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厨二病魔法学級開講
2-C 9番 小野田 希心①
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「はわわわわ、高嶺くんまた学年1位だったよ格好良い」
「のぞみんは高嶺好きだねぇ、どこが良いの?」
「す、すすす、好きとかじゃないよ!やめてよちーちゃん、私なんかが高嶺くんを好きになれるわけないじゃん」
C組の教室の窓側、その1番前の席でのぞみんこと小野田 希心(おのだ のぞみ)と、親友のちーちゃんこと中村 千鶴(なかむら ちずる)が、期末試験で学年1位を取った高嶺のことを話していた。
「おい、デブ鶴どけよ邪魔だろ」
その声に1番ビクッと反応したのは小野田だった。
クラスで身長も高く、ふくよかな中村のことを「デブ」だと罵る生徒は少なくない。そんな標的にされる理由は体型だけはなくて、クラスの中で大人しいことや、アニメが好きだったり、そんな凄く視野の狭いマイノリティであることも大きな要因だった。
こと、中学生という多感な時期に、半ば強制的に限られたコミュニティで過ごさなければならないことを考えると、頭ごなしに加害者だけを責めるわけにもいかない。
しかし、見た目や容姿について非難するなど誰にも許されることではない。マイノリティな考え方や、趣味・嗜好があったからといって迫害して良い理由もない。
義務教育とはそうした部分を教える場でもある。
「あたしがデブだろうと、道あるじゃん。通路があるの見えないの?それとも、自分はこんな所も通れないか弱い存在アピールでもしてんの?バカバカしい」
「はあ?なんだとデブ」
中村は立ち上がって、その男子生徒と向かい合う。身長はほぼ変わらないので、並行に睨み合う。
「ち、ちーちゃん止めようよ。男子とケンカとかダメだよ」
「ほれ、オトモダチがそう言ってるぜ、座れよデブ」
学年トップなどには興味が薄く、教室に戻ってきていた生徒数人もその様子を見つめていた。
「のぞみん、これは男女とか関係ない」
「でも、でも、みんなも見てるし、もう先生もくるし……」
小野田は中村のことも、男子生徒のことも見ることが出来ないまま、2人だけにようやく届くくらいの声で仲裁をしようとしていた。
「けっ、口うるせぇデブと、おどおとしたコミュ障女とか最悪の組み合わせだな」
そう言い捨てて、その生徒は元から空いていた2人の傍の通路を通って自分の席へと戻って行った。
「あ、あはは、ケンカにならなくて良かったね。。。なんて」
中村はゆっくりと座り直し、自分から目をそらす小野田を見ていた。
「のぞみん。あれはケンカですら無いし、ああいうヤツが人のことを傷つけていることにも気づきもしないで、罪悪感も無いままにこれからも私たち以外も傷つけ続けるんだよ」
中村の落ち着いた声に、小野田は胸が苦しくなって、何かを誤魔化す為に笑っていた。
「私はこれからもああいうヤツには、「お前は間違っている」って言い続けるよ。そうしないと、いつかアイツに傷つけられてしまう子を、私は見捨てたことになると思うから」
親友の言葉から目を背けて、俯いた視線の先で自分の手が小刻みに震えているのを見た。悔しさもあっただろうし、恥ずかしさや、後悔もあったことは確かだった。
小野田は人の目を真っ直ぐに見ることが出来ない。
それは、物理的な話でもあるし、精神的な話でもある。
人と向き合うことがどうしようもなく怖くて、すぐに目を逸らす自分が情けなくて恥ずかしくて、どうしようもなく好きになれないのだ。
「のぞみんは高嶺好きだねぇ、どこが良いの?」
「す、すすす、好きとかじゃないよ!やめてよちーちゃん、私なんかが高嶺くんを好きになれるわけないじゃん」
C組の教室の窓側、その1番前の席でのぞみんこと小野田 希心(おのだ のぞみ)と、親友のちーちゃんこと中村 千鶴(なかむら ちずる)が、期末試験で学年1位を取った高嶺のことを話していた。
「おい、デブ鶴どけよ邪魔だろ」
その声に1番ビクッと反応したのは小野田だった。
クラスで身長も高く、ふくよかな中村のことを「デブ」だと罵る生徒は少なくない。そんな標的にされる理由は体型だけはなくて、クラスの中で大人しいことや、アニメが好きだったり、そんな凄く視野の狭いマイノリティであることも大きな要因だった。
こと、中学生という多感な時期に、半ば強制的に限られたコミュニティで過ごさなければならないことを考えると、頭ごなしに加害者だけを責めるわけにもいかない。
しかし、見た目や容姿について非難するなど誰にも許されることではない。マイノリティな考え方や、趣味・嗜好があったからといって迫害して良い理由もない。
義務教育とはそうした部分を教える場でもある。
「あたしがデブだろうと、道あるじゃん。通路があるの見えないの?それとも、自分はこんな所も通れないか弱い存在アピールでもしてんの?バカバカしい」
「はあ?なんだとデブ」
中村は立ち上がって、その男子生徒と向かい合う。身長はほぼ変わらないので、並行に睨み合う。
「ち、ちーちゃん止めようよ。男子とケンカとかダメだよ」
「ほれ、オトモダチがそう言ってるぜ、座れよデブ」
学年トップなどには興味が薄く、教室に戻ってきていた生徒数人もその様子を見つめていた。
「のぞみん、これは男女とか関係ない」
「でも、でも、みんなも見てるし、もう先生もくるし……」
小野田は中村のことも、男子生徒のことも見ることが出来ないまま、2人だけにようやく届くくらいの声で仲裁をしようとしていた。
「けっ、口うるせぇデブと、おどおとしたコミュ障女とか最悪の組み合わせだな」
そう言い捨てて、その生徒は元から空いていた2人の傍の通路を通って自分の席へと戻って行った。
「あ、あはは、ケンカにならなくて良かったね。。。なんて」
中村はゆっくりと座り直し、自分から目をそらす小野田を見ていた。
「のぞみん。あれはケンカですら無いし、ああいうヤツが人のことを傷つけていることにも気づきもしないで、罪悪感も無いままにこれからも私たち以外も傷つけ続けるんだよ」
中村の落ち着いた声に、小野田は胸が苦しくなって、何かを誤魔化す為に笑っていた。
「私はこれからもああいうヤツには、「お前は間違っている」って言い続けるよ。そうしないと、いつかアイツに傷つけられてしまう子を、私は見捨てたことになると思うから」
親友の言葉から目を背けて、俯いた視線の先で自分の手が小刻みに震えているのを見た。悔しさもあっただろうし、恥ずかしさや、後悔もあったことは確かだった。
小野田は人の目を真っ直ぐに見ることが出来ない。
それは、物理的な話でもあるし、精神的な話でもある。
人と向き合うことがどうしようもなく怖くて、すぐに目を逸らす自分が情けなくて恥ずかしくて、どうしようもなく好きになれないのだ。
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