アレハタレドキ [彼は誰時]

えだまめ

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存命編

ep15 白と解明

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こうして俺の物語は急展開に至ることになった
アリシアに導かれた場所は 


不知火 造船所 跡地 だった…


確か俺の爺ちゃんが

第二次世界大戦下では
軍艦や駆逐艦などを造っていたらしいが
太平洋戦争が勃発した後やがて日本が降伏した
そこで戦艦が造られることは無くなり
その後に閉鎖して 跡地 となったらしい


(現在は立ち寄る人なんかいない 
と聞いてたのにな、、 )


なんて思いながら錆びた門の前に
近寄るとアリシアが


「… 入って 」 


「入るけどさ 結構俺疲れたんだよ 」


そう返して地べたに座り込んだ
ちなみに俺らは30分ぐらい
真夏の太陽に照らされながら歩いたせいで
体力もかなり消耗している


「案外貧弱ね 」


素っ気なく言われたのは付き合わずに
横目で俺は彼女に視線を移すと


右が青、左が薄い黄色をしている彼女の目……


彼女の目がこちらをじっと覗き込んでいた
俺は少し恥ずかしくなりソレを隠すために…


「そ、そろそろ行こうっ! 」


大袈裟に言って立ち上がるが
何事もなかったように無言でアリシアも続いた
門を通った先は大きな工場がある


(遠目だけど俺は幼い頃から
この跡地を遠目に見てきて育ってきたが
改めて近くでみると全くの別物に感じるな、、 )


俺は素直に建物に圧倒される
しばらくそのまま工場の中へ進んでいった


中は広々としており錆の匂いが充満している
大きな作業台に船の部品が多数置いてあった
俺はざっくりと辺りを見回していると


「カミダさん こっちよ 」


背後からそう声が聞こえて 
振り向くとアリシアが手招きしていた
俺はアリシアの方へ行くと 


「 おっ…おぉ……… すげぇ」 


ずっと床続きだと思っていた
この工場に 地下へとへ降る階段 があったのだ
薄暗い階段は石で創られており所々苔が生えている


「…………この先よ」


彼女はスタスタと先に降りていく
俺のペースに合わせるつもりは無いようだ


「お、おい 待てよっ……! 」


追いかけるように俺も早足で階段を降りていく
光が遠のき辺りが暗くなるなか不安を抱きながらも
彼女について行くことにした


(暗くて、足元さえ見えにくい………)

しばらく コツコツ… という
階段を下る音のみが響いていた
結構段数を降って暗さにも慣れてきた俺は


「本当にアリシアはここで育ったの?
とてもじゃないけど…
人が育つには環境が悪いのでは…? 」


地上から差す僅かな光が彼女の金髪を照らしている
薄っすら前方に見える彼女の後ろ姿に向かって 
恐る恐るそう聞くと


「 私が応えずとも…
答えはそろそろわかるわ 」


そう言いながらアリシアは降っている
俺も負けじと追いていくと



下の方から明るい光が見えた………



その光を見た瞬間、俺の身体は吸い込まれるように
加速して駆けるように降っていく


先導するアリシアを追い越して一直線に突き進む 


アリシアが何か言ったのはわかったが
気にもならなかった…


(この先に何かがあるっ……!! )



俺が あの日 偶然拾った手帳の手がかりが
漸くようやく見つかるかもしれないっ………!



そんな思いが強くなり鼓動が激しくなるなか
俺はその光に向かって飛び込んだ
飛び込んだ先には………



一面真っ白な 部屋 が広がっていた



~ ep15完 ~

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