2 / 12
始まりの火と、疑惑の黄金
しおりを挟む
迷宮市場の片隅、廃棄された木箱や壊れた魔導具が山積みになった吹き溜まりに、一台のボロ屋台が放置されていた。
かつては何かのスープ屋だったのだろうか。屋根の布は破れ、調理台は油と煤で真っ黒に汚れ、車輪も片方が外れかけている。
誰もが見向きもしない、ただの粗大ゴミ。
だが、レイン・オルコットの眼には、それがダイヤの原石のように映っていた。
「……骨組みは『鉄樫』か。頑丈だな。磨けば光る」
レインは市場の管理組合――と言っても、強面の男が一人で仕切っているだけの簡易な詰所だが――にわずかな路銀を支払い、この廃屋台の権利を買い取った。
男は「あんなゴミに金を払うのか」と呆れていたが、レインは気にしなかった。
重要なのは、この場所がダンジョンの入り口に近く、それでいて市場のメインストリートから一本外れていることだ。ここなら、本当に美味いものを求める客だけが辿り着ける。
レインは上着を脱ぎ捨て、腕まくりをした。
まずは掃除だ。
こびりついた油汚れをヘラで削ぎ落とし、竈の中に詰まった灰を掻き出す。錆びついた鉄板は、サンドペーパー代わりの『研磨石』でひたすらに磨き上げた。
『いいか、レイン。道具は料理人の鏡だ。曇った包丁じゃ、食材の心までは切れないぞ』
亡き師匠、バルトの言葉が脳裏に蘇る。
頑固で、口が悪くて、けれど誰よりも料理を愛していた老人。
王宮を追われ、味覚を失いながらも、最後までフライパンを握り続けた師の教えが、今のレインを支える唯一の道標だった。
数時間の格闘の末、屋台は見違えるようになった。
黒光りする鉄板、補修された屋根、そして磨き上げられた真鍮の看板。
そこにレインは、チョークで店名を書き記した。
――『真実の匙』。
「さて、と。舞台は整った。あとは役者だな」
レインは市場へと繰り出した。
食材の仕入れだ。
相変わらず市場には、偽物のブランド肉や薬漬けの野菜が溢れている。だが、レインの『異端の鑑定眼』は、その中から砂金を探すように「本物」を見つけ出す。
目をつけたのは、人気のない精肉店の隅に転がっていた肉塊だった。
『岩蜥蜴の尻尾』。
硬くて臭みが強いとされ、冒険者たちからは見向きもされない三流食材だ。
だが、レインの眼には見えていた。そのゴツゴツした皮の下に、美しいサシの入ったピンク色の筋肉が眠っていることが。そして何より、保存料の「靄」がかかっていない、獲れたての新鮮な個体だ。
「親父さん、これ全部くれ。あと、そこの『月桂樹の古葉』と『鬼胡椒』、それから……あの樽に入ってる『白妖精の椰子乳』もな」
「あん? そんなクズ肉と香辛料で何を作る気だ? 奇抜な料理は流行らんぞ」
「いや、人間が一番元気になるやつを作るんだよ」
レインは買い込んだ食材を抱えて屋台へ戻ると、深底の鍋を火にかけた。
今日の一品は、塩焼きではない。この湿った地下市場の空気を吹き飛ばすような、極上の煮込み料理だ。
まずは『岩蜥蜴』の尻尾肉をぶつ切りにし、表面を焼き固める。
次に、石臼ですり潰した『鬼胡椒』や『黄金根』、そして数種類のスパイスを油で炒める。
じゅわっという音と共に、鮮烈な香りが立ち上った。鼻孔を突き抜けるようなスパイシーな刺激と、奥深い甘い香り。
そこに『白妖精の椰子乳』を惜しげもなく注ぎ込む。白濁した液体がスパイスの赤黄色と混ざり合い、夕焼けのような美しい橙色へと変化していく。
レインは鍋を静かにかき混ぜながら、呟いた。
「スパイスは誤魔化しじゃない。食材の魂を叩き起こすための鍵だ」
甘み、酸味、辛味。そしてココナッツの濃厚なコク。
全てが渾然一体となったスープの中に、焼き色をつけた肉と、皮を剥いた『大地の林檎』、最後に砕いた『火の実』を放り込む。
グツグツと鍋が歌う。
とろみが出始めた黄金色のスープの中で、硬い蜥蜴肉が繊維の一本一本まで解れ、柔らかく煮込まれていく。
それは師匠から教わった『マッサマン・カレー』。
師匠が最も美味いと言った煮込み料理の、レイン流アレンジだ。
しかし、予想通りというべきか、客足は鈍かった。
周囲の屋台は「秘伝のタレ」だの「魔法のスパイス」だのと派手な看板を掲げている。地味な屋台に目を向ける者は少ない。
