偽りの勇者

鷲野ユキ

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第三章

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「ちょっと、なんなんですか設楽さん。いきなり刑事だなんて。俺聞いてないんですけど」
彼が去った途端、安心でもしたのだろうか。思い出したかのように佐々木が騒ぎ出した。
「知らないわよ。向こうがそう思ってるんだもの」
「なら、ちゃんと説明してあげてくださいよ。これでまた『嘘をついていたの』なんて言われたら、今度はあの子人間不信になっちゃいますよ」
「だって向こうが勝手にそう思ってるんだもの。それに、そのほうがいろいろと都合がいいじゃない。なにせ今の我々は国家権力を笠に着てるのよ」
「訴えられても知りませんよ」
「だから、あの子がそう思ってるだけだもの」
「もう、知りませんからね」
プンプンと怒る佐々木と共に、聡子は病棟を後にした。早くも陽は翳りはじめ、薄雲の間からやる気のない光を放っていた。
ああ、これだからこの時期は嫌いなの。わけもなくさみしい気持ちになってしまう。
なぜそうなるかの科学説明が出来たって、どうにもできないのだから意味なんてありゃしない。
日照時間の減少による、セロトニン不足ですね。トリプトファンを含むものを食べるといいでしょう。食べたからってすぐ改善されるのかしら。そんなのプラシーボ効果にすぎなんじゃないの。
それに、特に今年は。なぜこうも悲しい気持ちになるのだろう。それはかわいそうなあの彼の、側にいるからかもしれなかった。

部署に戻れば、品川が例のチワワにエサを与えているところだった。
部長はこの犬を懐柔して、容疑者の心理をあぶりだす、なんて言ってたけれど。果たしてそれはうまく行くのかしら。
現にあのワンちゃん、それほど部長に懐いているようにも見えないわ。
ただエサをくれるからしっぽを振ってやってるんだ、今に見てろよ。そんなプライドに似た何かを感じさせるほどに、この犬は彼に懐いていなかった。なにせ常に低い声でうなっているくらいなのだから。
「部長、ほんとに動物飼ってらしたんですか?」
呆れたような口調で聡子が問う。その横では佐々木が同調するかのようにコクコクとうなずいていた。
「おー、お疲れさん。収穫あったか?こっちはまあ、昨日の今日だしな。あんな現場を見ちまったんだ。まだ興奮して落ち着かないんだろ」
ああ、そういえばこの犬は目撃犬なんだったかしら。けれど興奮してるから懐いていない、というのも腑に落ちないほどの嫌われっぷりだけど。
「飼い主って若い女でしたっけ?」
「そう。最愛の彼氏に別れ話を切り出されて、あまりのショックで前後不覚になり、気が付けばメッタ刺しにして彼氏を殺してしまったんだと。で、あわてて救急車を呼んだのもその女。計画的犯行とは思えないが、そこにまっとうな殺意があったのか、なかったのかで今揉めてるところだ」
「まあ確かに、飼い主がいきなり人を刺し殺したら犬だって驚くでしょうね」
かわいそうに、と同情を寄せながら佐々木がため息をつく。
「そうですよね、そんなことがなければ、こんなごついオッサンに抱かれなくて済んだのにねぇ」
「失礼な。かっこいいおじさまと言え」
「ああでも、あながち間違ってないかも。もしかしたらこの犬、男が嫌いなんじゃ」
思いついたかのように佐々木が言った。飼い主は人見知りで、友人もほとんどおらず家族とも疎遠。唯一心を許していたのはこの犬だけ。彼氏へのそれは愛ではない、依存だ。そんな重い女の愛を受けて生きてきたのだ。この子にとっての人間は彼女だけなのではないか。まして、知らないおじさんなんて。
「なんだと。じゃあ設楽、お前カイちゃん抱いてみろよ」
半ばむきになりながら、慣れた手つきで品川が聡子に小型犬を手渡す。突然の展開に驚きつつ、おっかなびっくり彼女は犬を抱きかかえた。ハアハアと聞こえる犬の息遣い。かわいい子犬。かわいい?これのどこが。それよりも。
怖い。聡子はそう思った。怖い?何が怖いのよ、こんな小さな犬。噛みついてくるわけでもなし、我慢しなさい。奥歯を噛みしめ聡子は犬を抱きかかえる。けれど犬は鳴きやむどころかいっそう歯茎をむきだし唸ってくる。明らかに向けられる敵意。なによ、私が何をしたっていうの?
