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餼羊編
ep4 反撃
しおりを挟む楽斗side
破裂音や金属音で自分の吐息さえ聞こえない
建物の瓦礫や木材が背後で飛散するなか
俺は作戦の要に立候補してしまったことを後悔する
「これは、、ヤベェェェッ……!! 」
ドギャアッ、、!!
逃げ惑う俺の背後で
相次いで道路や家が踏み潰されていく
瓦礫、木材、鉄骨の雪崩が起きてるみたいだ
「クッソがっ………!! 」
奴の巨大な手や脚の影で周りが暗くなった時に
すぐ全力で飛び込まないとゲームオーバー
本当に生きてるプレス機から逃げてる気分だ
そう想像する今も巨大な掌が迫ってくる
ドシイィンッッ………!!
前方へ飛び込みなんとか回避したのは良いが
非現実的なことに地面がしなっているのだ
脚がもつれバランスを崩してしまうなか
(クソッ、、 誠のヤロー…
ぜってえ生き残ってやるからなっ……!!)
そう思いながら奴の拳を飛んで
回避して後ろに振り向くと………………
「まじかよッッ………!?!?」
奴は電信柱を折って持ち上げていた
そしてソレ思いっきり振りおろし地面に叩きつける
ズドゴァアッッ………!!!
奴の狙いが逸れたのか
幸い電信柱自体には当たりはしなかった
しかし突風で飛び散る破片に襲われ負傷してしまう
だからと言って脚を止めるわけにはいかない
「無茶苦茶ッ、、しやがるッ…………!! 」
~~~~~~~~~
誠士郎side
奴は粉々になった電信柱を捨て楽斗を探している
彼が囮になってくれてるおかげで
順調に奴の背後へと接近することができた
自分は後ろへ振り向いて
「東真っ……! 」
「………どうしたっ…!? 」
「発砲は東真の判断に任せるっ!… 」
そう言って自分は
巨大なゾンビに向かって走り出す
(楽斗、、 死ぬなよっ…………!! )
奴との距離が縮まるほどに
どれほど巨大かがはっきりしてくる
「3~4階建のビルと戦ってる…………
まるでそんな感覚だな… 」
そろそろ楽斗も苦しくなってくるはずだ
こちらも仕掛けなければならない
(とりあえず、、 これを喰らえっ!!)
自分は手に持っている木刀を
やり投げのように身体全体を使って投げた
グシュッ、、!!
奴の背中に刺さりはしたものの怯まない
こちらに背中を見せたまま何かを拾っている
「やはり…火力不足か、、 」
自分がそう呟いていると奴が振り向いた
やはりかなりの圧迫感があった
(奴がコチラの存在に気付いたのは良いが…
このままでは歩道橋まで呼び込んでしまう)
そう思っていると
再度拾ったのか短くなった電信柱を振り上げ
ドバギィッッ………!!
自分を狙って電信柱を振り下ろし
思いっきり地面へと叩きつけてきた
「 危"ねぇっ…………!! 」
なんとか左に飛んで回避したが
その際に電信柱を地面に叩きつけて
砕け散った破片などが自分の方へ飛んできた
ビシュッ、、!!
そんな音を立てて自分の腕や顔を切り裂く
後ろに転がって距離を取った後に
奴の方を向くと
腕を上げて巨大な拳を振り下ろしてきた
ズドオォンッ………!!
腕の影を注視していたので
避けること自体はそこまで難しくないのだが
(くそっ…
地面が揺れて上手く踏み出せない…………)
目の前には奴の巨大な拳がある
握り拳だけで1m程はありそうだった
(どうにかして、、斬撃を………!! )
腰につけてる大型ナイフに右手をかけながら
そう思った瞬間…
「 囮ご苦労っ…! 反撃開始だっ……!!」
ズバァッ、、!!
そう叫びながら
砂煙のなか現れた楽斗が奴の握り拳に一閃した
刃は指のつけね辺りに深く食い込んでいる
「行くぞっ、、!! 」
自分は彼のその声に呼応するように走りだし
大型ナイフを逆手に持ち変える
そして身体を捻り体重を乗せたうえで
ズブシャッ、、!!
楽斗の斬撃を受けた箇所を狙って
大型ナイフを突き刺して全力で薙ぎ払った
「オラァッ…!ここからが勝負だッ……!! 」
楽斗が吠えるように叫ぶ
鋭い一撃が入ったのは嬉しいかぎりだったが
奴の拳に攻撃をいれたぐらいでは
致命傷には程遠い…………
このままではジリ貧で負けてしまう
なかなか決定打を打てないことに焦っているのは
東真も楽斗も同じなのかもしれなかった
~ ep4完 ~
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