人間の赤ん坊に憑依した悪魔の俺がデーモンサマナー学科に入れられるなんて皮肉でしかない

湯島

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人間に転生だ2

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俺は気になったタイトルの本を何冊か借りて、与えられた自室へと戻った。
このアカデミーでは、学生は寮生活を送ることになっているんだ。
そしてアカデミーでは未来のエリート達が日々、鍛錬に勤しんでいるってわけだ。

スーパーナチュラルバスターもスーパーナチュラルサマナーも重要な国防の要だからな。
この国の支配階級、特権階級ってわけだ。
だから俺が転移した赤ん坊の両親も手放しで喜んでいたよ。

自分の子供が出世出来るんじゃないかってな。
そうなりゃ、自分達も良い思いができるってわけだ。
人間達の出世に興味なんてないがね、俺は。

それとここへ来て、いくつかわかってきたことがある。
アカデミーの学生は、まわりがライバルだらけってことだ(注七)

注七「アカデミーじゃ自然と権謀術策も身につけられるようだ。
どいつもこいつも相手を出し抜き、蹴落とそうと虎視眈々と狙っている。
人間にとっての一番の敵は人間ってことか。全く、笑えるよな」


俺は寝床で開いた本をひとしきり読むと明りを消して横になった。
それじゃあ、お休み。グッドナイト。



食堂でトースト二枚と野菜スープ、それにベーコンエッグを頼んだ。
一番隅のテーブルで朝食を取り、講義に出る。

講師の話だと来週辺りには、召喚の実技を行うとのことだ。
講義は退屈だし、あまり興味をそそられるものでもなかった。
それよりも俺は元に戻る方法が知りたかった。

人間の身体になってから色々と酷く不自由しているからな。
魔力も頭の中身も強さも悲しいまでに低下している。

俺は机に肘をついて、さっさと講義が終わるまで待った。
講師が講義に出ている学生たちに向かって棒を振りながらレクチャーしている。
内容は俺たちに関する話だ。

「スーパーナチュラル、あるいはデーモンとも呼ばれるこの存在は大変恐ろしい存在です。
しかし、同時に我々に多大なる利益をもたらす者でもあります。例えばエネルギー問題、
彼らデーモンはこれらの問題にどのような貢献をしてきたか、分かる人はいますか?」

すると女子学生の一人が立ち上がって答えた。
「デーモンは初期に海水からエネルギーを作る方法を私達にもたらしました。
ほぼノーコストで、
海水に含まれるナトリウムを効率良くエネルギーに転換する技術を我々に伝えたのです」

「その通りです。他にもマグマの地熱を利用した再生可能エネルギーを使う技術ももたらしてくれました。
これだけでも年間に三兆キロワット・アワーものエネルギーを賄うことができるようになりました。
そう、このマグマ発電だけで従来の三倍近い全国の電力需要を満たすことに成功したのです。
ですが、これはほんの氷山の一角です。デーモンが我々人類にもたらした恩恵はそれこそ測り知れません。
医療分野や食料問題などもそうです。そして、今現在でもこれらの技術は日々進歩し続けています」

それからたっぷり一時間二十一分と三十四秒の講義を終え、俺は教室を後にした(注八)。

注八「俺は時間にゃ細かいんだ。特に興味のない講義時間にはな。それ以外は別に細かくはないぜ」

渡り廊下を歩き、階段を下りながら俺は考えた。手っ取り早く力を取り戻すにはどうすればいいのかな。
まず、この人間の身体じゃ、本体レベルの力を取り戻すのは不可能だ。

この脆弱な生身の肉体は、俺からすれば酷い足かせでしかない。
人間に化けることとが違う。俺は文字通りの人間になっちまったんだからな。

無尽蔵を誇った俺の魔力、人間たちの言う<ソウルプラズマ>は今じゃ有限だし、ほんの少しの容量しかない(注九)。

注九「それでも人間の目から見れば充分すぎるほどの羨ましい容量のようだが。
もしも、今よりもずっと強い魔力が欲しかったら俺たちと同じ存在になればいい。
そう、人間なんぞとっととやめて同じスーパーナチュラルになればいいのさ」

階段を下りてから建物同士が繋がっている通路へと俺は進んでいった。この先が図書館になっているんだ。
アカデミーじゃ、こんな具合に建物同士が繋がっているんだ。

それでいつものように図書館で調べ物をし、興味の出た本を借りた。
いつもならもう少しここで時間を潰すんだが、俺はそのまま図書館から外へ出た。

キャンパス内の青々とした芝生の上に学生達が座ったり、寝転がっている。
開いたテキストを一人で黙々と読み耽っている学生もいれば、男女同士で楽しげな会話をしていたり、
グループ同士で雑談に興じている者達もいた。

こいつらにとっちゃ、俺は異物でしかない。いや、こいつらに限らず、他の人間にとってもだ。
バレた時の事を考えると本当に気が滅入る(注十)。

もしも正体が露見してもいいように、出来るだけ早く力を手に入れないとな。
そうすりゃ、こいつらだっておいそれとは、俺に手出しは出来なくなるだろうからな。

注十「異物を廃除しようとする考えは、人間だろうがスーパーナチュラルだろうが、
多かれ少なかれ持ってるもんだ。それで互いに争いが起こるわけだが」
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