異世界冒険少女

柊 亮

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適正試験

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第19話 適正試験

ーーー

カルドラ『適正試験を始める前に1つ…今から確認する…「魔力質量」について…』

カルドラ『「魔力質量」とは…「魔力の根幹」を担っている…質は「魔力の精度」を表し…量は「魔力の限度」を表している…』

カルドラ『ほとんどの者達は、「魔力の練度」で補っている…自身が磨けば向上する…魔力を補う為だ。』
カルドラ『「魔法の基礎」は…「精度・限度・練度」の3つで構成される…戦いを専門としない魔法師達とは、少しかけ離れているが…まあ覚えていてくれ…』

「では…試験を始めよう…」

ーーー

カルドラ『「魔力質量」はこの…「未鏡(みかがみ)」と呼ばれる…「魔導具」で確認することができる。』
カルドラ『この「魔導具」は、鏡の前に立つ者の「魔力質量」によって…様々な変化が現れる仕組みだ。』

「この名前になった意味は…まあ…後で分かる…」
「自分自身が映るだけなら…ただ魔力を持たないだけだ。しかし、何も映らなかった者も居たらしい…」

ーーー

ゼイル『クシュン…』

レクサム『風邪か?』

ゼイル『さあ…』
ゼイル『え~と…ニイさんだったな…早いとこ…浪費癖を直さないと後々響くぞ…』

ニイ『はい…心得ております。』

ゼイル『本当に分かっているんだか…』

ーーー

魔導学園 1階中央庭園

カルドラ『では…シェルピーさんから…』

彼女がその鏡の前に立つと…途端に鏡から光が溢れ出す…
覗き込むと…奥に輝く雲の様なものも見えていた。

カルドラ『金色に輝く雲か…』

カルドラ(彼女の内で眠る…「魔力属性」によるものか…)
カルドラ(いずれにしても…相当な「魔力質量」を有しているな…)

カルドラ『よし…結果は問題ない…次はパメラさん…』

私も鏡の前に立つ…
すると、先程の反応とは異なり…鏡の内側で静かに反応が起き始めた。
鏡の中で写し出される光景…

私にはそれが…夜空に広がる無数の星々の様に見えた。

シェルピー『ふむふむ…赤に青に緑…細部まで鮮明に写し出されていますね…とても綺麗です。』

カルドラ(これも…彼女の「魔力属性」が関係しているのか…)
カルドラ(鏡の中で、無数に光景が広がり続けている…)

カルドラ『この様に何が起こるか分からないし…各々の反応次第で「魔力質量」を推定する…』

シェルピー『具体的なのは分からないと…』

カルドラ『ああ…派手な反応ほど「魔力質量」の基準値が上回っていると言うわけだ。』

一体…この魔導具を作った人物とは、どの様な人だったのか…

ーーー

カルドラ『では…「五つの魔法術」に対しての適正を調べる前に1つ…魔法と魔法術の違いについて述べておこう…』

「と言っても…かなり曖昧な意味合いが強くてね…」

カルドラ『魔法を管理し統括する「魔導協会」でさえも…意見の食い違いによる派閥が存在するぐらいだ。』

「これを踏まえて…私の主観となるが…教えとして説明はしておく…」

カルドラ『主に「魔法」とは「五つの魔法術」などを組み合わせて…独自の魔法を編み出すことだ。』
カルドラ『「五つの魔法術」を駆使するのは…元々完成された術(すべ)を扱うことを意味する…よって根本的に意味合いが異なる…』

「これを…料理で例えると分かりやすいと思う…レシピを参考にしながら独自のアレンジを加えるか…レシピ通りに料理を完成させるか…」

カルドラ『どちらも自身の魔力を消費するが…「魔法」の方が圧倒的に消費が激しい…
何故だか分かるかな?』

シェルピー『組み合わせる材料と数量によって消費が変化するから…ですね…』

カルドラ『うん…端的に言えば…欲張りは自分の首を絞める…』

カルドラ『もっと具体的に言えば…材料となる「五つの魔法術」をいくら組み合わせても…自身の持つ技量と数量が釣り合わなければ…扱うことも困難となり消費も増してゆく…』

「まあ…頭に入れて置くように…」

ーーー

五つの魔法術とは…
「応用術」「回復術」「紋章術」
「結界術」「召喚術」の総称である…

また、これら「五つの魔法術」には明確な役割が存在しており…
魔導協会によってこの様に区別されている…

ーーー

応用術
「魔法術の中で、最も種類があり習得が困難となる。」
回復術
「魔力属性である(光)が必要となる。」
紋章術
「魔力属性である(闇)が必要となる。」
結界術
「五つの魔法術の中で、使い分けと両立が難しい…」
召喚術
「五つの魔法術の中で最も簡単…」

ーーー

カルドラ『シェルピーさんから…試験を開始したいところだが…「応用術」は「合同実技試験」で披露してもらおう…』

シェルピー『ご期待に応えられるかですが…』

カルドラ『長い歴史から見ても…「応用術」の扱いに長け…「精度」と「練度」を極めた者はほとんど居ない。』

カルドラ『これは「日常魔法」を軸に…幾つもの分岐や派生からなる…思い付き次第で編み出される術(すべ)…「魔法学術」の要と称される魔法術だ。』

ーーー

「魔法学術」とは…
主に、魔法の研究と解明による…新たな魔法を編み出すこと。
または「魔導具発明」に最も必要となる知識のこと。

ーーー

シェルピー『幼い頃から…「五つの魔法術」の1つ…「応用術」は、鍛錬して来ました。』

カルドラ(やはり…かつて…「七彩の獅子(しちさいのしし)」と呼ばれた。)
カルドラ(英雄軍の1人…セザール陛下のご令孫…)

