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存命編
ep10 痛覚と機転
しおりを挟む彼を放って奴が私の方へと近づいて来た
しかし私は今身体が強張ってしまい動けない
このどうしようもない状況に焦っていると
「おい待てよ、、 まだ誰も死んでねーよ」
声が聞こえた方向を見ると
吹き飛ばされた彼が立ち上がっていた
彼は続けて
「お前………自分の肌の自慢をするのはいいけど
それが逆に仇となってるぜ 」
「意味ガ ワカラナイ、、」
そう奴が答える
私にももう訳がわからなかった
すると彼は笑って
「………お前の右足見ろよ 」
奴の右脚を指しながら呟くように言っている
私は奴の 右足 を確認すると
ナイフが刺さっていたのだ
これには奴も少し動揺したのか
少し沈黙したあとにそのナイフを抜き取った
「サッキノ 我ノ蹴リニ 仕込ンダノカ、、」
「硬いのは良いけど
痛覚を無くしたのはアホだろ 」
そう笑って彼は応えた
いかにも余裕そうな雰囲気である
(ち、挑発してどうするの……!?!?)
私は引き続き動揺していると
奴は脚から抜き取ったナイフを捨てたあとに
「消シ飛ベッ!!、、」
大斧を無理やり地面に突き刺して手放し
物凄い勢いのまま奴は彼に向かって突撃した
ズドガァッ!!………
まともに受けた彼はそのまま後ろに飛ばされる
さらに奴は距離を詰めて右腕を引き
「潰レロ、、」
その右腕を出そうとした瞬間
劣勢に見えていた青年が身体を反りあげて
ビギギ………ドオゴォッ!!………
今度は彼が勢いよく殴り返した
先程とは見違えるほどの威力に私は絶句する
(さっきあなたのパンチは効かなかったのに…
何故………? )
私はただ困惑していると
胸部に彼の一撃を受け仰け反った奴は
「グッ……………」
奴がその声と共に後ろに下がった
そして辺りを見回している
「なぁ…今度は効いたか、、?」
金髪の少年がそう言いながら睨みつけて
ゆっくりと奴に近づいていく
「何故、、オ前ノ 腕ハ 折レテ イナイ?
我ノ 身体ヲ 殴ッタ ノダゾ、、」
奴も少し動揺しているようだ
青年に何か秘密があるのは明らかだったが
彼はさらに一歩踏み出して右腕を引いて構える
「知るかよ
いつまでも己が 狩る側 だと勘違いするなよ?… 」
彼のその重々しい言葉を聞いた瞬間から
私の身体には戦慄が走り鳥肌が立っている
その後場は膠着しその後しばらく沈黙が続いていた
それを打ち破るように 奴 は
「貴様ノ闘イブリ ニ敬意ヲ払ウ 」
「そうかい、本当にそう思うなら
撤退してくれると助かるんだけど? 」
急な奴の言動の変化に驚かされるなか
相変わらず馴れ馴れしくそう彼は返した
そして 撤退 という言葉に期待を寄せていると
「イイダロウ……
ナラ幾ツカ 質問ヲ サセロ、、」
そう奴は言って彼の合意を得る前に
「貴様ハ ドコニ立ッテイル、、?」
そう続けた
イマイチよくわからないこの質問が
全く関係のなかった 私の運命 を
左右する事になるのを私はまだ知らなかった
~ ep10完 ~
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