2 / 14
野生児カイン2
しおりを挟む
ワラギアの首都ザンボラはその日に限って小降りの雨だった。だから都全体が湿気に覆われて、黴臭く感じられた。
カインは物珍しげにザンボラにある通りの道を見回した。まず、カインの目を引いたのが綺麗に舗装された石畳だった。
なんせムスペルヘイムのこの野生児は、生まれてこの方舗装された石畳の上を歩いたことがなかったからだ。
それにこの都の広さと言ったら、荒野に点在する氏族、部族の村とは比べ物にならない。
ビジョンクエストで見たあの世界の都と比較しても遜色がないほどだった。
街路をせわしなく行き交う人々の服装もまた、ムスペルヘイムに住まう者たちとは大違いだった。
ワラギア人達は染料したチェニックに麻のズボン、そして短靴という身なりをしていた。
一方、カインの姿といえば灰色狼の腰巻きをつけ、ウィンディゴのなめし革をその裸体に羽織るという
およそ文明人とはかけ離れた格好をしていた。
道を行き交うワラギア人達はそんなカインの姿を認めると、一瞬、ギョッとした表情を浮かべた。
長身で屈強な肉体を持つこの未開人の若者は、良くも悪くもザンボラでは目立つ存在だった。
カインは路上に並ぶ屋台から肉を一串買うと店の男に尋ねた。
訛りながら「何か面白い所はないか?」と。
男はカインを無遠慮にジロジロ眺めると突然、二カッと口を三日月に曲げて笑った。
「それだったら、グランシャンの裏通りにある<黒ヤギ亭>がおすすめだぜ。
あそこは酒が安く飲めるし、良い女も買えるからな。それに拳闘賭博も楽しめる。
あんたは強そうだから、その拳に物を言わせればたんまりと稼げるんじゃないのか?」
言い終わると男は下卑たような目の色を浮かべた。
男の目の色にカインは何となく違和感を覚えたが、とりあえず男が教えてくれたグランシャンの裏通りへと向かった。
グランシャンの裏通りは表通りにある街路とは違い、道は無舗装でぬかるんでいた。
雑多な汚物が道の隅で山盛りになるまで捨てられていた。
その横で擦り切れたぼろ服を纏う浮浪者がゴザを敷いた地面に座り、酒を飲んでいる。
腰に短剣を吊るした男達は、この界隈にたむろするゴロツキ連中で徒党を組んでは、
かどわかしや押し込み強盗といった盗賊働きをして食っていた。
気だるげに壁に背を持たれさせ、客待ちをしているけばけばしい化粧の女達は売春婦だ。
掃き溜めと呼ぶに相応しい場所だ。この裏通り界隈はザンボラにあるスラムの一角だった。
黒ヤギ亭を訪れたカインは銅貨と引き換えに給仕から麦酒の注がれた杯を受け取った。
酒でシミが浮き出たテーブル席に座り、カインが酒場内を眺める。
革鎧に身を包み、長剣を腰帯に佩いだ傭兵風の男達が若い女の乳房や尻を撫で回しては、下品な冗談を飛ばして大笑いしていた。
彼らは流れ者の傭兵であり、ひと稼ぎしようとこのザンボラにやってきたのだ。
そんな彼らの興味は透けるほど薄い布を身体に巻きつけ、曲に合わせて卑猥なダンスを披露する踊り子たちに注がれていた。
しなやかに引き締まった腰をくねらせ、乳房を男の鼻先で揺らすこの踊り子達は南方生まれのゾンギ族の女達だ。
この女達もザンボラに出稼ぎでやってきた女達だった。
カインが二杯目の麦酒に口をつけていると、酔漢の一人が肩をぶつけてきた。
男は傭兵達の仲間のひとりで、酒と仲間の数で気を大きくしていた。
それでこの未開の地からやってきたバーバリアンの若者に目をつけたというわけだ。
熟練の傭兵や冒険者であれば、こんな真似は絶対にしなかっただろう。
ムスペルヘイムのバーバリアンに喧嘩を売るなど、飢えた虎に首を差し出すのと同じだからだ。
「おいっ、こんな所に蛮族がいるぞっ、いっちょまえに酒なんぞ飲んでやがるぜっ」
