こじらせ読者の推し活動

パイ生地製作委員会

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こじらせ読者の推し活動

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「ねぇ、ミナトくん、今日は放課後何して遊ぶ?」
「今日はツトムらとサッカーやるわ」
「そ、そっか、誘ってごめん…」

 幼い頃から一人に依存しがちだった。
 でもその一人にとって僕はいつだって「たくさんいる友達の内の一人」に過ぎなかった。他に遊ぶ友達ができれば僕なんか見向きもされないような。

 満たされない、満たされない、満たされない、満たされない、…。

 僕にはその人しかいなかったというのに。
 僕だけを見て欲しかった。僕だけに話しかけて欲しかった。僕だけを優先して欲しかった。
 僕という個人を。ただ一人を。
 僕を一人の、唯一無二の人間として認識して欲しかった。
 だから、とても悲しくて、悔しかった。
 僕は常に愛に飢えていた。

 でもそれは何度試してみても叶わなかったから……だから僕は自分を偽る事にしたんだ。僕にとって唯一の人が、僕のことを僕と同じくらい大事に思っていなくても、平気な顔をした。絶対に縛り付けないように。友人関係が破綻してしまわないように。

 それから現実世界のことは諦めて、僕はネットの世界に傾倒していった。
 自分の事を本当に理解してくれる人を探すために。
 僕だけを見てくれる人を探すために。

 僕はアマチュア作家のネット小説やネット漫画が好きだった。無料でも見れるからお金のない学生には最適の選択肢だ。
 ネットで好みのBL小説・漫画を探しては〝推し作家〟を見つけ、ファンレターを書いては送った。
 編集部を通して日々たくさんの声を届けてもらえる商業作家とは違い、アマチュア作家は孤独らしい。
 どれだけ素敵な作品を描いている作家さんでも「感想もらえたの初めてで嬉しいです!」なんてコメントが返って来ることはザラにあるし、もっと感想を送れば同じくらいの熱量でたくさんのお返事をくれるのだ。コレだよコレ、僕が追い求めていたのは。ああ、なんて最高なんだ。

 僕はこの関係性にハマった。僕がその人を好きなのと同じくらい、その人も僕のことを好きなのだという妄想に浸れたから。

 だけど、ネットの世界も僕の思い通りにいってくれなかった。

 自分が本当に好きだと思った作品を描いた一人のアマチュア作家さんに対して、作品への感想と作家さんへの応援メッセージを書いては、投稿サイトに敷設されたポストボックスへ投函する。
 最初は自分と同じだけの分量で返事が来た。僕は夢中になった。毎日スマホを開いてはメッセージボックスに返信が来ていないか確認する。一日のうちに何度も。大学の講義が終わった直後はもちろん、買い物に行く前も、ちょっとした空き時間も、何度も何度もチェックする。

 そしてサイトのポストボックスにメッセージが来ているアイコンが表示されていた時は飛び上がる程喜んだ。やった!お返事がもらえた!僕はいつの間にかボロボロ泣いていた。ああ、僕のレビューをあんなに喜んでくれて……きっと僕のことを覚えていてくれたに違いない!そうに違いない!だって、あの返信……。〝丁寧な感想ありがとうございます。いつも楽しみにしています〟って……僕の感想を『いつも』楽しみにしてる……?本当に?それって僕のことを気にしてくれてるってこと?! 僕はまた胸がいっぱいになって、ベッドに転がって枕に顔をうずめて呻いた。

 ねぇ神さま、嬉しい!嬉しい!僕とこの人の作品を引き合わせてくれてありがとうございます!コレはどういう感情なの?作家さんへの憧れと尊敬が高じての感情なのだろうか?それとも……? 僕はその晩一睡もできなかった。

 だけど時が経ち、だんだんとその作家さんのフォロワーが増え、作品が有名になっていくにつれ、お返事は「ありがとうございました」などの簡素なものとなり、………ついには来なくなった。
 初めのうちは気にしていなフリを装ったが、次第に無視できない程大きな寂しさが募り始めた。自分の存在が薄れていくような感覚に襲われた。

 僕はまた焦り始めた。

 ネット上のコミュニケーションとはいえ自分のやっていることが結局は自己満足であることに気づかされる。作家さんたちの作品に感動して感想を送るたびに、心のどこかで自分だけを特別視してくれるような返事を期待してしまっていた。しかし、それは現実には起こらなかった。

 それでも僕は、ネットの世界にすがっていた。現実世界では友人関係に悩み、ネットの世界でも自分の存在感を見失っていた。それでも、唯一無二の存在として認識されたいという願望は消えなかった。

 大丈夫、大丈夫、きっと僕の感想も読んでくれているはず……そう信じてはいたけど、やっぱり返事が来ないのが怖くて、スマホでポスト画面を見つめ、来もしないお返事を待ちながら眠れない夜が続くようになっていった。