「くんくん……む?」
開店から一時間。
ようやく、その芳醇な魔性の香りに釣られた最初の一匹が網にかかった。
人混みからひょっこりと顔を出したのは、小柄な少女だった。
年齢は16、7歳といったところか。大きな猫耳がピコピコと動いていることから、獣人族だとわかる。
身軽そうな革鎧に、腰には短剣。迷宮探索を生業とするスカウト職だろう。
日に焼けた健康的な肌と、大きな琥珀色の瞳。笑うと八重歯が覗きそうな、愛嬌のある顔立ちをしている。職場にいれば間違いなくマスコット的な人気を博すであろう、元気印の美少女だ。
彼女は鼻をヒクヒクさせながら、ふらふらと屋台に近づいてきた。
「お兄さん、なんかすごーくいい匂いがする! これ、何?」
「『岩蜥蜴と椰子乳の煮込み』だ。カレーとも言う」
「ええー? トカゲェ? あんなの硬くてゴムみたいじゃん。それにカレーって何? 辛いの?」
少女は警戒心と好奇心が入り混じった顔をする。
だが、鍋から漂うココナッツとスパイスの甘く濃厚な香りが、彼女の胃袋を鷲掴みにしていた。
「辛くない。甘くて、深くて、飛ぶぞ」
「と、飛ぶぅ? ……うう、でも匂いはすっごく美味しそう……」
「食ってみればわかる。不味かったら代金はいらない」
「ほんと!? じゃあ食べる! 一杯ちょうだい!」
少女はカウンターに銅貨を置くと、身を乗り出した。
レインは木製の器にたっぷりとカレーをよそい、スプーンを添えて差し出した。
湯気と共に、黄金色の海からゴロリとした肉塊とジャガイモが顔を覗かせる。
少女は、器を受け取ると、まずは恐る恐るスープを一口啜った。
「ん……!」
瞬間、少女の瞳が見開かれ、猫耳がピンと直立した。
「――っ!?」
言葉にならない悲鳴を上げ、彼女は猛烈な勢いでスプーンを動かし始める。
濃厚なココナッツミルクの甘みが舌を包み込んだかと思うと、直後にスパイスの複雑な香りが鼻腔へ抜ける。そして何より、煮込まれた岩蜥蜴の肉だ。スプーンで触れただけで崩れるほど柔らかく、噛めば肉汁とカレーの旨味が口いっぱいに爆発する。
「はふっ、んん~っ! なにこれぇぇ!? めっちゃくちゃ美味しい! 甘いのにピリッとして、お肉がトロトロ! これ本当にトカゲ!?」
「時間をかけて煮込めば、トカゲもドラゴンに化けるのさ」
「信じらんない! あたし、こんな美味しいもの初めて食べたかも……!」
少女は夢中でスプーンを運び、あっという間に器を空にした。「おかわり!」と叫ぶ声が弾む。
二杯目をよそいながら、レインはガラスのコップに注いだ水を差し出した。
「ほら、水だ。地下湧水をろ過しただけの冷水だが、口の中がさっぱりするぞ」
「ありがとー! んぐ、んぐ……ぷはぁっ!」
少女は水を一気に飲み干した。
何の変哲もないただの水だが、濃厚なカレーの後には、その冷たさと純粋さが何よりの贅沢だ。
「いい食いっぷりだ。作った甲斐がある」
「だって美味しいんだもん! ……はぁ、生き返るぅ。最近、ロクなもの食べてなかったからさぁ」
二杯目を食べ終え、ようやく人心地ついたのか、少女は満足そうに腹をさすった。
「ロクなものって? 市場には色んな店があるだろう」
「うーん、種類はいっぱいあるんだけどねぇ。なんか最近、どこの店も味が変っていうか……食べるとお腹重くなるし。それにさ」
少女は声を潜め、周囲を窺うようにしてレインに顔を寄せた。
「あたしのパーティのリーダー、今寝込んでるんだよね。市場で買った『特製霊蜜』ってやつを飲んでから、急に血を吐いて倒れちゃって」
「……霊蜜?」
レインの目が鋭く細められた。
あのギルド長の部屋にあった毒入りの蜂蜜。その名前がここで出てくるとは。
「うん。なんか『ヴォルク商会』っていう新しい商会が売り出してるやつでさ、滋養強壮にいいって評判だったんだけど……リーダーだけじゃなくて、他のパーティでも似たような症状の人が出てるみたいなんだ。変だよねぇ」
ヴォルク商会。
聞いたことのない名だ。だが、ここ最近で急に台頭してきた新興勢力らしい。
レインの中で、点と点が繋がり始めた。
ギルドが横流しした不正な素材や、あるいは毒入りの食品を、その商会がこの市場で売りさばいているとしたら?
