聖霊の宴

小鉢 龍(こばち りゅう)

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下・聖剣の大陸

吹雪く戦火

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『あの髭男の能力が分かった?本当なのワイズ?』

シルフィードの心配そうな問いにワイズは笑って答える。

「君は聖霊だ。自分を信じていれば良いよ」

「無駄話は終わったかい?」

容赦なく降り下ろされる斧。

ワイズはひらりとかわす。

「シルフィード。『風来』」

ワイズが魔力を込めた瞬間。

アルベルトが魔力を放つ。

生み出された風が止み、ワイズの術は不発に終わる。

「やはりね。」

ワイズはアルベルトを見据える。

そして手をかざした。

「どうやら君の精霊は気圧を操る事が出来る様だね」

風は大気圧の高低差によって生じる。

アルベルトの精霊はその気圧を小さな空間ではあるが全く等しい大気圧にすることによって、風が生じることのない空間を作り出していた。

「その通り。さすがは聡明なるワイズ王だ。

そして気圧を急激に変化させれば人間の身体を押し潰すこともできる『スカイ・フォール』」

大気の壁に押し潰される様にしてワイズの身体が地面に沈んでいく。

『ワイズ!!』

メリメリと音をたてて地面が割れる。

足が少しずつ地面に沈んでいく。

「ふふ」

アルベルトはワイズが笑うのを確かに見た。

「何が可笑しい!!

やれ!あいつは今動くことができない!!」

ボンドとアリが迫りワイズをその凶刃の射程距離に捕らえた瞬間だった。

「散れ『嵐風』」










「――――なん、だと!?」






















『あの髭男の能力が分かった?本当なのワイズ?』

シルフィードの心配そうな問いにワイズは笑って答える。

「君は聖霊だ。自分を信じていれば良いよ」

「無駄話は終わったかい?」

容赦なく降り下ろされる斧。

ワイズはひらりとかわす。

「シルフィード。『風来』」

ワイズが魔力を込めた瞬間。

アルベルトが魔力を放つ。

生み出された風が止み、ワイズの術は不発に終わる。

「やはりね。」

ワイズはアルベルトを見据える。

そして手をかざした。

「どうやら君の精霊は気圧を操る事が出来る様だね」

風は大気圧の高低差によって生じる。

アルベルトの精霊はその気圧を小さな空間ではあるが全く等しい大気圧にすることによって、風が生じることのない空間を作り出していた。

「その通り。さすがは聡明なるワイズ王だ。

そして気圧を急激に変化させれば人間の身体を押し潰すこともできる『スカイ・フォール』」

大気の壁に押し潰される様にしてワイズの身体が地面に沈んでいく。

『ワイズ!!』

メリメリと音をたてて地面が割れる。

足が少しずつ地面に沈んでいく。

「ふふ」

アルベルトはワイズが笑うのを確かに見た。

「何が可笑しい!!

