アレハタレドキ [彼は誰時]

えだまめ

文字の大きさ
64 / 89
餼羊編

ep3 作戦開始

しおりを挟む

リータ/アリシアside


「ミクさんっ!………起きてくださいっ!」


1人保健室へ戻った私は
奥のベッドで寝ているミクさんを揺さぶる


「うーん… どうしたの、、? 」


昨日夜遅くまで皆の怪我の治療をしていたせいか
ミクさんはまだ眠そうだった
なんとなく目がトロンとして見える


「巨大なゾンビが… 出現したと……
皆さんは飛び出していきました、、 」


「えっ………… 本当っ……!? 」


スイッチが入ったのか彼女は
飛び起きて細い足に力を入れて立ち上がり


「リータちゃん…! すぐに行くよっ! 」


そう言って保健室のドアを開け外へ飛び出した
私もすぐにその後ろ姿を追いかける


(ミクさんはその巨大なゾンビが
何処に居るか把握してないはず………… )


なんとか追いついた私は先導するように
彼女の前を走るなかで


(なんだろう…… 凄く嫌な予感がする…………
何かが 迫ってくるような、、 )


そう思いながら私は向かった
セイシロウさん達が待つその場所へと………
しかし……… 


「リータちゃん…少し寄り道していこう!」


突然ミクさんにそう提案され立ち止まる
私には意図が読めなかった


~~~~~~~~~~~

誠士郎side


「そうなれば話は早い
なら俺が奴の注意を引くぜー? 」


即決すぎて同意も得てないが
楽斗はそう言うと共に歩道橋を降りていった
まぁもともと頼むつもりだったので



「楽斗っ…! 今回も生き残ろうぜっ! 」



自分がそう伝えると
楽斗が右腕を上に突き上げた
ソレはいわゆる 了解 の合図だった


(何にしろ奴の体長は7m程あるのだ
用心しなければならない………)


やはりどうしても不安が付きまとい
流石に鬱陶しく思っていると東真は眉をひそめ


「相手が未知だよ……… 」


「うん、とりあえずこの歩道橋は残したい
だから楽斗には回り道をしてもらうことになる
奴の横を素通りするのは無謀だしね 」


「そうだよね
ならとりあえずここで待機? 」


先程までの焦りは大分収まってきたらしい
かなり冷静に話す様子を見て自分は安心しながら


「うん そういうこと」


そう応えたあと
そのまま位置情報と作戦を再確認することにした
とても重要なことである



まず自分と東真は歩道橋にいる
少し先には7m程のゾンビが背中を向けている

そこに楽斗が周り道をして
奴の目の前に囮として現れる

楽斗は闘わずに
そのまま学校から奴を遠ざけるように
奴の注意を引きながら逃げ続ける

そしてゾンビが楽斗を狙っているところを 
自分と東真が奴の背後から狙う…………
一通りの確認を終えて待っていると



パァアアンッ、、!!!



標的がデカすぎるせいで楽斗の姿は見えないけど 
自分達の目の前から確かに銃声が聞こえきた
自分は木刀を握りしめ覚悟を決める


「東真、そろそろ行こうか……… 」


「え、楽斗は拳銃を持ってるの……? 」


「ん? 持ってないよ? 」


「え、ならあの銃声は、、?? 」


陸上部である自分や楽斗や美九は馴染み深いけど
そうでない彼には見当がつかないのも理解できる
自分は左手の親指と人差し指を伸ばし
それ以外の指を全て握り拳銃の形を作って



「スターティングピストルだよ 」



後ろで納得する東真を自分は先導するように
先に歩道橋の階段を降りていく


「さぁ……
奴を背後から攻撃しようっ!……… 」


~ ep3完 ~


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...