 まただ。また、これを繰り返すのか。今までの人生で幾度もこのパターンを、同じ過ちを繰り返してきた。好きな作品を読んで、推し作家さんにメッセージを書いて、お返事をもらって一喜一憂して、お返事が来なくなって、病んで離れて、また別の作品を探す。今度は大丈夫だと思いながら、それでもその期待はいつも裏切られてきた。

 たかがメッセージが来ないくらいで眠れないなんて、自分でも異常だと思う。
 お返事なんて義務じゃないんだから、来なくて落ち込むなんておかしいと思う。
 でも、自分じゃ止められない。僕はこういう人間だ。本当にどうしようもなかった。

 でも、それでも。例えメッセージが返ってこなくても、今ハマっている作家さん、〝崖っぷちビル〟さんの作品を読んでいたかったから、サイトにアクセスしては作品を読み続けた。
 読みにいって、すぐに感想をポストボックスに送った。その作家さんの作品すべてに感想を送っては、返信を待つ。今までも、まだ返事を貰えていた時からそうしてきたように。

 だけど待てども待てども、返事は来ない。
 僕はまた不安になる。やっぱり僕の感想なんて読んでいないんじゃないか?いや、でももしかしたら……そんな不安が頭をよぎる中、僕は新しい作品が出るたびに感想を送り続けた。

 僕が崖っぷちさんの作品にハマった理由は、主に二つの要素が大きかった。
 一つ目は作品そのもの。彼(もしくは彼女かもしれないが)はアマチュアでありながらもプロ顔負けのクオリティで作品を描いていたし、何よりそのストーリー展開やキャラクター造形の秀逸さが素晴らしかった。彼の作品には独特の繊細さと強さがあり、まるで僕の心を見透かしているかのようだった。こんなクオリティの漫画を無料で読んじゃっていいんですか?!ってレベルなのだ。
 そしてもう一つが……向こうからから届くコメントだ。
 彼はとても律儀な人だった。活動当初は僕が感想をポストすると、必ずコメントを返してくれていた。僕はそれがとても嬉しかったし、彼の人柄にどんどん惹かれて行った理由でもある。だから、今はきっと忙しくて返す時間がないだけなのだ。たぶん…。

 そしてある日、崖っぷちさんはトイッターというSNSを立ち上げた。作品の更新記録や日常のつぶやきを投稿しているらしく、投稿サイトの外部リンク欄にアイコンが増えていた。僕はすぐさまアカウントを作ってフォローした。先客がいたから最初のフォロワーにはなれなかったけど、それでもかなり上位に食い込んだ。
 もともと投稿サイトでたくさんのフォロワーを抱えていた崖っぷちさんは、トイッターでも瞬く間にフォロワーを増やした。そんな人気作家さん(になってしまった人)なのでもちろんフォロバはないが、僕は毎日崖っぷちさんの日常のちょっとした気づきや投稿サイトには載せていないおまけ漫画の投稿を読んではいいね!を送り、さらに近況をつぶやく彼のアカウントに、他のフォロワーと同様、こまめにコメントを残した。
 最近なんて、「体位描くの難しい~!どこかにデッサンのお手本になってくれる人いないかな~」なんてことを書き込んでいたので、「自分が人形だったら喜んでお手本になるのに…」とジョークを飛ばした。
 崖っぷちさんに少しでもいいからこっちを向いて欲しかった。
 半分意地になっていた。

 そんなことが続いたある日、ついに転機が訪れた。
 なんと崖っぷちさんが、同人誌即売会のリアルイベントに生身で参加するというのだ(トイッター情報より)!しかも一般参加ではなく、一人でスペースを持って当日自分で売り子をするらしい。僕はすぐさまチケットを入手した。

 そしてイベント当日、僕は会場で崖っぷちさんを見た。驚愕した。八等身はあろうかというナイススタイル、大きく黒目がちな瞳は長い睫毛に縁どられていて人形のよう。要するに、想像を絶するイケメンだったからだ。意識し始めると心臓がドギマギとして、油が切れた機械のように不自然な動きになる。
 それでも何とか崖っぷちさんのスペースの新刊を購入して、ヘンなものが混入しないようにと購入した市販の差し入れを彼に手渡しした。彼はとても喜んでくれたし、僕も嬉しかったけど……正直言ってそれどころじゃなかった。だって目の前に憧れの作家さんであるあの崖っぷちさんがいるんだよ?!もうそれだけで頭がいっぱいだった!

