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1章
愚者の狂想曲 7 イケンジリの村への旅路
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パカパカガチャガチャ
季節は春先、暖かい陽の光と、爽やかで春の匂いのする、心地良い風が吹いている。
辺りの木々や草花も、春の優しい日差しを浴びて、喜ぶ様に色づいている。
そんな光景を見ながら、楽しそうに金色の毛並みの良い尻尾を揺らし、軽く鼻歌を歌って居る美少女が
「ご主人様~。荷馬車の上は気持ち良いですね~」
俺に腕組みをして、軽くもたれかかっているマルガの顔は、実に楽しそうである。
「そうだね~。今は春先で季節も良いから、旅や行商をするには最適かもしれないね」
俺が微笑みながら言うとニコっと笑って頷くマルガ。
俺とマルガは、ラングースの街を出て、イケジリンの村に向けて、荷馬車で街道を進んでいる。
街道と言っても、地球の様なアスファルトで舗装された道ではない。俗に言う田舎道というやつだ。
舗装をされていない畦道に近いが、人の往来の多い街道は、大きな石や障害物は取り除かれている為、荷馬車を進めるには問題は無い。
「荷馬車の揺れもなんだか気持ち良いですし、心地良くて眠たくなって来てしまいそうです…って…私ったらご主人様が、荷馬車を操ってくれているのに…すいません…」
マルガは少し気まずそうに言うと、お詫びの印とばかりに、俺の手の甲に何度もキスをしてくる。
俺はマルガの頭を優しく撫でながら
「いいよそんな事気にしなくてさ。この荷馬車は、元々客馬車用のキャリッジタイプを、荷馬車に作り直して貰った物で、板バネも良いのを使ってるから、衝撃も少ないし乗り心地は良いでしょ?」
「ハイ!他の荷馬車みたいに、ガタガタしませんし!それに、この御者台に敷いてある柔らかい敷物も有りますから、お尻も痛くなりません!」
そう言って嬉しそうに、綿と麻で出来た敷物をパフパフ叩いて言う。
「うん。だからこの荷馬車に乗っていると、半年乗っている俺でも、気持ち良くなって眠たくなる時が有るくらいだからね。しかも、春先で、今日は天気も良いし暖かい。マルガが眠たくなっても不思議じゃないよ。眠たくなったら、何時でも寝てくれていいよ?」
微笑みながらそう言って、マルガの額にキスをする。するとマルガは、顔を赤く染めて、俺に顔を近づける。ライトグリーンの美しい瞳が艶かしく光る
「ご主人様…ご主人様の…キスが欲しいです…」
マルガのその口はわずかに開いて居る。いつものキスをおねだりする時の顔だ。
「うん…街を出たら一杯するって約束したしね…俺もしたかったし…」
そう言いながら、マルガの顎を掴み、柔らかい唇にキスをする。
マルガは甘くて柔らかい舌を、俺の口の中に滑りこませる。マルガの舌をたっぷり堪能する。マルガも舌を俺に絡ませ、気持ち良さそうに味わっている。
2人共十分にキスを堪能して顔を離す。マルガは頬を赤らめて嬉しそうだ。
そんなマルガは、キュっと俺の腕を掴んで、顔をくっつけて
「私…ご主人様に…どんどん…甘えてしまいたくなってます…奴隷失格ですね…」
マルガは上目遣いで俺を見る。申し訳なさと、甘えたい気持ちが、透き通る様なライトグリーンの綺麗な瞳の中で、折り重なり揺れていた。
…ううう!可愛すぎる!その上目遣いは、俺の保護欲と支配欲が掻き立てられちゃうYO!
マルガの顎を掴み、顔を近づける
「いいよ…一杯甘えて…おねだりしていいよ…好きな子に甘えられるのは…嬉しいからさ」
そう言ってマルガの唇に優しくキスをすると、ライトグリーンの透き通るような綺麗な瞳を潤ませながら、更にギュっと抱きついてきたマルガは
「…ご主人様…好き…大好きです…マルガは…幸せです…」
頭をグリグリ俺の胸に擦りつける。マルガの柔らかい体の感触と、甘い石鹸の香りがとても心地良い。
「俺も…大好きだよマルガ…」
我慢出来無くなった俺も、マルガを抱きしめる。再度顎を掴み、マルガの口の中を堪能すべく、キスをして、口の中に舌を入れていく。マルガも嬉しそうにソレを受け入れ、喜んでいる。
十分にキスを堪能して顔を離し、マルガと微笑み合っていると
「ブルル…」
世界一名前が長いであろう、馬のリーズ(名前を覚え中!)に、呆れた様な溜め息を付かれた気がした。緩やかに揺れる荷馬車の上で、マルガと俺は顔を見合わせて、恥ずかしそうに笑った。
「そうなんですか!ソレはすごいですね~!」
「アハハ!ソレはご主人様らしいですね!」
「え…ご主人様もそんな所が…フフフ…」
「もう…そんな事言ってはダメですよ!」
世界一名前が長いであろう馬のリーズ(名前は努力してるよ?)に、溜め息と言うツッコミを頂いてから、マルガはこんな感じで一人で喋っている。
むうう…これは…なんだろう?
パッと見は、マルガが独り言を言っている様にしか見えないけど…
は!あれか!実は、俺に見えない第三者とコンタクトをしているのか!?
それとも、裸の王様みたいに、バカには見え無い人と喋っているの!?それなら俺は見えない…ゲフンゲフン…
と…とりあえず、この状況を打破しよう!やれば出来る子を見せてやる!…本当にバカには見え無い人と喋っていた時は…逝こう…何処か遠くに…ううう…
「マ…マルガ…。さっきからさ、誰とお話してるの…かな?」
あうう!声がうわずっちゃった!オラ…恥ずかしい…
俺がドキドキして聞くと、ニコっと微笑んで、
「ああ!すいませんご主人様。リーズ・アダレイド・アナ・リーラ・ドランスフィールド・ジョーハンナ・ジラ・キンバリー・カドガン・アマンダ・キャスリン・パーマー・ブルブリルとお話してました!」
「へ!?馬のリーズ(覚えてませんが何か?)と喋ってたの!?」
「そうですよ。それとご主人様、リーズ・アダレイド・アナ・リーラ・ドランスフィールド・ジョーハンナ・ジラ・キンバリー・カドガン・アマンダ・キャスリン・パーマー・ブルブリルですからね!」
マルガはムムムと俺を見て、馬のリーズ(本当努力してます…)のフルネームを言わせ様とするが、とりあえず後でまた覚えるからと、話を続けさせた。名前もとりあえずは、愛称と言う事でリーズで納得して貰った。うううと唸っているマルガも可愛いね!
「と…とりあえず、馬のリーズと喋っていたって事?」
「そうです。正確には、意思の疎通をしていたと言った方が正しいですけど」
どうやら、マルガの持っているレアスキルの動物の心で、馬のリーズと話というか、意思の疎通をしていたらしい。俺は意思の疎通と聞いて、何処迄出来るのか興味が湧いた
「意思の疎通ってさ、何処迄解るものなの?ひょっとして、馬のリーズの思っている気持ちとかも、解っちゃったりするの?」
「はい解りますよ。リーズの考えてる事や、思っている事、此方の考えも伝えたり出来ますから。特に、お馬さんは知性が高い動物ですから、結構会話的に、意思の疎通が出来たりします」
マルガは、人差し指を立てて、得意げに言う。
結構会話的に、意思の疎通が出来る!?…って事は、本当にお話出来るって事と同じじゃないの!?
それって…結構凄い事なんじゃ…地球だと、その力を解明したら、間違いなくノーベル賞ものだよ!…増々興味が出てきちゃったよ!
「…マルガさっきはリーズと何話してたの?」
「えっと…ご主人様が魔物や野盗に襲われた時に、全部倒して凄かった~とか、野宿する時に、リーズと一緒に寝る時は、リーズに抱きついているとか、…夜中に寝ている時に、おトイレをしようとして、寝ぼけてズボンを下げずにしてしまって、びしょびしょになっちゃった話とか…、あと、行商に行かない時に、会いに来てくれ無い時が有るから、捨てられるかと思う時があるとか…ですね」
そう言って気まずそうに微笑むマルガ。
ちょ…ちょっと!そんな具体的に解っちゃうの!?
俺はハッとなって馬のリーズに視線を向けると、此方に少し振り返って、ニヤっと笑った気がした。
…馬!リーズ怖す!…寝ぼけて、やっちゃった話まで聞かれちゃった…ガク…
…って、そんな事よりも、聞きたい事がある…
「かなり驚いてるんだけど、馬のリーズにも、人間的思考があるって事!?」
そうこれが聞きたかった。そんな俺の質問に、キョトントしてマルガは言う
「勿論ありますよ?お馬さんは賢い動物ですからね。ですから人間や私達とこうやって生きていけるんですよ」
さも当然の様に言うマルガ
「…って事は、馬のリーズには自分の意志もあって、色々考えて人間に従って居るって事!?」
そう思うよね?だって、人間だってわざわざ使われて、使役されたいと思わないもんね。
ソレを聞いたマルガは、ん~っと口に人差し指を当てて考え
「…ご主人様の言われているものとは違いますね。リーズは人間…ご主人様や私達亜種の事を、家族だと思っているんです。ですから、使役されているとは、思っていないんですよね。家族の言う事を聞いているって言う所ですね。なので、嫌がって使役されている訳では無く、家族の為に役に立っていると思っているんですよ。まあでもたまに、機嫌が悪くてしたくない時もあるのは、人間と同じですね。…生き物を奴隷として扱い殺すのは…人間と一部の亜種ぐらいのものですよ…。基本動物さんは、優しいし、必要以上の事はしないものですから…」
そう言って儚げな表情をするマルガ。
…確かにそうだ。動物の世界に奴隷なんて無いし、自分達の食料にする以上に、殺したりもしない。
同族を喜んで殺すのは人間と一部の亜種って事か…
そんな俺の表情を見たマルガはニコッと笑って
「でも、リーズはご主人様の事が好きだって言ってますよ。いつも優しくしてくれるし、寝る時も一緒だし、体も洗ってくれるし、好物も貰える…ご主人様は、リーズに好かれてますよ」
そう言って微笑むマルガ
馬!!いや、馬のリーズ!そんな事を思ってくれていたのね…ううう…
荷馬車を引く馬を買いに行った時に、優しそうで、気が合いそうだったのを買っただけだったけど、実際従順で、気性も優しく大人しい馬なのは、半年一緒にいて解ってたけど…良い馬じゃないか!
お父さん嬉しいよ…良い子に育ってくれて…あ…馬のリーズの方が年上か?…ムウウ…負けてる?