そう言うと男がカインの持っていた麦酒の杯を手で払い落とした。
その次の瞬間、男の身体は宙に浮いていた。
カインが男の横顎を拳で殴りつけたのだ。
男の身体は酒場の壁へと叩きつけられた。
客のひとりが床に投げ出され、身動きしない男の顔を覗き込み、呟いた。「死んでいる」と。
カインの繰り出した強烈な拳の一撃を喰らい、男の顎は砕け散り、頚椎は枯れ枝のようにへし折れていたのだ。
それからすぐに酒場では大乱闘騒ぎが起こった。
仲間の傭兵達が各々の武器を構え、仲間の仇だとばかりにカインに襲いかかってきたからだ。
傭兵達は全部で十人ほどを数えた。
カインは傭兵のひとりが繰り出してきた鉄槍を避けると逆に奪い、相手の太股に突き刺してやった。
次にカインは右側にいた傭兵の頭を鉄の兜ごと殴りつけて倒すと、片手でその足首を掴んで軽々と振り回した。
その怪力ぶりに酒場の一同は目を見張った。
カインは傭兵達を残らず叩きのめすと酒場の主に訊いた。
これがこの店でやっている拳闘なのかと。主はカインに違うと答えた。
「それは残念だ。儲かったと思ったんだがな。所で俺の拳闘相手を見繕ってくれないか。
ひと稼ぎしたいんだが」
「流石にそんな命知らずな奴はこの酒場にゃいないな。悪いが他を当たってくれ。代わりに酒を一杯奢ろう。
ワラギア名物の蒸留酒だ」
そう言うと主は酒瓶をカインに差し出した。
それは食道が灼けるほどの強い酒だったが、とても美味だった。
カインは酒を飲み終えると蒸留酒をもう一瓶頼んだ。次はきちんと金を払ってだ。
それからカインはエンリケの待つ城へ戻るとその日は寝室で身体を休めた。
さて、カインが殺した傭兵の亡骸についてだが、これはその日の内に近くの川底に沈んだ。
ここ、グランシャン界隈ではそれが当たり前だった。誰も衛兵を呼ぶ者はいないのだ。
エンリケはカインを大層気に入っていた。
カインは護衛としてはこれ以上ないほどに頼もしい存在であり、
長身でたくましいこのバーバリアンは連れて歩くのにもうってつけだった。
位の高い者であれば護衛も従者も見てくれが良くなければならない。
その点、カインは美丈夫だ。
この荒野育ちの若者は強いだけではなく、その容貌は端麗といっても差し支えなかった。
エンリケから見ればカインは野生の猛虎そのものだ。
あの恐ろしいウィンディゴ共を音もなく仕留めたその手腕、
それ以前にもエンリケは何度もこのバーバリアンの戦士の噂を聞き及んでいた。
ワーウルフを素手で引き裂き、たった一人で大勢の兵隊や魔物に果敢に挑み、峻険たる山々を渡り歩くというバーバリアンの男達。
エンリケにとって、カインは吟遊詩人が奏でる数々の冒険譚に登場する勇ましい戦士の一人だった。
エンリケはすぐに小間使いを呼び寄せるとカインを連れてくるように命じた。
それからしばらくして居間に現れたカインの姿は、とても堂々として立派な身なりへと変貌していた。
カインは金糸刺繍をあしらったマントに銀の胸当てや篭手を身につけていたのだ。
それでもバーバリアン特有の荒々しい雰囲気は消えることはなかった。
いや、だからこそ良かったのかもしれない。
もしもカインが俺はバーバリアンの貴族だと告げれば、文明人の殆どは信じるだろう。
その出で立ちはさしずめ高貴なる蛮人といったところか。
「エンリケよ、今日はどこに行くのだ?」
「今日はザンボラ国立大学に行く。そこでは様々な知識を学ぶことができる。カインも見ておいて損はないはずだ。
大学内には自由に出入りできるようにしておくよ。興味のある事柄を学べるように」
「ほう、それはありがたいな。エンリケよ、礼を言おう」
それから二人は大学に着くまでの一時間余りを馬車で雑談を交わしながら過ごした。