あやうく放り出しそうになったそれを、品川へと戻す。「なんだ、だめじゃないか」なぜか勝ち誇ったかのように、品川が佐々木に野次を飛ばした。
「そんな。ええと、じゃあ……あ、清水さん、ちょっと」
あきらめきれないのか、佐々木は奥で一心不乱にパソコンに向かっている清水に声をかける。怖いもの知らずである。呼ばれた清水が舌打ちしながら、渋々といった感じで彼のもとに歩み寄ってきた。
「……何か用ですか?」
「ちょっと実験。この犬が、女の人にだけ懐くのか知りたくって」
「私じゃなくても設楽さんが」
「設楽は駄目だったんだ。これでもう一人女の子でダメなら、佐々木の推測を粉砕してやれる」
せっかく美人なのに無愛想。それが残念。そんなこと本人に言おうものなら別に好き好んでこの容姿に生まれたわけじゃないんですけど、くらい言いそうな清水だ。この佐々木の突拍子もないお願いを拒否するかと思いきや、意外にもすんなりとチワワを抱きかかえる。さしもの彼女も部長の願いは無下にできないらしい。
「これで満足ですか?」そう返す彼女の腕には、くつろぐ人気犬種の姿があった。
「……鳴きやみましたね」
「ああ」
それじゃあ、と部署内の男女全員に抱かせた結果、見事佐々木の推論が正しいだろうという結果になった。聡子を除いては。
「……設楽、まさかお前……」
「なにを考えてるか知りませんが、戸籍上私は女です」
「そうか……うーん、まあ女ならだれでもいいってのもアレだしな、カイちゃんにもまあいろいろあるんだろう」
「ほら、俺の言った通りだったでしょう」佐々木は得意げだった。
「いや、でもたかだか数人だ、実験したのは。これだけじゃあ正確なデータとは言えんだろ。それより、俺から猫の匂いがするから落ち着かないんじゃ……」
「部長、おうちの猫のせいにするのはやめましょう。とにかく女性にしか懐かないのなら、部長が面倒見る必要性皆無になりますけど」
「じゃあ佐々木が」
「何聞いてたんですか。この子は女の人にしか懐かないんですよ。なんで俺が」
「女装でもすれば」
「するわけないでしょう!」
「まいったなぁ。しかたない、しばらく嫁に預けるか……でもなあ」
今度はうーんうーんと品川がうなりだした。うちの人員じゃあ動物の世話なんか焼けるやついないしなぁ。困ったな。ぼそぼそと呟きながら品川はしきりに自身の顎を撫でている。
「そんなことより部長。慧くんの件ですが」
「そんなことってお前。俺にとっては重要なんだが。ほらこれ唸ってるし」
「少し発破をかけてみました。少しずつ、自分の置かれた現状を把握しているみたいです」
うーうーと聞こえてくる犬の声を無視して、聡子の言葉を遮るかのように食いぎみに佐々木が会話に加わってきた。
「で部長、知ってますか?あろうことか設楽さん、俺たちのこと刑事だなんて言うんですよ」
「はあ?刑事?」それにはさすがの品川も驚いたようで、思わず声を荒げる。腕に抱かれたチワワがビクリと震えた。
「その、あの子がどうにも我々のことをそう認識してるようで」
「別に刑事だと思われてても、差し支えはないんだな?」
ああ、驚かせてごめんねと毛並を撫でながら品川が確認する。
「はい」
「なら今更名刺を差し出して、さらに混乱させるよりはいいだろう。それにまあ、あまり俺らの世話になって嬉しい奴もいないだろうからなあ。特に前途有望な若者なんかは」
「まあ……。実際、自分が精神科の病棟に入院していると知って、ひどく落ち込んでいましたから。今まで自分の家にいるんだと思っていたみたいで」
「すごい想像力だぁなぁ。俺にも分けてほしいわ」