「そっか…それは嬉しいな」
俺がそう言ってマルガに微笑むと、ニコっと微笑んで頷くマルガ。
馬のリーズは俺の言葉が解らないので、黙々と指示通り荷馬車を引っ張っている。
「ねえマルガ。リーズにね、いつもありがとうって思ってるよって、伝えて貰える?これからも一緒にやって行こうねって」
俺の言葉を聞いたマルガはニコっと微笑み、馬のリーズに目を向ける。
その瞬間、リーズに何も指示してないのに、荷馬車の速度が上がって、ガクンとなってビックリした。
俺が驚いている横で、マルガはクスクスと楽しそうに笑いながら
「ご主人様の気持ちが解って、リーズったら張り切っちゃってるみたいですね」
「…リーズに無理しないように伝えてよマルガ」
苦笑いしながら俺が言うと、クスっと笑って頷くマルガ。
少し速度の上がった荷馬車に揺られる俺とマルガは、微笑み合っていた。
「スウースウー」
俺の膝の上で、気持ち良さそうに寝息を立てているマルガ。その顔はとても幸せそうだ。
暫く俺に腕組みしながら、楽しそうにはしゃいで居たマルガだったけど、春先の暖かい日差しと、荷馬車の心地良い揺れが、マルガの眠気を誘ったみたい。コクコクと首を縦に振りながら、眠気と格闘していたのが可哀想だったので、俺の膝枕に寝かせてあげたのだ。
凄く気を使ってダメですって言ってたけど、引き寄せて膝枕をしてあげたら、嬉しそうにそのままになった。その後すぐに寝息を立てちゃったのには、笑っちゃったけど。我慢してたんだねきっと。
ネコも日向ぼっこしながら寝るのが好きだけど、ワーフォックスのマルガも似た様なものなのかな?
マルガの場合は、ハーフのワーフォックスだけど、やっぱりお昼寝は好きなんだろうね。
「ムニャムニャ…ご主人様…大好きです…」
ブホ…寝言でそんな可愛い事言ってくれちゃったら、起きたらいっぱい可愛がるしか無くなっちゃうじゃないか!可愛すぎますよマルガちゃん!
俺はマルガの幸せそうな寝顔を見ながらニマニマしながら荷馬車を進める。
そこそこの時間が立って空を見あげれば、夕刻に近い時間になってきている。日が傾きかけていた。もう暫くすれば夜の帳も降りてくるだろう。
俺は、今夜の野営の場所を決めて、荷馬車を止める。街道沿いの森の傍に決めた。
ここなら、風の影響も受けにくい。街道にも出やすいし、何かあったら逃げやすい。
場所も決まった事なので、膝の上で寝ているマルガを起こす
「マルガそろそろ起きてくれる?」
そう言って優しく揺さぶると、目を擦りながら軽く欠伸をして
「ご主人様すいませんでした…ご主人様の膝枕…気持良かったです…」
顔を少し赤らめてはにかむマルガ。ニコっと微笑むと、尻尾をパタパタさせて嬉しそうだ。
そんな可愛い事言われたら、嬉しいじゃないか!またしてあげるね!
「今日は此処で野宿するよ。夜になる迄に準備しちゃうから」
「解りましたご主人様。…どんな準備をするのですか?」
マルガはずっと三級奴隷で居たので、野宿などの日常的な事は、解らない事が多い。
この行商を経て、色々覚えて貰うつもり。
「えっとね、まずテントを張って、薪に使う薪拾いかな。それが終わったら、夕食の準備だね」
「解りましたご主人様!私は薪を拾ってきます!」
ハイ!と右手を上げ、元気に言いうと、張り切って森の中に行こうとするマルガ。
そんなマルガの手を引っ張って止める。アワワとバランスを崩しながら止まるマルガ。俺の顔を見て、キョトンとしている
「一人で森の中に入ってはダメ。と言うか、旅中は一人で行動しちゃダメ。それと、俺から10m以上離れたらダメだからね?」
俺はマルガに説明を始める。
この世界は、危険に満ちている。地球でも森の中には、熊やら狼などの肉食獣が居るけど、此方の世界はそれプラス魔物や野盗が居るのだ。
そう言った獣や魔物、野盗の類は、一人になる時を狙って待っている事が多い。
なので作業の効率を上げる為に、手分けして作業する事が、出来るだけの人数が居る時は良いが、人数が少ない時は、効率を下げてでも安全を優先して、団体行動する事が基本なのだ。決して1人で行動してはならない。
例えば、薪を拾うにしても、一人は薪を拾う係、一人は周辺の警戒と、最低2人以上での行動をしなければ、命を落としかねないのだ。
俺の説明を聞いて、コクコクと真剣な顔で頷くマルガ。
「じゃ~一緒に薪を拾いに行こうか」
俺の言葉にマルガはハイ!と元気に返事をする。本当に素直で良い子だよマルガちゃんは!
馬のリーズを荷馬車から外し、木にくくりつける。その後に、俺とマルガは森の中に入っていく。
春先だけ有って森の中は色とりどりに茂っている。
俺は腰に下げていた、セレーションブレード付きの黒鉄マチェットを、鞘から引き抜く。
そして、次々と枝を切っていく。それを見たマルガは、枝を拾い集めようとしていた。
「マルガは作業しなくていいよ。マルガは周辺の警戒をして欲しい」
「で…でも…ご主人様に、きつい事をさせては…私は本当に役立たずです…」
マルガは申し訳なさそうに少し俯く。あ…きっと勘違いしてるねマルガちゃんは
「マルガちょっと違うよ。別にマルガが役に立たないと言う事じゃないよ?それぞれの得意な事に専念した方が良いって事」
俺の話に小首を傾げるマルガ。マルガは仕草の一つ一つが可愛いね!…やられちゃってるよ俺!
マルガはワーフォックスハーフ。パッシブスキルで、ワーフォックスの種族である能力を出せる、フォックスの加護のスキルを持っている。いわゆる種族スキルだ。
このスキルの能力は、身体能力向上、高嗅覚、高聴力。
マルガは半径200m以内なら、匂いや音で、生き物の大体の気配を探り、察知出来るのだ。
本来動物が持っている、危険察知能力というやつだ。
マルガはハーフなので200m位だが、純粋のワーフォックスなら400mはいけるらしい。
俺もヴァンパイアハーフなので、種族スキルであるヴァンパイアハーフの加護を持っている。
このスキルの能力は、限定不老不死、身体能力上昇、大強闇属性耐性、弱光属性。
限定不老不死は読んで字の如く、限定的な不老不死だ。俺は基本老けない。不老だ。永遠の16歳ってやつ?何処かのアイドルみたいだけど!
それに完全な不死ではない。超自己再生能力を超える攻撃を受けた場合や、首と体を切り離される又は、頭を完全に潰されるなどをすれば死んでしまう。
それと、俺は始祖の闇の眷属なので、闇属性の攻撃は効かない。無効化出来るのだ。
しかし逆に、光属性の攻撃には倍ダメージを食らってしまう。光属性怖すぎます!
そして最後は、身体能力上昇。俺は、種族能力解放をしなくても、通常状態で一般的成人の約3倍の身体的能力を、意識的に出す事が出来る。
なので半径25m~30m以内なら、相手の気配でかなり詳しく察知する事が可能なのだ。
俺は25m~30m以内なら、マルガより詳しく察知出来るが、検索範囲ならマルガには遠く及ばない。もし、森の中で鬼ごっこをしたとすれば、俺はマルガを捕まえる事は難しいだろう。俺がマルガを察知するより、マルガの方が早く俺を察知出来るからだ。
こう言った周辺察知能力は、戦闘職業に就いている人も持っている事がある。
何方が早く見つけるか又は、隠れきれるかは、双方の実力や、レベル、スキルレベルによって決まる。
当然俺やマルガに見つからず、近寄る事も逃げれる奴もいるって事。実力の世界なのだ。
俺はマルガにその事を説明して、広範囲の検索はマルガの方が優れているから頼むんだよと言ったら、さっきまでの浮かない表情が、パアアと明るくなって、嬉しそうに金色の尻尾をフリフリしながら
「わ…私がんばります!必ずご主人様のお役に立って見せます!」
胸の前で両拳を握って、オーと叫ぶマルガ。どうやらやる気になってくれたようだ。良かった良かった
「じゃ~俺は枝を切って薪を作るから、マルガは引き続き周辺の警戒を頼むね」
「解りました!任せて下さいご主人様!」
マルガはそう言うと、辺りをキョロキョロ見回しながら、小さく尖った可愛い耳をピクピクと動かして、時折スンスンと匂いを嗅ぐように、鼻を動かしている。
その余りに必死に警戒してます!って感じのマルガが可愛すぎて見蕩れてしまう。
必死のマルガ可愛いよ!まるで子猫が何かを探してるみたいで!ラブリーだ!癒される!
そんなニマニマした俺の視線に気が付いたマルガが
「…ご主人様余り見ないでください…恥ずかしいです…」
マルガは顔を赤くしてモジモジしながら言う。
「ご…ゴメン!…余りに必死なマルガが可愛かったからつい…」
俺のそんな苦笑いに、更にモジモジしているマルガ。
そんな可愛いマルガを見ていると、作業がどんどん遅くなるので、なるべく見ないように薪を作っていく。目標の量の薪もたまり、木製の背負子に薪を縛り付け背負う。そして、荷馬車まで戻る事にする。
「ご主人様…重たく有りませんか?」
俺に言われた通り、周辺を警戒しながら、申し訳なさそうに言うマルガ
「大丈夫だよ。マルガが辺りを警戒してくれているおかげで、俺も気が楽だしね」
微笑みながら優しく頭を撫でると、嬉しそうな顔をして、パタパタ尻尾を振っているマルガ。
荷馬車迄戻ってくると、長めのロープで木に縛り付けていた馬のリーズが、春先の新芽の柔らかい草を美味しそうに食べていた。マルガ曰く、春先の新芽の草は美味しいとリーズが言っているとの事。
俺は薪を縛った背負子を降ろし、荷馬車にくくりつけている木の棒を外していく。
「ご主人様。次は何をするのですか?」
俺のしている事が気になるんだね!好奇心一杯のマルガちゃんは!