 どうにか冷静を装って、他のファンの人達と同じように「平凡大学生です!(これは僕のハンドルネームだ)」と自己紹介し「これからも応援しています」とだけ言って、目を合わせることなく邪魔にならないようにそそくさとその場を去った。僕のことをハッとして見る崖っぷちさんの表情も知らずに。

 …のがほんの2時間前だ。僕は会場近くのカフェに立ち寄りスマホでさっそく新刊の感想を書いていた。ひと段落がついて送信ボタンを押す。店を出ると、会場の方角からキャリーケースをコロコロ転がしながら退散してくる人たちがまばらに居た。時刻を見ればもう閉会時間をとっくに過ぎていた。おそらくイベント帰りのアマチュア作家さんたちだろう。その人混みに紛れながら僕は帰路につく。

「ふーっ…」

 僕は人混みが苦手だ。めちゃくちゃ疲れた。それでも、その帰り道は足取りが軽かった。憧れの崖っぷちさんに会えたという高揚感で疲れも吹き飛んだのだ。
 家に帰りついてシャワーでサッパリと汗を流して隅々まで洗ってから、カフェで既に読んだ同人誌をもう一度読み始めた。そして新刊を購入してからずっと言おう言おうと思っていた言葉をやっとメッセージという形にして言えたことに対する安心感に浸った。
 崖っぷちさんの本はこれでもう何冊目になるだろうか、パラパラとページをめくる手が止まらない、何度も読み返してしまう……。


ピンポーン。


 その時、部屋のチャイムが鳴った。宅配だろうかと思ってドアスコープも確認せずに開放するとそこにはなんと、先ほど会場で見た憧れの崖っぷちさんがいた。

 僕は驚いて、思わず無言でドアを閉めた。

 え?なんで?!どうして?!だって今さっきイベントから帰ったところじゃ……?!い、いやでも……確かにあの顔は崖っぷちさんだ……。でもなんで僕の家知ってるんだ?……もしかして、たまたま崖っぷちさんも同じアパートだったとか?…それとも帰る時ちょうど作家さんたちと同じ時間帯だったから跡をつけられた??…で、でもだからってわざわざ訪ねて来るか普通?! 

 僕は混乱してドアの前で右往左往した。その間もドアの向こう側から何度もチャイムが鳴り、崖っぷちさんが話しかけて来る。
 どうしよう!一体何なんだ?!僕何かしたっけ?!い、いやでもこの2年ずっと憧れ続けてきた作家さんを目の前にしてまともに話せる気がしない……。

 パニックになった僕はとうとうドアから離れようとした。
 その時だった。帰り道を見失った迷子のようにか細い声が聞こえたのだ。

「ねぇ、何で感想くれなくなったの…?」

 え?どういうこと…?
 どうしてもその一言が引っ掛かり覚悟を決めてドアを開くと、そこには涙こそ流れていないものの、悲壮な泣き顔でぽつんと突っ立っている崖っぷちさんがいた。ちなみにもう閉じることができないように足をドアの隙間に差し込まれている。

「感想をくれないって、そ、それってどういうことですか?!」

 僕は食い気味に、そして玄関から身を乗り出して崖っぷちさんに尋ねる。たとえ尾行されていたとしてそれが何だ。それよりも崖っぷちさんがたった今発言した内容の方が気になる。

「こら!玄関先で騒ぐんじゃないよ!廊下に響いてうるさいんだから!」
「す、すみません!」

 ご高齢のお隣さんに叱られたことで、僕は崖っぷちさんを四畳一間の激狭ボロ自室へ招くことになった。

「こんな狭いところですみません。どうぞベッドに座って下さい。」
「ありがとうございます…」

 若干ひきつった笑顔で対応されるがそれも仕方がない。
 なぜなら僕はベッドに座り、自分の隣をぽんぽんと叩いて場所を示したからだ。僕の部屋には椅子もなければ座布団もない。それで友人などが来た際には掛布団を片付けて、マットレス直置きのベッドを椅子代わりに座ってもらうことにしている。

「話の続きなんですけど、平凡大学生さんはなんでもう感想送ってくれないんですか?俺、どうしても理由が聞きたくて。」
「それについては僕も聞きたいことが……」
「お願いです、教えてくれないと納得できないんです。」

 崖っぷちさんが人一人分のスペースを空けて座る僕の方へ近づく。僕は思わず一歩後ずさる。するとまた崖っぷちさんが一歩歩み寄る。僕はまた後ずさる。それを何度か繰り返すうちに僕はベッドヘッド代わりの部屋の壁に肩と背がつき、崖っぷちさんは僕の顔の横に両手をついて至近距離で僕を問い詰めた。うっ…!あまりにも顔面偏差値が高くて問い詰められると普通の人よりも1.5倍増しで怖い!

