異世界冒険少女

柊 亮

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静寂の王国

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第25話 静寂の王国

魔導国オスマーズから少し離れた場所にある…「シアラの町」に来ていた。

レクサム『此処からそう遠くない…シェアドールには、これと言って目立つ所の無い国だ…』
レクサム『それに…シェアドールは、完全に外部との繋がりを切っている国でもある。』

ゼイル『不気味な国だな…どんな国王が治めているんだ?』

レクサム『それが一切聞いた事が無い…』
レクサム『いつ建国されたのかも謎だしな…』

レクサム『町に着いたな…周りを見る限り…シアラの町の住民達も、特にシェアドールについて話している者は居ないみたいだな…』

ゼイル『この町には…ちょくちょく騎士兵団の連中が見えるな…』

レクサム『魔導兵団が指揮する兵団だ…小さな町には、騎士兵団が派遣される。』
レクサム『主に治安維持だな…』

レクサム『都市テュリスのような…重要な町には、魔導兵団が派遣されるんだ。』

シェルピー『シェアドールへは、どのぐらいの距離があるのでしょうか?』

レクサム『瞬間魔法で行くには、距離がありすぎる程だな…』
レクサム『ほんの近道程度に向かうぐらいだ。』

レクサム『まあ…パメラがもし…瞬間魔法を扱えたら冒険じゃ無くて旅行になるな…』
レクサム『まっ瞬間魔法は、一度行ったことのある場所しか行けないけどな…』

ニイ『此処からかなりの距離を歩きますよ…パメラさん疲れは無いですか?』

パメラ『はい…大丈夫です。』

シェアドールが見えて来る頃には、あたりは夕日が差し掛かっていた。

レクサム『見えて来たぜ…あれが…シェアドールだ…』

シェアドールに着く頃には、日は沈みかけていた…

ゼイル『やっと…見えて来たぜ…』

シェルピー『もう…クタクタです…』

ニイ『皆さんお疲れ様です。』

パメラ『歩くの楽しいですね…』

レクサム『お前らまだまだ元気だな…』

ゼイル『何事も元気が一番だ。』

シェルピー『人が誰も居ませんね…』

ゼイル『ああ…やたら静かだな…』

レクサム『この国は、住民が集まって集会でもするのか?』

ゼイル『そんな村みたいなことするか?』

パメラ『!』
パメラ『話し声が聞こえます…』

城下町の片隅から話し声が微かに聞こえる…
その声のする方に向かうとそこには、誰も居なかった。

レクサム『気のせい…だったのか?』

?『何故ここに来たんだ?』

人が居ないはずの鎮まり返った…
城下町の建物の影から…急に1人の青年が出て来た。

レクサム(足音はしなかった…急に現れたみたいだ。)
レクサム『何故って…近道ついでに寄っただけだが…』

住民『ここはそんな目的で寄ってはいけない!』

青年は急に大きな声でそう叫びその後に咳き込んでいた。

ゼイル『おいおい…どうしたんだ?急に…』
ゼイル『お前…おかしいぞ…』

レクサム『何する気だ?ゼイル…』

ゼイル『何って…背中さすってやろうかなって…』

ゼイルが…その青年の側に近寄り背中をさすろうとすると…急にニイさんがこう注意する。

ニイ『その人に触れてはいけません!』

普段温厚なニイさんが声を上げる…それは、レクサムでも驚く程だった…

シェルピー『皆さん「解析魔法」です。』

レクサム『なるほどな…話を聞く限り…紋章術…それも魔術に該当する「強制魔法」が施されているのか…』

ゼイル『魔術師が近くに…』

レクサム『だがこいつは、恐らく此処の人間では無い…シアラの町の者だろう…』

住民『俺のことはほっといてくれ…早く此処から立ち去るんだ。』

ゼイル『そんなこと言っても…ほっとけないだろ…お前を…』

ゼイルの言葉を聞いた途端…その青年の口調が急に変わりこう呟く…

住民『これが人間の優しさですか…』

レクサム『さっきまでの声質とは明らかに違う…』

そう呟くと青年は倒れ込んだ。

ゼイル『どうなってんだ?この国は…』

?『これは…これは…人間のお客人とは珍しい…』
?『人間の心の奥底に眠る優しさ…その温もりを感じられました。』

背後から声がする…その声は青年の口から聞こえた声そのものだった。
振り返るとそこには、1人の青年が立っていた。

レクサム『は?誰だよ…お前…』

状況が上手く掴めていないのか…動揺しているのか…レクサムの声は、いつもと違っていた。
その様子は表情からも見て取れる…
こんなレクサムは初めてだった…

?『これは人間の抱く感情の一つ…私は、怯えも恐れも大好物なので…』

レクサム(俺が…怯えているのか…)

ゼイル『お前…人間では無いな?こんな…異質さを持つ訳が無い…』

?『そんな感情を抱かなくても…』

目の前から急に姿を消す…
気づくと背後にいた。

ゼイル『早い!何だ瞬間魔法を使った様子は無かった…まさか素の早さで…』

?『私は獲って食べたりはしませんよ…』

グラドール『名前をまだ名乗っておりませんでしたね…私は、グラドールと申します。人間の者達が、確かこう呼んでおりましたね…「魔王」と…』

レクサム『こいつが…魔王だと…』

ゼイル『おいおい…聞き間違えたのか…今確かに魔王って…』

ニイ『皆さん!魔力感知は控えて下さい!この者がもし本当に魔王なら!それだけで死に至ります!』
ニイ(これだけ…これだけしか…伝えられません…公認魔法師であっても…この魔王とは戦える気がしない…)

グラドール(この者は、「魔王」に備わる「魔力性質」を既に認識している…)
グラドール(やはり…人間の学びの速さには驚かされますね…)

ゼイル(心底…舐めていた…まさかこんな化け物が存在するなんてな…)
ゼイル(ただの勘だ…勘で「魔力感知」を切っていた…)

ゼイル(切らなければ死ぬと…直感でそう感じた…)

ゼイル(何だこの…奥底から溢れ出る…怯えや恐れを決して隠すことができない…感覚は…まるで囚われているようだ…英雄軍とは…こんな化け物と戦っていたのか…)

目の前で人が苦しんでいる…助けないと…
魔王という…得体の知れない存在を前にして…恐怖に支配されることなく…
果敢に挑む…これほど大きな成長を遂げる…瞬間は無いと…

その時の私は確かにそう思っていた。

シェルピー『パメラさん…』

グラドール『おや…これは…』














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