「えっとね次は雨風を凌ぐ簡易のテントを張るから手伝って」
そう言って、馬のリーズを縛り付けている木に向かう。そして、その木を元にして、棒を組んで骨組みを完成させていく。マルガも一緒に手伝ってくれる。
「ご主人様。リーズもこの中に入るんですか?」
「うん。行商に出る時は一緒に寝てるからね。リーズは賢いから、大人しくこの中で一緒に寝てくれるよ。この中だとリーズも雨に濡れないから。それに、春先でも夜はまだまだ寒いから、リーズと一緒に寝たら暖かいから気持ち良いよ」
「それは良いですね!私お馬さんと寝るの初めてなんで楽しみです!」
マルガはリーズの首を優しく撫でながら言うと、リーズも何処か嬉しそうにしているように感じる。
やっぱり、意思の疎通が出来てるからなんだろうね。マルガのレアスキルは色々応用が効きそうだ。
俺とマルガは、骨組みにテント用の布を張って、骨組みにしっかりと結びつけ、テントを張り終わる。
簡易式のテントではあるが、入り口は布できちんと開閉出来る様になっており、物見窓迄有る。
嵐の様な強風には耐えれないが、そこそこの雨風を防げて、ちょっとした暖も取れるなかなか便利なテントだ。
「ご主人様!このテントなかなか良いですね!私気に入っちゃいました!」
マルガはテントの入り口から顔だけヒョッコリ出して嬉しそうにしている。まるで遠足に来ている学生の様に楽しげだ。
「気に入ってくれて良かったよ。じゃ~俺は夕食の用意をするから、マルガはリーズに水をやってくれる?」
マルガに微笑みながら言うと、ハイ!と元気良く返事をする。マルガは荷馬車の水樽から桶に水を汲み、リーズに水を飲ませている。リーズの首を撫でているマルガの表情に癒される。
そんなマルガを見ながら、夕食の準備をする。
夕食の献立は、野菜のシチューと、焼いた豚の塩漬けの肉を、軽く焼いたパンにチーズと一緒に挟んだ物だ。
行商に出る時は、保存のきく食物を持って行くのが慣習である。
肉や魚の塩漬けや干物、蜂蜜やチーズ等の腐りにくい物、野菜は腐りにくい根系の芋類、パンはロングライフブレッド系の物が多い。
ある程度手入れをして保存しておけば、一ヶ月は腐る事無く美味しく食べられる。
夕食の下拵えも出来たので、薪に火を付ける。
薪に鍋に入れたシチューをかけ、その回りに、豚の塩漬けの肉とパンを串に刺して焼いていく。
辺りには料理の美味しそうな匂いが漂っている。
俺が調理していると、いつの間にか俺の隣に来て、美味しそうなその匂いに、鼻をピクピクさせているマルガ。
「ご主人様~。美味しそうです~」
目を輝かせ、口から涎の出そうなマルガは、尻尾をパタパタさせている。
そんな可愛いマルガを微笑ましく思いながら
「もう少しで出来るから、マルガは食器の用意をしてくれる?」
そう言うと、ハイ!と嬉しそうに右手を上げて、ピュ~っと荷馬車に食器を取りに行くマルガ。
ほんとマルガは食べるのが好きだね!ま~今迄食べれなかった反動かもしれないけど。
マルガは、自分の分と俺の分の食器を綺麗に並べると、右手にナイフ、左手にフォークを持って、ご主人様準備万端ですよ!と言わんばかりに、ブンブン尻尾を振って嬉しそうに座って待っている。
そんなマルがが可笑しくてプっと笑うと、恥ずかしそうに顔を赤くして、はにかむマルガに癒されながら、出来た料理を皿に入れていく。
「さあマルガ食べようか」
「ハイ!ご主人様!頂きます!」
チャキーンとフォークとナイフを構えて、料理に襲いかかるマルガ。
アグアグと実に美味しそうに食べている。マルガの頬に付いているパン屑を取ってあげると、ニコニコしている。
「ご主人様の料理美味しいです~」
「ありがとね。ま~ほとんど味付けは出来てる物なんだけどね」
「それでも、ご主人様が作ってくれたと思うと美味しく感じます!」
可愛い事を言ってくれちゃいますねマルガちゃんは!
「でも、行商中や旅に出て移動中の時は、メニューが限られるんだよね。朝、昼、夜はきちんと別メニューにするけど、毎回同じローテーションなのは我慢してね」
「私は全然構いません。こんなに美味しい料理を毎回食べれるんですから!」
ニコっと笑うマルガの頭を優しく撫でる。マルガは本当にそう思っているんだろうけど、俺は仕方なくって言った感じなんだけどね。本当はマルガの言う様に、食べれるだけマシって事の方が大切なんだろうけど、俺は飽きちゃうよ…我慢を覚えよう…ウウウ…
「まあ…道中で、獣の肉や、木の実や野菜、魚なんかが手に入ったら、その都度食べさせてあげるよ」
「ハイ!楽しみにしてますご主人様!」
マルガは嬉しそうに微笑むと、尻尾を楽しげに揺らしている。
手に入ったら、ちょっと気合入れて美味しく調理して、食べさせてあげるよマルガちゃん。
俺がそんな事を考えてニマニマしていたら、マルガは思い出した様に
「そういえばご主人様、あの荷馬車に積んである4つの水瓶なんですが、鉄製ですよね?あんな立派な水瓶は始めて見ました」
マルガは口に料理を頬張りながら言う。モグモグ。
「うん。鉄製じゃないんだけどね。あの水瓶は青銅製の特注品なんだ」
「青銅製…ですか…。壊れにくいからですか?」
「ソレもあるけど、別の意味の方が大きいんだ」
「どんな意味なんですか?」
「うんとね、俺の居た元の世界の言葉なんだけど、銅壺の水は腐らないって言ってね…」
俺は可愛く首を傾けるマルガに微笑みながら説明をする。
この世界に来て旅に出る時に、一番びっくりさせられたのが、水の事だった。
地球の日本じゃ水何て水道をひねれば出るし、コンビニでも売っているし、日持ちのする災害用の水なんてものも売っている。
しかし、この世界にそんな物は無い。
なので、竹や木の水筒、木樽や水瓶に水を入れて行くのだが、日持ちしないのだ。つまり腐る。
水がこんなに腐りやすい物だとは思わなかった。水で不自由した事が無かったから余計に思う。
行商を始めた半年前は、まだ夏で非常に暑かった。町を出て、3日で水が腐ってしまって、また町に戻ったのは苦い思い出だ。水がなければ、旅なんて出来ない。俺はヴァンパイアハーフで、限定不老不死だけど、食べなかったり、水を飲まなかったりしたら、普通に餓死します。
そこで地球にインターネットで繋がっているマジックアイテムのパソコンで、色々調べて対策をした結果がコレなのだ。
まず、水瓶を青銅製の銅瓶にした。銅には強い殺菌作用がある。銅壺の水は腐らないって言われる所以だ。
そして、その銅瓶を特殊な板バネ入りの、よく揺れる台座の上に、倒れないように設置した。
それは、銅瓶に入れた水を良く揺れる様にしたかったのだ。
揺れる水や動きのある水は腐りにくい。 遠洋航海する船の水は、 船が揺れるから腐らず長持ちしたって話もある位だ。
この荷馬車は、良い板バネを使っているので、衝撃が少なく、揺れが少ない。なので、揺れる台座の上に乗せて、わざわざ揺れやすくしているのだ。よく水が揺れて動くように。
そして最後は、水の入った銅瓶に、陶磁器の破片を入れている。陶磁器の水も腐りにくいのだ。
この3つの対策をしたお陰で、真夏に行商に出ても、一ヶ月は水が腐らなくなった。
季節が良ければ、2ヶ月近くは持つだろう。まあ…その分、初期投資は高かったけどね!命の水には変えられません!
そんな俺の説明に、マルガは感心した顔を向けて
「あの青銅製の水瓶にそんな秘密があったなんて…ご主人様は色々ご存知なんですね~。私尊敬しちゃいます!」
キラキラした眼で見つめられると照れちゃうよマルガちゃん!港町パージロレンツォに着く迄に、色々教えてあげるよ!手取り足取り色々と…ゲフンゲフン…
そんな俺とマルガが微笑み合う中、その来訪者は茂みの中から現れた。
「ガサガサガサ…」
俺とマルガが夕食を食べて座っている場所から、少し離れた左前方の茂みが突然揺れた。
俺は瞬時に、セレーションブレード付きの黒鉄マチェットの柄を握り、いつでも鞘から抜けるように身構えた。マルガを見ると、マルガも黒鉄の短剣の柄を握り、緊張しながら身構えていた。
俺とマルガは、夕食を食べてリラックスしているとは言え、周辺の警戒は怠っていない。
マルガの検索範囲は半径200m、俺は半径30m、この範囲内に、人や狼クラスの危険な野獣や魔物は居なかったはず。
ソレを抜けて来たのであれば、かなり手練の人物か、気配の消せる、厄介な野獣や魔物である。
何時でも戦闘出来る体勢で、警戒していた俺とマルガの前に、その来訪者は姿を表した。
「ク~ク~」
と言うか弱い鳴き声と共に、小さい狐の様な容姿の小動物が、茂みからヒョッコリ首だけだして此方を見ていた。その小動物を見たマルガは、俺に抱きつき、指をさしながら
「ご主人様!見てくださいアレ!か…可愛いです~!」
俺とその小動物を交互に見ながら、目を輝かせていた。女の子はやっぱり可愛いのが好きなんだね~。
「えらく可愛い来訪者だな。白銀キツネの子供か…道理で気配が解らなかったはずだ」
もうすっかり警戒心もとけている俺とマルガは、顔を見合わせて微笑んでいた。
気配は生命力と、質量の大きさに比例する。生命力が多く質量の大きい者は、気配が大きいのである。
簡単に言うと、富士山位の大きさのドラゴンは、気配を隠すのが難しい位に気配が多く見つけやすいが、逆に顕微鏡でしか見えない位の微生物の気配は、探すのが出来無い位に気配が無い。感じられない。
この白銀キツネの様な小動物や、小さな昆虫迄感じ取れる位に、常に最大の気を張り巡らせて周囲を警戒する事も出来るが、ものすごく疲れるし、長時間持たない。余程緊急事態の時以外は、警戒ランクを若干下げて、休養するのがベターなのである。
俺とマルガは、自分達に害を及ぼす可能性のある、狼レベル位の大きさの気配迄を感じれる様に警戒していた。なので、この白銀キツネは傍までやって来れたのだ。
「ほら…おいで!怖く無いし、痛い事はしないから…」
マルガは白銀キツネに微笑みながらそう言うと、両手を白銀キツネに広げて、手招きしている。
白銀キツネは少し警戒していたが、ゆっくりとマルガ迄近寄る。マルガはそっと優しく白銀キツネを抱き寄せ胸に抱く。胸に抱かれた白銀キツネは、何処か気持ち良さそうに、大人しく抱かれていた。
そんな光景に、心を和ませられる。
「しかし、警戒心の強い白銀キツネが、人間の傍まで寄って来るなんて珍しいね」
この白銀キツネと言う動物は、白っぽい銀色の毛並みで、キツネとリスを合わせた様な容姿を持つ。大人でネコ位の大きさになる。白銀キツネの毛皮は非常に良く、貴族や王族、商人に人気が高く、襟巻きや手袋の素材とされている。警戒心の高い事も重なって、結構貴重なのだ。
俺がそんな事を考えていると、マルガはレアスキル、動物の心で意思の疎通をしたみたいであった
「…ご主人様…この子…2日も何も食べていないみたいです…どうしようもなくお腹が空いている時に、良い匂いがしたので我慢出来無かったって…それで来たみたいです…」
マルガは白銀キツネの頭を優しく撫でながら、俺を見る。その綺麗なライトグリーンの瞳は、俺に何かを言いたげに揺れていた。
…きっと、ちょっと前の昔の自分と重ね合わせたんだね…
この世界に手を差し伸べてくれる人は本当に少ない。皆自分の事で精一杯。ま…そこは地球でも同じか…
この行商に出るにあたって、十分に準備はして来てるから食料も余裕はあるが、わざわざ野良の動物に食料を恵んでやる様な、無駄な事はしたく無いのが本音。そう…本音ではあるが…
こんな可愛いおねだりに、勝てる奴など男ではない!少なくとも、俺には勝てませんね!
