。フュオンティヌスが最後の王だったから、今の人々は芙蓉山と呼ぶようになった」
「でも、わざわざ王が変わるたびに山の名前まで変えるの?」
それって面倒じゃない?地図とかどうするのかしら。いや、あの時代に正確な地図があったのか定かではないけれど。そう思い陽子が問えば、
「なに、今だって山の名前どころかわざわざ年号を変えているではありませんか」
と事もなげに返される。
「確かに。明治、大正、昭和、平成……」
「新たな天皇が即位してつけられるのが年号。似たような習慣は今の日本においても残されている。天皇の血筋は貴い、それは神の血でもあるからだ。そういう信仰ははるか昔からあったはずなんです。あるいは、シャンポリオンの文化をのちの日本人が踏襲したのかもしれない」
「でも、本物の神様じゃない」
さすがに、自分が神の生まれ変わりだなんて認めるほど、陽子はまだうぬぼれてはいないつもりだった。
「奇跡を信じさせれば、誰だって神になれるのですよ。たとえば噴火を予知する能力。予知というほど神秘的なものではなかったかもしれない。でも感覚が鋭ければ、それくらいわかるかもしれない。もっとも、現代の科学技術をもってしても地震の予測はなかなかに難しいようですから、よほど感覚がすぐれていたのでしょうが」
「そんなんで神様だなんて」
「人は誰しも何かを信じ、すがっていきたい生き物ですからね。でまあ、とりあえず富士山の話は置いておいて」
そこで碓井は車を停めた。河口湖の湖畔、開けた駐車場。すっかり残暑の厳しさもなりを潜め、ブルーの車体から降りれば涼しい風が陽子の髪を撫ぜて行った。
「ほんとうは、これは建前なんです。陽子さんを連れ出すための」
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建前?仕事熱心なこの先生が、その何より優先すべき事柄を置いて、さらに建前を必要としている。わたしを連れ出すために。なぜ?
動揺する陽子の内心を表すかのように、秋風が乱舞する。しかし急に強くなった風など気にもせずに、碓井は唇を開いた。
「あなたと会えるのは、いつも仕事現場だ、プライベートじゃあない。私は本来、あなたと一番密接な関係であったはずなのに、仕事という立場を通じて、どうにも突き放して見ていてしまいやしなかったか」
「それは……」
そうです、そうでした。わたしがどれほど優しい碓井さんに恋い焦がれていたか。
けれどそんな言葉は口から出してはいけない。そう思うほどには陽子は大人ではあった。だって、今のわたしには家庭がある。子どももいる。たとえ愛などなくても、契約を結んだ以上逃れられない夫や義母という存在もある。わたしが心のなかで、秘かに思うくらいなら害はないだろう、そう思って今までこのひと時を過ごしてきた。けれどそれを、よりによってその本人に、碓井に認められでもしてしまったら!
もう平穏な日々には戻れまい。それほどの覚悟を持って向かい合わなければならないことだというのに。
「それは当たり前でしょう、過去は過去、今は今。わたしはたとえ過去に偉大な王だったとしても、今はこんなんですし。そんな、先生みたいな立派な方と、必要以上に親密になれるわけないじゃないですか」
自制心が口を突いて出た。違う、本当はそんなこと思っていやしないのに。
「そう……ですよね」
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「いえ、急に変なことを言ってすみません。でも、こうして陽子さんとデート出来たの、楽しかったです、俺は」
「デート?」
なんて久しぶりに聞く言葉だろう。その甘美な言葉を陽子が反芻していると、
「本当は、このまま帰したくなくて、この先のペンションを押さえておいたんです。なんてネタバレしたらダメですよね、下心満載みたいで。だからどうにも俺はモテないらしいんです。こないだ粕川くんにも小言を言われてしまって」
「そんな、こんな10も離れたオバサンに、冗談はやめてくださいよ」
まさかの予想だにしない展開に、陽子の舌が勝手に自分を蔑みだす。本当はうれしくてたまらないのに。ああ、わたしはまだ女として見てもらえているのだ。そう思うと、今さら愛してもいない夫や義母に遠慮を感じるのも虚しくなってきたのは確かだった。だって、あの人たちにわたしは女として、いや違う、人としてすら愛されていないではないか。
そう気づいてしまった陽子は、大人としての理性などかなぐり捨ててしまいたい衝動に駆られた。だって、良一さんだって若い女と遊んでるじゃない、なのになぜわたしばかりが遠慮しなければならないの!
