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男女のデーモンハンター4
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黒いモヤが人間の形を取ると、その血走った目を剥いて俺達を睨む。
黒ずんだ皮膚に鋭い爪と牙、そしてやせ細った身体、こいつはグールだ。
よほど腹を空かせていたのか、いきなりグールが俺に飛びかかり、その鋭い爪を薙ぎ払ってきた。
俺はバックステップでグールの攻撃を回避すると<スリップノット>を念じた(注二十五)。
途端に亜空間から現れたバラの茎のようにトゲが密集した触手がグールの首を締め上げる。
注二十五「スリップノットは絞首刑用の縄の意味だ」
もがくグールの横腹をレブが食い破った。それでグールはもう動かなくなった。
俺は仕留めたグールを食った。ああ、レブのためにグールの両腕と頭は残してやったぞ。
グールは愚かだが、流石にスライムや餓鬼玉よりもずっとマシなソウルプラズマを持っているな。
それから俺達は他にも食えそうなデーモンはいないか、森の中へと分け入った。
踏みつける度に地面に落ちた小枝がパキパキと音を立てる。
こうやってわざと音を上げて、俺の位置を他のデーモンに教えるわけだ。
早速気配を感じる。俺にわざわざ食われに来てくれるなんて、本当に良い奴らだ。
この異界も気に入った。中々良い霊場だ。悪くない。
それから俺は襲いかかってくるグールを何体か吸収し、満足するとその場を立ち去った。
十二
あの異界を見つけてから二週間、俺とレブは毎晩通ってはグールを狩った。
それにしてもあのアカデミーに入学した当初と比べれば、俺の力も大分増してきたな。
ああ、勿論、今夜も行くつもりだ。
俺は九百ワットのモーターを搭載したキックボードに飛び乗った。
このパーソナルモビリティ(注二十六)は許可を受ければ俺のような子供でも乗れる。
注二十六「パーソナルモビリティっていうのは、一人乗り用の小型の乗り物のことだ。
ちなみに俺のキックボードは少しばかり弄ってある」
俺はキックボードに少しばかりのソウルプラズマを注入した。
よし、これでOKだ。
そのまま俺は目的地へと向かった。
一時間ばかり公道を走り続け、目的の神社の前でストップする。
鬱蒼とした森に囲まれたこの古びた小さな神社は、もう何十年も打ち捨てられた状態だった。
それで魑魅魍魎が集まって住み着くようになり、今では異界化している。
横に立てられた看板には「危険につき立ち入るべからず」と書かれており、周りの木には魔除けの護符が貼られていた。
こうやって結界を張り巡らせて魑魅魍魎が中から飛び出てきたり、これ以上異界が周りに影響を及ぼさないように防いでいるわけさ。
俺はいつものように鳥居を潜って石段を登り、神社の境内に入ると狛犬に挨拶した。
だが、狛犬はうんともすんとも答えない。本当に愛想のない奴だ(注二十七)。
注二十七「おまけにこいつは不細工だ。それでいつも不機嫌にふてくされてるんだろうよ。
誰か腕の良い彫刻家をこいつに紹介してやるべきだ」
俺とレブは裏手の森に入って、グールが襲いかかるのを待った。
だが、いくら進んでもグールが現れる様子がない。
一体全体どうなっているんだ。俺は訝しんだ。それに今夜は森の空気や気配の様子がおかしい。
俺以外の奴がこの異界に潜り込んで何かやってるのか。
折角の狩場だってのによ。
「どうやら妖気が乱れているようですね」
「そうだな。とりあえず奥へと進んでみるか」
俺達は真っ直ぐに向かっていった。移動している途中で幹が捻れた松の木が、俺達を出迎えるように並んでいた。
いかにも根性の悪そうな松の木だな、全くよ。
俺はサードアイを使うことにした。
闇に包まれた森の周囲を第三の目で見渡していく。
すると俺の両眼が青い光の奔流を捉えた。どうやらあそこに何かあるようだな。
「おい、レブ、行くぞっ」
俺達は猛スピードで光の奔流の元へと走り出した。光の原因が何なのか興味があったからな。
地表から突き出た木の根っこを飛び越え、伸びた枝を避け、茂みを掻き分けながら進んでいくと、
ようやく光の正体がわかった。
そこには白い巫女装束姿の女と背の低い鬼が対峙していたからだ。
互いに魔力を放射し、相手を吹き飛ばそうとしているが、力が拮抗しているせいで決着がつかないようだな。
俺はふたりを観察した。どちらも美しい容姿をしている。
「お前は邪魔だっ、消えろっ」