その時だった。
「おいおい、兄ちゃん。随分と景気が良さそうじゃねぇか」
ドスの利いた声が割り込んできた。
振り返ると、柄の悪そうな男たちが三人、屋台を取り囲んでいた。
揃いの革ジャンパーを着込み、腕には狼の紋章が入った腕章をつけている。
『ヴォルク商会』の私兵だろう。
「ここは俺たちのシマだ。勝手に店を開いてもらっちゃ困るなぁ」
「場所代は組合に払ったはずだが?」
「組合? ケッ、あんな爺さんの許可なんか知るかよ。この市場のルールは俺たちが決めるんだ。商売したけりゃ、売上の五割をよこしな」
リーダー格の男が、ダンッとカウンターを蹴り上げた。
少女が「ひっ」と短く悲鳴を上げ、レインの背後に隠れる。
レインは静かにため息をついた。
せっかくの料理の余韻が台無しだ。
「……五割か。随分と高くつくな。それだけの価値がある警護でもしてくれるのか?」
「あぁん? 減らず口を叩くなよ。痛い目見たくなかったら――」
男がレインの胸倉を掴もうと手を伸ばした瞬間。
レインはその手首を掴むこともなく、ただ冷徹な眼差しで男を見据えた。
『鑑定眼』発動。
「……あんた、肝臓がボロボロだな」
唐突な言葉に、男の手が止まる。
「は、はぁ?」
「顔色が土色だ。それに独特の甘い体臭……安物の酒と、混ぜ物の多い精力剤の飲み過ぎだ。腰のポーチに入ってる赤い瓶、それ『赤マムシの抽出液』だろ? 成分の半分はただの興奮剤だ。そんなもん飲み続けてると、来年には死ぬぞ」
レインの視線は、男の身体の中身まで見透かすように冷ややかだった。
男は気圧され、ジリジリと後ずさる。
「な、なんだテメェ……気味わりぃな……!」
「客じゃないなら帰ってくれ。俺の店は、料理を食いたい奴のための場所だ。毒を食らって死に急ぐ奴の相手をしてる暇はない」
レインが鍋をかき混ぜるために手にしたお玉が、魔力ランプの光を反射してギラリと光った。
それはただの調理器具だが、男たちには鋭利な武器に見えたのかもしれない。
あるいは、レインの背後に立ち込める「本物」の気迫に恐れをなしたか。
「ち、ちくしょう! 覚えてやがれ! ヴォルク商会に逆らってタダで済むと思うなよ!」
捨て台詞を残し、男たちは逃げるように去っていった。
少女が、目をキラキラさせてレインを見上げる。
「すごーい! お兄さん、ただの料理人じゃないでしょ!? 今の、鑑定スキル? あいつらの顔色だけで病気を見抜いちゃうなんて!」
「……似たようなもんだ。職業病だよ」
レインは肩をすくめたが、その内心は穏やかではなかった。
ヴォルク商会。やはり、この市場を牛耳っているのは奴らか。
そして、その背後には間違いなく、あの腐ったギルドの影がある。
(面倒なことになったな……)
そう思いながら鍋を片付けていると、不意に、背筋に冷たいものが走った。
殺気ではない。もっと異質な、粘りつくような視線。
レインは顔を上げた。
男たちが去っていった方向とは逆、路地の暗がりに、人影があった。
全身を黒いローブで覆った人物。顔は見えないが、その佇まいは明らかに市場の住人たちとは異質だった。
その人物は、レインと目が合うと、ふっと音もなく踵を返した。
だが、その一瞬。
ローブの隙間から覗いた白い手が、何かを握りしめているのをレインは見逃さなかった。
金色の、小瓶。
中には、黄金色の液体が揺らめいている。
「――ッ!」
レインの右目が勝手に反応した。
距離があってもわかる。
あの小瓶から立ち上る、ドス黒い靄。
ギルド長の部屋で見たものと、全く同じ「色」だ。
(間違いない……あれは『毒入りの霊蜜』だ)
黒いローブの人物は、闇に溶けるように消え失せた。
レインは拳を握りしめる。
ただの追放劇では終わらない。
自分が足を踏み入れたこの市場は、王都の闇そのものだ。
そしてその闇は、無数の人々の口へと流れ込み、静かに命を蝕んでいる。
「お兄さん? どうしたの、怖い顔して」
少女が心配そうに覗き込んでくる。
レインは深呼吸をして、いつもの少し皮肉めいた笑みを浮かべた。
「いや、なんでもない。……ただ、これからは忙しくなりそうだと思ってな」
逃げる場所はもうない。
ここが俺の戦場だ。
フライパンとナイフ、そしてこの眼で、腐りきった嘘を暴き、本当に美味いものを届ける。