貴族の娘であるマリアンもここで学んでいた。
カインは物珍しげにザンボラにある通りの道を見回した。まず、カインの目を引いたのが綺麗に舗装された石畳だった。
なんせムスペルヘイムのこの野生児は、生まれてこの方舗装された石畳の上を歩いたことがなかったからだ。
それにこの都の広さと言ったら、荒野に点在する氏族、部族の村とは比べ物にならない。
ビジョンクエストで見たあの世界の都と比較しても遜色がないほどだった。
街路をせわしなく行き交う人々の服装もまた、ムスペルヘイムに住まう者たちとは大違いだった。
ワラギア人達は染料したチェニックに麻のズボン、そして短靴という身なりをしていた。
一方、カインの姿といえば灰色狼の腰巻きをつけ、ウィンディゴのなめし革をその裸体に羽織るという
およそ文明人とはかけ離れた格好をしていた。
道を行き交うワラギア人達はそんなカインの姿を認めると、一瞬、ギョッとした表情を浮かべた。
長身で屈強な肉体を持つこの未開人の若者は、良くも悪くもザンボラでは目立つ存在だった。
カインは路上に並ぶ屋台から肉を一串買うと店の男に尋ねた。
訛りながら「何か面白い所はないか?」と。
男はカインを無遠慮にジロジロ眺めると突然、二カッと口を三日月に曲げて笑った。
「それだったら、グランシャンの裏通りにある<黒ヤギ亭>がおすすめだぜ。
あそこは酒が安く飲めるし、良い女も買えるからな。それに拳闘賭博も楽しめる。
あんたは強そうだから、その拳に物を言わせればたんまりと稼げるんじゃないのか?」
言い終わると男は下卑たような目の色を浮かべた。
男の目の色にカインは何となく違和感を覚えたが、とりあえず男が教えてくれたグランシャンの裏通りへと向かった。
グランシャンの裏通りは表通りにある街路とは違い、道は無舗装でぬかるんでいた。
雑多な汚物が道の隅で山盛りになるまで捨てられていた。
その横で擦り切れたぼろ服を纏う浮浪者がゴザを敷いた地面に座り、酒を飲んでいる。
腰に短剣を吊るした男達は、この界隈にたむろするゴロツキ連中で徒党を組んでは、
かどわかしや押し込み強盗といった盗賊働きをして食っていた。
気だるげに壁に背を持たれさせ、客待ちをしているけばけばしい化粧の女達は売春婦だ。
掃き溜めと呼ぶに相応しい場所だ。この裏通り界隈はザンボラにあるスラムの一角だった。
黒ヤギ亭を訪れたカインは銅貨と引き換えに給仕から麦酒の注がれた杯を受け取った。
酒でシミが浮き出たテーブル席に座り、カインが酒場内を眺める。
革鎧に身を包み、長剣を腰帯に佩いだ傭兵風の男達が若い女の乳房や尻を撫で回しては、下品な冗談を飛ばして大笑いしていた。
彼らは流れ者の傭兵であり、ひと稼ぎしようとこのザンボラにやってきたのだ。
そんな彼らの興味は透けるほど薄い布を身体に巻きつけ、曲に合わせて卑猥なダンスを披露する踊り子たちに注がれていた。
しなやかに引き締まった腰をくねらせ、乳房を男の鼻先で揺らすこの踊り子達は南方生まれのゾンギ族の女達だ。
この女達もザンボラに出稼ぎでやってきた女達だった。
カインが二杯目の麦酒に口をつけていると、酔漢の一人が肩をぶつけてきた。
男は傭兵達の仲間のひとりで、酒と仲間の数で気を大きくしていた。
それでこの未開の地からやってきたバーバリアンの若者に目をつけたというわけだ。
熟練の傭兵や冒険者であれば、こんな真似は絶対にしなかっただろう。
ムスペルヘイムのバーバリアンに喧嘩を売るなど、飢えた虎に首を差し出すのと同じだからだ。
「おいっ、こんな所に蛮族がいるぞっ、いっちょまえに酒なんぞ飲んでやがるぜっ」
そう言うと男がカインの持っていた麦酒の杯を手で払い落とした。
その次の瞬間、男の身体は宙に浮いていた。
カインが男の横顎を拳で殴りつけたのだ。