「……ねぇ、どうして?」
「ど、……」
「ど?」
「どうしてじゃ、ないでしょ!!」

 僕は半分ヤケになって大きな声を出し、その宝石みたいに輝く瞳を睨みつけた。そうでもしないとこの美貌の顔面凶器に太刀打ちできないと思ったからだ。

「僕は毎回毎回、Q支部に崖っぷちさんの新しい作品が投稿される度にメールボックスに1,000文字以上の感想を送ってるじゃないですか!僕は…!僕だけがお返事に一喜一憂して、馬鹿みたいにはしゃいで……。最初は崖っぷちさんだって僕と同じくらいの文字量で一緒に語り合ってくれてて、僕にとってそれがどれだけ嬉しいことだったか……なのに…。なのに、いつの間にか返信すら来なくなっちゃって……。寂しくて、悲しくて、それでも送るのやめられなかったのに、なのに『どうして』なんて、あんまりじゃないですか!!」

「え?俺、半年以上前から平凡学生さんのメッセージ貰ってませんよ?」

「え?」

 お互いの視線がパチリと交わる。崖っぷちさんの顔から表情が消える。そして僕は何かまずいことを言ったんじゃなかろうかと不安になる。

「あ、あの、それってどういう……?」

「もしかしてアプリから感想送ってます?ポストに投函しても相手の画面に反映されないバグが発生してたらしくて。半年前に大型アップデートがあって、アプリ自体を更新して再インストールしないと。」

「え゛?!」

 ということは、ということは…!1

「この感想全部送れてなかったってこと?!」

 僕は自分のスマホでQ支部のアプリを開き、メッセージボックスを見せる。
 すると物凄い勢いで「見せて下さい。」と奪い取られ、それはもう画面に穴が開くんじゃないかと思う程にじっくりと見られた。

「今日の新刊の感想まで…こんなに…。もしこのデータが消えちゃうと嫌なので、アプリをアップデートする前にスクショを取って俺に送ってくれませんか?一生大切にします。それとこれ、俺のLIMEのIDです。ここに送って下さい。ていうかアプリは使わず、これからはGoogloとかFirefoxyとか、Webブラウザからログインした方が作品に直接コメントできるしアップデートもしなくて便利ですよ。ほら、アプリからだとなぜかコメントできないし。それから…」

 あれよあれよという間にアドレスを交換させられ、スクショを送らされる。

「ありがとうございます。頂いたお言葉、何度も読み直して大事にします。」
「そ、そんな大したものでは…」
「大したものなんですよ!」
「ひぇっ」

 崖っぷちさんはキラキラとした、同時に凄みのある笑顔でハッキリとそう言い切った。その笑顔に僕の心臓はギュン!と締めつけられたように痛くなった。これはきっと体の、脊髄の条件反射だ。こんな真剣な顔でそんな風に笑いかけられたら、そりゃあ誰でもそうなる…よな?

「実は俺、すっごく心配してたんです。いつも長文で、良かったところだけをピックアップしてゴリゴリに褒めてくれてた平凡学生さんが、急に何の感想もくれなくなって。でもSNSではどんなつまんない投稿でも絶対にいいねとコメントくれるし。だから、単に俺の漫画が、面白くないのかな~…って」

 そんなこと!絶対にない!!

「ち、違います……!僕はいつも崖っぷちさんの作品に励まされて、生きがいで、だからこそ初期投稿の頃からずっとファンで……あの、本当はもっともっとたくさん感想を送りたかったんです。でも僕みたいな素人の感想なんて大量に送り過ぎても逆に迷惑なんじゃないかと思ったりもしてて。それで文章を削ったりもしてて。お、お返事が無くなってからは夜も上手く眠れなくて、やっぱり煩わしかったんじゃって……」

「そんなこと絶対ありえないです。俺は平凡学生さんからのコメントをいつも楽しみにしてたんですよ?」

「ほ、本当ですか?!」

「本当です。」

 崖っぷちさんは僕の頬を両手でそっと包み込んだ。そしてマットレスに座ったまま背中を少しかがめて僕と視線を合わせる。

「……ねぇ平凡学生さん、これからも俺の漫画に感想くれる?今度はセーブせずに、思いついた分量を。たくさん、たくさん。いっぱいくれますか?」
「も、もちろんです!」

僕は崖っぷちさんからのお願いに即答した。その答えを聞いた瞬間、彼の目尻がトロンと下がった。

「……やった……これでようやく……」
「え?」

 最後の方の言葉は小さすぎて聞き取れなかったが、僕が聞き返すと彼は慌てて首を振った。

「いいえ、何でもないです!ところで平凡学生さん、このあと予定ありますか?実は俺、相談に乗って欲しいことがありまして。」








「あの!この体勢、も、ものすごく恥ずかしい、んですが…」
「大丈夫です。ただの参考資料にするだけですから。服も着てるし、何もやましいことなんてありません。…ほら、もっと足を広げて?」
「は、はぃ…」