現実を上回る想像。虚像。それを真実だと思えたらどんなに楽だろう。家に帰れば嫁と娘がいる……いややめよう、虚しいだけだ。品川はあきらめて現実を直視する。
「で、やはりPTSDによって精神が混乱しているように思えます。論理的思考は出来るようなのですが、どうにも感情と一致しないらしく、自分でもしきりに首をかしげていました。おそらくもう少しで、通常時の自分を取り戻せるのではないかと」
「早いな。まだ事件から2週間と経ってないぞ。しかも彼はあれだろ、過去にも両親の死を目にしている。そう浅くはないだろう、傷は。それが、通常の自分を取り戻せるだと?」
犬を撫でる手を止めて、品川が聡子の瞳を見据えて強く言う。
大丈夫なのか?失敗したらどうするんだ。あの子の人生を台無しにするつもりか?
その瞳はそう言っているように聡子には見えた。
「ええ、恐らく。……むしろ無理にでも早く戻してあげたほうがいいように思うんです。じゃないと彼はどんどん偽りの記憶で自分を塗り替えていってしまうことになる。たとえ強制的であっても、彼を日常に戻すのならそうしたほうがいい。それは彼だって望んでいることです」
「そうかねぇ。俺らはどうやったってあの子にはなれないんだ。あまり思い込むのはよくないと思うがね」
「そうですが、しかし、タイムリミットもあることですし……」
なおも食い下がる聡子を、品川はあっけなく手放した。
こいつがここまで言っているんだ、この頑固者め。どうせ俺の制止なんて聞かないんだろ。なら好きなようにすればいい。彼の人生を背に負える覚悟があるならな。
「それでだな、諸君。俺も〈刑事〉らしく君らを見習ってだな。弟くんの福島での過去の事件、洗ってみたんだがな」
一向に懐かない小型犬をゲージの中に戻すと、品川が勿体ぶるかのように両手を広げてそう言った。
なんだ案外乗り気じゃないの、部長。聡子は内心快哉を上げる。
「でも、こんな短時間でですか?」
聡子と佐々木が慧の元を訪れてから小一時間ほどしか経っていないというのに。その間、部長はただただ犬と戯れていたと思っていた自分を恥じ、聡子と佐々木は尊敬のまなざしで上司を見た。
「いや、前々から知り合いの本職に頼んでたんだが」
「そんなとこですよね」一瞬でも尊敬した自分がバカだった。そう吐き捨てるように佐々木が言った。
「で、なにがわかったんですか」
「その事件の詳しいディティールだ。いつ、どのように起こって、どのように彼らの両親が殺されて、どのように犯人が捕まったのか」
慧くんの過去。私は、その過去に触れる資格があるのだろうか。不意に聡子はそう思った。
誰しも人に知られたくない過去はあるものだ。けれど、この過去は違うはずだ。本来の彼を取り戻すには、彼の深い心の傷を知らなければなるまい。そのためにも過去にさかのぼる必要がある、はずだ。
彼の無実を、ひいては彼が見たであろう真犯人を探し出すためにも、それは通るべきなのだろう。彼女はそう自分に言い聞かせ、品川が続けるのを待った。
「事件は今から10年前の春。5月12日。事件は弟くんらの住む家で起こった。彼らは福島県昭和村、まあとにかく自然豊かな田舎に住んでいた。土地が安いのかは知らないが、けれどかなり立派な家だったようだ。二階建てのログハウス風。なんでも父親の意向でそんなこじゃれた家を建てたらしい」
「ログハウス」あああの、暖炉とか、ロッキングチェアーがあるような。聡子は頭に思い浮かべる。
