26 / 112
第26話 怪物の青田買いと春の貝
1999年5月。ゴールデンウィーク最終日。
快晴の空の下、俺は書斎のマルチモニターの前でスケジュールの最終確認をしていた。
鷹森の排除、モバイルEC事業の基盤構築、そして米国ペニー株への長期投資。
やるべきミッションは全て、この連休中に完了した。
明日からは再び、様々な思惑が交錯する学園という「戦場」へ戻ることになる。
俺はシステムの電源を落とし、連休中の成果による静かな達成感を味わいながら、外の空気を吸いに出ることにした。
午後。
向かったのはマンションからほど近い有栖川宮記念公園だ。
新緑が美しい園内は、家族連れやカップルで賑わっている。
池のほとりのベンチで、鳩に餌をやっている女性の姿を見つけた。
花村先輩だ。
今日の彼女は、パステルイエローのカーディガンに、ふんわりとした白いスカートを合わせている。
艶やかな黒髪が肩にかかり、少し垂れ気味の大きな瞳が優しく細められている。
制服姿の時も目を引くが、私服姿の彼女は、その柔らかな雰囲気とプロポーションの良さが一段と際立ち、道行く男性たちが思わず足を止めるほどの圧倒的なオーラを放っていた。
「……鳩もお腹が空いているようですね」
俺が声をかけると、花村先輩はビクリとして顔を上げ、俺を見てパァッと笑顔になった。
「あ! 王子様だぁ! こんにちは~!」
「こんにちは、花村先輩。……王子様はやめてくださいと、何度言えば」
「え~? だって王子様だもん。あの日、階段から落ちそうになった私を助けてくれたし」
彼女はクスクスと笑い、隣のスペースを空けてくれた。
俺は失礼して腰を下ろした。
ふわりと、春の陽だまりのような、どこかホッとさせる柔らかな気配が漂う。
「お一人ですか?」
「うん。セイラちゃん誘ったんだけど、お家の用事があるって。……最近セイラちゃん、すごく忙しそうで心配なの」
花村先輩の表情が少し曇る。
親友である霧島家の複雑な事情を、彼女なりに察しているのだろう。
詳しいことは知らされずとも、友人が一人で苦しんでいるのを感じ取り、心を痛めている。
その純粋な優しさが、セイラ先輩にとっては救いであり、同時に心配をかけまいとする重荷にもなっているのかもしれない。
「霧島先輩なら大丈夫ですよ。彼女は強い人です」
「うん……そうだよね。セイラちゃんは強いもんね」
花村先輩は自分に言い聞かせるように頷いた。
そして、俺の顔を覗き込むようにして上目遣いになった。
「ねえねえ、西園寺くん。……もしセイラちゃんが困ってたら、また助けてあげてね?」
「……なぜ俺に?」
「ん~、なんとなく? 西園寺くんって、いじわるそうに見えて、本当はすごく優しいから。……それに、セイラちゃんも西園寺くんのこと、悪く言ってないもん」
野生の勘というやつだろうか。
彼女には、理論や理屈を飛び越えて、人の本質を見抜く不思議な力があるようだ。
俺は苦笑しつつ、静かに頷いた。
「善処します。……先輩の大切なご友人ですからね」
「わぁい! ありがとう! ……あ、これあげる!」
彼女はバッグから飴玉を取り出し、俺の手のひらに乗せた。
イチゴ味のキャンディ。
子供扱いされているような気もするが、彼女からの無邪気な報酬なら悪くはない。
「……じゃあ私、そろそろ帰るね! 明日学校でね~!」
彼女は手を振り、軽やかに駆け出していった。
スカートの裾が翻り、春風のような心地よい余韻を残していく。
冷徹なビジネスの世界に身を置く俺にとって、彼女のような裏表のない存在は貴重な清涼剤だ。
俺は飴の包み紙を開き、口に放り込んだ。
人工的だが、どこか懐かしい甘酸っぱい味が広がった。
公園を出た後、俺は夕食の買い出しに向かった。
目指すのは、麻布十番にある馴染みの高級スーパーと、こだわりの食材を扱う専門店だ。
今日のテーマは「春の名残」。
鮮魚コーナーで、大粒のあさりを見つけた。