やれ!あいつは今動くことができない!!」

ボンドとアリが迫りワイズをその凶刃の射程距離に捕らえた瞬間だった。

「散れ『嵐風』」










「――――なん、だと!?」






















地面も木々も生命さえもを呑み込み食いつくす嵐が巻き起こる。

それは六人の精霊使いをいとも簡単に飲み干し吹き飛ばす。

「僕の聖霊シルフィードは確かに風を操る。しかしその風にも種類があってね。

無論、君が言ったように大気圧によって生じた風を操ることもあるし、物理的に振動を起こしその風を操ることもある。」

ワイズはゆっくりと城へと振り返る。

「そして魔力によって現実と隔離された空間から呼び起こす風もある。

君の選択は正しかったが、君は無知過ぎたね。
こらは科学の闘いではない。魔力による神々の闘いの一端なのだ」

六人もの精霊使いを一蹴して、ワイズは一人サスケの待つ城の中へと進んでいくのだった、





その頃、マリアと共闘するシルクは元厳冬の大陸王グレイシアの圧倒的な魔力に苦戦していた。

「ふふ。どうしたのかしら坊や達?さっきまでの威勢は何処にいったのかしら?」

底知れぬ程の強大な魔力。

それは闘いにおいて魔術を制限なく使えると言うこと。

マリアは魔力が少ない。

いつでもその限界を計算しながら術を使わなければならないというハンデを背負っていた。

「マリアさん?」

「はぁ、はぁ。平気よシルク。

それよりもグレイシアから目を離さないで」

一瞬の気の緩みが甘さが即命取りとなる闘い。

シルクは一抹の不安を拭えずにいた。

フレアを下し立夏の大陸王となったシルクではあったが、大陸王と命をかけた闘いをするのは初めてだった。

これまでにフレアやワイズと拳を交えたが、どちらもシルクの力を計るのが目的であって真の力は出していなかった。

「さすがは元厳冬の大陸王。対峙しているだけでプレッシャーに押し潰されてしまいそうだよ」


『これが本当の命をかけた闘いというものですね。ゲセニア以来の本当の闘いです』




グレイシアはマリアと同じく遠距離、中距離からの魔術を操るタイプだった。

そのスピードはマリアのそれとは比べ物にならないほど速く鋭い。

「凍てつきなさい『アイス・ストーム』」

極寒の風が吹きすさみ辺りにある在りとあらゆる物を氷付けにする。

「これだけの広範囲の物を氷らせるなんて、なんて厄介な術なの?」

マリアは己を水流の中に取り込みグレイシアの産み出した凍てつく気流を遮断する。

シルクは至ってシンプルに大天使の羽衣で自身を覆うことによって身を守っていた。

マリアの水での攻撃はグレイシアの氷結との相性が悪く、術を発動すればするほどに、グレイシアが自由に氷を使えるようになってしまう。

唯一の水流での攻撃は氷を切り裂くことが出来るが、マリアの魔力の消が激しく使うことは難しい。

本来ならば二対一の利点は一人を陽動に勝機を見いだすことにあるのだが、今のマリアの力では陽動にすらならないほどにグレイシアとの力が隔絶されたものとなっていたのだ。

更に負の連鎖を起こす要因はシルクの心にある。

『シルク……』

マリアは厳しい表情でシルクを見る。

その意図がシルクにはよく分かっていた。

そしてそれを実行できないシルクの心をミカエルは痛いほどに分かってしまうのだった。


その小さな動揺を見逃すほど元大陸王は甘くない。













全く指ひとつ動かすことなくグレイシアはマリアの足元から鋭利な氷の刃を生み出す。

マリアはそれを右斜め前方に回避する。

続く吹雪がマリアとシルクとを分かち、更にお互いを視認できない目隠しとした。

この時点でシルクには選択肢が二つしかなかった。

一つはマリアの援護をする為に吹雪を突破すること。

もう一つもやはり目的は同じなのだが、グレイシアに突撃し確固撃破を狙うこと。

シルクは即断で後者を選択する。

「タラリア!!」

一蹴にして千里を駆ける黄金の靴。

刹那にグレイシアの眼前へと迫る。

「捕らえろ『光縛』!」

大天使の羽衣がグレイシアを巻き込み捕らえる。

そのグレイシアからは魔力どころか体温すら感じ取れない。

「これは、氷像の変わり身!?そんな、いつの間に!!」

シルクの選択は間違っていた。

そしてその選択をすることにグレイシアは確信していたのだ。

シルクは戦士としての気構えに足りない部分がある。

これは大陸王としてはそれほどまでに必要な素養とは言えないのだが。

しかし、甘さとも言えるシルクの優しさは闘いにおいては負の要因になることが多々ある。

今回は弱肉強食の世界でその超絶な魔力によって大陸王となったグレイシアとの闘いでる。

その気持ちが裏目に出ることは自明の理であった。



グレイシアは余裕の笑みと、強者の眼で以て一人になったマリアの前に対峙していた。

「ふふ、本当に馬鹿な坊やね」











グレイシアは哀れみにも似た冷徹な表情でマリアを見据える。

マリアの表情は吹雪によって伺うことができない。

「哀れな坊やね……」

グレイシアは余裕でマリから目を放し、吹雪の先にいるにであろうシルクに言っているかのようだった。

「哀れ……?シルクが?」

マリアの声にグレイシアはマリアに目を向ける。

「なに?なにか間違っているかしら?

一時の情に流されしもべを消される。そんな大陸王を指さずに何を哀れと言うのかしら?」

冷たい目に冷たい口調。

話しているだけで極寒の地で震えているかのような感覚に陥る。

しかしマリアに震えはなかった。

もしマリアの身体がユレテイルとしたら、それは恐怖などではなく、ただ純粋な怒りであった。

友を大陸王を仲間を蔑まされたことへの純粋な怒り。

「ふっ。哀れとはあなたみたいなことを言うのよ」

「なんですって!?」

マリアはゆっくりとポセイドンの槍を構える。

「仲間の力を信じることができない。信頼と絆と言う何物にも勝る力を知らないあなたを私は哀れむわ!」

マリアの魔力が溢れだす。

それはシルクと戦ったあの頃とは隔絶された、洗練された魔力だった。

「見せてあげるわ。私がこの戦いでシルクとワイズ王の為だけに使うと決めた力を!

ウンディーネ!!」

大気中の水分が溢れだし、それらはマリアの槍の回転の導きによって収束していく。

大海流は雪原をも引き裂き飲み込む。

そして、その中心部からマリアはウンディーネを招来する。

「精霊の招来!?まさか、あなたーー」




「いくわよグレイシア!これが私のオーパーツ
『ロッド・オブ・バミューダ』!!!」





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