俺は荷馬車から、切った干し肉を2つほど持って来て、マルガに渡す。
「この干し肉をその白銀キツネにあげて」
「ハイ!ご主人様!ありがとうございます!」
マルガは嬉しそうに返事をすると、干し肉を白銀キツネに食べさせる。白銀キツネは干し肉を美味しそうにクチャクチャと食べている。余程お腹が空いていたのか、あっという間に食べ終わった白銀キツネは、マルガにお礼を言う様に、マルガの頬をペロっと舐めた。
「ウフフ…くすぐったいですよ」
マルガは嬉しそうに白銀キツネに言うと、頭を優しく撫でている。白銀キツネも気持ち良さそうに、マルガの胸に頭を擦りつけている。
小動物と戯れる美少女って絵になるよね…可愛すぎる!
「そう言えば、その白銀キツネはまだ子供みたいだけど…その子の親とかどうしたのかな?はぐれちゃったとかなのかな?」
俺のそんな疑問に、マルガは白銀キツネにレアスキルの動物の心で確認すると
「…母親は2日位前から動かなくて、ずっと眠っているみたいだって言ってます…」
マルガは不安そうに言うと、俺と顔を見合わせている。お互い頭に浮かんでいるものが同じだと表情で解った。
エサも上げた事だし、このまま放っておけば良いと思うんだけど、マルガの顔を見ると、子供の白銀キツネが心配で堪らないと言った顔をしていた。
「マルガは暗闇でも目が見える?」
俺の質問にキョトンとしながらマルガは
「いいえ。私はハーフのワーフォックスなので、夜目は効かないんです…ソレがどうかしたのですかご主人様?」
マルガは可愛い首を傾げながら言う
「じゃ~荷馬車にランタンが積んであるから持って来て」
「ランタン…ですか?」
マルガは薪を見ながら聞き返してくる。今は夜だが、薪を焚いているのでこの辺りは明るい。なのでこの上ランタン迄要らないと思って居るのだろう。
「その白銀キツネの親の状態を見に行くからさ。森の中は真っ暗だからマルガは見えないでしょ?ランタンが有ればマルガも見えるしさ」
ソレを聞いたマルガは、嬉しそうな顔をして、ハイ!と元気よく返事をして、テテテと荷馬車にランタンを取りに行く。
「じゃ~マルガ。その白銀キツネの子供に、母親の所まで案内する様に伝えて」
マルガはコクっと頷くと、白銀キツネの子供を見つめる。すると、白銀キツネの子供はテテテと歩き始める。俺とマルガは、白銀キツネの子供の後を付いて行くと、500m位来た所で、何かが横たわっているのが見えた。その横たわっている物に白銀キツネの子供は近寄ると、甘える様に体を擦りつけている。
「…やっぱり…」
「…はい…」
俺とマルガは顔を見合わせていた。2人の予想通り、この白銀キツネの母親は死んでいる。
この白銀キツネの子供は、まだ自分の親が死んだ事を理解していないのであろう。親を必死に揺り動かしているその姿か、少し痛々しい。
それを見ていたマルガは、そっと優しく白銀キツネの子供を抱きかかえる。白銀キツネの子供は親を気にしながらも、マルガに抱かれて気持ち良さげだった。
「…ご主人様。この白銀キツネの親を、埋めてあげても良いですか?」
寂しそうに俺を見るマルガ。
マルガもお母さんと生き別れになってるから、きっと放っておけないだろう…
「うん…いいよ」
俺がそう言うと、俺に白銀キツネの子供を預けて、腰から黒鉄の短剣を引き抜き、穴を掘り始める。
暫く待っていると、掘り終わったみたいで、その穴に白銀キツネの親の亡骸を入れる。
そして、俺から白銀キツネの子供を受け取ると、穴に入っている母親の白銀キツネの傍に寄る。
「…貴女のお母様はね…死んじゃったの。だから埋めてあげて、寝かせてあげようね…」
マルガはそう言うと、母親の亡骸に土を掛けていく。
母親とマルガの顔を、交互に見つめていた白銀キツネの子供は、土をかけ終わるまでジッとしていた。
そして、完全に土に埋まったその上に、マルガは小さな石を墓標代わりに乗せる。
それをジッと見ていた白銀キツネの子供は、その小さな墓標の匂いをクンクンと嗅ぐと、マルガの胸の中に飛び込んだ。白銀キツネの子供は、小さな頭をマルガの胸に、グリグリと擦りつけていた。
そんな白銀キツネを優しく抱きしめるマルガ。その瞳は微かに潤んでいた。
「じゃ…その白銀キツネを連れて、野営場所に戻ろうか。戻ったら、名前を付けてあげよう」
その言葉を聞いたマルガは、ハッして俺の方に向き直る。
「…連れて行きたいんでしょ?ま~その白銀キツネが加わった所で、大してお金も掛からないしさ」
そう言って微笑むと、ダダダと俺の傍まで駆け寄って来て、ギュっと胸にしがみ付くマルガ。
「ご主人様…ありがとうございます!」
ニコっと満面の微笑みを向けるマルガは、俺の頬に軽くキスをする。それを見ていた、マルガの胸に抱かれている白銀キツネの子供は、真似をする様に、俺の頬をペロっと舐める。
それを見て、俺とマルガは顔を見合わせて笑う。
「この子ったら…この子にも、ご主人様の気持ちが解った様ですね」
「ハハハ。可愛いね。じゃ~そろそろ帰ろうか」
「ハイ!ご主人様!」
元気良く返事をするマルガの手を引いて、俺達は野営場所まで帰るのだった。
野営場所に帰って来た俺とマルガは、食事の片付けをして、馬のリーズをテントの中に入れて、寝る準備をしている。
マルガは、体を拭く用意をしてくれている。その後をチョコチョコ付いて行く、白銀キツネの子供のルナが可愛らしい。
因みに、この白銀キツネはルナと俺が名付けた。額に三日月の様な模様が有ったので、それにちなんでつけたのだ。
マルガは、私が付けます!って、言ってたけど、馬のリーズの名前も覚えきれていない俺に、さらにこの白銀キツネの名前を覚えるなんて、考えただけで目眩がするよ。
半ば強引に俺がつけた名前を、幸いマルガが気に入ってくれて良かった…マルガに名前を付けさせる時は、本当に注意しないと…俺の1bitの頭が、パンクしちゃうよ!
そんな事を思いながら、準備していると、マルガも体を拭く準備が出来た様だった。
「では…ご主人様…体を拭かせて貰いますね…」
マルガは顔を若干赤くさせながら、両手で石鹸水の入った桶と布を、俺の足元まで持って来て、布を石鹸水に浸す。服を脱がしてくれ、丹念に俺の体を、拭いていってくれる。両腕に、両足、背中や胸も。そして、最後に俺のモノを優しく手に取る。
「う…うう」
思わず声が漏れた。マルガが俺のモノを咥えて、舌と口の中で丹念に愛撫してくれる。
マルガの柔らかい舌と、暖かい口の中が気持ちいい。もう我慢出来無くなった俺は、マルガの顔に腰を振り、マルガの可愛い口の中に精を注ぎ込む。
コクコク音をさせて、飲み込んでいくマルガ。そして、口を開けさせ、全て飲みましたの確認をすると、ニコっと微笑み嬉しそうにしている。
「じゃ~次はマルガを綺麗にして上げようね」
俺はマルガをぐいっと引き寄せると、マルガの服を脱がして行く。恥ずかしそうに顔を赤らめているマルガは、その美しい体を、俺の前に曝け出していた。その美しい幼女の女体に、俺のモノはピクピクと大きく反応している。
俺はゆっくりと嬲る様に、マルガを拭いて行く。右腕、左腕…拭きながらマルガの脇の下や首筋を舌で念入りに味わい愛撫もする。マルガが身悶えるのが愛らしい。舌と布で丹念に愛撫しながら、全身を綺麗にしていく。マルガは、舌が気持ち良いのか、時折甘い吐息を上げ身悶えている。
俺はマルガの右足を持ち、綺麗に拭い行く。そして、綺麗に拭き終わった可愛く小さな右足に舌を這わせる。ピクっと身を捩れさせるマルガ。
「ご…ご主人様…その様な所…ダメ…です…」
「…マルガの足も可愛いよ…もっとしてあげる」
俺はマルガの足の指の間に舌を這わせ、丹念に舐めて愛撫をしてあげると、俺の舌が気持ち良いのと、ご主人様に足を愛撫して貰っている、嬉しさと、恥ずかしさ、申し訳なさが織り交ぜになった、艶めかしい目を俺に向けて居る。俺はその表情をもっと見たくなって、両足を舌で愛撫してあげる。左手で両足を抱え上げ舐めて、右手でマルガのヌレヌレになっている秘所を愛撫すると、足の可愛い指をキュっと強張らせて、快楽に溺れているマルガが、堪らなく可愛かった。
そんなマルガも我慢出来無くなったのか、俺を見ながら甘い吐息を吐き
「ご主人様…もう…私…私…」
喉の奥から切なそうな声を上げ、おねだりをするマルガ。その甘い吐息に誘われ、マルガの口を蹂躙する。舌を可愛いマルガの口の中に捩じ込み、マルガを味わう。マルガも必死に抱きつきながら、俺の舌を堪能していた。
そんな俺も我慢出来無くなって、マルガにお尻を向けさせる。可愛いワンちゃんの様な格好になっているマルガが、とてもいやらしく見える。
そんなマルガの腰を持ち、お尻を優しく撫でながら、ヌレヌレに煌いているマルガの秘所に、俺のモノを持って行く。そして、バックから、マルガの秘所を一気に犯す。
「はうううっつんん!!!」
一気に挿入されたマルガは、膣をピクピクと吸い付けさせながら、激しく身悶えている。
甘い吐息を上げるマルガを、どんどんバックから突き上げる。マルガの柔らかく可愛いお尻の弾む音が、パンパンと良い音をテントの中に響かせる。
「ご…ご主人様…き…気持ち…良いです!」
甘い吐息を撒き散らしながら、声を途切れさせるマルガは、可愛いお尻をもっと突いて欲しいのか、グイグイと可愛いお尻をつき出してくる。俺はそんなおねだりに、マルガの可愛いお尻の穴に指を入れて、膣と一緒に動かして犯してあげる。
その快感に、身を悶えさせているマルガは、早くも小刻みに体を震えさせる。
「ご…ご主人様…私…私…イッちゃいます…イク…イク…イ…イキます!ご主人様イッちゃいます!…んはあああああ!!!」
大きく身を弾けさせるマルガは、大きな声を上げて絶頂を迎える。その膣の締め付けに、俺も同じ様に絶頂を迎え、マルガの膣に精を注ぎ込む。脈打つ俺のモノから、全てを吸い取る様に膣をキュンキュン締め付けるマルガが愛おしくて、ギュッと抱きしめる。
「ご…ご主人様…精を注いで頂いて…ありがとうございます…」
瞳をトロンとさせながら、息の荒いマルガからモノを引き抜くと、ヌロロロと糸を引いている。
マルガのピンクの膣からは、俺の精が、トプトプと流れ出している。それを見て、俺のモノは再度大きくなっていた。
マルガを此方に向かせ、俺はマルガに覆いかぶさり、一気にマルガの膣に挿入する。