 3、2、1の余白を置いて、数歩先の位置に設置されたスマホのカメラからパシャリとシャッター音が鳴る。

 熱い、熱い、頭から湯気が出そうなくらい、顔が真っ赤だということが自分でも分かる。それは僕が今、ベッドの上で、憧れの作家さんと体を重ね合っていたからだ。

 重ね合うと言っても性的な意味ではなく、物理的な意味で、だけど。

 覚えているだろうか。以前、崖っぷちさんは「体位が難しいからお手本になってくれる人を募集」した。それに僕が立候補したことを彼は覚えていて、『今後の漫画の参考にするために』と言って僕は体のラインが良く出るようにとタイツのようにぴったりサイズのスポーツ用ズボンと、同じく体にぴたりと張り付くインナー姿で、M字開脚をし、超絶イケメンな崖っぷちさんに迫られている。
 仰向けでシーツにしがみ付く俺の姿を、崖っぷちさんはもう一台のスマホをポケットから取り出し撮影。

「いいですね、その羞恥に濡れる顔。最高にそそられ…ごほん、とっても参考になります!」
「そ、それは、あの、良かったです……!か、神絵師の参考材料になることで次の神作が生まれるなら、……ど、どんなに恥ずかしくても、頑張ってみせます!!」

 羞恥心が天元突破した僕は、半ばやけくそになりながら、それでも本心で思ったことを言う。もとはと言えば僕の発言が原因でこうなっているのだ。やだやだ言って約束を反故にし作家を困らさせるくらいなら、いっそ腹を括ってしまわねば!

 そんな僕の発言を聞いて目を丸くした崖っぷちさんは一瞬考えた後、ゾッとする程美しい笑顔で言った。

「どんなに恥ずかしくても?そうですか、それはありがたいです。次の作品は絶対に良いものにしてみせます。だから次は、…」

 崖っぷちさんはタイツ生地の薄手のインナー越しに、僕の乳首を人差し指で優しく弾いた。

「んぁっ……!」

思わず漏れた自分の甘い声に、僕は咄嗟に口を塞いだ。

「もっと恥ずかしい体位も、頑張ってくださいね?」

 そう言って崖っぷちさんは正常位の体勢を崩し、バックの体勢を取るよう僕を促した。何度も言うが、僕たちは漫画の資料のために着衣のまま写真撮影を行っているのであって、決してやましい行為をしているのではないことをここに宣言しておきたい。

 顔を真っ赤にしつつ、そう、決してこれはやましい行為などではないのだ、と頭の中で自分を叱咤激励しながら、僕が恐る恐る彼の方へお尻を突き出すと、崖っぷちさんは僕の足の間から顔を出し僕の股越しにスマホを構えてシャッターを切った。

「ちょっ!崖っぷちさん、どこから撮って……ッ!」
「あ!待って、動かないで下さい!今、撮り逃しました!もう一度そのままの体勢でお願いします!」
「うぅ……はい……」

 そう言って崖っぷちさんは何度もカメラの角度を変えて連射する。

「よし、では次はベッドの上で、そうですね……そう、でんぐり返しで両膝を肩の上にくっつける体勢にしましょう。」
「で、でんぐり返し?!」

僕は驚愕した。だってそれは……その体勢は……!

「はい!実はこの体位が一番描くのが難しくて毎回かなり苦戦してて。でも平凡学生さんが協力してくれるならきっと素晴らしい作品になると思うんです!だからぜひお願いしたいんですが…。」

崖っぷちさんはバックの体勢を取る僕のお尻を優しく撫でながら耳元で囁いた。

「協力してくれますよね?協力するって言ってくれましたもんね?」
「も、もちろん、…です……」

 半分泣きそうになりながらも『えーい!もうどうにでもなれ!』と僕は半ばやけくそで、でも崖っぷちさんが描きたい漫画の参考になるなら…との一心で、まずはベッドに仰向けに、次に自分で両足を抱きかかえその体勢を取る。体が痛くならないよう、崖っぷちさんが腰のあたりに枕を敷いてくれたおかげで何とか現状を維持する。
 そういうさりげない優しさにも僕の心臓には悪いというのに、崖っぷちさんはこういうことを自然とやってのける人だった。

 すると今度は僕の真正面、股の間から顔を出した崖っぷちさんが、スマホを構えて撮影を始めた。
 そしてまたも何度もシャッターを切る。
 僕は恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら耐える。だってこれは資料のためだから……!と自分に言い聞かせるが……。
 ……あれ?よくよく考えるとなんかこのポーズって……まるで僕が自分から足を広げて股を開いてるみたいな格好に見えなくも……? そう考え始めると途端に居た堪れない気持ちになり、僕は両足を閉じて自分の顔を隠すように腕を交差させた。するとそれを目ざとく見つけた崖っぷちさんは、少し不安そうな声で言う。

「平凡学生さん、どうしました?どこか痛いですか?」
「や、体は痛くないんですけど…なんか…なんというか…穴があったら入りたいというか…」
「どうして?」
「だって、じ、自分から、…さ、さそってる、みたい、…で」