それが、追放された鑑定士の、ささやかな意地であり復讐だ。
「また来な、お嬢ちゃん。次はもっと美味いもんを食わせてやる」
「うん! 絶対来る! あたし、リズベットっていうんだ。リズでいいよ! お兄さんの名前は?」
「レインだ」
「レインのお兄さんね! 覚えた!」
少女――リズは、手を振って駆け出していった。その背中を見送りながら、レインは夜空を見上げた。
分厚い雲の隙間から、一筋の月明かりが差し込んでいる。
「……さて、仕込みの続きといくか」
屋台『真実の匙』の灯火は、まだ小さい。
だがその火は、確実に闇を照らし始めていた。
追放は終わりではない。
ここからが、レイン・オルコットの本当の物語の始まりなのだ。
かつては何かのスープ屋だったのだろうか。屋根の布は破れ、調理台は油と煤で真っ黒に汚れ、車輪も片方が外れかけている。
誰もが見向きもしない、ただの粗大ゴミ。
だが、レイン・オルコットの眼には、それがダイヤの原石のように映っていた。
「……骨組みは『鉄樫』か。頑丈だな。磨けば光る」
レインは市場の管理組合――と言っても、強面の男が一人で仕切っているだけの簡易な詰所だが――にわずかな路銀を支払い、この廃屋台の権利を買い取った。
男は「あんなゴミに金を払うのか」と呆れていたが、レインは気にしなかった。
重要なのは、この場所がダンジョンの入り口に近く、それでいて市場のメインストリートから一本外れていることだ。ここなら、本当に美味いものを求める客だけが辿り着ける。
レインは上着を脱ぎ捨て、腕まくりをした。
まずは掃除だ。
こびりついた油汚れをヘラで削ぎ落とし、竈の中に詰まった灰を掻き出す。錆びついた鉄板は、サンドペーパー代わりの『研磨石』でひたすらに磨き上げた。
『いいか、レイン。道具は料理人の鏡だ。曇った包丁じゃ、食材の心までは切れないぞ』
亡き師匠、バルトの言葉が脳裏に蘇る。
頑固で、口が悪くて、けれど誰よりも料理を愛していた老人。
王宮を追われ、味覚を失いながらも、最後までフライパンを握り続けた師の教えが、今のレインを支える唯一の道標だった。
数時間の格闘の末、屋台は見違えるようになった。
黒光りする鉄板、補修された屋根、そして磨き上げられた真鍮の看板。
そこにレインは、チョークで店名を書き記した。
――『真実の匙』。
「さて、と。舞台は整った。あとは役者だな」
レインは市場へと繰り出した。
食材の仕入れだ。
相変わらず市場には、偽物のブランド肉や薬漬けの野菜が溢れている。だが、レインの『異端の鑑定眼』は、その中から砂金を探すように「本物」を見つけ出す。
目をつけたのは、人気のない精肉店の隅に転がっていた肉塊だった。
『岩蜥蜴の尻尾』。
硬くて臭みが強いとされ、冒険者たちからは見向きもされない三流食材だ。
だが、レインの眼には見えていた。そのゴツゴツした皮の下に、美しいサシの入ったピンク色の筋肉が眠っていることが。そして何より、保存料の「靄」がかかっていない、獲れたての新鮮な個体だ。
「親父さん、これ全部くれ。あと、そこの『月桂樹の古葉』と『鬼胡椒』、それから……あの樽に入ってる『白妖精の椰子乳』もな」
「あん? そんなクズ肉と香辛料で何を作る気だ? 奇抜な料理は流行らんぞ」
「いや、人間が一番元気になるやつを作るんだよ」
レインは買い込んだ食材を抱えて屋台へ戻ると、深底の鍋を火にかけた。
今日の一品は、塩焼きではない。この湿った地下市場の空気を吹き飛ばすような、極上の煮込み料理だ。
まずは『岩蜥蜴』の尻尾肉をぶつ切りにし、表面を焼き固める。
次に、石臼ですり潰した『鬼胡椒』や『黄金根』、そして数種類のスパイスを油で炒める。
じゅわっという音と共に、鮮烈な香りが立ち上った。鼻孔を突き抜けるようなスパイシーな刺激と、奥深い甘い香り。
そこに『白妖精の椰子乳』を惜しげもなく注ぎ込む。白濁した液体がスパイスの赤黄色と混ざり合い、夕焼けのような美しい橙色へと変化していく。
レインは鍋を静かにかき混ぜながら、呟いた。
「スパイスは誤魔化しじゃない。食材の魂を叩き起こすための鍵だ」
甘み、酸味、辛味。そしてココナッツの濃厚なコク。
全てが渾然一体となったスープの中に、焼き色をつけた肉と、皮を剥いた『大地の林檎』、最後に砕いた『火の実』を放り込む。