「んはああっつあ」
まだ絶頂の余韻に浸って居たマルガは、大きく身悶える。
「…まだまだ休憩させないからね…今日も一杯犯してあげるからね…マルガ」
「…はい…一杯犯して下さい…ご主人様に…犯されたいです…」
マルガは妖艶な表情を浮かべながら、俺の口に吸い付く。マルガの柔らかい舌が、俺の口の中に入ってくる。
俺はそれに答え、マルガを満足するまで犯して、眠りにつく。こうして初めての野宿の夜は過ぎて行くのであった。
季節は春先、暖かい陽の光と、爽やかで春の匂いのする、心地良い風が吹いている。
辺りの木々や草花も、春の優しい日差しを浴びて、喜ぶ様に色づいている。
そんな光景を見ながら、楽しそうに金色の毛並みの良い尻尾を揺らし、軽く鼻歌を歌って居る美少女が
「ご主人様~。荷馬車の上は気持ち良いですね~」
俺に腕組みをして、軽くもたれかかっているマルガの顔は、実に楽しそうである。
「そうだね~。今は春先で季節も良いから、旅や行商をするには最適かもしれないね」
俺が微笑みながら言うとニコっと笑って頷くマルガ。
俺とマルガは、ラングースの街を出て、イケジリンの村に向けて、荷馬車で街道を進んでいる。
街道と言っても、地球の様なアスファルトで舗装された道ではない。俗に言う田舎道というやつだ。
舗装をされていない畦道に近いが、人の往来の多い街道は、大きな石や障害物は取り除かれている為、荷馬車を進めるには問題は無い。
「荷馬車の揺れもなんだか気持ち良いですし、心地良くて眠たくなって来てしまいそうです…って…私ったらご主人様が、荷馬車を操ってくれているのに…すいません…」
マルガは少し気まずそうに言うと、お詫びの印とばかりに、俺の手の甲に何度もキスをしてくる。
俺はマルガの頭を優しく撫でながら
「いいよそんな事気にしなくてさ。この荷馬車は、元々客馬車用のキャリッジタイプを、荷馬車に作り直して貰った物で、板バネも良いのを使ってるから、衝撃も少ないし乗り心地は良いでしょ?」
「ハイ!他の荷馬車みたいに、ガタガタしませんし!それに、この御者台に敷いてある柔らかい敷物も有りますから、お尻も痛くなりません!」
そう言って嬉しそうに、綿と麻で出来た敷物をパフパフ叩いて言う。
「うん。だからこの荷馬車に乗っていると、半年乗っている俺でも、気持ち良くなって眠たくなる時が有るくらいだからね。しかも、春先で、今日は天気も良いし暖かい。マルガが眠たくなっても不思議じゃないよ。眠たくなったら、何時でも寝てくれていいよ?」
微笑みながらそう言って、マルガの額にキスをする。するとマルガは、顔を赤く染めて、俺に顔を近づける。ライトグリーンの美しい瞳が艶かしく光る
「ご主人様…ご主人様の…キスが欲しいです…」
マルガのその口はわずかに開いて居る。いつものキスをおねだりする時の顔だ。
「うん…街を出たら一杯するって約束したしね…俺もしたかったし…」
そう言いながら、マルガの顎を掴み、柔らかい唇にキスをする。
マルガは甘くて柔らかい舌を、俺の口の中に滑りこませる。マルガの舌をたっぷり堪能する。マルガも舌を俺に絡ませ、気持ち良さそうに味わっている。
2人共十分にキスを堪能して顔を離す。マルガは頬を赤らめて嬉しそうだ。
そんなマルガは、キュっと俺の腕を掴んで、顔をくっつけて
「私…ご主人様に…どんどん…甘えてしまいたくなってます…奴隷失格ですね…」
マルガは上目遣いで俺を見る。申し訳なさと、甘えたい気持ちが、透き通る様なライトグリーンの綺麗な瞳の中で、折り重なり揺れていた。
…ううう!可愛すぎる!その上目遣いは、俺の保護欲と支配欲が掻き立てられちゃうYO!
マルガの顎を掴み、顔を近づける
「いいよ…一杯甘えて…おねだりしていいよ…好きな子に甘えられるのは…嬉しいからさ」
そう言ってマルガの唇に優しくキスをすると、ライトグリーンの透き通るような綺麗な瞳を潤ませながら、更にギュっと抱きついてきたマルガは
「…ご主人様…好き…大好きです…マルガは…幸せです…」
頭をグリグリ俺の胸に擦りつける。マルガの柔らかい体の感触と、甘い石鹸の香りがとても心地良い。
「俺も…大好きだよマルガ…」
我慢出来無くなった俺も、マルガを抱きしめる。再度顎を掴み、マルガの口の中を堪能すべく、キスをして、口の中に舌を入れていく。マルガも嬉しそうにソレを受け入れ、喜んでいる。
十分にキスを堪能して顔を離し、マルガと微笑み合っていると
「ブルル…」
世界一名前が長いであろう、馬のリーズ(名前を覚え中!)に、呆れた様な溜め息を付かれた気がした。緩やかに揺れる荷馬車の上で、マルガと俺は顔を見合わせて、恥ずかしそうに笑った。
「そうなんですか!ソレはすごいですね~!」
「アハハ!ソレはご主人様らしいですね!」
「え…ご主人様もそんな所が…フフフ…」
「もう…そんな事言ってはダメですよ!」
世界一名前が長いであろう馬のリーズ(名前は努力してるよ?)に、溜め息と言うツッコミを頂いてから、マルガはこんな感じで一人で喋っている。
むうう…これは…なんだろう?
パッと見は、マルガが独り言を言っている様にしか見えないけど…
は!あれか!実は、俺に見えない第三者とコンタクトをしているのか!?
それとも、裸の王様みたいに、バカには見え無い人と喋っているの!?それなら俺は見えない…ゲフンゲフン…
と…とりあえず、この状況を打破しよう!やれば出来る子を見せてやる!…本当にバカには見え無い人と喋っていた時は…逝こう…何処か遠くに…ううう…
「マ…マルガ…。さっきからさ、誰とお話してるの…かな?」
あうう!声がうわずっちゃった!オラ…恥ずかしい…
俺がドキドキして聞くと、ニコっと微笑んで、
「ああ!すいませんご主人様。リーズ・アダレイド・アナ・リーラ・ドランスフィールド・ジョーハンナ・ジラ・キンバリー・カドガン・アマンダ・キャスリン・パーマー・ブルブリルとお話してました!」
「へ!?馬のリーズ(覚えてませんが何か?)と喋ってたの!?」
「そうですよ。それとご主人様、リーズ・アダレイド・アナ・リーラ・ドランスフィールド・ジョーハンナ・ジラ・キンバリー・カドガン・アマンダ・キャスリン・パーマー・ブルブリルですからね!」
マルガはムムムと俺を見て、馬のリーズ(本当努力してます…)のフルネームを言わせ様とするが、とりあえず後でまた覚えるからと、話を続けさせた。名前もとりあえずは、愛称と言う事でリーズで納得して貰った。うううと唸っているマルガも可愛いね!
「と…とりあえず、馬のリーズと喋っていたって事?」
「そうです。正確には、意思の疎通をしていたと言った方が正しいですけど」
どうやら、マルガの持っているレアスキルの動物の心で、馬のリーズと話というか、意思の疎通をしていたらしい。俺は意思の疎通と聞いて、何処迄出来るのか興味が湧いた
「意思の疎通ってさ、何処迄解るものなの?ひょっとして、馬のリーズの思っている気持ちとかも、解っちゃったりするの?」
「はい解りますよ。リーズの考えてる事や、思っている事、此方の考えも伝えたり出来ますから。特に、お馬さんは知性が高い動物ですから、結構会話的に、意思の疎通が出来たりします」
マルガは、人差し指を立てて、得意げに言う。
結構会話的に、意思の疎通が出来る!?…って事は、本当にお話出来るって事と同じじゃないの!?
それって…結構凄い事なんじゃ…地球だと、その力を解明したら、間違いなくノーベル賞ものだよ!…増々興味が出てきちゃったよ!
「…マルガさっきはリーズと何話してたの?」
「えっと…ご主人様が魔物や野盗に襲われた時に、全部倒して凄かった~とか、野宿する時に、リーズと一緒に寝る時は、リーズに抱きついているとか、…夜中に寝ている時に、おトイレをしようとして、寝ぼけてズボンを下げずにしてしまって、びしょびしょになっちゃった話とか…、あと、行商に行かない時に、会いに来てくれ無い時が有るから、捨てられるかと思う時があるとか…ですね」
そう言って気まずそうに微笑むマルガ。
ちょ…ちょっと!そんな具体的に解っちゃうの!?
俺はハッとなって馬のリーズに視線を向けると、此方に少し振り返って、ニヤっと笑った気がした。
…馬!リーズ怖す!…寝ぼけて、やっちゃった話まで聞かれちゃった…ガク…
…って、そんな事よりも、聞きたい事がある…
「かなり驚いてるんだけど、馬のリーズにも、人間的思考があるって事!?」
そうこれが聞きたかった。そんな俺の質問に、キョトントしてマルガは言う
「勿論ありますよ?お馬さんは賢い動物ですからね。ですから人間や私達とこうやって生きていけるんですよ」
さも当然の様に言うマルガ
「…って事は、馬のリーズには自分の意志もあって、色々考えて人間に従って居るって事!?」
そう思うよね?だって、人間だってわざわざ使われて、使役されたいと思わないもんね。
ソレを聞いたマルガは、ん~っと口に人差し指を当てて考え
「…ご主人様の言われているものとは違いますね。リーズは人間…ご主人様や私達亜種の事を、家族だと思っているんです。ですから、使役されているとは、思っていないんですよね。家族の言う事を聞いているって言う所ですね。なので、嫌がって使役されている訳では無く、家族の為に役に立っていると思っているんですよ。まあでもたまに、機嫌が悪くてしたくない時もあるのは、人間と同じですね。…生き物を奴隷として扱い殺すのは…人間と一部の亜種ぐらいのものですよ…。基本動物さんは、優しいし、必要以上の事はしないものですから…」
そう言って儚げな表情をするマルガ。
…確かにそうだ。動物の世界に奴隷なんて無いし、自分達の食料にする以上に、殺したりもしない。
同族を喜んで殺すのは人間と一部の亜種って事か…
そんな俺の表情を見たマルガはニコッと笑って
「でも、リーズはご主人様の事が好きだって言ってますよ。いつも優しくしてくれるし、寝る時も一緒だし、体も洗ってくれるし、好物も貰える…ご主人様は、リーズに好かれてますよ」
そう言って微笑むマルガ
馬!!いや、馬のリーズ!そんな事を思ってくれていたのね…ううう…
荷馬車を引く馬を買いに行った時に、優しそうで、気が合いそうだったのを買っただけだったけど、実際従順で、気性も優しく大人しい馬なのは、半年一緒にいて解ってたけど…良い馬じゃないか!
