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謎のプリント
謎のプリント5
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真悟と葵木が旧校舎の二階に到着したのは、店を出てから二十分後。
なにせ、目的地がどこにあるのか知らなかったのだから仕方のないこと。
肩で息をする葵木が真悟の肩を掴んだ。
「ちょっと阿部くん。説明してよ。学校に戻ってきたかと思ったら、準備室はどこか聞いて回ってさ、それでここまで連れてこられて、全く意味がわからないんだけど」
「もう少しだけ待ってくれ。時間がないんだ」
「さっきからそればかりじゃないか」
「あった!……ここだ」
真悟が足を止めたのは、室名札に準備室と表示された教室の前。
扉の上の小さな曇りガラスから光が漏れ出ている。
準備室の周りの教室は全て人の気配はない。
真悟は、はやる気持ちを抑えられずに、ノックもせずに扉を開いた。
そこに広がっていた光景。
それは、美女二人が退屈そうに椅子に座っている絵面だった。
真悟と葵木に気がついた瞬間に、一人の美女は太陽のような笑顔を浮かべ、もう一人はその美女の後ろに隠れてしまった。
「やあやあやあ。やっぱり君か。校門前で見かけた時、直感でそう思ったんだよ!君は一年生だね?」
そう言いながら美人な先輩は真悟の元へ歩み寄ると、右手を差し出してきた。
「推理ちゃん。また適当なこと言ってるでしょ?」
推理の横にいたもう一人の美少女が聞こえるか聞こえないかの声量で茶々をいれる。
「綾!私が適当なことを言うわけがないでしょう!ピンと来たのよ。目が合った瞬間に!間違いなくこの子が来ると思ったのよ」
「……だったら、あそこで直接スカウトすれば良かったのに」
「……その発言はバッドね。ここで待っている私たちの元にたどり着くのが、入部の条件なんだから」
「推理ちゃんは自分で解けなくて、お母さんに答えを聞いたのに?」
推理と呼ばれている美人の先輩は、目で征すると、もう一人の先輩は大人しくなった。
「お見苦しいところをお見せしてしまったわね。ところであなたたちの名前を聞いてもいいかしら?」
「はい」
真悟と葵木も例の自己紹介をすると、満足そうに頷く。
「私は真理部の部長をしている、二年の雨宮 推理。
こっちは同じく真理部副部長橋渡 綾。よろしくね」
「よろしくお願いします」
真悟と葵木は二人揃って頭を下げ、葵木が申し訳なさそうに小さく右手を上げる。
「えっと、今の状況がよくわからないまま阿部くんにここまで連れてこられたんですけど、そろそろ説明をしてもらえるとありがたいんだけど」
「ああ。そうだったな。先輩プリントって余ってたりします?あとなにか書くものがあれば」
「もちろん」
推理はニコリと微笑みながら、テーブルの上に置かれていたプリントとボールペンを差し出してきた。
真悟はそれを受け取り、喫茶店で、読み解いたように解読していく。
────────────────────
ニユウガクオメデトウ、コレ
カラタノシイコト、ツラ
イコト、タクサンアルダロウ
ジユウヨウナノハ、タノシムコトダ
ユカイナコトヲカンガエレバ、タイテイウマクイク
ンナコトハキミタチニハタヤスイダロウ
ビシツトセスジヲノバシテ
シツカリトチヲフミシメテ
ツツマシク
マエヲムイテ
ツライトキコソ
────────────────────
「……さっき解読した暗号だよね……?これをどうすれば、この準備室が導き出せるんだい?」
「ヒントにはまだ続きがあっただろう?」
「たしか……『前だけをみて』だったかな?」
「そう。そのまま、文頭だけを縦読みしてみろよ」
「文頭……?ニカイジユンビシツマツ。『二階準備室待つ!?』」
「そういうことだ」
「なるほど。縦読みだったのか!」
「最初に葵木が失敗してくれたから気がつけたんだ」
「凄いよ!僕は気がつけなかった」
「時間の問題だろ」
「これを解いたのは阿部くんだったのね。
グッドよ。やるじゃない。特別に真理部の部員になることを許可するわ!」
推理はサムズアップをしながらそう言うが、後ろに隠れる綾が小声で補足する。
「……これは、真理部の部員を探すために、毎年行われているものなんです。解けた人間しか基本入部は認めていないので、でも、入るも入らないも、あなたたちの気持ちしだい……だけど」
「もちろん入部するわよね?」
圧をかけるように推理は不敵な笑みを浮かべるが。そんなの答えはもう決まっていた。
母さんが過ごした真理部に身を置かないなんて、選択肢になかった。
「もちろん。入部させてもらいます。葵木はどうする?」
「僕も入るよ。おかしな……楽しそうな先輩もいるみたいだし、毎日が楽しく過ごせそうだし」
葵木なりに言葉は選んだつもりだろうが、本音が垣間見えて、真悟はおかしくなってしまった。
「やっぱりお前、素直なやつなんだな。楽しい日々になりそうだ」
「とりあえず、二人とも、真理部にようこそ。綾も私もあなたたちを大歓迎させてもらうわ!」
