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『まて』をやめました 49
夢よ!
きっとこれは夢ね!
そうとしか思えない。
エドワード様が、そんな行動をする甘々な人ではないはずだもの!
きっと、私の夢よ!!!
未だにくるくると私の髪を指に巻き付け、口づけ更にはクンカクンカ・・・・・してる?
「・・・すまない。
君が、クラウディアが俺の色を身に着けているのを見たらなんだが、とても、とても感情がこみあげてきて、我慢しきれないくらい嬉しくなって・・・。
あぁ、夢じゃない。
本当にクラウディアが俺の色をつけてくれている・・・
やっぱり、俺はクラウディアが、とても好きだ。」
恥ずかしさから現実逃避を試みようとしていたところに、感情が抑えきれないような震えるようなイケボの甘い声でため息の様にささやかれてボンっと、堪えていたものが熱が顔に籠った。
今の私は、誰は見ても真っ赤に熟れた果実の様になっていることだろう。
私だって、口説かれたこともあるし気障ったらしいことも言われた。
がっ、こんな風に熱い感情をぶつかられることなんてなかった。
けどけど、これは
相手がエドワード様だとどう返していいのか・・・
うわ~~~っ
頭がぐるぐるまわるぅ
私が望んで夢を見てた内容だけど、現実になるとこんなに嬉し恥ずかしで、どうしていいのかわからない。
もうもう、どうしよう。
・・・クスッ
真っ赤な顔を隠したいのに、至近距離で髪を取られたままでは顔を背けずにいたところに、エドワード様のかすかな笑い声が聞こえた。
反射的に伏せたいた顔を持ち上げて顔を正面からみると、男性のはずなのに花が綻ぶような笑みを浮かべたエドワード様の目と合った。
美しい笑顔だった。
今まで見た中で一番美しいと思える笑顔。
もともとが中性的な美貌の持ち主であったエドワード様。
花が綻ぶ笑顔とはこうなのかと、ほれぼれするような神々しさまである微笑だった。
「まだ期待していいだろうか?
もしも、本当にまだ好意があるのなら、願いがあるんだ。
お互いを愛称で呼び合いたいんだ!
・・・その、ディアと呼んでも?」
「ふぁ、ひゃなぁ・・・うぁんんんっ」
美しい微笑に魅了されて声が言葉の味をなさない私に、嘗ての私が願っていたことがエドワード様の口から甘く、でも緊張した声で私の愛称を囁かれた。
ふわぁぁぁ~、恋人同士になったら思いを通じ合えたなら、いつかいつかお互いを愛称で呼び合いたいと願っていたそれをエドワードさまから請われるなんて・・・
沸騰した頭で、考えもまとまらないうちに反射的にコクリと首肯してしまった。
「あぁ、ありがとう・・・ディア」
初めて目にした。
男性なのに、花を背負った笑顔を咲かせた人。
いや、やっぱりエドワード様は人じゃないかもしれない。
こんなに人を魅了する笑顔を浮かべる人なんて知らない。天上人でもない限りあり得ない。
レティシア様も女神様だし、やっぱりこの美しさはそうなんだわ。
そう恥ずかしさから現実逃避でありえない方向に妄想を膨らまそうとしていたところへ、柔らかいエドワード様の声がさらにクラウディアを妄想の世界へ誘う。
「・・・ディア、今度は君から呼ばれたい」
うはっ!!!
鼻血が出るかと思って思わず鼻を手で覆った
かわいらしく両手を使ったから、鼻血を押さえているなんてバレていないよね?
鼻血が出そうなくらいに興奮しているけど、反対に頭は冷静に・・・いや違うな興奮状態だけど、お花畑の中にいるような1周どころか10周回ったようなランナーズハイな状態で却って冷静だった。
冷静だよ。
冷静だもん。
だって、花背負った長年恋焦がれた婚約者に、今日1日だけで10年間の夢がすべて叶ってるんだもの。
甘い囁きでしょ、憧れの婚約者の色の贈り物でしょ、愛称で呼び合うでしょ・・・これで、更にみんなの前で見つめ合いながらダンスでも踊ればコンプリートよ。後は教会の祝福の鐘までまっしぐら!
