異世界日本軍と手を組んでアメリカ相手に奇跡の勝利❕

naosi

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第1章 開戦、硫黄島の戦い

第8話 海戦の決着

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 第五戦隊が放った酸素魚雷による攻撃で、第5艦隊は、さらに混乱していた。
 敵艦隊による追撃を受けているだけでなく、長距離雷撃の攻撃を潜水艦の攻撃と思い込み、いるはずのない潜水艦がまるで、この海域にいるかも知れないと思い込みパニックに陥っていた。
 
「各艦被害状況を報告せよ!」
「戦艦ニューヨーとネバダに複数の魚雷が命中し、轟沈しました!それ以外に駆逐艦十数隻が同じく轟沈、または、機械部に被弾、航行不能。巡洋艦も軽重合わせて4隻が轟沈、7隻が被弾しました。」

 報告を聞いたターナー中将は、もはや勝ち目はないと悟ったが、ここで終わるわけにはいかなかった。

「進路変更!面舵一杯、進路を敵艦隊へ、少しでも時間うぉ!?」

 指示を出そうとしたその時、ミズーリの船体が大きく揺れた。

「閣下!」

 側にいた副官が駆け寄って来た。

「私は大丈夫だ。それより被害状況を知らせろ!」
「敵の戦艦です!8時の方向より砲撃を受けました!距離3万!数8!・・まさか、そんなこと!?」
「どうした!何が見える?」
「そ、それが・・・」
「いいから貸せ!」

 見張りの兵士から双眼鏡を奪い取り、敵戦艦を視覚に捉えた。

(金剛クラスが4隻、未確認の戦艦が4隻、何処にそんな戦力が残っていた。金剛クラスは1隻はレイテで沈めたはずだ。なのになぜ、4隻もいる?」

 ターナー中将は、副官に確認をとった。
 
「金剛クラスは、レイテ沖海戦で1隻沈めたはずたな?」
「はい。レイテ沖海戦後に潜水艦が撃沈したはずです」
「では、なぜあそこに4隻も金剛クラスがいる!まだ、残存していたのか!?」
「分かりません。ですがあの未確認戦艦が気になります。速度は金剛クラス並ですが、主砲数が1基多いです。」
「新型の戦艦と言うことか?フッフッフ、おもしろいアイオワ級を前に出せ、動ける巡洋艦と戦艦をあいつらにぶつけるぞ!戦艦には戦艦だ!」
「了解です。すぐに向かわせます。」

 アイオワ級、サウスダコタ級、ノースカロナイラ級コロランド級の戦艦12隻が第四艦隊に一矢報いるために艦隊から離れた。


『遅れましたか?近藤中将』
「いえ、いいタイミングです。高須中将、戦艦は第四艦隊と第一艦隊にお任せします。我々は、巡洋艦と駆逐艦の相手をします」
『了解しました』

 第五戦隊に遅れて到着した第四艦隊は、第五戦隊の後方から攻撃を開始した。
 観測機が先行し、艦隊に情報を随時通信を送ってあり、魚雷攻撃後に到着できるように監視していた。
 そのため、アメリカ軍が混乱して体制を立て直す前に攻撃を加えることができたわけだ。


 攻撃を受けたターナー中将の対応も早かった。

「駆逐艦と巡洋艦は、魚雷攻撃をしてきた艦隊に応戦しろ!戦艦は後ろから来た艦隊に対応する」
「了解、護衛の駆逐艦はどうしますか?」
「そんなもん必要ない!戦艦だけでいく!」

 ターナー中将乗船のミズーリを戦闘に戦艦のみの艦隊が第四艦隊に進んで行く。


「目標2万5000、速度25ノット、単縦陣、数8隻」
「全艦攻撃開始!ファイヤー!!」

 ドォン!16インチの主砲から一斉に第四艦隊に向けて射撃が開始しされた。

「目標距離2万5000、速度20ノット、単縦陣、数12隻」
「全艦、主砲徹甲弾装填、最大船速、撃ち方始め!!」

 金剛型、天城型から35.6センチから九二式徹甲弾が発射されたと同時に速度が上がる。
 
 2つの艦隊が射撃を開始したのはほとんど同時だった。
 
「初弾挟叉!」
「第一艦隊が来るまで持ちこたえるぞ!数では不利だが速度ではこちらが勝っている!撃ち続けろ!当たり所によっては貫通できるはずだ!」

「挟叉されました。やはり射撃管制装置がやられたのは、痛かったようです」
「構わん。数ではこちらが有利だ。損害が響いているのも分かっている!少しでも敵に損害を与え、沈めるのだ!」

 砲門数はアメリカ軍が16インチ砲が51門。
 対する第四艦隊は、35.6センチ砲が32門、41センチ砲が40門で砲門数では勝っているが、金剛型の主砲では、1発の威力では劣っており、至近距離でなければ、装甲を撃ち抜くことは不可能だろう。
 たが、それはこの世界の話だ。
 神国の金剛型、天城型は主砲口径を45口径から60口径に伸ばすことによって貫通力を上げ、アメリカ軍の新型戦艦に対応できるようにした。
 副砲も15.2センチ単装砲をすべて撤去し、代わりに八九式50口径12.7センチ高角砲を改良した、九○式12.7センチ55口径を搭載した。
 八九式の弱点であった装填装置の改良と射撃装置の連動の強化、波除や煤煙避けのみだったのを防弾使用にし、砲座も機関式に変更した。
 速度も機関を変更し、最大で33ノットまで出せるようになった。
 神国では先陣を斬る重要な艦種の一つとなっている。