なにせ、目的地がどこにあるのか知らなかったのだから仕方のないこと。
肩で息をする葵木が真悟の肩を掴んだ。
「ちょっと阿部くん。説明してよ。学校に戻ってきたかと思ったら、準備室はどこか聞いて回ってさ、それでここまで連れてこられて、全く意味がわからないんだけど」
「もう少しだけ待ってくれ。時間がないんだ」
「さっきからそればかりじゃないか」
「あった!……ここだ」
真悟が足を止めたのは、室名札に準備室と表示された教室の前。
扉の上の小さな曇りガラスから光が漏れ出ている。
準備室の周りの教室は全て人の気配はない。
真悟は、はやる気持ちを抑えられずに、ノックもせずに扉を開いた。
そこに広がっていた光景。
それは、美女二人が退屈そうに椅子に座っている絵面だった。
真悟と葵木に気がついた瞬間に、一人の美女は太陽のような笑顔を浮かべ、もう一人はその美女の後ろに隠れてしまった。
「やあやあやあ。やっぱり君か。校門前で見かけた時、直感でそう思ったんだよ!君は一年生だね?」
そう言いながら美人な先輩は真悟の元へ歩み寄ると、右手を差し出してきた。
「推理ちゃん。また適当なこと言ってるでしょ?」
推理の横にいたもう一人の美少女が聞こえるか聞こえないかの声量で茶々をいれる。
「綾!私が適当なことを言うわけがないでしょう!ピンと来たのよ。目が合った瞬間に!間違いなくこの子が来ると思ったのよ」
「……だったら、あそこで直接スカウトすれば良かったのに」
「……その発言はバッドね。ここで待っている私たちの元にたどり着くのが、入部の条件なんだから」
「推理ちゃんは自分で解けなくて、お母さんに答えを聞いたのに?」
推理と呼ばれている美人の先輩は、目で征すると、もう一人の先輩は大人しくなった。
「お見苦しいところをお見せしてしまったわね。ところであなたたちの名前を聞いてもいいかしら?」
「はい」
真悟と葵木も例の自己紹介をすると、満足そうに頷く。
「私は真理部の部長をしている、二年の雨宮 推理。
こっちは同じく真理部副部長橋渡 綾。よろしくね」
「よろしくお願いします」
真悟と葵木は二人揃って頭を下げ、葵木が申し訳なさそうに小さく右手を上げる。
「えっと、今の状況がよくわからないまま阿部くんにここまで連れてこられたんですけど、そろそろ説明をしてもらえるとありがたいんだけど」
「ああ。そうだったな。先輩プリントって余ってたりします?あとなにか書くものがあれば」
「もちろん」
推理はニコリと微笑みながら、テーブルの上に置かれていたプリントとボールペンを差し出してきた。
真悟はそれを受け取り、喫茶店で、読み解いたように解読していく。
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ニユウガクオメデトウ、コレ
カラタノシイコト、ツラ
イコト、タクサンアルダロウ
ジユウヨウナノハ、タノシムコトダ
ユカイナコトヲカンガエレバ、タイテイウマクイク
ンナコトハキミタチニハタヤスイダロウ
ビシツトセスジヲノバシテ
シツカリトチヲフミシメテ
ツツマシク
マエヲムイテ
ツライトキコソ
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「……さっき解読した暗号だよね……?これをどうすれば、この準備室が導き出せるんだい?」
「ヒントにはまだ続きがあっただろう?」
「たしか……『前だけをみて』だったかな?」
「そう。そのまま、文頭だけを縦読みしてみろよ」
「文頭……?ニカイジユンビシツマツ。『二階準備室待つ!?』」
「そういうことだ」
「なるほど。縦読みだったのか!」
「最初に葵木が失敗してくれたから気がつけたんだ」
「凄いよ!僕は気がつけなかった」
「時間の問題だろ」
「これを解いたのは阿部くんだったのね。
グッドよ。やるじゃない。特別に真理部の部員になることを許可するわ!」
推理はサムズアップをしながらそう言うが、後ろに隠れる綾が小声で補足する。
「……これは、真理部の部員を探すために、毎年行われているものなんです。解けた人間しか基本入部は認めていないので、でも、入るも入らないも、あなたたちの気持ちしだい……だけど」
「もちろん入部するわよね?」
圧をかけるように推理は不敵な笑みを浮かべるが。そんなの答えはもう決まっていた。
母さんが過ごした真理部に身を置かないなんて、選択肢になかった。
「もちろん。入部させてもらいます。葵木はどうする?」
「僕も入るよ。おかしな……楽しそうな先輩もいるみたいだし、毎日が楽しく過ごせそうだし」
葵木なりに言葉は選んだつもりだろうが、本音が垣間見えて、真悟はおかしくなってしまった。
「やっぱりお前、素直なやつなんだな。楽しい日々になりそうだ」
「とりあえず、二人とも、真理部にようこそ。綾も私もあなたたちを大歓迎させてもらうわ!」
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