お父さん嬉しいよ…良い子に育ってくれて…あ…馬のリーズの方が年上か?…ムウウ…負けてる?
「そっか…それは嬉しいな」
俺がそう言ってマルガに微笑むと、ニコっと微笑んで頷くマルガ。
馬のリーズは俺の言葉が解らないので、黙々と指示通り荷馬車を引っ張っている。
「ねえマルガ。リーズにね、いつもありがとうって思ってるよって、伝えて貰える?これからも一緒にやって行こうねって」
俺の言葉を聞いたマルガはニコっと微笑み、馬のリーズに目を向ける。
その瞬間、リーズに何も指示してないのに、荷馬車の速度が上がって、ガクンとなってビックリした。
俺が驚いている横で、マルガはクスクスと楽しそうに笑いながら
「ご主人様の気持ちが解って、リーズったら張り切っちゃってるみたいですね」
「…リーズに無理しないように伝えてよマルガ」
苦笑いしながら俺が言うと、クスっと笑って頷くマルガ。
少し速度の上がった荷馬車に揺られる俺とマルガは、微笑み合っていた。
「スウースウー」
俺の膝の上で、気持ち良さそうに寝息を立てているマルガ。その顔はとても幸せそうだ。
暫く俺に腕組みしながら、楽しそうにはしゃいで居たマルガだったけど、春先の暖かい日差しと、荷馬車の心地良い揺れが、マルガの眠気を誘ったみたい。コクコクと首を縦に振りながら、眠気と格闘していたのが可哀想だったので、俺の膝枕に寝かせてあげたのだ。
凄く気を使ってダメですって言ってたけど、引き寄せて膝枕をしてあげたら、嬉しそうにそのままになった。その後すぐに寝息を立てちゃったのには、笑っちゃったけど。我慢してたんだねきっと。
ネコも日向ぼっこしながら寝るのが好きだけど、ワーフォックスのマルガも似た様なものなのかな?
マルガの場合は、ハーフのワーフォックスだけど、やっぱりお昼寝は好きなんだろうね。
「ムニャムニャ…ご主人様…大好きです…」
ブホ…寝言でそんな可愛い事言ってくれちゃったら、起きたらいっぱい可愛がるしか無くなっちゃうじゃないか!可愛すぎますよマルガちゃん!
俺はマルガの幸せそうな寝顔を見ながらニマニマしながら荷馬車を進める。
そこそこの時間が立って空を見あげれば、夕刻に近い時間になってきている。日が傾きかけていた。もう暫くすれば夜の帳も降りてくるだろう。
俺は、今夜の野営の場所を決めて、荷馬車を止める。街道沿いの森の傍に決めた。
ここなら、風の影響も受けにくい。街道にも出やすいし、何かあったら逃げやすい。
場所も決まった事なので、膝の上で寝ているマルガを起こす
「マルガそろそろ起きてくれる?」
そう言って優しく揺さぶると、目を擦りながら軽く欠伸をして
「ご主人様すいませんでした…ご主人様の膝枕…気持良かったです…」
顔を少し赤らめてはにかむマルガ。ニコっと微笑むと、尻尾をパタパタさせて嬉しそうだ。
そんな可愛い事言われたら、嬉しいじゃないか!またしてあげるね!
「今日は此処で野宿するよ。夜になる迄に準備しちゃうから」
「解りましたご主人様。…どんな準備をするのですか?」
マルガはずっと三級奴隷で居たので、野宿などの日常的な事は、解らない事が多い。
この行商を経て、色々覚えて貰うつもり。
「えっとね、まずテントを張って、薪に使う薪拾いかな。それが終わったら、夕食の準備だね」
「解りましたご主人様!私は薪を拾ってきます!」
ハイ!と右手を上げ、元気に言いうと、張り切って森の中に行こうとするマルガ。
そんなマルガの手を引っ張って止める。アワワとバランスを崩しながら止まるマルガ。俺の顔を見て、キョトンとしている
「一人で森の中に入ってはダメ。と言うか、旅中は一人で行動しちゃダメ。それと、俺から10m以上離れたらダメだからね?」
俺はマルガに説明を始める。
この世界は、危険に満ちている。地球でも森の中には、熊やら狼などの肉食獣が居るけど、此方の世界はそれプラス魔物や野盗が居るのだ。
そう言った獣や魔物、野盗の類は、一人になる時を狙って待っている事が多い。
なので作業の効率を上げる為に、手分けして作業する事が、出来るだけの人数が居る時は良いが、人数が少ない時は、効率を下げてでも安全を優先して、団体行動する事が基本なのだ。決して1人で行動してはならない。
例えば、薪を拾うにしても、一人は薪を拾う係、一人は周辺の警戒と、最低2人以上での行動をしなければ、命を落としかねないのだ。
俺の説明を聞いて、コクコクと真剣な顔で頷くマルガ。
「じゃ~一緒に薪を拾いに行こうか」
俺の言葉にマルガはハイ!と元気に返事をする。本当に素直で良い子だよマルガちゃんは!
馬のリーズを荷馬車から外し、木にくくりつける。その後に、俺とマルガは森の中に入っていく。
春先だけ有って森の中は色とりどりに茂っている。
俺は腰に下げていた、セレーションブレード付きの黒鉄マチェットを、鞘から引き抜く。
そして、次々と枝を切っていく。それを見たマルガは、枝を拾い集めようとしていた。
「マルガは作業しなくていいよ。マルガは周辺の警戒をして欲しい」
「で…でも…ご主人様に、きつい事をさせては…私は本当に役立たずです…」
マルガは申し訳なさそうに少し俯く。あ…きっと勘違いしてるねマルガちゃんは
「マルガちょっと違うよ。別にマルガが役に立たないと言う事じゃないよ?それぞれの得意な事に専念した方が良いって事」
俺の話に小首を傾げるマルガ。マルガは仕草の一つ一つが可愛いね!…やられちゃってるよ俺!
マルガはワーフォックスハーフ。パッシブスキルで、ワーフォックスの種族である能力を出せる、フォックスの加護のスキルを持っている。いわゆる種族スキルだ。
このスキルの能力は、身体能力向上、高嗅覚、高聴力。
マルガは半径200m以内なら、匂いや音で、生き物の大体の気配を探り、察知出来るのだ。
本来動物が持っている、危険察知能力というやつだ。
マルガはハーフなので200m位だが、純粋のワーフォックスなら400mはいけるらしい。
俺もヴァンパイアハーフなので、種族スキルであるヴァンパイアハーフの加護を持っている。
このスキルの能力は、限定不老不死、身体能力上昇、大強闇属性耐性、弱光属性。
限定不老不死は読んで字の如く、限定的な不老不死だ。俺は基本老けない。不老だ。永遠の16歳ってやつ?何処かのアイドルみたいだけど!
それに完全な不死ではない。超自己再生能力を超える攻撃を受けた場合や、首と体を切り離される又は、頭を完全に潰されるなどをすれば死んでしまう。
それと、俺は始祖の闇の眷属なので、闇属性の攻撃は効かない。無効化出来るのだ。
しかし逆に、光属性の攻撃には倍ダメージを食らってしまう。光属性怖すぎます!
そして最後は、身体能力上昇。俺は、種族能力解放をしなくても、通常状態で一般的成人の約3倍の身体的能力を、意識的に出す事が出来る。
なので半径25m~30m以内なら、相手の気配でかなり詳しく察知する事が可能なのだ。
俺は25m~30m以内なら、マルガより詳しく察知出来るが、検索範囲ならマルガには遠く及ばない。もし、森の中で鬼ごっこをしたとすれば、俺はマルガを捕まえる事は難しいだろう。俺がマルガを察知するより、マルガの方が早く俺を察知出来るからだ。
こう言った周辺察知能力は、戦闘職業に就いている人も持っている事がある。
何方が早く見つけるか又は、隠れきれるかは、双方の実力や、レベル、スキルレベルによって決まる。
当然俺やマルガに見つからず、近寄る事も逃げれる奴もいるって事。実力の世界なのだ。
俺はマルガにその事を説明して、広範囲の検索はマルガの方が優れているから頼むんだよと言ったら、さっきまでの浮かない表情が、パアアと明るくなって、嬉しそうに金色の尻尾をフリフリしながら
「わ…私がんばります!必ずご主人様のお役に立って見せます!」
胸の前で両拳を握って、オーと叫ぶマルガ。どうやらやる気になってくれたようだ。良かった良かった
「じゃ~俺は枝を切って薪を作るから、マルガは引き続き周辺の警戒を頼むね」
「解りました!任せて下さいご主人様!」
マルガはそう言うと、辺りをキョロキョロ見回しながら、小さく尖った可愛い耳をピクピクと動かして、時折スンスンと匂いを嗅ぐように、鼻を動かしている。
その余りに必死に警戒してます!って感じのマルガが可愛すぎて見蕩れてしまう。
必死のマルガ可愛いよ!まるで子猫が何かを探してるみたいで!ラブリーだ!癒される!
そんなニマニマした俺の視線に気が付いたマルガが
「…ご主人様余り見ないでください…恥ずかしいです…」
マルガは顔を赤くしてモジモジしながら言う。
「ご…ゴメン!…余りに必死なマルガが可愛かったからつい…」
俺のそんな苦笑いに、更にモジモジしているマルガ。
そんな可愛いマルガを見ていると、作業がどんどん遅くなるので、なるべく見ないように薪を作っていく。目標の量の薪もたまり、木製の背負子に薪を縛り付け背負う。そして、荷馬車まで戻る事にする。
「ご主人様…重たく有りませんか?」
俺に言われた通り、周辺を警戒しながら、申し訳なさそうに言うマルガ
「大丈夫だよ。マルガが辺りを警戒してくれているおかげで、俺も気が楽だしね」
微笑みながら優しく頭を撫でると、嬉しそうな顔をして、パタパタ尻尾を振っているマルガ。
荷馬車迄戻ってくると、長めのロープで木に縛り付けていた馬のリーズが、春先の新芽の柔らかい草を美味しそうに食べていた。マルガ曰く、春先の新芽の草は美味しいとリーズが言っているとの事。
俺は薪を縛った背負子を降ろし、荷馬車にくくりつけている木の棒を外していく。
「ご主人様。次は何をするのですか?」
俺のしている事が気になるんだね!好奇心一杯のマルガちゃんは!