 ……もうこれ絶対わざとだ……。
 しかし崖っぷちさんの言葉に逆らうわけにもいかないので僕は素直に足を開くしかないのだった。
 股の間に顔を埋めて真剣な表情でスマホのカメラを構えるイケメンを尻目に、僕は顔を両手で覆うこともできずに羞恥に耐え続けた。

 けれどやはり羞恥心というものはそう簡単には消えてくれず、僕はどんどんいやらしい気持ちになってきてしまい、両足がモジモジと動いてしまう。
 僕はただ資料のために協力しているだけ、それだけなのに、それすらも少し怪しい気がしてくる程、僕の体は熱く昂ぶってしまっていた。
 するとそんな僕の行動に気づいた崖っぷちさんはスマホを持っているのとは反対の手で僕の顎をくいっと固定し言った。

「次はキスシーンの参考資料、撮ってもいいですか?」

 これはあくまで資料のためであって決してやましい行為ではない、と自分に言い聞かせていたからか、……この撮影会が始まってからというもの、僕は崖っぷちさんからのお願いに一度もノーと言えていない。
 
 だから僕は首を縦に小さく振った後、薄く目を閉じ反応を待つ。その合図を見た崖っぷちさんはさらに顔を近づけて来てお互いの鼻が触れ合う距離でピタリと止まった。そして数秒間の沈黙の後、彼の唇が僕の唇にそっと重なった。

 その瞬間、僕の心臓はドキッ!と大きく脈打った。
 少女漫画や乙女ゲームでは良く見る展開だけど、まさか現実に本当に起こるなんて……。そんな夢みたいな出来事が今この瞬間に起こっているのだと理解した途端、嬉しさと恥ずかしさで死にそうになり僕は思わず首をのけ反らせた。

 そんな僕の反応を見た崖っぷちさんは申し訳なさそうに顔を離す。
 僕は慌てて視線を戻し言い訳をする。だってこんなに嬉しいのに避けてしまったら失礼な気がしたからだ。

「す、すみません……。僕こういうの初めてで、その……き、緊張して……」
「いえ!俺の方こそすみません。嬉しくてつい調子に乗りました。」

 そう言って彼は謝りながら僕の頭を優しく撫でた。僕はその心地よさに目を細めながら言う。

「あの……もう終わりですか?」
「え?」
「あ!いや、あの、今のはちがくてですね?!いやでも今のじゃちゃんと参考資料になるのかな?って思って…ていうかあれ?そもそもキスってどこまでのことを言うんでしたっけ……?!」

 僕が混乱し、しどろもどろになる様を見て、崖っぷちさんは呆れるではなくむしろ愛おしそうに視線を寄こしてきた。

「平凡学生さん、ありがとうございます。……大丈夫、俺に身を任せて、あなたは体の感じるままに反応してくれれば。」

 それから僕たちは何度も何度もキスをして、何度も写真を撮った。

「んちゅ…、んむ、…はぁ♡」
「ん、……ふ。……ふふ、上手に舌、絡められてますよ。」
「ぁう♡……ひゃい♡…ありがと、ございまひゅ、んむぅ…♡」
「そう、そうです……じゅっ……」
「んぅぅ♡ちゅぅ♡」

僕は崖っぷちさんとのキスに夢中になりすぎて思わず下半身をモジモジと動かしてしまう。それを目ざとく見つけた崖っぷちさんはスマホを構えてシャッターを切りながら言った。

「……あれ?平凡学生さん、もしかして勃ってます?」

 そう言って崖っぷちさんは僕の足の間に入り込み、今度はスマホのカメラで僕の股間を撮影。そしてまたもパシャリとシャッター音。

「あの……な、何をして……?」
「ねぇ平凡学生さん…より良いものを描くために…。嫌じゃなければなんですけど、……俺と、シてみません?」

 そう言って崖っぷちさんは僕の股間のモノをその端正な顔で服越しにパクリと口に含んだ。

「はあ、ボディソープの良い匂い…んむ…」
「え?!ちょ、ちょっと!崖っぷちさん?!」

 僕は慌てて彼の頭を押しのけようとするが、彼は僕の両手を自分の頭に添えるように誘導し、またもBluetooth機器のボタンでシャッターを押せる、少し遠くにあるスマホのカメラで僕と崖っぷちさんの体勢を撮影。そして今度は僕の腰を少し浮かせ、ズボンを下着ごとずらす。露わになった小さな僕のちんぽは崖っぷちさんの大きな手と口で包まれすぐに見えなくなった。

「あ!だめですってば!」
「どうして?」
「だって……こんな……んんぅ!♡」

 僕は自分の股間に埋まった崖っぷちさんのつむじを見つめる。その綺麗な形をした頭が上下に動く度に、じゅぷじゅぷと卑猥な音が部屋に響く。

「だめ♡、そこはだめです……っ!♡」

 僕の反応を見ながら崖っぷちさんは的確に気持ち良いポイントを刺激する。裏筋に舌を這わせたり、亀頭を飴玉のようにコロコロと舐めたり。とにかく僕は混乱して、そしてすぐに限界が来そうだった。