鬼が巫女に怒号を浴びせた。
「貴方の方こそ邪魔ですっ、消え失せなさいっ」
巫女が鬼に怒鳴り返す。
互いに一歩も譲らない様子だ。
グールが出て来ないのもこいつらに怯えているせいか。
黒ずんだ皮膚に鋭い爪と牙、そしてやせ細った身体、こいつはグールだ。
よほど腹を空かせていたのか、いきなりグールが俺に飛びかかり、その鋭い爪を薙ぎ払ってきた。
俺はバックステップでグールの攻撃を回避すると<スリップノット>を念じた(注二十五)。
途端に亜空間から現れたバラの茎のようにトゲが密集した触手がグールの首を締め上げる。
注二十五「スリップノットは絞首刑用の縄の意味だ」
もがくグールの横腹をレブが食い破った。それでグールはもう動かなくなった。
俺は仕留めたグールを食った。ああ、レブのためにグールの両腕と頭は残してやったぞ。
グールは愚かだが、流石にスライムや餓鬼玉よりもずっとマシなソウルプラズマを持っているな。
それから俺達は他にも食えそうなデーモンはいないか、森の中へと分け入った。
踏みつける度に地面に落ちた小枝がパキパキと音を立てる。
こうやってわざと音を上げて、俺の位置を他のデーモンに教えるわけだ。
早速気配を感じる。俺にわざわざ食われに来てくれるなんて、本当に良い奴らだ。
この異界も気に入った。中々良い霊場だ。悪くない。
それから俺は襲いかかってくるグールを何体か吸収し、満足するとその場を立ち去った。
十二
あの異界を見つけてから二週間、俺とレブは毎晩通ってはグールを狩った。
それにしてもあのアカデミーに入学した当初と比べれば、俺の力も大分増してきたな。
ああ、勿論、今夜も行くつもりだ。
俺は九百ワットのモーターを搭載したキックボードに飛び乗った。
このパーソナルモビリティ(注二十六)は許可を受ければ俺のような子供でも乗れる。
注二十六「パーソナルモビリティっていうのは、一人乗り用の小型の乗り物のことだ。
ちなみに俺のキックボードは少しばかり弄ってある」
俺はキックボードに少しばかりのソウルプラズマを注入した。
よし、これでOKだ。
そのまま俺は目的地へと向かった。
一時間ばかり公道を走り続け、目的の神社の前でストップする。
鬱蒼とした森に囲まれたこの古びた小さな神社は、もう何十年も打ち捨てられた状態だった。
それで魑魅魍魎が集まって住み着くようになり、今では異界化している。
横に立てられた看板には「危険につき立ち入るべからず」と書かれており、周りの木には魔除けの護符が貼られていた。
こうやって結界を張り巡らせて魑魅魍魎が中から飛び出てきたり、これ以上異界が周りに影響を及ぼさないように防いでいるわけさ。
俺はいつものように鳥居を潜って石段を登り、神社の境内に入ると狛犬に挨拶した。
だが、狛犬はうんともすんとも答えない。本当に愛想のない奴だ(注二十七)。
注二十七「おまけにこいつは不細工だ。それでいつも不機嫌にふてくされてるんだろうよ。
誰か腕の良い彫刻家をこいつに紹介してやるべきだ」
俺とレブは裏手の森に入って、グールが襲いかかるのを待った。
だが、いくら進んでもグールが現れる様子がない。
一体全体どうなっているんだ。俺は訝しんだ。それに今夜は森の空気や気配の様子がおかしい。
俺以外の奴がこの異界に潜り込んで何かやってるのか。
折角の狩場だってのによ。
「どうやら妖気が乱れているようですね」
「そうだな。とりあえず奥へと進んでみるか」
俺達は真っ直ぐに向かっていった。移動している途中で幹が捻れた松の木が、俺達を出迎えるように並んでいた。
いかにも根性の悪そうな松の木だな、全くよ。
俺はサードアイを使うことにした。
闇に包まれた森の周囲を第三の目で見渡していく。
すると俺の両眼が青い光の奔流を捉えた。どうやらあそこに何かあるようだな。
「おい、レブ、行くぞっ」
俺達は猛スピードで光の奔流の元へと走り出した。光の原因が何なのか興味があったからな。
地表から突き出た木の根っこを飛び越え、伸びた枝を避け、茂みを掻き分けながら進んでいくと、
ようやく光の正体がわかった。
そこには白い巫女装束姿の女と背の低い鬼が対峙していたからだ。
互いに魔力を放射し、相手を吹き飛ばそうとしているが、力が拮抗しているせいで決着がつかないようだな。
俺はふたりを観察した。どちらも美しい容姿をしている。
「お前は邪魔だっ、消えろっ」
鬼が巫女に怒号を浴びせた。
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