「えっとね次は雨風を凌ぐ簡易のテントを張るから手伝って」
そう言って、馬のリーズを縛り付けている木に向かう。そして、その木を元にして、棒を組んで骨組みを完成させていく。マルガも一緒に手伝ってくれる。
「ご主人様。リーズもこの中に入るんですか?」
「うん。行商に出る時は一緒に寝てるからね。リーズは賢いから、大人しくこの中で一緒に寝てくれるよ。この中だとリーズも雨に濡れないから。それに、春先でも夜はまだまだ寒いから、リーズと一緒に寝たら暖かいから気持ち良いよ」
「それは良いですね!私お馬さんと寝るの初めてなんで楽しみです!」
マルガはリーズの首を優しく撫でながら言うと、リーズも何処か嬉しそうにしているように感じる。
やっぱり、意思の疎通が出来てるからなんだろうね。マルガのレアスキルは色々応用が効きそうだ。
俺とマルガは、骨組みにテント用の布を張って、骨組みにしっかりと結びつけ、テントを張り終わる。
簡易式のテントではあるが、入り口は布できちんと開閉出来る様になっており、物見窓迄有る。
嵐の様な強風には耐えれないが、そこそこの雨風を防げて、ちょっとした暖も取れるなかなか便利なテントだ。
「ご主人様!このテントなかなか良いですね!私気に入っちゃいました!」
マルガはテントの入り口から顔だけヒョッコリ出して嬉しそうにしている。まるで遠足に来ている学生の様に楽しげだ。
「気に入ってくれて良かったよ。じゃ~俺は夕食の用意をするから、マルガはリーズに水をやってくれる?」
マルガに微笑みながら言うと、ハイ!と元気良く返事をする。マルガは荷馬車の水樽から桶に水を汲み、リーズに水を飲ませている。リーズの首を撫でているマルガの表情に癒される。
そんなマルガを見ながら、夕食の準備をする。
夕食の献立は、野菜のシチューと、焼いた豚の塩漬けの肉を、軽く焼いたパンにチーズと一緒に挟んだ物だ。
行商に出る時は、保存のきく食物を持って行くのが慣習である。
肉や魚の塩漬けや干物、蜂蜜やチーズ等の腐りにくい物、野菜は腐りにくい根系の芋類、パンはロングライフブレッド系の物が多い。
ある程度手入れをして保存しておけば、一ヶ月は腐る事無く美味しく食べられる。
夕食の下拵えも出来たので、薪に火を付ける。
薪に鍋に入れたシチューをかけ、その回りに、豚の塩漬けの肉とパンを串に刺して焼いていく。
辺りには料理の美味しそうな匂いが漂っている。
俺が調理していると、いつの間にか俺の隣に来て、美味しそうなその匂いに、鼻をピクピクさせているマルガ。
「ご主人様~。美味しそうです~」
目を輝かせ、口から涎の出そうなマルガは、尻尾をパタパタさせている。
そんな可愛いマルガを微笑ましく思いながら
「もう少しで出来るから、マルガは食器の用意をしてくれる?」
そう言うと、ハイ!と嬉しそうに右手を上げて、ピュ~っと荷馬車に食器を取りに行くマルガ。
ほんとマルガは食べるのが好きだね!ま~今迄食べれなかった反動かもしれないけど。
マルガは、自分の分と俺の分の食器を綺麗に並べると、右手にナイフ、左手にフォークを持って、ご主人様準備万端ですよ!と言わんばかりに、ブンブン尻尾を振って嬉しそうに座って待っている。
そんなマルがが可笑しくてプっと笑うと、恥ずかしそうに顔を赤くして、はにかむマルガに癒されながら、出来た料理を皿に入れていく。
「さあマルガ食べようか」
「ハイ!ご主人様!頂きます!」
チャキーンとフォークとナイフを構えて、料理に襲いかかるマルガ。
アグアグと実に美味しそうに食べている。マルガの頬に付いているパン屑を取ってあげると、ニコニコしている。
「ご主人様の料理美味しいです~」
「ありがとね。ま~ほとんど味付けは出来てる物なんだけどね」
「それでも、ご主人様が作ってくれたと思うと美味しく感じます!」
可愛い事を言ってくれちゃいますねマルガちゃんは!
「でも、行商中や旅に出て移動中の時は、メニューが限られるんだよね。朝、昼、夜はきちんと別メニューにするけど、毎回同じローテーションなのは我慢してね」
「私は全然構いません。こんなに美味しい料理を毎回食べれるんですから!」
ニコっと笑うマルガの頭を優しく撫でる。マルガは本当にそう思っているんだろうけど、俺は仕方なくって言った感じなんだけどね。本当はマルガの言う様に、食べれるだけマシって事の方が大切なんだろうけど、俺は飽きちゃうよ…我慢を覚えよう…ウウウ…
「まあ…道中で、獣の肉や、木の実や野菜、魚なんかが手に入ったら、その都度食べさせてあげるよ」
「ハイ!楽しみにしてますご主人様!」
マルガは嬉しそうに微笑むと、尻尾を楽しげに揺らしている。
手に入ったら、ちょっと気合入れて美味しく調理して、食べさせてあげるよマルガちゃん。
俺がそんな事を考えてニマニマしていたら、マルガは思い出した様に
「そういえばご主人様、あの荷馬車に積んである4つの水瓶なんですが、鉄製ですよね?あんな立派な水瓶は始めて見ました」
マルガは口に料理を頬張りながら言う。モグモグ。
「うん。鉄製じゃないんだけどね。あの水瓶は青銅製の特注品なんだ」
「青銅製…ですか…。壊れにくいからですか?」
「ソレもあるけど、別の意味の方が大きいんだ」
「どんな意味なんですか?」
「うんとね、俺の居た元の世界の言葉なんだけど、銅壺の水は腐らないって言ってね…」
俺は可愛く首を傾けるマルガに微笑みながら説明をする。
この世界に来て旅に出る時に、一番びっくりさせられたのが、水の事だった。
地球の日本じゃ水何て水道をひねれば出るし、コンビニでも売っているし、日持ちのする災害用の水なんてものも売っている。
しかし、この世界にそんな物は無い。
なので、竹や木の水筒、木樽や水瓶に水を入れて行くのだが、日持ちしないのだ。つまり腐る。
水がこんなに腐りやすい物だとは思わなかった。水で不自由した事が無かったから余計に思う。
行商を始めた半年前は、まだ夏で非常に暑かった。町を出て、3日で水が腐ってしまって、また町に戻ったのは苦い思い出だ。水がなければ、旅なんて出来ない。俺はヴァンパイアハーフで、限定不老不死だけど、食べなかったり、水を飲まなかったりしたら、普通に餓死します。
そこで地球にインターネットで繋がっているマジックアイテムのパソコンで、色々調べて対策をした結果がコレなのだ。
まず、水瓶を青銅製の銅瓶にした。銅には強い殺菌作用がある。銅壺の水は腐らないって言われる所以だ。
そして、その銅瓶を特殊な板バネ入りの、よく揺れる台座の上に、倒れないように設置した。
それは、銅瓶に入れた水を良く揺れる様にしたかったのだ。
揺れる水や動きのある水は腐りにくい。 遠洋航海する船の水は、 船が揺れるから腐らず長持ちしたって話もある位だ。
この荷馬車は、良い板バネを使っているので、衝撃が少なく、揺れが少ない。なので、揺れる台座の上に乗せて、わざわざ揺れやすくしているのだ。よく水が揺れて動くように。
そして最後は、水の入った銅瓶に、陶磁器の破片を入れている。陶磁器の水も腐りにくいのだ。
この3つの対策をしたお陰で、真夏に行商に出ても、一ヶ月は水が腐らなくなった。
季節が良ければ、2ヶ月近くは持つだろう。まあ…その分、初期投資は高かったけどね!命の水には変えられません!
そんな俺の説明に、マルガは感心した顔を向けて
「あの青銅製の水瓶にそんな秘密があったなんて…ご主人様は色々ご存知なんですね~。私尊敬しちゃいます!」
キラキラした眼で見つめられると照れちゃうよマルガちゃん!港町パージロレンツォに着く迄に、色々教えてあげるよ!手取り足取り色々と…ゲフンゲフン…
そんな俺とマルガが微笑み合う中、その来訪者は茂みの中から現れた。
「ガサガサガサ…」
俺とマルガが夕食を食べて座っている場所から、少し離れた左前方の茂みが突然揺れた。
俺は瞬時に、セレーションブレード付きの黒鉄マチェットの柄を握り、いつでも鞘から抜けるように身構えた。マルガを見ると、マルガも黒鉄の短剣の柄を握り、緊張しながら身構えていた。
俺とマルガは、夕食を食べてリラックスしているとは言え、周辺の警戒は怠っていない。
マルガの検索範囲は半径200m、俺は半径30m、この範囲内に、人や狼クラスの危険な野獣や魔物は居なかったはず。
ソレを抜けて来たのであれば、かなり手練の人物か、気配の消せる、厄介な野獣や魔物である。
何時でも戦闘出来る体勢で、警戒していた俺とマルガの前に、その来訪者は姿を表した。
「ク~ク~」
と言うか弱い鳴き声と共に、小さい狐の様な容姿の小動物が、茂みからヒョッコリ首だけだして此方を見ていた。その小動物を見たマルガは、俺に抱きつき、指をさしながら
「ご主人様!見てくださいアレ!か…可愛いです~!」
俺とその小動物を交互に見ながら、目を輝かせていた。女の子はやっぱり可愛いのが好きなんだね~。
「えらく可愛い来訪者だな。白銀キツネの子供か…道理で気配が解らなかったはずだ」
もうすっかり警戒心もとけている俺とマルガは、顔を見合わせて微笑んでいた。
気配は生命力と、質量の大きさに比例する。生命力が多く質量の大きい者は、気配が大きいのである。
簡単に言うと、富士山位の大きさのドラゴンは、気配を隠すのが難しい位に気配が多く見つけやすいが、逆に顕微鏡でしか見えない位の微生物の気配は、探すのが出来無い位に気配が無い。感じられない。
この白銀キツネの様な小動物や、小さな昆虫迄感じ取れる位に、常に最大の気を張り巡らせて周囲を警戒する事も出来るが、ものすごく疲れるし、長時間持たない。余程緊急事態の時以外は、警戒ランクを若干下げて、休養するのがベターなのである。
俺とマルガは、自分達に害を及ぼす可能性のある、狼レベル位の大きさの気配迄を感じれる様に警戒していた。なので、この白銀キツネは傍までやって来れたのだ。
「ほら…おいで!怖く無いし、痛い事はしないから…」
マルガは白銀キツネに微笑みながらそう言うと、両手を白銀キツネに広げて、手招きしている。
白銀キツネは少し警戒していたが、ゆっくりとマルガ迄近寄る。マルガはそっと優しく白銀キツネを抱き寄せ胸に抱く。胸に抱かれた白銀キツネは、何処か気持ち良さそうに、大人しく抱かれていた。
そんな光景に、心を和ませられる。
「しかし、警戒心の強い白銀キツネが、人間の傍まで寄って来るなんて珍しいね」
この白銀キツネと言う動物は、白っぽい銀色の毛並みで、キツネとリスを合わせた様な容姿を持つ。大人でネコ位の大きさになる。白銀キツネの毛皮は非常に良く、貴族や王族、商人に人気が高く、襟巻きや手袋の素材とされている。警戒心の高い事も重なって、結構貴重なのだ。
俺がそんな事を考えていると、マルガはレアスキル、動物の心で意思の疎通をしたみたいであった
「…ご主人様…この子…2日も何も食べていないみたいです…どうしようもなくお腹が空いている時に、良い匂いがしたので我慢出来無かったって…それで来たみたいです…」
マルガは白銀キツネの頭を優しく撫でながら、俺を見る。その綺麗なライトグリーンの瞳は、俺に何かを言いたげに揺れていた。
…きっと、ちょっと前の昔の自分と重ね合わせたんだね…
この世界に手を差し伸べてくれる人は本当に少ない。皆自分の事で精一杯。ま…そこは地球でも同じか…
この行商に出るにあたって、十分に準備はして来てるから食料も余裕はあるが、わざわざ野良の動物に食料を恵んでやる様な、無駄な事はしたく無いのが本音。そう…本音ではあるが…
こんな可愛いおねだりに、勝てる奴など男ではない!少なくとも、俺には勝てませんね!