男の身体は酒場の壁へと叩きつけられた。
客のひとりが床に投げ出され、身動きしない男の顔を覗き込み、呟いた。「死んでいる」と。
カインの繰り出した強烈な拳の一撃を喰らい、男の顎は砕け散り、頚椎は枯れ枝のようにへし折れていたのだ。
それからすぐに酒場では大乱闘騒ぎが起こった。
仲間の傭兵達が各々の武器を構え、仲間の仇だとばかりにカインに襲いかかってきたからだ。
傭兵達は全部で十人ほどを数えた。
カインは傭兵のひとりが繰り出してきた鉄槍を避けると逆に奪い、相手の太股に突き刺してやった。
次にカインは右側にいた傭兵の頭を鉄の兜ごと殴りつけて倒すと、片手でその足首を掴んで軽々と振り回した。
その怪力ぶりに酒場の一同は目を見張った。
カインは傭兵達を残らず叩きのめすと酒場の主に訊いた。
これがこの店でやっている拳闘なのかと。主はカインに違うと答えた。
「それは残念だ。儲かったと思ったんだがな。所で俺の拳闘相手を見繕ってくれないか。
ひと稼ぎしたいんだが」
「流石にそんな命知らずな奴はこの酒場にゃいないな。悪いが他を当たってくれ。代わりに酒を一杯奢ろう。
ワラギア名物の蒸留酒だ」
そう言うと主は酒瓶をカインに差し出した。
それは食道が灼けるほどの強い酒だったが、とても美味だった。
カインは酒を飲み終えると蒸留酒をもう一瓶頼んだ。次はきちんと金を払ってだ。
それからカインはエンリケの待つ城へ戻るとその日は寝室で身体を休めた。
さて、カインが殺した傭兵の亡骸についてだが、これはその日の内に近くの川底に沈んだ。
ここ、グランシャン界隈ではそれが当たり前だった。誰も衛兵を呼ぶ者はいないのだ。
エンリケはカインを大層気に入っていた。
カインは護衛としてはこれ以上ないほどに頼もしい存在であり、
長身でたくましいこのバーバリアンは連れて歩くのにもうってつけだった。
位の高い者であれば護衛も従者も見てくれが良くなければならない。
その点、カインは美丈夫だ。
この荒野育ちの若者は強いだけではなく、その容貌は端麗といっても差し支えなかった。
エンリケから見ればカインは野生の猛虎そのものだ。
あの恐ろしいウィンディゴ共を音もなく仕留めたその手腕、
それ以前にもエンリケは何度もこのバーバリアンの戦士の噂を聞き及んでいた。
ワーウルフを素手で引き裂き、たった一人で大勢の兵隊や魔物に果敢に挑み、峻険たる山々を渡り歩くというバーバリアンの男達。
エンリケにとって、カインは吟遊詩人が奏でる数々の冒険譚に登場する勇ましい戦士の一人だった。
エンリケはすぐに小間使いを呼び寄せるとカインを連れてくるように命じた。
それからしばらくして居間に現れたカインの姿は、とても堂々として立派な身なりへと変貌していた。
カインは金糸刺繍をあしらったマントに銀の胸当てや篭手を身につけていたのだ。
それでもバーバリアン特有の荒々しい雰囲気は消えることはなかった。
いや、だからこそ良かったのかもしれない。
もしもカインが俺はバーバリアンの貴族だと告げれば、文明人の殆どは信じるだろう。
その出で立ちはさしずめ高貴なる蛮人といったところか。
「エンリケよ、今日はどこに行くのだ?」
「今日はザンボラ国立大学に行く。そこでは様々な知識を学ぶことができる。カインも見ておいて損はないはずだ。
大学内には自由に出入りできるようにしておくよ。興味のある事柄を学べるように」
「ほう、それはありがたいな。エンリケよ、礼を言おう」
それから二人は大学に着くまでの一時間余りを馬車で雑談を交わしながら過ごした。
貴族の娘であるマリアンもここで学んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる