聖霊の宴

小鉢 龍(こばち りゅう)

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下・聖剣の大陸

阻む者達

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南方、最大の大陸をもつ厳冬の大陸。

年間の平均気温は10℃に満たず、過去に最低気温マイナス35℃を記録した極寒の地である。


年の四半分は雪に覆われ、食料は他の大陸からのものが八割。食料自給率は2割に満たない。

「しかし、寒いなぁ」

マントに身を包むシルク。

同じようにマントに身を包みながらも身体を震わせるマリア。

その隣で平然としているワイズとリンク。

「ワイズ達は何故平気なんですか?早春の大陸を出てから服を重ねたりしてませんよね?」

ワイズとシルクは互いを名前で呼ぶことを決めていた。

「ていうか何であんたまで平気そうなのよリンク?」

リンクはマリアを見て嫌らしく笑う。

「風だよ」

「風……?」

ワイズは足元に積もる雪を一つまみして、身体の側で手を離した。

すると、雪の粉がワイズとリンクを囲うようにして回り始めたのだった。

「そうか、気流で雪を弾いて、更に熱伝導を遮断しているんですね!」

「ご名答。

更に秘密を言うなら、気流の中は早春の大陸の空気を閉じ込めてあるから、僕達には快適ってわけさ」 

「そんな魔力の無駄遣いして……」

マリアが呆れた様に言うと、ワイズが笑う。

「この程度の風を操るのなんて息をするのと一緒だからね」





一行はサスケの待つ城の門にまで潜入した。

遠くに見えるだけの城からですら感じるサスケの強大な魔力。

「全く化物じみた魔力ね……大陸王ってやつは」

マリアは額に汗をかいていた。

「可愛そうにこんなに震えてしまって……」

「――――!!」

突如現れた細身の男。

ワイズやシルクですら近づいてきていたことに気付かなかったほどに、魔力が

「何この人、ゴミみたいに弱い魔力しか感じないんだけど?」

恐らくワイズやシルクの様に意図的に魔力を抑えているわけではない。

しかし目の前に突如現れ、怪しく笑う男から感じる魔力はマリアやリンクの半分。

さもすればそれ以下にも感じる。

「まさかあんたが第一の刺客で私達を相手に戦いに来たなんて言わないわよね?」

マリアが戦いの姿勢に入っただけでも魔力の差は歴然だった。

しかし男の不快な笑みは消えない。

「まさか?可笑しなことを言いますね。

それ以外に敵前に姿を現す理由などないでしょう?

いきますよ『ミラージュ』」






男が魔力を解放すると同時に、リンクはワイズ達に幻術をかけていた。


幻術は基本的には先にかけた幻術が機能する。

勿論例外はある。

クラフィティのパラレルステッキやソフィアの幻術など、上位精霊の能力であったり、オーパーツなどの強大な魔力があれば上書きが可能になる。

「皆の視界に小さな青い花が見える"だけ"の幻術をかけた。

こいつは僕が戦うから皆は先に進んで」


シルク達の視界に確かに青い花が咲いていた。

勿論雪の上に花が咲くわけはないから、リンクのかけた幻術である。

「ここはあの子の言う通りに先へ進みましょう」

マリアがすぐに駆け、それにシルクが続いた。

ワイズはリンクに振り返える。

「何か雰囲気が怪しい。くれぐれも気をつけろよリンク」

「分かってるよ。

城に返ったらまたケーキいっぱい用意してよね、ワイズ」

ワイズは大きくグッドサインを残してマリア達に続いた。

ピクシーがゆっくりとリンクの肩に乗る。

「ご挨拶が遅れましたね。

私はゲイン。リンク、あなたを始末する為にやってきました」








城門の中に入ると同時に3人は違和感に気付く。

「敵の気配がない……?」

統一王戦が幕を開けた今、城に留まるのであれば護りを堅くすることは当たり前の策である。

しかし城門を抜けた先には警備の姿はない。

「いや、敵どころじゃない。

人の気配すら全くと言っていいほどにない」

「いったい、これはどういうことなのでしょう?」

この時、ワイズだけはサスケの思考に近づいていた。

しかし確証もなければ、そこにはただの欺瞞しかない。

統一王という地位と名誉を掛けた戦いで、ワイズの思い描いた策に出る必要性は見られなかった。

「なに、罠であれ何であれ、敵の本拠地に潜入しているんだから気を引き締めるしかないさ。

それに……どうも嫌な予感がしてならなくてね」

「ワイズ?嫌な予感とは?」

ワイズは走りながらシルクの方を見た。

吐き出す息が不自然なほどに白い。

「…………。

何だか外よりも寒く感じませんか?」 

肌を震わす寒さを越え、マリアには肌を刺す寒さに感じた。

それも城門を抜けると感じたもので、外気よりも寒いという不自然。







城の中央の入り口へとたどり着いた3人。

辺りはまつ毛や髪の毛すらも凍り付く極寒となっていた。

入り口の前には1人の人物が立っていた。

その人物を見たワイズが小さく「やはりな」と溢した。

「ようこそ早春と立夏の大陸王」

小柄で線の細い少女。

ボブの金髪、眉毛もまつ毛も輝く様な金。

その奥に光るエメラルドの様に美しい緑の瞳。

近くまで行くとマリアが目を見開いた。

「あ、あれは――


元厳冬の大陸王・グレイシア・ウィザード様」

敵として考え得る中で最も危険な存在。

それは元大陸に他ならなかった。

今回の宴で破れたとはいえ、目の前にいる少女からはっせられる魔力はシルクやワイズにも劣らない。

「――はっ!