俺は荷馬車から、切った干し肉を2つほど持って来て、マルガに渡す。
「この干し肉をその白銀キツネにあげて」
「ハイ!ご主人様!ありがとうございます!」
マルガは嬉しそうに返事をすると、干し肉を白銀キツネに食べさせる。白銀キツネは干し肉を美味しそうにクチャクチャと食べている。余程お腹が空いていたのか、あっという間に食べ終わった白銀キツネは、マルガにお礼を言う様に、マルガの頬をペロっと舐めた。
「ウフフ…くすぐったいですよ」
マルガは嬉しそうに白銀キツネに言うと、頭を優しく撫でている。白銀キツネも気持ち良さそうに、マルガの胸に頭を擦りつけている。
小動物と戯れる美少女って絵になるよね…可愛すぎる!
「そう言えば、その白銀キツネはまだ子供みたいだけど…その子の親とかどうしたのかな?はぐれちゃったとかなのかな?」
俺のそんな疑問に、マルガは白銀キツネにレアスキルの動物の心で確認すると
「…母親は2日位前から動かなくて、ずっと眠っているみたいだって言ってます…」
マルガは不安そうに言うと、俺と顔を見合わせている。お互い頭に浮かんでいるものが同じだと表情で解った。
エサも上げた事だし、このまま放っておけば良いと思うんだけど、マルガの顔を見ると、子供の白銀キツネが心配で堪らないと言った顔をしていた。
「マルガは暗闇でも目が見える?」
俺の質問にキョトンとしながらマルガは
「いいえ。私はハーフのワーフォックスなので、夜目は効かないんです…ソレがどうかしたのですかご主人様?」
マルガは可愛い首を傾げながら言う
「じゃ~荷馬車にランタンが積んであるから持って来て」
「ランタン…ですか?」
マルガは薪を見ながら聞き返してくる。今は夜だが、薪を焚いているのでこの辺りは明るい。なのでこの上ランタン迄要らないと思って居るのだろう。
「その白銀キツネの親の状態を見に行くからさ。森の中は真っ暗だからマルガは見えないでしょ?ランタンが有ればマルガも見えるしさ」
ソレを聞いたマルガは、嬉しそうな顔をして、ハイ!と元気よく返事をして、テテテと荷馬車にランタンを取りに行く。
「じゃ~マルガ。その白銀キツネの子供に、母親の所まで案内する様に伝えて」
マルガはコクっと頷くと、白銀キツネの子供を見つめる。すると、白銀キツネの子供はテテテと歩き始める。俺とマルガは、白銀キツネの子供の後を付いて行くと、500m位来た所で、何かが横たわっているのが見えた。その横たわっている物に白銀キツネの子供は近寄ると、甘える様に体を擦りつけている。
「…やっぱり…」
「…はい…」
俺とマルガは顔を見合わせていた。2人の予想通り、この白銀キツネの母親は死んでいる。
この白銀キツネの子供は、まだ自分の親が死んだ事を理解していないのであろう。親を必死に揺り動かしているその姿か、少し痛々しい。
それを見ていたマルガは、そっと優しく白銀キツネの子供を抱きかかえる。白銀キツネの子供は親を気にしながらも、マルガに抱かれて気持ち良さげだった。
「…ご主人様。この白銀キツネの親を、埋めてあげても良いですか?」
寂しそうに俺を見るマルガ。
マルガもお母さんと生き別れになってるから、きっと放っておけないだろう…
「うん…いいよ」
俺がそう言うと、俺に白銀キツネの子供を預けて、腰から黒鉄の短剣を引き抜き、穴を掘り始める。
暫く待っていると、掘り終わったみたいで、その穴に白銀キツネの親の亡骸を入れる。
そして、俺から白銀キツネの子供を受け取ると、穴に入っている母親の白銀キツネの傍に寄る。
「…貴女のお母様はね…死んじゃったの。だから埋めてあげて、寝かせてあげようね…」
マルガはそう言うと、母親の亡骸に土を掛けていく。
母親とマルガの顔を、交互に見つめていた白銀キツネの子供は、土をかけ終わるまでジッとしていた。
そして、完全に土に埋まったその上に、マルガは小さな石を墓標代わりに乗せる。
それをジッと見ていた白銀キツネの子供は、その小さな墓標の匂いをクンクンと嗅ぐと、マルガの胸の中に飛び込んだ。白銀キツネの子供は、小さな頭をマルガの胸に、グリグリと擦りつけていた。
そんな白銀キツネを優しく抱きしめるマルガ。その瞳は微かに潤んでいた。
「じゃ…その白銀キツネを連れて、野営場所に戻ろうか。戻ったら、名前を付けてあげよう」
その言葉を聞いたマルガは、ハッして俺の方に向き直る。
「…連れて行きたいんでしょ?ま~その白銀キツネが加わった所で、大してお金も掛からないしさ」
そう言って微笑むと、ダダダと俺の傍まで駆け寄って来て、ギュっと胸にしがみ付くマルガ。
「ご主人様…ありがとうございます!」
ニコっと満面の微笑みを向けるマルガは、俺の頬に軽くキスをする。それを見ていた、マルガの胸に抱かれている白銀キツネの子供は、真似をする様に、俺の頬をペロっと舐める。
それを見て、俺とマルガは顔を見合わせて笑う。
「この子ったら…この子にも、ご主人様の気持ちが解った様ですね」
「ハハハ。可愛いね。じゃ~そろそろ帰ろうか」
「ハイ!ご主人様!」
元気良く返事をするマルガの手を引いて、俺達は野営場所まで帰るのだった。
野営場所に帰って来た俺とマルガは、食事の片付けをして、馬のリーズをテントの中に入れて、寝る準備をしている。
マルガは、体を拭く用意をしてくれている。その後をチョコチョコ付いて行く、白銀キツネの子供のルナが可愛らしい。
因みに、この白銀キツネはルナと俺が名付けた。額に三日月の様な模様が有ったので、それにちなんでつけたのだ。
マルガは、私が付けます!って、言ってたけど、馬のリーズの名前も覚えきれていない俺に、さらにこの白銀キツネの名前を覚えるなんて、考えただけで目眩がするよ。
半ば強引に俺がつけた名前を、幸いマルガが気に入ってくれて良かった…マルガに名前を付けさせる時は、本当に注意しないと…俺の1bitの頭が、パンクしちゃうよ!
そんな事を思いながら、準備していると、マルガも体を拭く準備が出来た様だった。
「では…ご主人様…体を拭かせて貰いますね…」
マルガは顔を若干赤くさせながら、両手で石鹸水の入った桶と布を、俺の足元まで持って来て、布を石鹸水に浸す。服を脱がしてくれ、丹念に俺の体を、拭いていってくれる。両腕に、両足、背中や胸も。そして、最後に俺のモノを優しく手に取る。
「う…うう」
思わず声が漏れた。マルガが俺のモノを咥えて、舌と口の中で丹念に愛撫してくれる。
マルガの柔らかい舌と、暖かい口の中が気持ちいい。もう我慢出来無くなった俺は、マルガの顔に腰を振り、マルガの可愛い口の中に精を注ぎ込む。
コクコク音をさせて、飲み込んでいくマルガ。そして、口を開けさせ、全て飲みましたの確認をすると、ニコっと微笑み嬉しそうにしている。
「じゃ~次はマルガを綺麗にして上げようね」
俺はマルガをぐいっと引き寄せると、マルガの服を脱がして行く。恥ずかしそうに顔を赤らめているマルガは、その美しい体を、俺の前に曝け出していた。その美しい幼女の女体に、俺のモノはピクピクと大きく反応している。
俺はゆっくりと嬲る様に、マルガを拭いて行く。右腕、左腕…拭きながらマルガの脇の下や首筋を舌で念入りに味わい愛撫もする。マルガが身悶えるのが愛らしい。舌と布で丹念に愛撫しながら、全身を綺麗にしていく。マルガは、舌が気持ち良いのか、時折甘い吐息を上げ身悶えている。
俺はマルガの右足を持ち、綺麗に拭い行く。そして、綺麗に拭き終わった可愛く小さな右足に舌を這わせる。ピクっと身を捩れさせるマルガ。
「ご…ご主人様…その様な所…ダメ…です…」
「…マルガの足も可愛いよ…もっとしてあげる」
俺はマルガの足の指の間に舌を這わせ、丹念に舐めて愛撫をしてあげると、俺の舌が気持ち良いのと、ご主人様に足を愛撫して貰っている、嬉しさと、恥ずかしさ、申し訳なさが織り交ぜになった、艶めかしい目を俺に向けて居る。俺はその表情をもっと見たくなって、両足を舌で愛撫してあげる。左手で両足を抱え上げ舐めて、右手でマルガのヌレヌレになっている秘所を愛撫すると、足の可愛い指をキュっと強張らせて、快楽に溺れているマルガが、堪らなく可愛かった。
そんなマルガも我慢出来無くなったのか、俺を見ながら甘い吐息を吐き
「ご主人様…もう…私…私…」
喉の奥から切なそうな声を上げ、おねだりをするマルガ。その甘い吐息に誘われ、マルガの口を蹂躙する。舌を可愛いマルガの口の中に捩じ込み、マルガを味わう。マルガも必死に抱きつきながら、俺の舌を堪能していた。
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その快感に、身を悶えさせているマルガは、早くも小刻みに体を震えさせる。
「ご…ご主人様…私…私…イッちゃいます…イク…イク…イ…イキます!ご主人様イッちゃいます!…んはあああああ!!!」
大きく身を弾けさせるマルガは、大きな声を上げて絶頂を迎える。その膣の締め付けに、俺も同じ様に絶頂を迎え、マルガの膣に精を注ぎ込む。脈打つ俺のモノから、全てを吸い取る様に膣をキュンキュン締め付けるマルガが愛おしくて、ギュッと抱きしめる。
「ご…ご主人様…精を注いで頂いて…ありがとうございます…」
瞳をトロンとさせながら、息の荒いマルガからモノを引き抜くと、ヌロロロと糸を引いている。
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マルガを此方に向かせ、俺はマルガに覆いかぶさり、一気にマルガの膣に挿入する。
「んはああっつあ」
まだ絶頂の余韻に浸って居たマルガは、大きく身悶える。
「…まだまだ休憩させないからね…今日も一杯犯してあげるからね…マルガ」
「…はい…一杯犯して下さい…ご主人様に…犯されたいです…」
マルガは妖艶な表情を浮かべながら、俺の口に吸い付く。マルガの柔らかい舌が、俺の口の中に入ってくる。
俺はそれに答え、マルガを満足するまで犯して、眠りにつく。こうして初めての野宿の夜は過ぎて行くのであった。
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