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カトリーヌ編
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「カトリーヌ・シャロン。本日をもって君との婚約を破棄する!」
長年の婚約者であるフランシス・オーヴェルニュがなぜか得意満面にそう告げる。まるで、悪者を退治する正義のヒーローのようだ。
何もこんなにも大勢の人がいる学園の教室で告げなくてもいいのにと内心呆れる。周りの彼と同じ生徒会役員たち(取り巻き)も嫌味な笑みを貼り付けている。
私はいつも皇太子であるフランシスの横に立っても恥ずかしくないような淑女になれと教育されてきた。礼儀作法はもちろん、刺繍や機織りなど、私はなんでも完璧にこなした。
ついぞ今日まで彼が私を褒めることなんてなかったけれど。
褒められるためにやっていたわけではないが、あなたのために頑張っていたのだから何か一言ぐらいあってもよかったのではないかと思う。
それでも、学園に入学するまで政略結婚だと割り切り、それなりに上手くやってきたのだ。
しかし私たちは、15歳で聖フランソアール学園に入学し、アメリア・キースと出会ってしまったのだ。フランシスが彼女をみつめるその瞳を見た時、いつかこうなるのではないかと恐怖していた。
私の何がいけなかったのだろうか。
政略結婚だと割り切っていたところ?
だけどそれはあなたが先に私を避けるようによそよそしい態度を取ったから。
でも、彼が私を嫌う前に、私のあなたに対する想いが消える前に、私がもっと素直になれていたら? もっと笑顔を見せていたら?
いいえ、こんなことを考えたって意味がない。
今、明確なことはあなたが私を、シャロン公爵家を裏切ったという事実だけ。それに、最近のフランシスの私への態度は目に見張るものがあった。
「一応、理由をお伺いしても?」
私が、そう言うとフランシスは顔を顰めて汚物を見るような目を私に向ける。せっかくの綺麗な顔もこれでは台無しだ。
「理由は君もよくわかっているはずだ。なにせ君は聖女アメリア・キースに対して悪事を働いてきたのだからな。神の元にあるアルス帝国で聖女にこのような態度をとるなど、婚約破棄されても当然だろう!」
アメリアに対する悪事というのはなんのことだろう。私にはまったく心当たりがない。
なのに、フランシスがこんなに自慢げなのがおかしくてたまらない。
「悪事とは具体的になんですの?」
笑いが漏れないように深呼吸してから問う。
フランシスは片眉を吊り上げて苛つきを抑えられないようだった。顔も赤い。短気なところは彼の短所だ。
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