グツグツと鍋が歌う。
とろみが出始めた黄金色のスープの中で、硬い蜥蜴肉が繊維の一本一本まで解れ、柔らかく煮込まれていく。
それは師匠から教わった『マッサマン・カレー』。
師匠が最も美味いと言った煮込み料理の、レイン流アレンジだ。
しかし、予想通りというべきか、客足は鈍かった。
周囲の屋台は「秘伝のタレ」だの「魔法のスパイス」だのと派手な看板を掲げている。地味な屋台に目を向ける者は少ない。
「くんくん……む?」
開店から一時間。
ようやく、その芳醇な魔性の香りに釣られた最初の一匹が網にかかった。
人混みからひょっこりと顔を出したのは、小柄な少女だった。
年齢は16、7歳といったところか。大きな猫耳がピコピコと動いていることから、獣人族だとわかる。
身軽そうな革鎧に、腰には短剣。迷宮探索を生業とするスカウト職だろう。
日に焼けた健康的な肌と、大きな琥珀色の瞳。笑うと八重歯が覗きそうな、愛嬌のある顔立ちをしている。職場にいれば間違いなくマスコット的な人気を博すであろう、元気印の美少女だ。
彼女は鼻をヒクヒクさせながら、ふらふらと屋台に近づいてきた。
「お兄さん、なんかすごーくいい匂いがする! これ、何?」
「『岩蜥蜴と椰子乳の煮込み』だ。カレーとも言う」
「ええー? トカゲェ? あんなの硬くてゴムみたいじゃん。それにカレーって何? 辛いの?」
少女は警戒心と好奇心が入り混じった顔をする。
だが、鍋から漂うココナッツとスパイスの甘く濃厚な香りが、彼女の胃袋を鷲掴みにしていた。
「辛くない。甘くて、深くて、飛ぶぞ」
「と、飛ぶぅ? ……うう、でも匂いはすっごく美味しそう……」
「食ってみればわかる。不味かったら代金はいらない」
「ほんと!? じゃあ食べる! 一杯ちょうだい!」
少女はカウンターに銅貨を置くと、身を乗り出した。
レインは木製の器にたっぷりとカレーをよそい、スプーンを添えて差し出した。
湯気と共に、黄金色の海からゴロリとした肉塊とジャガイモが顔を覗かせる。
少女は、器を受け取ると、まずは恐る恐るスープを一口啜った。
「ん……!」
瞬間、少女の瞳が見開かれ、猫耳がピンと直立した。
「――っ!?」
言葉にならない悲鳴を上げ、彼女は猛烈な勢いでスプーンを動かし始める。
濃厚なココナッツミルクの甘みが舌を包み込んだかと思うと、直後にスパイスの複雑な香りが鼻腔へ抜ける。そして何より、煮込まれた岩蜥蜴の肉だ。スプーンで触れただけで崩れるほど柔らかく、噛めば肉汁とカレーの旨味が口いっぱいに爆発する。
「はふっ、んん~っ! なにこれぇぇ!? めっちゃくちゃ美味しい! 甘いのにピリッとして、お肉がトロトロ! これ本当にトカゲ!?」
「時間をかけて煮込めば、トカゲもドラゴンに化けるのさ」
「信じらんない! あたし、こんな美味しいもの初めて食べたかも……!」
少女は夢中でスプーンを運び、あっという間に器を空にした。「おかわり!」と叫ぶ声が弾む。
二杯目をよそいながら、レインはガラスのコップに注いだ水を差し出した。
「ほら、水だ。地下湧水をろ過しただけの冷水だが、口の中がさっぱりするぞ」
「ありがとー! んぐ、んぐ……ぷはぁっ!」
少女は水を一気に飲み干した。
何の変哲もないただの水だが、濃厚なカレーの後には、その冷たさと純粋さが何よりの贅沢だ。
「いい食いっぷりだ。作った甲斐がある」
「だって美味しいんだもん! ……はぁ、生き返るぅ。最近、ロクなもの食べてなかったからさぁ」
二杯目を食べ終え、ようやく人心地ついたのか、少女は満足そうに腹をさすった。
「ロクなものって? 市場には色んな店があるだろう」
「うーん、種類はいっぱいあるんだけどねぇ。なんか最近、どこの店も味が変っていうか……食べるとお腹重くなるし。それにさ」
少女は声を潜め、周囲を窺うようにしてレインに顔を寄せた。
「あたしのパーティのリーダー、今寝込んでるんだよね。市場で買った『特製霊蜜』ってやつを飲んでから、急に血を吐いて倒れちゃって」
「……霊蜜?」
レインの目が鋭く細められた。
あのギルド長の部屋にあった毒入りの蜂蜜。その名前がここで出てくるとは。
