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戦争で得る物
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第13話 戦争で得る物
ーーー
しばらくして…彼は静かに語り始める…
「ちょうど…こいつに似ていてな…」
「魔力を持っていない…か弱い癖にやたらと気が強く…目を離せば何処かに消える…」
「そんな奴だった…」
「いつの間にか…俺に妹ができたみたいな…
不思議な感情が芽生えていた。」
「姉弟と離れ離れになった俺と…孤児院で育ち命からがら逃げて来たアイツ…」
「俺もそんな人生だ…似た者同士…」
「俺はアイツを守ってやりたかった…アイツがまだ見ぬ世界…それを全て見せてやりたかった。」
「なのに…」
彼の口調はより強く…憤りを感じるほど…
彼の目的には何処か強い思いが込められていた。
「俺は…奴らを必ず追い詰め…この手で仕留める…これは復讐なんて生やさしいものじゃない…」
「いつか…俺の手足がもげようとも…奴らの喉元を食い千切るまで…追い詰めてやる…」
「これが…俺のただ1つの目的だった…」
「パメラに出会うまではな…」
ーーー
レクサム『こいつには「界門」と言う…特別な力が宿っている…』
ゼイル『何だそれ…』
レクサム『なあ…「英雄軍」って知ってるか?』
途端に…ゼイルが驚いた表情をしてこう呟く…
「あの…人魔間との争いを鎮めて周った精鋭のことか!」
「なんでも…様々な種族の代表が集ったと聞いたことがある…』
「でも…それは御伽話とかである伝説だろ…」
レクサム『だがな…実在すんだよ…それが…』
「実際の話…ヴァラメンス共同国と言う王国で、英雄軍の1人をこの目で見た。」
「ちょうど…王女シェルピーの実の祖父に当たる人物だな…』
ゼイル『マジか…』
ゼイル(てか…何故…王女様と旅を?)
ゼイル『それで…その「特別な力」と何が関係するんだ?』
レクサム『俺も…姉貴も…パメラも…その「界門」と言う力を持っている…調べて方はシンプルだ。』
「界門を持つ者は…身体の何処かに必ず印がある…それは界門の特徴によって…形に違いがあるがな…」
「俺はちなみに…右腕に剣の様な形だった…」
ゼイル『あるか?見えないが…』
レクサム『どうやら…「界門」を持つ者だけが…見えるみたいだな…』
シェルピー(…)
パメラ(そう言えば…私のお母さんには、見えていた様な…)
レクサム『パメラの背中にも…その印があるのを俺は確認した。確か「足跡」の様な紋様だった…』
ゼイル『うわ…』
レクサム『言っておくが…こいつが全裸で俺の前にやって来たのが、始まりだからな…』
レクサム『風呂場でな…』
パメラ『反省しております…』
ニイ『私には…何やら「魔法陣」の様な印がありました。箇所は…言えませんが…』
ニイ(胸にあるなんて言えない…)
レクサム『ところで…英雄軍の由来って知ってるか?』
ゼイル『単に…英雄軍に助けられた。人々がそう呼んでるだけだろ…』
「英雄軍の名は…9人の実力者を1人で束ねた。」
「ある青年が、名付けたらしい…」
レクサム『それも…あの推進国イスタルディアの王である…「クローゼン・イグニアブル」も…その1人だった…あの者達をだ…』
ゼイル『推進国イスタルディアと言えば…あの「無敗」を誇る…最強軍事国家だろ…』
ゼイル『魔導将軍も3人が存在し…各自…自分の軍隊を持っているとか…』
レクサム『英雄軍をたった1人で指揮した。その青年は「主(あるじ)」と呼ばれていた…』
レクサム『とまでは分かっている…だが…肝心な名前と正体は何処の文献にも記されていない…』
「ほんの70年前だと言うのに…」
ゼイル『70年とか…人だと一瞬だろ…』
ゼイル『そもそも…推進国イスタルディアの活躍で…今では、単独国家で戦争を吹っかける馬鹿なんてそうそう居ないし…各国だって昔と違ってどれも進んでいるしな…』
「変わったんだよ…大昔と違って平和なんだろ…」
レクサム『英雄軍を探し出すことも旅の1つだ…ある歴史を紐解きたい…』
ゼイル『ある歴史?』
ゼイル『まあ…わざわざ隠すぐらいだ。外野には話したくない理由(わけ)がある様だな…』