カルドラ(だが…「魔力属性」が、すべて引き継がれるのは稀らしい…)

ーーー

カルドラ『因みだが…「応用術」は、つい最近までほとんど解明されていなかった。』

「これを解明したのは…」

カルドラ『現魔導協会会長であり…歴代最年少で「宮廷魔導兵団」の「師団長」に就任…』

カルドラ『数々の名誉と戦果が評価され…今に至る…異才「ライル・イズ・ラーテ」だ。』

ーーー

カルドラ『すまない…話が逸れたね…』

「では…パメラさんの適正試験に移ろうか…」

カルドラ『この適正試験は言ってしまえば…下準備でね…合同実技試験に向けての演習でもある…』

「パメラさんの場合…このままでは…他の者達を納得させられない…」
「だから…私が君にできるだけ…伝授しておきたい…」

シェルピー『パメラさんが得意なこと…ですか…』

カルドラ『私もあれからいろいろと考えていてね…ライル会長にご相談したところ…彼はある仮説を導き出した。』

パメラ『ある仮説ですか…』

シェルピー『確かに興味深いですね…』

ーーー

数時間前…

ライル『未知の「魔力属性」か…』

カルドラ『はい…ライル会長のお知恵を拝借したく…』

ライル『う~ん…聞いた限りでは…世界での発見例が未だない…珍しい魔力属性だろうね…』

カルドラ『と…言いますと…』

ライル『これは僕の仮説になるけど…彼女の魔力属性はある力と関係しており…』

ライル『何処までも広がり続ける光景は、彼女の膨大な「魔力質量」が反映されたもの…無数の星々に見えたのが…「魔力属性」の正体だろう…』

「そして…これが重要になる…」

ライル『星を彩る色…これは彼女が扱える「魔力属性」を表しているなら…』

「!?」

ライル『あの人が造った魔導具だ。これ以上精巧に造られた魔導具…世界のどこを探しても見つからないよ…』

「この仮説が正しいなら…彼女に最適な魔法術は…」

ーーー

カルドラ『ライル会長曰く…「回復術」だと…』

シェルピー『なるほど…パメラさんにピッタリの魔法術ですね…』

カルドラ『これから試してみる「回復術」は…植物でも代用できる…傷や病気が治るだけでも…十分な結果だ。』

「まあ…植物が可哀想だが…「回復術」を施して見ようか…」

シェルピー『見て下さい…この植物…枯れていますよ…』

カルドラ『ああ…それは…後で取り替えておくよ…』

ーーー

彼女は祈りを捧げる様に、目を閉じて両手を合わせる…

カルドラ(一体…何を…明らかに「回復術」ではない…)

すると…突然…光が辺りを包み込む…
自然の爽やかな音が鳴り響く…
とても心地よい音色だ。

カルドラ『これは…』

枯れ果てた植物は、本来の綺麗なピンク色の花を咲かせ再び緑を取り戻した。
まるで…植物が生え変わる様に…

「!?」

カルドラ(あり得ない…枯れてしまった植物でも…人間なら死亡と同義だ。)

カルドラ『歴史ある学園でも…これを可能とした者は1人も現れなかった。』

シェルピー『幼い頃から…こうやって植物たちを癒してきました。』

カルドラ(やはり…この子達は…)

カルドラ『常に驚きを見せてくれる…』

パメラ『あれ…この植物…』

カルドラ『これは「紫点病」と呼ぶ…決して治すことができない…この植物のみに見られる病気だ。』

「この病気は…他の植物にも移っていき…花と葉が紫色の斑点が覆ってゆく…所謂…不治の病だ。」
「咲き誇れば…美しい花なんだが…病気によりほとんど花を咲かせたことがない…」

ーーー

私は、この植物を元に戻したい…
無意識に…探したいと思っていた。

不治の病を治せる薬を…

すると…急にポケットに違和感を感じる…
私はポケットを探る…すると…
1つの小さな瓶を見つけた。

「ん?それは…」

カルドラ『どうやら…何も書かれていない…小さな瓶の様だが…中に何か液体が入っているね…』
カルドラ『これを…パメラさんは今まで持ってたのかい?』

私は、首を横に振る…

カルドラ(いきなりポケットに…「転送魔法」でもないな…私が先に気付いているはずだ。)
カルドラ(では…これは何だ?)

「!?」

カルドラ(彼女は我々の予想の先をゆく…もしや…これもそうなのか…)

彼は、小さな瓶を開けると…不治の病が広がる植物に振り掛けた。

すると…瞬時に不治の病が癒える…

カルドラ(不治の病だ…今まで決して治ることの無い…この植物だけが発症する病気…それをいとも簡単に…)

カルドラ『パメラさん…この枯れた植物に「回復術」を施してみてくれ…やり方は自身の意識を他者へ向けるように行うとやり易い…』

カルドラ(まさかな…)

パメラ(自分の意識を植物へ…)

私は、植物の前に立つ…
すると…カルドラさんがこう呟く…

「長い歴史の中で…死した者を生き返らす者は、存在してこなかった。」

カルドラ『これが…「魔法の理(ことわり)」であり…魔導協会が定める…「魔法の原則」だ。』

「だが…君は…」

植物が再び緑を取り戻す…
まるで…生え変わる様に…
さっきまでの彩りとは異なり…若々しく輝くように…再び緑を取り戻した。

カルドラ『今…この常識を覆した。』

カルドラ(本当に…あの人が選ぶ逸材は…常識に囚われないよほんと…)

ーーー

適正試験を終え…中央広場を後にする…
ふと…大きな石像が目に入った。
何故…今の今まで目に留まらなかったのか…
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