「主砲装填完了!」
「第二斉射、撃てぇ!」

 ドォン!閃光と発射炎が再び起こり、敵艦をめがけて飛んで行く。

「敵艦発砲!」

 一瞬閃光が見えた。 
 十数秒後には再び艦の周りを水柱が覆うだろう。または、命中する可能性も存在する。
 艦の安全を第一に考えるなら舵をきりながら交戦するだろうが、神国の艦隊はそんな事はしない。一直線に進んで戦うのみだ。

「敵艦に命中!」

 観測員からの声を聞き高須中将は双眼鏡で敵艦を見た。
 アイオワ級に火柱が2つ上がっていた。



「敵艦隊発砲!」
「落ち着け!敵艦の主砲では、この距離でこちらの装甲を撃ち抜くことはできない!慌てるな!」

 観測兵にターナー中将は激を飛ばし、慌てる兵士を落ち着かせた。

「敵艦は速度が一番の武器だ。照準を合わせてしっかり狙え!」

 そう声を上げた時、船体が再び揺れた。

「何があった!?報告しろ!」
「敵艦の砲弾が右舷に命中!副砲が5基操作不能!1発が機関室上部まで貫通!機関が一部損傷しました。速度が20ノットまでが限界だそうです!」
「くそ!巡洋艦をこちらにまわせ、奴等の主砲でも金剛クラスならダメージを与えられるはずた!」
「すぐに通信します!」
(バカな!?アイオワ級の装甲を撃ち抜いただと!?16インチならともかく、14インチで撃ち抜くなどどれほど長砲身だ!)

 最新鋭のアイオワ級は、火力、速度、防御力、どれをとっても当時最強と言っても差し支えない戦艦だろう。
 同時にそれに対応できる戦艦は、日本の大和型かイギリスのヴァンガード級、ドイツのビスマルク級位だろう。

「各艦に通達!敵艦隊はこちらの装甲を撃ち抜くことが可能な砲を搭載している!各艦注意しろ!!」
「敵艦発砲!」
「面舵一杯!回避しろ!」

 ヒューー、ドォン!
 天城型と金剛型の砲弾が舵を切ったミズーリのすぐ近くに着弾した。

「至近弾多数!直撃はしませんでしたが、今ので40ミリと20ミリが複数破損しました!」

 当たらなくとも砲弾の破片が装甲のない対空砲や戦隊にダメージを与えていく。



 神国の艦隊も無傷と言う訳ではなかった。

「榛名に被弾!幸いにも後部甲板に命中!火災が発生しています!」
「詳細は?」
「榛名から通信、『ワレ、火災発生セレド、戦闘ニ、問題ナシ』とのことです」
「第一艦隊からの通信は?」
「はい。観測機からの情報では、艦隊から十海里の距離まで、接近しています。あと三十分で射程内に入るそうです」
「そうか、それまで、なんとしても敵にはこちらに意識を向けてもらわなければならない!」

 その後も砲撃戦が続き、双方に命中弾はあるがミズーリの直撃以降は、ほとんどダメージを与えられなかった。
 神国艦隊は装甲の薄い金剛型が至近弾と舷側に直撃を受け、金剛と榛名が中破し、榛名は再び火災が発生している。


「敵艦隊先頭艦2隻に損害を与えました!内1隻には火災が発生しています」
「その調子だ!弾が尽きるまで、打ち続けろ!!」

 ドォン!ドォン!戦艦に加え、重巡洋艦からの砲撃も加わり、第四艦隊を水柱が包み込んでいく。

「打ち続けろ!ジャップを海の藻屑にしてしまえ!」

 その直後、雷が鳴ったような音と風を切り裂く音が響いた。

「何だ!この音は・・・・」

 その直後、艦隊後方を航行していたコロランドの周りに水柱が上がったと思った次の瞬間、水柱が吹き飛ぶほどの爆発が起こり、音に気付き目を向けると船体の3番砲塔があった場所は消し飛び、2つに割れた船体が急速に沈んで行く、コロランドの姿が目に入った。

「一体何が起こった・・・」

 その言葉呟くように絞り出す。

「て、敵艦隊の増援です!戦艦5隻!それと護衛の艦船が十数隻!」
「戦艦のクラスは?」
「大和クラスが3、長門クラスが2、巡洋艦8、駆逐艦多数!」
「大和型が3隻だと!?バカな、大和型は2隻しか建造されてないはずだ!それに武蔵をレイテで撃沈したばかりだろ!?どうなっているんだ!!」

 第四艦隊と対峙していたアメリカ艦隊は、神国の増援の第一艦隊に反対側からも攻撃され、撃沈したはずの艦まで、現れたことによりパニックに陥っていた。
 遠距離からコロランドが一撃で撃沈されたこともあり、士気が急速に下がっていった。









 投稿遅れてすいません。
 

 




 

 





 
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