「うん。なんか『ヴォルク商会』っていう新しい商会が売り出してるやつでさ、滋養強壮にいいって評判だったんだけど……リーダーだけじゃなくて、他のパーティでも似たような症状の人が出てるみたいなんだ。変だよねぇ」
ヴォルク商会。
聞いたことのない名だ。だが、ここ最近で急に台頭してきた新興勢力らしい。
レインの中で、点と点が繋がり始めた。
ギルドが横流しした不正な素材や、あるいは毒入りの食品を、その商会がこの市場で売りさばいているとしたら?
その時だった。
「おいおい、兄ちゃん。随分と景気が良さそうじゃねぇか」
ドスの利いた声が割り込んできた。
振り返ると、柄の悪そうな男たちが三人、屋台を取り囲んでいた。
揃いの革ジャンパーを着込み、腕には狼の紋章が入った腕章をつけている。
『ヴォルク商会』の私兵だろう。
「ここは俺たちのシマだ。勝手に店を開いてもらっちゃ困るなぁ」
「場所代は組合に払ったはずだが?」
「組合? ケッ、あんな爺さんの許可なんか知るかよ。この市場のルールは俺たちが決めるんだ。商売したけりゃ、売上の五割をよこしな」
リーダー格の男が、ダンッとカウンターを蹴り上げた。
少女が「ひっ」と短く悲鳴を上げ、レインの背後に隠れる。
レインは静かにため息をついた。
せっかくの料理の余韻が台無しだ。
「……五割か。随分と高くつくな。それだけの価値がある警護でもしてくれるのか?」
「あぁん? 減らず口を叩くなよ。痛い目見たくなかったら――」
男がレインの胸倉を掴もうと手を伸ばした瞬間。
レインはその手首を掴むこともなく、ただ冷徹な眼差しで男を見据えた。
『鑑定眼』発動。
「……あんた、肝臓がボロボロだな」
唐突な言葉に、男の手が止まる。
「は、はぁ?」
「顔色が土色だ。それに独特の甘い体臭……安物の酒と、混ぜ物の多い精力剤の飲み過ぎだ。腰のポーチに入ってる赤い瓶、それ『赤マムシの抽出液』だろ? 成分の半分はただの興奮剤だ。そんなもん飲み続けてると、来年には死ぬぞ」
レインの視線は、男の身体の中身まで見透かすように冷ややかだった。
男は気圧され、ジリジリと後ずさる。
「な、なんだテメェ……気味わりぃな……!」
「客じゃないなら帰ってくれ。俺の店は、料理を食いたい奴のための場所だ。毒を食らって死に急ぐ奴の相手をしてる暇はない」
レインが鍋をかき混ぜるために手にしたお玉が、魔力ランプの光を反射してギラリと光った。
それはただの調理器具だが、男たちには鋭利な武器に見えたのかもしれない。
あるいは、レインの背後に立ち込める「本物」の気迫に恐れをなしたか。
「ち、ちくしょう! 覚えてやがれ! ヴォルク商会に逆らってタダで済むと思うなよ!」
捨て台詞を残し、男たちは逃げるように去っていった。
少女が、目をキラキラさせてレインを見上げる。
「すごーい! お兄さん、ただの料理人じゃないでしょ!? 今の、鑑定スキル? あいつらの顔色だけで病気を見抜いちゃうなんて!」
「……似たようなもんだ。職業病だよ」
レインは肩をすくめたが、その内心は穏やかではなかった。
ヴォルク商会。やはり、この市場を牛耳っているのは奴らか。
そして、その背後には間違いなく、あの腐ったギルドの影がある。
(面倒なことになったな……)
そう思いながら鍋を片付けていると、不意に、背筋に冷たいものが走った。
殺気ではない。もっと異質な、粘りつくような視線。
レインは顔を上げた。
男たちが去っていった方向とは逆、路地の暗がりに、人影があった。
全身を黒いローブで覆った人物。顔は見えないが、その佇まいは明らかに市場の住人たちとは異質だった。
その人物は、レインと目が合うと、ふっと音もなく踵を返した。
だが、その一瞬。
ローブの隙間から覗いた白い手が、何かを握りしめているのをレインは見逃さなかった。
金色の、小瓶。
中には、黄金色の液体が揺らめいている。
「――ッ!」
レインの右目が勝手に反応した。
距離があってもわかる。
あの小瓶から立ち上る、ドス黒い靄。
ギルド長の部屋で見たものと、全く同じ「色」だ。
(間違いない……あれは『毒入りの霊蜜』だ)
黒いローブの人物は、闇に溶けるように消え失せた。
レインは拳を握りしめる。
ただの追放劇では終わらない。
自分が足を踏み入れたこの市場は、王都の闇そのものだ。
そしてその闇は、無数の人々の口へと流れ込み、静かに命を蝕んでいる。