愛知県産の天然物だ。殻の模様が鮮やかで、しっかりと口を閉じている。これは身が詰まっている証拠だ。
青果コーナーでは、旬の終わりの菜の花を。
少し苦味のあるこの野菜は、貝の強い出汁と相性が抜群だ。
さらに、サラダ用に有機栽培のベビーリーフ、新玉ねぎ、フルーツトマトを購入。
スープ用に、牛スネ肉と香味野菜も揃える。
ワインセラーで選んだのは、イタリア産の白ワイン『ソアヴェ・クラシコ』。
ガルガーネガ種主体のこのワインは、フレッシュな酸味と微かなアーモンドの香りが特徴で、ボンゴレのような魚介系パスタには鉄板の組み合わせだ。
両手に荷物を抱え、帰宅。
すぐに調理に取り掛かる。
あさりは塩水に浸け、暗い場所に置いて砂抜きをする。このひと手間が味を絶対的に左右する。
その間に、コンソメスープを仕込む。
牛スネ肉と野菜を水からじっくりと煮出し、卵白を使ってアクを吸着させながら濾していく。
透き通った琥珀色のスープ――コンソメ・ドゥーブルを作るには時間がかかるが、今日は圧力鍋を使って時短のテクニックを駆使する。
菜の花はさっと塩茹でし、冷水に取って色止めをする。
ニンニクはみじん切り、唐辛子は種を抜いて輪切りに。
パスタを茹で始める。アルデンテを狙うため、表示時間より1分短く。
フライパンに良質なオリーブオイルとニンニク、唐辛子を入れ、弱火でじっくり香りを出す。
あさりを投入し、白ワインを回しかけて蓋をする。
数分後、殻が開く小気味よい音が次々と響く。
蓋を開けると、強烈な磯の香りが爆発的に広がった。
あさりを一度取り出し、残った煮汁に茹で汁を加えて乳化させる。
ここが最重要ポイントだ。
油と水分を完全に一体化させ、とろみのある極上のソースを作る。
そこにパスタと菜の花、あさりを戻し入れ、強火で煽る。
ソースを麺に一滴残らず吸わせるように絡めれば、完成だ。
ダイニングテーブルに料理を並べる。
『あさりと菜の花のボンゴレビアンコ』。
あさりの旨味が溶け出した黄金色のソースが、パスタに美しく絡みついている。
菜の花の緑と唐辛子の赤が彩りを添える。
サイドメニューは『新玉ねぎとフルーツトマトのグリーンサラダ』、そして『自家製コンソメスープ』。
グラスに、よく冷えたソアヴェを注ぐ。
「いただきます」
まずはパスタから。
フォークで巻き取り、口へ運ぶ。
あさりの濃厚な出汁とニンニクのパンチ、そして白ワインの風味が渾然一体となり、舌の上で鮮やかに弾ける。
菜の花のほろ苦さが、味の輪郭に深い陰影を与え、完璧に乳化したソースは麺との絡みが抜群だ。
すかさず、グラスのソアヴェを一口含む。
ガルガーネガ種の持つシャープな酸が、口内に残る貝の濃厚な旨味を小気味よく断ち切っていく。
一口、また一口と、フォークとグラスの往復が止まらない。誰に語るでもなく、ただ自らの五感のみを満足させる静謐な時間。
サラダは、新玉ねぎの甘みとフルーツトマトの酸味が絶妙で、シンプルなドレッシングが素材の味を引き立てている。
そしてコンソメスープ。
牛の旨味が極限まで凝縮された深い味わいが広がり、身体の芯から確かな熱を生み出していく。
自ら厳選した素材を最高の状態で味わう、誰にも邪魔されない孤独なディナー。
俺はゆっくりと時間をかけて、春の名残を堪能した。
食後。
片付けを後回しにし、俺はダイニングの椅子に深く腰掛けたまま、グラスに残ったソアヴェをゆっくりと揺らした。
長く静かだった連休が終わる。
明日からは再び、学園という名の戦場が幕を開ける。
鷹森が自首し、城戸隼人の未来が開けたことで、学園内のパワーバランスは確実に変化するだろう。そして、没落の足音が近づく霧島家と、それを背負うセイラ先輩。
盤面の駒たちは、それぞれの意志で動き始めている。
グラスの白ワインを静かに飲み干し、俺は目を閉じた。
明日からの立ち回りを冷徹にシミュレーションしながら、俺はただ静かに、来たるべき朝を待った。