って、まてまて、冷静に、冷静になれ、私。
そうよ、私はまだこの国にいるんだから、いくら夢が叶ったからって・・・
「・・・ディア?」
耳にかかる吐息のような囁き。
気が付く、耳元に触れそうなほど唇を寄せて・・・
エドワード様!何してくれていますか!?
もしかして、あのオトモダチになったハンス様の入れ知恵ですか?
い~や~、もう~やめてぇ
しっかり自我をもって、対応してたいのにこのままじゃぁ
・・・陥落させられる。
トンッ!
噴火しそうな頭でまともな思考が保てない、頭が沸点に届きそうなとき腰あたりに柔らかな衝撃があった。
「姉様、ひどいやっ!」
「えっ?」
振り向くとそこには、子供らしいかわいらしい顔、でも父親ゆずりの秀麗な精悍さが垣間見える今日の主役である─────10歳の王太子殿下が拗ねた顔で見上げていた。
「今日は僕の、違った、私のエスコートを受けてくれるって言ったのに、こんなところでほかの男と・・・」
ウエスト部分にぎゅうぎゅうと抱き着いて、唇を突き出しぷうっと頬をふくらませる姿は子供らしくかわいらしい。
今日一日披露してきた、立派な王太子の姿からは想像できない姿。
王太子になったとはいえ、子供は子供。
無理に大人びなくていいと思うのが私の信条だ。
だから控室でも「今日からしっかりしないと!」と意気込み過ぎて蒼白な顔で強張っていたが、無理をしないでとそっと抱きしめてしまった。
従姉弟で親戚だから、家族のようなもの。家族なのだから、甘えていいのよって、家族の前では素を晒して息を抜いたほうがいいと、ついつい余計な助言をしてしまった。
王妃様もきっと親心から、親戚の姉的な存在がパートナーになれば王太子の緊張をほぐされると思ったんだろうな。
この1年で王子様は、私のことを6番目の姉のように慕ってくれてて、前国王のお爺様のところによく顔を出しては時間を忘れるほど話し込むことも多い。
立太子前の忙しい時期になっても、変わらずに・・・
王太子殿下の侍従さんたちが影で泣きながら仕事をしていたとかなんとか聞いたような気がするが、気がするんだが、まあ気にするまい。
だって、ヴィクター殿下も幼い時から兄王の為にって、年齢よりもかなり無理をして大人びた行動をとってきたのを知っているから。前陛下が私たちを友達として傍に置いたのも、諸外国のことに詳しいもあるけど同じ年の子供たちと年相応の交流ができるようにっていう意図もあったと思う。
そんな息が抜ける存在に、幼い王太子にとってなれるといいなと思うのだ。
っで、今回は助かった。
王太子殿下の乱入で、甘い雰囲気に流されそうになっていたから。
衝撃を感じて、頭がスッと冷静に、なった?
んんん~~~~~、エドワード様とのこんな逢瀬を見られると・・・やっぱり恥ずかしいかな?
