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餼羊編
ep11 取り引き
しおりを挟むその黒い服装の男は
サングラスに手をかけてソレを外した
外人なのか青い両目が現れ自分は少し驚いた
「そこに倒れている者のパートナー的存在だよ
君たちには迷惑をかけたね 」
奴は淡々と答えた
その答え方と妙な余裕にイラついて
「…………コイツを今お前の目の前で殺したら
お前はどうするんだ………? 」
気絶して横たわっているメアリーに
ポケットナイフを当てて脅すように聞くと
「 君たちは疲弊して傷だらけだ
これ以上無用な戦いはしたくないだろう?
よく考えて選択するのは君たちのほう………
違うかな……? 」
奴はベルトに付けているナイフに手を回し
物凄い形相でコチラを睨みつける
(要するに殺し返すのか………… )
身体は消耗し足元は未だにフラついている
戦えば間違いなく殺されるだろう
相手はあのメアリーのパートナーなのだ
戦闘慣れしていないはずがない
「その通りだけど…」
自身の実力不足が悔しくムカつくが堪えるべきだ
ここで選択をミスしたら死ぬのは我々なのだ
どうして生き残ったはずの自分達が……………
感情的になりどんどん思考回路が定まらなっていく
このままではマズいと危機感を持つが
正直、どうするべきなのかわからないのだ
「…結果的に勝ったのはこっちなんだから………
無償で返すわけには当然いかない…よな……? 」
なんとか楽斗がガードレールをつたって起き上がり
痛みに表情を歪ませながら言った
「楽斗……!! 大丈夫か…?? 」
「まぁ… なんとかなっ………
誠っ…しかし………それよりも………………… 」
どうにか意識は保てているようで自分は安心した
楽斗はそう応えて再度男に視線を戻した
(彼の言うとおり先にコチラの話をつけないと…
一応我々は戦いの当事者だったのだから )
「なら取引しよう 」
男は呟いた後にナイフの柄から添えていた手を離す
それを聞いて少し動揺する自分に続けて
「何か1つ要求を聞くことにしよう
ソレと引き換えにな 」
こちら側で寝ているメアリーを指差し
さらにそう踏み込んでくる
側でリータは沈黙し楽斗は自分を見つめながら
「どうする……? 誠…………」
「うん… 乗ろう…………
そこの少女を殺してもこの男と闘う羽目になる
ソレだけは避けなければならない……… 」
横たわっている銀髪の少女に視線を移しながら
呟くように自分が答えると
「理解してもらえて嬉しいよ 」
男が嬉しそうに呟いた
イマイチ彼の狙いがわからないが確認するべきだ
自分は息を軽く吸って
「何でもって………
本当になんでも良いのですか? 」
「常識の範囲内で………ならな 」
当然といえば当然の応えが返ってくる
暫く沈黙し長考することにした
楽斗は何か勘付いたのか
「誠… 何か考えがあるのか…………?」
「一応……ね
まぁ当然といえば当然な要求なんだけど……… 」
「なら任せる 俺はお前に従うぜ 」
そう言って楽斗は口を閉じた
自分に選択を委ねてくれたことを嬉しく思った
(自分達は今……
圧倒的に足りない もの がある………)
ソレは武器でも兵器でもないもっと初歩的なもの…
さらにソレは何処で入手するのかさえ不明である
終焉の日を境に少しずつだが確実に
この世界の裏の素性が現れ始めているのだ
初歩的なソレが無いからこそ
今回はここまで後手に回されたのだろう
そう今自分が欲しいものは…………
「傀儡者について貴方が知っていることを
全て話してもらえますか………? 」
勿論、情報である
この選択が最善手だったのかは今でも不明だが
思い出せば全てはココから始まったのだ
復讐劇を終えた自分にとっての第2幕……………
この世界には 第3勢力 が存在している
人間とゾンビが生存をかけて戦うこの世界に
どちらにも属さない精鋭の出現…………
前劇より遥かに荒れるのは想像するに容易かった
~ ep11完 ~
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