マリア、シルク」

「えっ?」

「……………」

ワイズは無言で辺りを見渡せ、と合図を送った。

辺りにはワイズやシルク達をとり囲う様にして6人の精霊使い達が集まっていた。

「グレイシアの不自然に飛ばされる強大な魔力に隠れていて、近づいていたことに気付かなかったな」

「なによこれ、凄い窮地じゃない」








ワイズは無言でグレイシアを見つめるシルクを見て笑った。

「動揺は微塵もなし。か……

頼もしい限りだよ立夏の大陸王」

そうシルクはすでに臨戦態勢に入っていたのだ。

実はシルクは近づいていた6人の気配も察知していた。

しかし、その6人に気を回すよりも目の前にいるグレイシアに集中しなければならない。とほぼ確信し、そう行動していた。

「――マリアさん!跳んで!!」

シルクの突然の叫びに、マリアがその場で跳ぶ。

すると、マリアが立っていた足元から鋭利な氷柱が逆さまに生えて地面をズタズタにしていった。

シルクより2秒遅れてワイズがグレイシアの攻撃に気付く。

ギフトであるそよ風のフルートを取り出し、風の刃で生えてきた氷柱を切り刻んだ。

マリアはワイズによって突端を切り取られた氷柱を、足場にして地面に着く。

「さすがにやるわね。

でも私にばかり気を取られていて良いの?」

そう不敵に笑って、グレイシアは3人の後ろを指差した。

「――なっ、いつのまに!?」

目の前に迫る6人の精霊使い。

ワイズがシルクとマリアに背を向けるようにして前に出た。








「シルフィード――『鈴風=スズカゼ=』」

そよ風のフルートにワイズが魔力を込めて息を吹き込む。

清らかな音色が辺りに響き渡る。


シルク達に襲い掛かっていた6人は一斉に、聞こえるはずのない鈴の音を聞いた。

それは耳元にまとわりつく。

夏の涼しい風が肌を撫でた感触を認識した時、6人の視界には夏の大草原と照りつける太陽の景色が広がっていた。

「――どういうことだ?」

「我々は確かに厳冬の大陸、雪の世界にいたはず」

「まさかこれは、幻術?」

ワイズは幻術は使えない。

いや、正確に言うならばシルフィードの能力では幻術は使えない。

「やはり太陽の光というのは清々しいね」

突如目の前に現れたワイズ。

6人は身構える。

「これは幻術ではないよ。

……ま、現実でもないけれどね」


そう言ってワイズは口元を緩めた。








「はぁあ、『光撃』!」

シルクの左腕から閃光が瞬き、グレイシアに向かっていく。

「――『氷晶反射』」

グレイシアの足元から氷の壁が現れ、シルクの放った光を反射させる。

その影から現れたマリアがギフト・ポセイドンの槍を振り下ろす。

「ちっ、面倒くさいやつらね」

水流で氷壁を圧砕するマリア。

グレイシアは後方に跳ぶ。

「『水弾』!!」

マリアが魔力を込めると大気中の水分が集まり、マリアの周りに8つの水の塊を生み出した。

ポセイドンの槍をバトンの様に器用に回転させると、周りにあった水の塊も回転を始める。

槍を天に突き上げ、切っ先をグレイシアに向ける様にして振り下ろす。

乱回転しながらグレイシアに向かって放たれた水弾。

8つのそれは回転しながら重なり合い、まるで水の竜巻の様に巨大な塊となってグレイシアを飲み込む。

水飛沫が散る。

「はぁはぁ、やった?」

マリアは魔力をかなり消費したのだろう肩で息をしている。

吹き上がった水が空に向かって弾ける。

舞い散った水滴が氷の結晶となって、ふわりと落ちてくる。

「……マリアさん。

どうやらまだみたいですよ」

「――なっ!?」






一瞬。

一陣の凍える様な風が吹いた。

パキッ。パキキィィッ。

吹き上がった水が瞬く間に、根元から凍り付いていく。

そして厚いガラス板が割れた様な音が鳴り響き、中心からグレイシアが現れた。

「ガキ共が……調子に乗ってんじゃねぇぞ!!

シヴァ――『嶺氷結界=レイビョウケッカイ=』」

グレイシアから放たれる、心臓を鷲掴みにされているかのように錯覚してしまうほどに、強大な魔力。

四方1キロメートルに渡る、巨大な結界がその中にいたシルクとマリアを飲み込む。











しかし、この結果はシルク達が図らずも望んでいたものであった。


シルク達の作戦は相手戦力を分断し、余力のある者でサスケを討つ。

それが成功すれば統一王へと近づく。

失敗すれば一気に早春と立夏の大陸王が倒れることになる。

リスクは限りなく大きい。しかし掴み取ればリターンは、それ以上に大きい。










一瞬。

一陣の凍える様な風が吹いた。

パキッ。パキキィィッ。

吹き上がった水が瞬く間に、根元から凍り付いていく。

そして厚いガラス板が割れた様な音が鳴り響き、中心からグレイシアが現れた。

「ガキ共が……調子に乗ってんじゃねぇぞ!!

シヴァ――『嶺氷結界=レイビョウケッカイ=』」

グレイシアから放たれる、心臓を鷲掴みにされているかのように錯覚してしまうほどに、強大な魔力。

四方1キロメートルに渡る、巨大な結界がその中にいたシルクとマリアを飲み込む。











しかし、この結果はシルク達が図らずも望んでいたものであった。


シルク達の作戦は相手戦力を分断し、余力のある者でサスケを討つ。

それが成功すれば統一王へと近づく。

失敗すれば一気に早春と立夏の大陸王が倒れることになる。

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