快晴の空の下、俺は書斎のマルチモニターの前でスケジュールの最終確認をしていた。
鷹森の排除、モバイルEC事業の基盤構築、そして米国ペニー株への長期投資。
やるべきミッションは全て、この連休中に完了した。
明日からは再び、様々な思惑が交錯する学園という「戦場」へ戻ることになる。
俺はシステムの電源を落とし、連休中の成果による静かな達成感を味わいながら、外の空気を吸いに出ることにした。
午後。
向かったのはマンションからほど近い有栖川宮記念公園だ。
新緑が美しい園内は、家族連れやカップルで賑わっている。
池のほとりのベンチで、鳩に餌をやっている女性の姿を見つけた。
花村先輩だ。
今日の彼女は、パステルイエローのカーディガンに、ふんわりとした白いスカートを合わせている。
艶やかな黒髪が肩にかかり、少し垂れ気味の大きな瞳が優しく細められている。
制服姿の時も目を引くが、私服姿の彼女は、その柔らかな雰囲気とプロポーションの良さが一段と際立ち、道行く男性たちが思わず足を止めるほどの圧倒的なオーラを放っていた。
「……鳩もお腹が空いているようですね」
俺が声をかけると、花村先輩はビクリとして顔を上げ、俺を見てパァッと笑顔になった。
「あ! 王子様だぁ! こんにちは~!」
「こんにちは、花村先輩。……王子様はやめてくださいと、何度言えば」
「え~? だって王子様だもん。あの日、階段から落ちそうになった私を助けてくれたし」
彼女はクスクスと笑い、隣のスペースを空けてくれた。
俺は失礼して腰を下ろした。
ふわりと、春の陽だまりのような、どこかホッとさせる柔らかな気配が漂う。
「お一人ですか?」
「うん。セイラちゃん誘ったんだけど、お家の用事があるって。……最近セイラちゃん、すごく忙しそうで心配なの」
花村先輩の表情が少し曇る。
親友である霧島家の複雑な事情を、彼女なりに察しているのだろう。
詳しいことは知らされずとも、友人が一人で苦しんでいるのを感じ取り、心を痛めている。
その純粋な優しさが、セイラ先輩にとっては救いであり、同時に心配をかけまいとする重荷にもなっているのかもしれない。
「霧島先輩なら大丈夫ですよ。彼女は強い人です」
「うん……そうだよね。セイラちゃんは強いもんね」
花村先輩は自分に言い聞かせるように頷いた。
そして、俺の顔を覗き込むようにして上目遣いになった。
「ねえねえ、西園寺くん。……もしセイラちゃんが困ってたら、また助けてあげてね?」
「……なぜ俺に?」
「ん~、なんとなく? 西園寺くんって、いじわるそうに見えて、本当はすごく優しいから。……それに、セイラちゃんも西園寺くんのこと、悪く言ってないもん」
野生の勘というやつだろうか。
彼女には、理論や理屈を飛び越えて、人の本質を見抜く不思議な力があるようだ。
俺は苦笑しつつ、静かに頷いた。
「善処します。……先輩の大切なご友人ですからね」
「わぁい! ありがとう! ……あ、これあげる!」
彼女はバッグから飴玉を取り出し、俺の手のひらに乗せた。
イチゴ味のキャンディ。
子供扱いされているような気もするが、彼女からの無邪気な報酬なら悪くはない。
「……じゃあ私、そろそろ帰るね! 明日学校でね~!」
彼女は手を振り、軽やかに駆け出していった。
スカートの裾が翻り、春風のような心地よい余韻を残していく。
冷徹なビジネスの世界に身を置く俺にとって、彼女のような裏表のない存在は貴重な清涼剤だ。
俺は飴の包み紙を開き、口に放り込んだ。
人工的だが、どこか懐かしい甘酸っぱい味が広がった。
公園を出た後、俺は夕食の買い出しに向かった。
目指すのは、麻布十番にある馴染みの高級スーパーと、こだわりの食材を扱う専門店だ。
今日のテーマは「春の名残」。
鮮魚コーナーで、大粒のあさりを見つけた。
愛知県産の天然物だ。殻の模様が鮮やかで、しっかりと口を閉じている。これは身が詰まっている証拠だ。
青果コーナーでは、旬の終わりの菜の花を。