家族や兄弟に、恋人との逢瀬の時の顔を見られるのは何ともむずがゆい・・・
でも年長者の意地で、冷静さを装った。
「王太子殿下、ごめんなさい。あの、こちら」
「姉様、早く会場に戻ろうよ。
一緒に食べたくて冷たい氷菓子をまたせているんだ。早く行こうよ!」
今日一日被っていた、『王太子になった王子様』でなくお姉ちゃんに甘える弟の様に強引に室内へ引き込んでいく。
子供とはいえ、男の子だなぁ。
小さなその体のどこにどんな力があるのかというような、力で引っ張られて行く。
強引に引っ張られて、エドワード様への返事はおろか離れる挨拶もできそうにない。かろうじて視線を向ければ、唖然と固まったエドワード様にジェイクが寄っていくのが見えた。
フォローしてくれるのかな?と思って見ていると、なにかを言ったジェイクに項垂れるエドワード様が・・・
「あのっ、殿下っ、ちょっとだけちょっとだけ待っていただけませんか?」
なにを言ったのかは分からないけど、なんとなくこのまま離れるのは良くない気がする。
あの甘い空気の中で押され気味だったけど、嫌じゃなかった。
「ディア姉様・・・」
するりと一瞬の隙をついて、握られた小さな王太子の手を外してエドワード様の傍に行けば、項垂れたエドワード様と微笑みを浮かべたジェイクが驚いたようにパッとこちらを見た。
「エドワード様──────」
驚き固まったままの二人をそのままにして、エドワード様に近寄り耳元に唇をよせて伝えたかったことを綺麗な耳朶に注ぎ込む。
「っっっっっ!!!!!」
あまりにも近寄ってしまって少し唇がエドワード様の耳に触れたけど、頬に口づけたこともあるし、まあいいか。
その瞬間、顔を真っ赤に染めて片手で顔を覆い項垂れどころか膝をついて蹲ってしまった。
エドワード様のその姿に満足そうに、私はほくそ笑んだ。
さっきの仕返しだとばかりにしてやった。
というより、折角初めてエドワード様からの甘い恋人な言葉と行動を貰ったんだ。
これはきっとエドワード様にはご褒美になるのではないかしら?
うん、ご褒美よね。
だって、私のことを好きなんですものね。
今度は私がエドワード様お心をがっちりつかんで離さないで、遠隔にはなるけど育てるんだから。
「エドワード様、私は『まて』はもうしないと決めましたから。
2年後が楽しみですね。」
それだけを周りに聞こえるように言って、今度こそ王太子のところに行く。
手を離した時に不満げにしていた王太子だったけど、私の言葉に再びニコニコとして後ろからついてくるジェイクもどこか上機嫌だ。
「よかった、姉様がアイツに絆されていなくて・・・」
ほっとした声が聞こえる。
あれ?
私、いつそんなこと言った?
「僕にも、まだチャンスはある・・・」
私の手に小さな王太子が手を絡めて、ニコニコ笑ってる。
王太子殿下、シスコンも大概にしないと年齢が近い婚約者候補の御令嬢方に呆れられますよ。
殿下の婚約者候補は12歳から下は5歳までの公爵家や侯爵家の御令嬢たち。最有力候補は、前財務大臣のお孫さんである公爵令嬢、9歳。
女の子はおませさんですからね。
精神的成長が早いから、いつまで姉様姉様と言っていてはよくない。
私としても、最近やっと姉離れをしてきだしたジェイクに寂しさを感じていたけど、ここは王太子殿下のために涙を飲んで我慢しないと・・・
・・・・・・明日からね。
周りが勝手な勘違いをしているみたいだけど、私はエドワード様のことを好きだよ?
今は声に出さないけど、今日改めて顔を見てやっぱり好きだと思った。
あれ以上の美形を私は知らない。
さらに、私のことをまごうことなき愛していると確認できた。
今のエドワード様を嫌う理由は見当たらない。
まだ頼りないところがあるけど、それもあと2年の間に改善されるだろう。
期待している。
私が好きなら、努力を形にしてもらいたい。
1年前、私が出した課題は、1つは友達を5人作ってくださいと言うものと・・・
家族の問題は、家族で解決してくださいというのだ。
家族の問題。
主に侯爵様のことだ。
エドワード様へ私から送っていた手紙も贈り物もエドワード様の手には届いていなかった。
侯爵様の手によってほとんど破棄されていた。
なんで!!!!!?????
いろんな方面で調べてもらって侯爵家の老執事の情報を聞き出したジェイクの話では、どうやら侯爵夫妻の仲はうまく行っていないらしい。
調べてジェイクの憶測だけど、夫人から贈り物をもらったことがない侯爵様は、婚約者からの贈り物をもらえるエドワード様に我知らず嫉妬をして二人の仲を邪魔していたのではないかと言っていた。
もしもそれが本当なら、随分と子供じみたおっさんだなぁと、久しぶりに言葉が乱れた。
というか、それってこれから結婚して家族になるのに大きな障害になるんじゃない?