「もぅ出ちゃう……!離して下さい……!♡」
「んむ……このままらひてくらはい」
「ええ?!で、でも……」

 崖っぷちさんの口から解放された僕のちんぽは、もはや発射三秒前といったところだった。

「あ……っ!♡」
「ん……」

 びゅく、と崖っぷちさんの手の中に勢いよく吐精した。すると崖っぷちさんはまだ出ているその精液をまるで僕が出したもので汚れている僕のちんぽに擦り込むように手を滑らせ、そしてそれを口元に運びペロリと舐めとった。

「は……ぁ……♡」

 そんなえっちな光景を見せつけられた僕はもう息も絶え絶えだ。しかし彼は僕を見てクスリと笑い、そしてまたもスマホのシャッターボタンを押す。

「次は、一緒に気持ち良くなりましょう。ね?」

 崖っぷちさんはそう言って今度は僕の両足の間に座り込み、自らのズボンを下着ごと下ろして僕に見せるようにしてちんぽを出した。

「ほら、俺のももうこんなに……」
「う、ぁ……すごい……」

 彼のちんぽはビキビキに勃起し、ものすごい質量の物体になっていた。そして崖っぷちさんは一度射精してへなへなになった僕のちんぽと己の立派なそれを大きな手で包み込み、絶妙な動きを開始する。

「ん♡、あぁ……っ!♡」
「はは、…チョー気持ちい…」

 崖っぷちさんと僕のちんぽが兜合わせの形になって擦れ合う。そして崖っぷちさんは僕の目をじっと見つめながら手を動かし、またシャッターボタンを押す。僕は何故かそれに逆らえず、同じように自分のちんぽと彼のちんぽを扱く。すると彼は空いている手でベッド脇にある彼のカバンから何やらボトルを取り出した。そしてその中身を手の平に広げ温めるとまた僕に覆い被さった。

「じゃあ今からゆっくり慣らしていくから、痛かったり苦しかったりしたら言って下さいね。」
「慣らすってなに、ど、どういうこと……」
「こういうこと。ほら、一本だけだから痛くないでしょ?」

 にゅぷぷ…と崖っぷちさんの中指がアナルに侵入してくる。たしかに痛くはない。だけど入って来た異物を追い出そうと体のナカが自然とウネり、まるで彼の指に媚びて絡みついているかのようになってしまう。
 一体どうして……なんて、もう聞くまでもない。だって長年推してきたあの憧れの作家である崖っぷちさんが今まさに僕と繋がろうとしているのだ。そして僕はそれを『嫌』だと感じていない。それどころか『早く欲しい』とさえ思っている。恥ずかしい、恥ずかしい。僕ってこんなにはしたないヤツだったんだ?崖っぷちさんに呆れられていたらどうしよう…。
 だけどそんな心配は無用だったようだ。

「ねぇ、平凡学生さん。本当に良い?俺、もう我慢できそうにないんだけど……」

 三本に増やされた指を引き抜き、崖っぷちさんは余裕がなさそうにそう言って僕の尻に自分のちんぽを擦り付ける。良かった、崖っぷちさんが僕で興奮してくれている。その硬さと熱に「あ……っ」と僕の喉からは、勝手に声が漏れた。そして崖っぷちさんはくちゅくちゅと音を立てながら僕の尻の穴のフチを指先で弄る。

「ここに、俺のちんぽが入るんだよ?ほんとに良いの?」

 僕は崖っぷちさんの綺麗な顔とそこから生えているグロテスクなちんぽを交互に見ながら、今まで感じたことのない快感が体を駆け巡るのを感じていた。自分の体が、本能が彼と繋がることを切望しているのが分かるのだ。そして僕はもうとっくに心に決めていたことを口にした。

「は、はい……♡僕は、崖っぷちさんが欲しい……♡。い、挿れて欲しいです……っ!♡」

 そう告げると崖っぷちさんは僕の頭を撫でながら「ありがとう。」と言ってキスをしてきた。そして僕の両足を曲げて胸まで抱え込み、足の間に割って入る。己のちんぽを僕の尻の穴の位置にあてがい調整し、ゆっくりと腰を進める。

「あ……っ!あぁ……っ!♡」
「ん……」

 ずぷずぷと彼のちんぽが僕の中に入っていくのが分かる。それは熱くて大きくて、下の口と言えどとてもじゃないが楽に咥えられるサイズではない。

「ひっ♡、は、あ……あぁ……♡」
「ふう。んしょ、全部入った……すごいよ、平凡学生さん。俺のちんぽがまるであんたのメス穴に食べられてるみたいだ。」
「あぅ……はひ……♡」