少し苦味のあるこの野菜は、貝の強い出汁と相性が抜群だ。
さらに、サラダ用に有機栽培のベビーリーフ、新玉ねぎ、フルーツトマトを購入。
スープ用に、牛スネ肉と香味野菜も揃える。
ワインセラーで選んだのは、イタリア産の白ワイン『ソアヴェ・クラシコ』。
ガルガーネガ種主体のこのワインは、フレッシュな酸味と微かなアーモンドの香りが特徴で、ボンゴレのような魚介系パスタには鉄板の組み合わせだ。
両手に荷物を抱え、帰宅。
すぐに調理に取り掛かる。
あさりは塩水に浸け、暗い場所に置いて砂抜きをする。このひと手間が味を絶対的に左右する。
その間に、コンソメスープを仕込む。
牛スネ肉と野菜を水からじっくりと煮出し、卵白を使ってアクを吸着させながら濾していく。
透き通った琥珀色のスープ――コンソメ・ドゥーブルを作るには時間がかかるが、今日は圧力鍋を使って時短のテクニックを駆使する。
菜の花はさっと塩茹でし、冷水に取って色止めをする。
ニンニクはみじん切り、唐辛子は種を抜いて輪切りに。
パスタを茹で始める。アルデンテを狙うため、表示時間より1分短く。
フライパンに良質なオリーブオイルとニンニク、唐辛子を入れ、弱火でじっくり香りを出す。
あさりを投入し、白ワインを回しかけて蓋をする。
数分後、殻が開く小気味よい音が次々と響く。
蓋を開けると、強烈な磯の香りが爆発的に広がった。
あさりを一度取り出し、残った煮汁に茹で汁を加えて乳化させる。
ここが最重要ポイントだ。
油と水分を完全に一体化させ、とろみのある極上のソースを作る。
そこにパスタと菜の花、あさりを戻し入れ、強火で煽る。
ソースを麺に一滴残らず吸わせるように絡めれば、完成だ。
ダイニングテーブルに料理を並べる。
『あさりと菜の花のボンゴレビアンコ』。
あさりの旨味が溶け出した黄金色のソースが、パスタに美しく絡みついている。
菜の花の緑と唐辛子の赤が彩りを添える。
サイドメニューは『新玉ねぎとフルーツトマトのグリーンサラダ』、そして『自家製コンソメスープ』。
グラスに、よく冷えたソアヴェを注ぐ。
「いただきます」
まずはパスタから。
フォークで巻き取り、口へ運ぶ。
あさりの濃厚な出汁とニンニクのパンチ、そして白ワインの風味が渾然一体となり、舌の上で鮮やかに弾ける。
菜の花のほろ苦さが、味の輪郭に深い陰影を与え、完璧に乳化したソースは麺との絡みが抜群だ。
すかさず、グラスのソアヴェを一口含む。
ガルガーネガ種の持つシャープな酸が、口内に残る貝の濃厚な旨味を小気味よく断ち切っていく。
一口、また一口と、フォークとグラスの往復が止まらない。誰に語るでもなく、ただ自らの五感のみを満足させる静謐な時間。
サラダは、新玉ねぎの甘みとフルーツトマトの酸味が絶妙で、シンプルなドレッシングが素材の味を引き立てている。
そしてコンソメスープ。
牛の旨味が極限まで凝縮された深い味わいが広がり、身体の芯から確かな熱を生み出していく。
自ら厳選した素材を最高の状態で味わう、誰にも邪魔されない孤独なディナー。
俺はゆっくりと時間をかけて、春の名残を堪能した。
食後。
片付けを後回しにし、俺はダイニングの椅子に深く腰掛けたまま、グラスに残ったソアヴェをゆっくりと揺らした。
長く静かだった連休が終わる。
明日からは再び、学園という名の戦場が幕を開ける。
鷹森が自首し、城戸隼人の未来が開けたことで、学園内のパワーバランスは確実に変化するだろう。そして、没落の足音が近づく霧島家と、それを背負うセイラ先輩。
盤面の駒たちは、それぞれの意志で動き始めている。
グラスの白ワインを静かに飲み干し、俺は目を閉じた。
明日からの立ち回りを冷徹にシミュレーションしながら、俺はただ静かに、来たるべき朝を待った。
あなたにおすすめの小説
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。