だからと言って私が動くのも可笑しい。
って言うか、めんどくさい。
そんなことをしていた、侯爵に近寄りたくない。
嫁入り考えちゃうぅ~
そのことをレティシア様に相談したら、それは次期侯爵としてのエドワード様の課題だとして請け負ってくれた。
家族の問題は、家族で解決。
私たちが生まれる前からの問題ならば、かなりの根深さがありそうだ。
それは新参者になる嫁が請け負うには大きすぎるもの。
そうだよね、んじゃあ、私が帰国するまで頑張ってねって課題にした。
この2つをクリアすれば、私たちがお互いに気持ちを素直に表して障害などなくなる。
まあ、私たちにもこれからも問題は多少はあったり、出てくるかもしれないが今までのことを思えば些末なもの。
だから頑張ってほしい。
2年後の成長したエドワード様を楽しみにしている。
でも
私はもう『まて』をしない。
エドワード様を好きな気持ちは、今日改めて自覚した。
私はエドワード様が好き。
顔が好き
サラサラの髪が好き
低いのに耳に優しい声が好き
宝物のように触れてくれる長い指が好き
見た目よりも逞しい体が好き
私の為に努力しようとするところが好き
不器用で頑固なほどまっすぐ真面目なところも好き
エドワード様がエドワード様であるすべてが好き
結局、私は初めて会った一目惚れをして時から、エドワード様しか好きじゃないのだ。
我がザリエル伯爵家の人は一途だと言う。
初恋を何が何でも成就させる、それがザリエル家なんだって。
お父様が王女のお母様に出会うまで、心を揺さぶられることがなかったと言う。
お母様を手に入れるために、外交で培った手腕をお母様を手に入れるためだけに、そのためだけにありとあらゆる力を駆使したと言う。
それこそ、渋るお爺様を国家をかける様な大きな交渉術を使たらしい・・・
うん、お父様の執着はすごいなぁと思った。
お母様に「ディアもその素質があるのよ」って言われた。
好きな人への執着は、お父様に匹敵すると言われたけど、そんなことないと思うんだけどなぁ・・・
ジェイクも最近どうやら、好意を寄せる令嬢が出来たみたいだし・・・
今はせっせっと外堀を埋めてるんだって・・・
私にはそこまでの自覚はないけど、今日改めてエドワード様のことを、もう手に入れることしか考えられない。
しかも私に夢中になってほしい、溺愛してほしい。
でも、私の気持ちは見せたくない。
何とも我儘だけど、私はもう『まて』をしないと決めたんだから!
そう決めたなら、そう行動するのみ。
2年後、楽しみにしている。
今のエドワード様で私以外を見ることは、絶対ないだろう。
私の囁きにあんなに赤くなるなんて・・・
「・・・うふふっ」
思わず漏れる楽しそうな声に、周りが顔を赤らめる。
好きな人思う時の笑顔は、得も言わぬ艶があった。
私は無自覚に周りに艶やかな笑みを披露していたらしい。
その後、可憐な色香漂う王太子に連れられたクラウディアに、心奪われた王太子と広間に集った数多の子息たちの恋い焦がれる女性として長く慕われた。
微笑み一つで王太子の初恋の女性となり、多くの子息たちの忘れられない伝説の女神と呼ばれるとはこの時、知らなかった。
ただ2年後に思いを馳せ、愛する人を思って無自覚に笑みを浮かべていたに過ぎなかった。
クラウディアにはこの時、本人の耳に入らない二つ名がついた。
『微笑みの初恋泥棒』
多くの子息たちの恋心を奪い、多くの令嬢たちの嫉妬を集めたクラウディア。
ハイドランジア国王族に連なり、ネモフィラ国との外交が絡むことで無理に迫ったり嫌がらせをされたり大きな問題はなかったが、名前は残し数年後帰国した。
様々な逸話を残して・・・・
逸話はたくさんあるが、これだけは公になっている。
クラウディア嬢は、とてもとても重たいくらい愛情深い夫と家族に囲まれて幸せに暮らしました。
ちょっと小話
◆『まて』は続きます◆
「残念でしたね。
幼いけど王太子殿下にとって姉様は、初恋の女性らしいですよ。」
クスクス笑いながら俺の肩をポンっと叩くジェイク。
肩に置かれた手は、労わるように軽く叩かれたが表情はそれを裏切っている。
俺にとっては見慣れている、俺を見下すような視線。
今回はそれに揶揄うような色もまじる。
「・・・子供の初恋だ」
「エドワード、様。そんなに油断していると後で痛い目に逢いますよ?