「お兄さん? どうしたの、怖い顔して」
少女が心配そうに覗き込んでくる。
レインは深呼吸をして、いつもの少し皮肉めいた笑みを浮かべた。
「いや、なんでもない。……ただ、これからは忙しくなりそうだと思ってな」
逃げる場所はもうない。
ここが俺の戦場だ。
フライパンとナイフ、そしてこの眼で、腐りきった嘘を暴き、本当に美味いものを届ける。
それが、追放された鑑定士の、ささやかな意地であり復讐だ。
「また来な、お嬢ちゃん。次はもっと美味いもんを食わせてやる」
「うん! 絶対来る! あたし、リズベットっていうんだ。リズでいいよ! お兄さんの名前は?」
「レインだ」
「レインのお兄さんね! 覚えた!」
少女――リズは、手を振って駆け出していった。その背中を見送りながら、レインは夜空を見上げた。
分厚い雲の隙間から、一筋の月明かりが差し込んでいる。
「……さて、仕込みの続きといくか」
屋台『真実の匙』の灯火は、まだ小さい。
だがその火は、確実に闇を照らし始めていた。
追放は終わりではない。
ここからが、レイン・オルコットの本当の物語の始まりなのだ。
0
あなたにおすすめの小説
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜
咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。
笑えて、心温かくなるダンジョン物語。
※この小説はフィクションです。
実在の人物、団体などとは関係ありません。
日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。
スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。
夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。
しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた!
ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。
噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。
一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。
これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます
エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】
「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」
そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。
彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。
傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。
「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」
釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。
魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。
やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。
「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」
これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー!
(※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる