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謎の超絶無言イケメン
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そしてこの後も……
結局この店が何の店であるのかが、
全然わかっていない残念すぎる状態で
*****
「ではそろそろ仕事を始めますが……
えーっと僕はチーフの佐藤ジュリアンです。
じゃあ今から厨房に案内しますので こちらの方に来て下さい」
と自己紹介をしてくれた
チーフのジュリアンさんの後ろをテクテクと歩く玲は広いホールを出てすぐに……
「玲さんの仕事は料理と皿洗いと清掃がメインになりますが
忙しい時間帯はホールメンバーもガンガンやってもらいますから
その時は宜しくお願いしますね?じゃあ、まずはそこの事務所で
タイムカードを押して来て下さい。えっとタイムカードはねぇ、
事務所に入ってすぐの場所にあるから分かると思うけど、何か質問はある?」
て感じのカオスな説明をされたけど、
お料理とか皿洗い等のキーワードから察するに
やはりこのお店はフランス的なレストランに違いないと思ったので、
(えっと、皿洗いとか掃除は大丈夫だと思うけど……
いきなりフランス料理を作るのは流石に絶対無理だよね?
…って言うかタイムカードって何? ホールメンバーってドコの誰?
チーフさんの言ってる事が殆ど何も理解できないんですけど~! )
と早くも心で白い旗をあげたけど
とりあえず今は何か質問をした方が良いと思ったので
このあと玲は勇気を出して顔を上げながら
「あのぉ…このお店はフレンチって言うか、
えっと、フランス料理の~…普通のレストラン…ですよね?」
て感じの無難な質問をしたのに……
次の瞬間キョトンとした顔のチーフは
少々呆れ気味な態度で玲の事を見下ろしながら
「はぁあ?この店のドコがフレンチに見えるの?
まさかきみはClubベルサイユをレストランだと思ってたの?
あのねぇ玲さん、この店はねぇ…同伴指名が2万円で、
セット料金が3万円の高級ナイトクラブだよ?」
…て感じの最高に訳が分からない説明をしてくれたので
「えっと、はい、わ、わ、わかりました
つまりこの店は~…後宮ナイトクラブ~…なんですね?」
こうして早くも考える事を放棄した玲は適当な返事をしてすぐに
「じゃあ今から僕は厨房で作業をしますから
きみは今すぐこの廊下の奥にある事務所にサッサと行って
タイムカードを押したらすぐに、そのまま厨房に来てくださいね」
「はい わかりました」
と返事をしながらも、実は何ひとつ理解できない危険な状態で
謎のタイムカードとやらを押す為に、一応急いで奥の事務所へと向かったが……
*****
この後すぐに小さな事務所に到着した玲は
部屋に入って僅か5秒で、壁に貼られた収納ケースに入れられた
『玲』と書かれた1枚のカードを発見したので……
早速このカードを手に取って眺めてみたけれど
(これがタイムカードなの?でもどうやって このカードを押すの?
…って言うかこのカードって、桃子とかヒカルとか下の名前ばっかりで
どうして肝心の苗字が書かれていないの?ちゃんと苗字を書かないと、
もしも このお店に私以外の玲さんが何人も居たら大変な事になるでしょ!
…って事でペンはどこ?えっとペンは~…あーっ!こんな所でペン発見!)
こうして運良くキャビネットの中から大きなペンをゲット出来たので
めっちゃ大きな油性のマジックを手に持って、
『一条』と自分の苗字をタイムカードに書いた後
無駄に安心しながら何気に目の前を見てみると……
次の瞬間、なんともラッキーな事に
小さな文字で『タイムレコーダー』と書かれた、細い溝付きの時計を見つけたので
もしかして、この中にカードを入れたらいいのかなぁ…と微妙に思った賢い玲は、
人生初のタイムカードを右手で持って、一人でキョロキョロとパニクっていたら……
この後、いきなり唐突に、
ガサッ…ガサッ…パラッ…パラッ……
と部屋の奥からガサガサとした音が聞こえてきたので
ビックリした玲は思わず慌てて後ろを振り向いてみたけれど
次の瞬間、玲は息を飲んでいた。
なぜなら玲が見たものは………
(……あれは……何?
マネキン…とかじゃないよね?)
と思うレベルの整い過ぎの以下略の、
まるでギリシャ神話の彫刻みたいな超絶イケメンの男性が
狭い事務所のソファーに座って、
謎の書類をパラパラと捲っている光景だったからだ。
*****
そして玲の存在に気付いた超絶イケメンは
優雅な仕草で書類を捲る手をピタッと止めた後すぐに、
なぜか無言で静かに椅子から立ち上がり、
しかもそのままの勢いで玲に向かってドンドン歩いてきたので
(えっ?なんでこっちに来るの?どうしよう!)
とは言えないヘタレの玲は、そりゃあ勿論この直後、
見知らぬ無言イケメンの男にペコペコと頭を下げながら
(無言イケメンさん ごめんなさい!)