ニイ(…)
「俺達の旅の目的は複数ある…並の冒険家なら何代に渡っても探し切れないものだ。」
「そこで…こいつ…パメラの特別な力…」
レクサム『「探求」なら…探し出せるかもしれない…』
レクサム『俺はそう考えている…』
ゼイル『ふーん…壮大じゃん…良いんじゃない…』
ーーー
ニイ『このお料理…とても美味しいですね…』
シェルピー『はい…とても美味しいです。』
シェルピー『パメラさんは、食べないのですか?』
そうだ…食事中だった…
私は、無我夢中で食べ始める…
私の食いっぷりを見て…レクサムが少し微笑んだ気がした。
気のせいだろうか…
「すまんな…話をズラしちまった。」
「英雄軍が出来た経緯も…」
レクサム『数100年にも渡って…ようやく「終戦協定」を結んだ…「人魔聖戦」の再来とまで言われた争いだ。』
レクサム『数々の王族や貴族らが、泣き寝入りで実力者を募り集結させ…この争いを終結させた事態だ。』
ゼイル『流石に天下の王族様が、泣き寝入りはしないだろ…』
レクサム『…』
ゼイル『あ!マジなんだ!』
「だがな…妙に引っ掛かるんだ…」
「何故…ここまでして争いを止めようとした?」
「人魔間の戦争と言っても…各国の魔導将軍を集めて吹っ掛ければ…時間は掛かるが片付くはず…今と違って…強者がいる事ぐらい分かる…」
「俺の解釈だと…早急に食い止める必要があった。或いは…英雄軍ほどの実力でないと決して倒すことのできない…別次元の脅威が存在していた?」
レクサム『ずっと調べて来たが…争いが起こった。その「きっかけ」も分からない…』
「戦争で得られる物として見ても…たかが知れている…それも考えづらい…」
「何を…食い止めようとした?何を…隠そうとしていた?とな…』
ゼイル『まあでも…実際に存在すると分かった以上…伝説では無く…真実として近づいているな…その根拠に…』
レクサム『ああ…俺はパメラと共にこの謎を解明する…』
レクサム『人間は、「知る」ことより…「知らない」ことに恐れを抱くからな…』
ゼイル『でっ次の目的地は?』
レクサム『そうだな…此処から近い場所…「魔導国オスマーズ」へ向かう…』
ゼイル『魔導国オスマーズか…あそこは、確か…「魔導学園」があったか?』
レクサム『魔導国オスマーズにも…「ギルド養成所」がある…此処を潰すのがメインだ。』
ゼイル『そうと決まれば!早速…明日にでも向かうとしょう…』
こうして…私たちは…
魔導国オスマーズ…
魔法を愛し…魔力に導かれる…
数々の「魔法師」を歓迎する国に向かうのだった…
ーーー
しばらくして…彼は静かに語り始める…
「ちょうど…こいつに似ていてな…」
「魔力を持っていない…か弱い癖にやたらと気が強く…目を離せば何処かに消える…」
「そんな奴だった…」
「いつの間にか…俺に妹ができたみたいな…
不思議な感情が芽生えていた。」
「姉弟と離れ離れになった俺と…孤児院で育ち命からがら逃げて来たアイツ…」
「俺もそんな人生だ…似た者同士…」
「俺はアイツを守ってやりたかった…アイツがまだ見ぬ世界…それを全て見せてやりたかった。」
「なのに…」
彼の口調はより強く…憤りを感じるほど…
彼の目的には何処か強い思いが込められていた。
「俺は…奴らを必ず追い詰め…この手で仕留める…これは復讐なんて生やさしいものじゃない…」
「いつか…俺の手足がもげようとも…奴らの喉元を食い千切るまで…追い詰めてやる…」
「これが…俺のただ1つの目的だった…」
「パメラに出会うまではな…」
ーーー
レクサム『こいつには「界門」と言う…特別な力が宿っている…』
ゼイル『何だそれ…』
レクサム『なあ…「英雄軍」って知ってるか?』
途端に…ゼイルが驚いた表情をしてこう呟く…
「あの…人魔間との争いを鎮めて周った精鋭のことか!」
「なんでも…様々な種族の代表が集ったと聞いたことがある…』
「でも…それは御伽話とかである伝説だろ…」
レクサム『だがな…実在すんだよ…それが…』
「実際の話…ヴァラメンス共同国と言う王国で、英雄軍の1人をこの目で見た。」
「ちょうど…王女シェルピーの実の祖父に当たる人物だな…』
ゼイル『マジか…』
ゼイル(てか…何故…王女様と旅を?)