「冗談じゃありません。オバサン?あなたがオバサンなら、世の女性は全員とっくに死んでますよ。確かに私が最初に会ったのは、冴えない主婦で、まさかこの方が王だとはとも思いました。けれど、こうして輝きを取り戻したあなたはとても美しい。そこで私はようやく気がついたのです、この気持ちに」
「気持ち……」
その先を聞くのが怖い気もした。聞いたが最後、戻れないような気がしたから。けれどそんな陽子の心情などお構いなしに、碓井はすっかり諦めてしまったのだろうか、あっけらかんと言い放つ。
「いえ、でもこんなこと急に言われたって、あなたを困らせるだけですよね。なにしろあなたには家庭があるんだ。急に、こんなしがない男に求愛されたところで、今さらなびくはずなどないのに」
ああ、バカなことを言ってしまってすみません、けれど楽しい夢を見れて俺は幸せでした。そう早合点した碓井が、美しい風景などもはや目もくれずに車のドアを開こうとする。乗れば浜北に帰り、各々の仕事に戻るだけだ。おそらくそこから先は、ないのだろう。
けれど、このままここに残ったならば。
陽子は人生の分岐点に立たされているのだと感じた。今のこの感情に身をゆだねるべきなのか、それともつまらぬものに縛られて、みすみすそれらを手放すべきなのか。
失ってわたしは耐えられるのだろうか。このつまらぬわたしの日々に光を投げかけてくれた存在を。たとえそれがわたしが王だからでも何でもよかった。この急なチャンスに陽子の心が急いた。少なくともこの手にある限り、振り向かせる可能性はあるはずだ。そのか細い光を信じたい気持ちだった。過去のわたしではなく、今のわたしだけを愛してくれるかもしれない。現に、碓井は今のわたしは輝いていると言ってくれた。それはフュオンティヌスではなく、陽子を好きになってくれたからでしょう?
疑っている余裕などなかった。どんな形であれ、そこに自分を愛してくれる可能性があるのだ。一瞬勇樹のことが頭をよぎったが、けれどあの子だって分別のない子どもではもうないのだ。それに、きっと過去のことも思い出す。そうすれば納得してくれるかもしれない、ああ母さんは本来結ばれるべきはあの父さんじゃなかったんだね、と。
そうなれば、陽子の答えなどもう決まっていたようなものだった。車に乗り込まない陽子を訝しげに碓井が見やれば、
「家には、仕事で遅くなると言っておきます。べつに、私の作る料理より、デパ地下の惣菜の方がありがたい人たちですもの。わたしなんて帰らなくたって、今さら」
とうつむきがちに言う彼女の姿があった。
「しかし、息子さんは?」
こんな状況で、息子を気遣うなんて優しいんだか、バカなんだか。陽子は思わず笑い出しそうになるのをこらえ、「それは、先生から粕川さんにうまく言ってくれれば。あの子、粕川さんにお熱みたいだから、彼女の言うことなら何でも言うこと聞きますよ。それに、ちょうど今日は塾の日だし」と返す。
「そうですね、じゃあ粕川くんには確実に単位をあげるから、ちょっと勇樹君を食事にでも連れ出しておいてくれと連絡しておきましょう」と言って碓井は笑った。「夜まであなたといられるなんて、夢のようだ」とも。
見つめ合うにすぎなかった二人の秘め事は、こうして芽吹いたのだった。今まで深く肌の下、暗渠を流れていた血潮を吸って。この先どうなるかなんて陽子にはわからなかった。その芽が花開くのかどうかも。けれど、今の彼女はそれを欲した。自分を愛してくれる存在を。
そう考えれば、愛なんて打算的なものなのかもしれなかった。かつて良一が陽子を愛してくれたように。その計算が、碓井にはあったのかもしれない。すなわち、王を手放すまいとする努力ゆえの。けれどそれでも、そんなことは陽子にはどうでもよかった。わたしを愛してくれさえいれば。それほどに彼女は飢えていたのだ。
いかに押さえてくれていたのが宿泊施設とはいえ、さすがに外泊すれば家の人々も訝しげに思うだろう。まるで共犯者のように事実の隠ぺいを図る二人は、帳が下りる頃まで湖畔のペンションで戯れていた。碓井にはわからないだろうが、懐かしい昭和の香りのするその場所は、自身の若かりし頃を思い出したものだった。すでに愛想を尽かした夫との、甘い日々。昔には確かにあったはずのその楽しかった日々。それはそのまま、碓井との関係をも彷彿とさせた。過去が取り持つうたかたのようなこの時間。やがてそれも、遠い、さらに遠い昔のことになってしまうのだろうか。
けれどもそんな感傷を抱いてさえも、久しぶりに重ねた肌はひどく心地が良かった。生き物としての根幹を揺さぶられるかのような。ああ、彼の隣りこそ、わたしの生きるべき場所だったのよ。そう思うほどに。
帰りの車の中で、陽子はうつらうつらと考えていた、このままわたしはどこに向かうのだろう。けれども後悔はするまい。これはわたしが選んだことなのだから、と。
そう思う陽子の横で、碓井が薄く笑ったような気がしたが、それは疲れ眠気を覚えた陽子には知り得ぬことであった。
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ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
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