王太子殿下と姉様は、年の差6歳ですよ。
ヴィクター殿下の例を上げたら、俄然やる気をだしましてねぇ。
クックックッ、王妃様も後押しをされてるみたいですよ。」
はっ?
何だって。そういえば、ヴィクター殿下とレティの年齢差を考えればない話ではない・・・けど・・・
だが・・・
さっきのクラウディアの反応・・・
良かったが・・・
いや、ダメだ。
安心するにはまだ早い。
まだクラウディアから、以前のような好意のある視線を貰っていない・・・
「お爺様が知れば、きっと協力をするだろうなぁ~」
追い打ちをかける様な、ジェイクがすぐ傍で囁く。
前国王陛下の後押しなんて、そんなことされたらっ!
その先を想像して、愕然とする。
折角、頑張ったのに・・・
会心の贈り物は喜んでもらえた。
素直な思いを言葉にして伝えた。
お互いの距離を縮めるために愛称呼びもできた・・・呼んでもらえなかったが。
ああぁ、もっとディアとの距離を縮めたい!
気持ち的にも物理的にも。
花の香りに吸い寄せられるようディアの髪に口付けたが得も言わぬ良い香りがした。
俺の色に全身を染めて抱きしめたりなんかしたら・・・
ふと香った愛おしいディアの香り。
顔を上がると、幼い王太子殿下をおいてこちらに寄ってくるクラウディア。
その髪を飾る、俺の色がクラウディアの色を囲い込むデザインの髪飾り。
あの髪飾りのように、クラウディアを俺以外の目に触れないように閉じ込められたらどんなにいいだろうか・・・
ん?ジェイクに目もくれず近寄って、そのまま俺の至近距離まで近寄って触れそうなほど近寄って吐息が耳にかかる──────
「エドワード様──────」
クラウディアからの言葉も衝撃的だったが、それよりも!
耳っ!!!!!
耳にクラウディアの唇が、唇が!!!!!
一体、彼女はどれだけ俺を翻弄すればいいんだ!
「エドワード様、私は『まて』はもうしないと決めましたから。
2年後が楽しみですね。」
嫣然と微笑むクラウディア。
その微笑は、婚約したばかりの素直な感情のままの笑顔だった。
いや、それよりも女性として成長した分、花開いた人を惹きつける色香のある笑み。
その微笑に俺は同じ人へ再度、恋をした。
ああ、そうだった。
彼女の期待に応えてやる。
2年後?
いや、すぐにでも『まて』を解消して、彼女の心も体もかっさらってやる!!!!!
そして、めでたく結ばれたあとは───────
俺の決意を聞くことも見ることもなく、クラウディアは今度こそジェイクや王太子たちと去っていた。
蹲り顔を覆っている、俺の危険な思考に誰も気が付くことなく。
◇
読んでくださりありがとうございます。
本編はこれにて完結です。
2年待たずして、エドワードの努力が実ったか、それとも新たなショタ枠の王太子が頑張ったか、それともほかのだれか?というのは、読み手のご想像にお任せします。
でも、誰と結ばれても令嬢の枠にとらわれない鳥のように自由に羽ばたいて、その姿に魅了されてという経緯で、お相手はヤンデレ傾向になると私は推測します。
現在、番外編消えてしまったエドワードsideも加筆しています。
それを含めて50話で納めることができてよかったです。
これからも、他の作品もよろしくお願いします。
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