ゼイル『それで…その「特別な力」と何が関係するんだ?』
レクサム『俺も…姉貴も…パメラも…その「界門」と言う力を持っている…調べて方はシンプルだ。』
「界門を持つ者は…身体の何処かに必ず印がある…それは界門の特徴によって…形に違いがあるがな…」
「俺はちなみに…右腕に剣の様な形だった…」
ゼイル『あるか?見えないが…』
レクサム『どうやら…「界門」を持つ者だけが…見えるみたいだな…』
シェルピー(…)
パメラ(そう言えば…私のお母さんには、見えていた様な…)
レクサム『パメラの背中にも…その印があるのを俺は確認した。確か「足跡」の様な紋様だった…』
ゼイル『うわ…』
レクサム『言っておくが…こいつが全裸で俺の前にやって来たのが、始まりだからな…』
レクサム『風呂場でな…』
パメラ『反省しております…』
ニイ『私には…何やら「魔法陣」の様な印がありました。箇所は…言えませんが…』
ニイ(胸にあるなんて言えない…)
レクサム『ところで…英雄軍の由来って知ってるか?』
ゼイル『単に…英雄軍に助けられた。人々がそう呼んでるだけだろ…』
「英雄軍の名は…9人の実力者を1人で束ねた。」
「ある青年が、名付けたらしい…」
レクサム『それも…あの推進国イスタルディアの王である…「クローゼン・イグニアブル」も…その1人だった…あの者達をだ…』
ゼイル『推進国イスタルディアと言えば…あの「無敗」を誇る…最強軍事国家だろ…』
ゼイル『魔導将軍も3人が存在し…各自…自分の軍隊を持っているとか…』
レクサム『英雄軍をたった1人で指揮した。その青年は「主(あるじ)」と呼ばれていた…』
レクサム『とまでは分かっている…だが…肝心な名前と正体は何処の文献にも記されていない…』
「ほんの70年前だと言うのに…」
ゼイル『70年とか…人だと一瞬だろ…』
ゼイル『そもそも…推進国イスタルディアの活躍で…今では、単独国家で戦争を吹っかける馬鹿なんてそうそう居ないし…各国だって昔と違ってどれも進んでいるしな…』
「変わったんだよ…大昔と違って平和なんだろ…」
レクサム『英雄軍を探し出すことも旅の1つだ…ある歴史を紐解きたい…』
ゼイル『ある歴史?』
ゼイル『まあ…わざわざ隠すぐらいだ。外野には話したくない理由(わけ)がある様だな…』
ニイ(…)
「俺達の旅の目的は複数ある…並の冒険家なら何代に渡っても探し切れないものだ。」
「そこで…こいつ…パメラの特別な力…」
レクサム『「探求」なら…探し出せるかもしれない…』
レクサム『俺はそう考えている…』
ゼイル『ふーん…壮大じゃん…良いんじゃない…』
ーーー
ニイ『このお料理…とても美味しいですね…』
シェルピー『はい…とても美味しいです。』
シェルピー『パメラさんは、食べないのですか?』
そうだ…食事中だった…
私は、無我夢中で食べ始める…
私の食いっぷりを見て…レクサムが少し微笑んだ気がした。
気のせいだろうか…
「すまんな…話をズラしちまった。」
「英雄軍が出来た経緯も…」
レクサム『数100年にも渡って…ようやく「終戦協定」を結んだ…「人魔聖戦」の再来とまで言われた争いだ。』
レクサム『数々の王族や貴族らが、泣き寝入りで実力者を募り集結させ…この争いを終結させた事態だ。』
ゼイル『流石に天下の王族様が、泣き寝入りはしないだろ…』
レクサム『…』
ゼイル『あ!マジなんだ!』
「だがな…妙に引っ掛かるんだ…」
「何故…ここまでして争いを止めようとした?」
「人魔間の戦争と言っても…各国の魔導将軍を集めて吹っ掛ければ…時間は掛かるが片付くはず…今と違って…強者がいる事ぐらい分かる…」
「俺の解釈だと…早急に食い止める必要があった。或いは…英雄軍ほどの実力でないと決して倒すことのできない…別次元の脅威が存在していた?」
レクサム『ずっと調べて来たが…争いが起こった。その「きっかけ」も分からない…』
「戦争で得られる物として見ても…たかが知れている…それも考えづらい…」
「何を…食い止めようとした?何を…隠そうとしていた?とな…』
ゼイル『まあでも…実際に存在すると分かった以上…伝説では無く…真実として近づいているな…その根拠に…』
レクサム『ああ…俺はパメラと共にこの謎を解明する…』
レクサム『人間は、「知る」ことより…「知らない」ことに恐れを抱くからな…』
ゼイル『でっ次の目的地は?』
レクサム『そうだな…此処から近い場所…「魔導国オスマーズ」へ向かう…』
ゼイル『魔導国オスマーズか…あそこは、確か…「魔導学園」があったか?』
レクサム『魔導国オスマーズにも…「ギルド養成所」がある…此処を潰すのがメインだ。』
ゼイル『そうと決まれば!早速…明日にでも向かうとしょう…』
こうして…私たちは…
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