「田舎暮らしに憧れてたクチなのかもな。当然、家と家の間はこっちの狭い住宅街とは違って広いもんだ。お隣さんは100メートル先。近隣トラブルなんて起こりようのないほど離れた距離だが、だが犯人はそのお隣さんだった」
「近隣トラブルで、バラバラにした挙句火を放つような恐ろしい事件が起こったんですか?」
「まあ、話は最後まで聞け」
焦る佐々木をたしなめて、品川が続ける。
「どうやらこのお隣さん、弟くんらの母親に、ストーカーまがいのことをしていたらしい」
手元の資料をねめつけながら、品川が嫌悪感も露わに吐き捨てた。フェミニストを自称する彼にとって、ストーカーは許すまじき存在らしい。いや、単に老眼で字が見えづらかっただけかもしれないが。
「はあ。でも被害者のお姉さんも美人でしたし。きっとお母さんもモテたんでしょうね」
「まあ、モテすぎて付きまとわれたあげく殺されたんじゃたまったもんじゃないだろうけど」
「この母親は以前から警察に被害届を出してはいたそうだ。行く先々に現れて気味が悪い、と。けれど今よりストーカーの概念の低い時代だ。まったく取り合ってもらえなかった。それにこの犯人、もともとそういう疾患が見受けられていたらしい」
「疾患?」
「中度の知的障害があったようだな。だからストーカーじゃなくて、単に徘徊していただけなんじゃないですか、と流されてしまったらしい」
「確かに微妙なところですね」
「ここからは事実と言うより警察の導き出した憶測なんだが、ついにこの5月12日、外で彼女の周りをうろつくにとどまっていた犯人が、どうやら家に侵入したらしい。そこを母親の夫、つまり彼らの父親だな、に見つかってしまう」
「この日は平日だったんですかね。なぜ父親が家にいたんでしょう」
「どうやら父親は自営業らしいな。自宅から車で30分ほどの、多少賑わいのある駅近に飲食店を出していた。だがまあ自営業ならではの自由さというか、この日はちょいとばかし体調がすぐれなかったそうだ。それで父親は店を休むことにした」
「はあ、なるほど」
「だがそれが仇となった。忍び込んだ犯人と父親が鉢合わせになってしまい、あわてた犯人はとっさに台所に逃げ込んだ。そこで刺身包丁を取り出し、追いかけてきた父親を切り殺してしまう」
「刺身包丁?」
「父親の仕事道具だな。家で仕込むこともあったのかもしれん。で、さらにそこに様子を見に来た母親と鉢合わせ。混乱した犯人は、愛しい母親さえも切り殺してしまう」
「なんでそんなことしたんでしょうね」
「バカ、それを考えるのが俺らの仕事だろ。で、さらにさらに不運は重なる。学校から返ってきた村上姉弟――旧姓木村姉弟が、なんとその場に出くわしてしまった」
「そんな偶然、あるものなんですかね」
「それが現実に起こっているんだから仕方ないだろ。で、そこで彼らは犯人の顔を見たんだ。血にまみれた、お隣さんの顔を」
足もとに転がる両親の遺体、血にまみれた隣人。この姿を見たときに、彼らはどうしたというのだろう。足がすくんで動けなかったのではないのか。
「この流れだと、慧くんらも殺されてそうな流れですけど……」
「だが事実、あの二人は助かっている。さしもの殺人鬼も子どもを殺すのはためらわれたのか。まあ、俊敏に逃げまどう子どもの動きについていけなかったというのもあるかもしれん」
「慧くんはその時……7歳ですよね?お姉さんは……12歳か」
「まあ機転を利かせてうまく逃げたんだろうよ。で、なぜだかは知らんが、犯人は両親の遺体をバラバラにした挙句火を放っている」
「なぜでしょう。目撃者もいる以上、証拠隠滅にならないのに」
「知るか。裁判では精神錯乱の為って解釈したようだが」
「うーん、なんだか釈然としませんね」