と心の中で謝って、
ついでに右手のタイムカードをタイムレコーダーの中にガチャンと放り込み、
そしてそのまま光の速さで慌てて事務所を飛び出して行ったのに……
*****
このあと急いで厨房に戻った玲は、
到着早々このままの勢いで、
豪華なフルーツの盛り合わせを作っている最中の忙しいチーフから
「じゃあそろそろ店が忙しくなって来たので
今からホールで雑用のメンバーをやってもらえますか?」
と仕事の命令をされたので……
もちろん玲はこの後サッサとホールに向かったが
とにかくメチャメチャ社会情勢に疎いコミュ障の玲は
豪華な客席で接客をしている派手なホステス達を見ても尚
未だにClubベルサイユがなんの店であるのかを全く分かっていなかった。
結局この店が何の店であるのかが、
全然わかっていない残念すぎる状態で
*****
「ではそろそろ仕事を始めますが……
えーっと僕はチーフの佐藤ジュリアンです。
じゃあ今から厨房に案内しますので こちらの方に来て下さい」
と自己紹介をしてくれた
チーフのジュリアンさんの後ろをテクテクと歩く玲は広いホールを出てすぐに……
「玲さんの仕事は料理と皿洗いと清掃がメインになりますが
忙しい時間帯はホールメンバーもガンガンやってもらいますから
その時は宜しくお願いしますね?じゃあ、まずはそこの事務所で
タイムカードを押して来て下さい。えっとタイムカードはねぇ、
事務所に入ってすぐの場所にあるから分かると思うけど、何か質問はある?」
て感じのカオスな説明をされたけど、
お料理とか皿洗い等のキーワードから察するに
やはりこのお店はフランス的なレストランに違いないと思ったので、
(えっと、皿洗いとか掃除は大丈夫だと思うけど……
いきなりフランス料理を作るのは流石に絶対無理だよね?
…って言うかタイムカードって何? ホールメンバーってドコの誰?
チーフさんの言ってる事が殆ど何も理解できないんですけど~! )
と早くも心で白い旗をあげたけど
とりあえず今は何か質問をした方が良いと思ったので
このあと玲は勇気を出して顔を上げながら
「あのぉ…このお店はフレンチって言うか、
えっと、フランス料理の~…普通のレストラン…ですよね?」
て感じの無難な質問をしたのに……
次の瞬間キョトンとした顔のチーフは
少々呆れ気味な態度で玲の事を見下ろしながら
「はぁあ?この店のドコがフレンチに見えるの?
まさかきみはClubベルサイユをレストランだと思ってたの?
あのねぇ玲さん、この店はねぇ…同伴指名が2万円で、
セット料金が3万円の高級ナイトクラブだよ?」
…て感じの最高に訳が分からない説明をしてくれたので
「えっと、はい、わ、わ、わかりました
つまりこの店は~…後宮ナイトクラブ~…なんですね?」
こうして早くも考える事を放棄した玲は適当な返事をしてすぐに
「じゃあ今から僕は厨房で作業をしますから
きみは今すぐこの廊下の奥にある事務所にサッサと行って
タイムカードを押したらすぐに、そのまま厨房に来てくださいね」
「はい わかりました」
と返事をしながらも、実は何ひとつ理解できない危険な状態で
謎のタイムカードとやらを押す為に、一応急いで奥の事務所へと向かったが……
*****
この後すぐに小さな事務所に到着した玲は
部屋に入って僅か5秒で、壁に貼られた収納ケースに入れられた
『玲』と書かれた1枚のカードを発見したので……
早速このカードを手に取って眺めてみたけれど
(これがタイムカードなの?でもどうやって このカードを押すの?
…って言うかこのカードって、桃子とかヒカルとか下の名前ばっかりで
どうして肝心の苗字が書かれていないの?ちゃんと苗字を書かないと、
もしも このお店に私以外の玲さんが何人も居たら大変な事になるでしょ!
…って事でペンはどこ?えっとペンは~…あーっ!こんな所でペン発見!)
こうして運良くキャビネットの中から大きなペンをゲット出来たので
めっちゃ大きな油性のマジックを手に持って、
『一条』と自分の苗字をタイムカードに書いた後
無駄に安心しながら何気に目の前を見てみると……
次の瞬間、なんともラッキーな事に
小さな文字で『タイムレコーダー』と書かれた、細い溝付きの時計を見つけたので
もしかして、この中にカードを入れたらいいのかなぁ…と微妙に思った賢い玲は、
人生初のタイムカードを右手で持って、一人でキョロキョロとパニクっていたら……
この後、いきなり唐突に、
ガサッ…ガサッ…パラッ…パラッ……
と部屋の奥からガサガサとした音が聞こえてきたので
ビックリした玲は思わず慌てて後ろを振り向いてみたけれど
次の瞬間、玲は息を飲んでいた。
なぜなら玲が見たものは………
(……あれは……何?
マネキン…とかじゃないよね?)
と思うレベルの整い過ぎの以下略の、
まるでギリシャ神話の彫刻みたいな超絶イケメンの男性が
狭い事務所のソファーに座って、
謎の書類をパラパラと捲っている光景だったからだ。
*****
そして玲の存在に気付いた超絶イケメンは
優雅な仕草で書類を捲る手をピタッと止めた後すぐに、
なぜか無言で静かに椅子から立ち上がり、
しかもそのままの勢いで玲に向かってドンドン歩いてきたので
(えっ?なんでこっちに来るの?どうしよう!)
とは言えないヘタレの玲は、そりゃあ勿論この直後、
見知らぬ無言イケメンの男にペコペコと頭を下げながら
(無言イケメンさん ごめんなさい!)
と心の中で謝って、
ついでに右手のタイムカードをタイムレコーダーの中にガチャンと放り込み、
そしてそのまま光の速さで慌てて事務所を飛び出して行ったのに……
*****
このあと急いで厨房に戻った玲は、
到着早々このままの勢いで、
豪華なフルーツの盛り合わせを作っている最中の忙しいチーフから
「じゃあそろそろ店が忙しくなって来たので
今からホールで雑用のメンバーをやってもらえますか?」
と仕事の命令をされたので……
もちろん玲はこの後サッサとホールに向かったが
とにかくメチャメチャ社会情勢に疎いコミュ障の玲は
豪華な客席で接客をしている派手なホステス達を見ても尚
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