「だが姉弟に両親を殺す理由もないだろう。まして、その遺体をバラバラにするなんて。そういう理由で、以前からストーカーをしていたお隣さんが犯人として捕まったわけだ。目撃証言もあるし、凶器もそのお隣さんの家から見つかってる」
「わざわざ凶器を持ち帰ったんですか?なんで?」
「俺が知るかよ。けれどさすがにそこは警察も不審には思ったらしい。なにせ、殺人犯から逃げるために、あろうことか木村姉弟はその隣人宅に逃げ込んでるからな」
「なぜそんなところに」
「そこが一番近かったんだろう。それに、犯人こそ確かに頭のおかしい奴かもしれないが、彼の母親は優しいおばあちゃんだったようで、木村姉弟もよく懐いてたらしい。かわいそうにこの事件をきっかけに、心労で亡くなってるがな」
「なら、凶器を隠匿するために木村姉弟が隣人宅に持って行ったとも考えられませんか?」
「そう警察も考えたらしいが、いかんせん理由がわからない。まさか子どもたちが自分の両親を殺すにとどまらず、わざわざバラバラにするなんてこと考えられんだろ。特に目立った家庭内トラブルもなかったようだ。少なくとも外からはそう見えていた。それに凶器は、犯人宅の屋根裏から発見された。わかりやすいところに梯子があるわけでもない、ほんとにただの屋根裏だ。時折遊びに来る程度の子どもが、そんな場所知ってるはずもないだろう、しかも犯人には殺人の動機がある。実際ストーカーしてたしな。ということで、見事この隣人が捕まったってわけさ」
「でも、死刑はあんまりじゃ」
「証拠を隠滅しようとした以上、被告には罪の意識があったはずだ、責任能力は十二分にあるだろう。と、懲役だけでは飽き足らず死刑になってしまった。なにより、死刑以外を世間は許さなかった」
「世相がそうさせたと?」
「まあ、そうなるな。頭のおかしい奴が犯人に違いないってな」
「そうですか……。で、犯人の名前は?」
「田嶋吾郎、43歳、無職。母親の年金と生活保護で生計を立てていた。疾患もあって定職にはついていなかった。父親は数年前に他界。弟がいたようだが、事件当時は上京していて兄とは疎遠だったそうだ。田嶋吾郎は母親にはずいぶん優しかったらしい。まあ今思えば、母親の年金がなければ生きてゆけなかったからかもしれんがな」
「そうですか……」
明確になってきた彼の過去。彼らは、バラバラにされたかつて両親だったものを見たのだろうか。それとも狂った犯人の顔を見ただけに留まったのか。
けれどいずれにせよ、もっとも自分らに近い存在の死に立ち会ったのだ。この事件は彼にどれほどの影響を与えたのだろう。さらには、それに近い形で姉は殺されてしまった。同じく身体をバラバラにされて。
「とはいえ、これは過去の事件だ。今回の事件に直接関係はなかろう。今の彼が錯乱しているのは、この件が影響しているのかもしれんが、いたずらに昔のトラウマ思い出させて悪化させないよう、くれぐれも気をつけるんだな」
そう言い残して品川は分厚い資料の束を聡子に押し付けた。お前が抱えたのはこんな紙束の重みなんかより、ずっと重いんだからな。
そうして彼は部屋を出て行った。息抜きにたばこでも吸わなけりゃやってられん。カイちゃんも懐かないし、嫁と娘には逃げられるし。いったい俺は何のために働いてるんだか。
だがまあ、ああして部下が頑張っているのだ。俺にだって出来ることはまだまだあるはずだ。
そう思い直して彼は肩を回し、大きく伸びをした。
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