 崖っぷちさんはゆるゆると腰を動かし、僕の尻に彼のちんぽが出し入れされる様を見せつける。そしてまたシャッター音が鳴った。

「ほら、俺のちんぽがあんたのおまんこに出たり入ったりしてるとこ、ちゃんと見ててね。」

 そう言って彼は僕の足をさらに限界まで折り曲げ、顔を近づけてきた。そして彼の体が密着したことで僕のちんぽが彼の逞しい腹筋に擦られる。
 それはまるで『崖っぷちさんによって前を犯されている』かのように錯覚させ、自分の頭がバカになる感覚を覚えた。僕は夢中で自分のちんぽを崖っぷちさんの腹で擦り上げ始めた。すると崖っぷちさんは少し驚いたように目を見開いた後、嬉しそうに笑った。

 どっっっっちゅんッ!!!!♡♡♡

「かはッ…!」

    あまりの衝撃に目の前が白くスパークする。
 お仕置きだ、と言わんばかりに奥、結腸の弁まで勢い良く突き入れられたのだ。

「この小さなクリちんぽ扱いてイくなんてだーめ。あんたは雄にちんぽ突っ込まれてメスイキするんでしょ?できるよね?」
「ひ……♡」
「ほら、返事は?」
「で、できましゅ♡ちゃんとメスイキしましゅ♡♡」
「うん、そうだよね。だってもうあなたは俺の――だもん。」

 どちゅ♡どちゅ♡♡どちゅっっ♡♡♡

 崖っぷちさんは僕の足を抱え直し、激しく腰を振り始めた。そして僕はもうずっとイっているような感覚に襲われているのに、崖っぷちさんはまだ一度もイってないらしく、そのちんぽはまだまだ硬いままだ。

「ねぇ平凡学生さん。」
「あ♡あぁん♡な、なんれすか?♡」
「俺、そろそろイきそうなんだけど、あなたの一番奥に俺のザーメンぶっかけて良い?」
「あ……♡はひ……っ♡」

 もう僕の頭はネジが飛んでいた。だからもう自分が何を言っているのかも良く分かっていなかった。でも僕は密着した目の前の崖っぷちさんにしがみ付きながら言った。

「出してくらさい♡ぼくのいちばんおくに♡崖っぷちしゃんのザーメンたくさんだしてくらさい♡♡」
「っ……!」

ぶびゅううううっ♡♡♡どぷっ♡どぴゅっ♡ぴゅるるるるるっっ♡♡♡♡

「あぅ……♡あひぃ……♡」
「ん……くぅ……」

 僕の体の一番奥、結腸口をちんぽの先でこじ開け、子宮口に熱い迸りが大量に注がれるのを感じた。熱い、熱い、きもちいい。

「あ……♡しゅごい……っ♡♡」

 ぴゅくくっ♡ぴゅく♡
 そして僕もまた絶頂を迎えた。

「はぁ……♡…凄い締め付けだった。」

 ズルリと僕の中に入っていたちんぽが引き抜かれる。そのわずかな刺激にすら反応してしまうほど、僕の体はもう彼仕様に作り替えられていた。体内から異物が抜かれてもなお、くぱぁ♡と彼のちんぽの大きさくらいに開いたままの僕の尻の穴を見下ろしながら、崖っぷちさんは言った。

「ねぇ平凡学生さん、俺もう一回……」
「はひっ♡、も、もう無理れす…た、体力が…」
「………ダメ?」
「う……♡」

 僕は彼の子犬のような目に滅法弱かった。だってそんな顔されたら、ダメなんて言えるわけないじゃないか……。

「えっと……い、一回だけ、なら……」
「わぁい♡」

 崖っぷちさんは嬉しそうに笑った後、僕の上に覆いかぶさって来てキスをした。そして僕の両足の間に割り込み、その逞しく勃起したちんぽをまたも尻の穴に挿入する。

「んっ♡んふ……♡」

 ゆっくりと侵入してくる感覚に思わず甘い息が漏れた。

「ん♡んん……♡」

 またもゆっくりと抜けそうで抜けないギリギリラインまで引き抜かれては、勢いをつけて奥まで突き入れられる。それを何度も何度も繰り返されるうちに、僕の頭の中は快楽で徐々に真っ白になっていった。

「ねぇ平凡学生さん……俺のちんぽ、気持ち良い?」
「あっ♡あぁ♡気持ちぃ……っ♡」
「ふふ、良かった。じゃあもっと気持ち良くしてあげるからね。」

 そう言って彼はまた僕の足を限界まで折り曲げた。そして今度は上から叩きつけるような激しいピストン運動が始まった。

ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡ばちゅんっ!♡♡♡

「ん"おっ!?♡お"っ!?♡お"っ!?♡お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"っっ!!?♡♡♡」
「んっ…く…」

 彼のちんぽが僕の一番奥を突く度、僕の尻の穴は彼を逃がさんと言わんばかりにぎゅーっと締め付ける。それが気持ち良いのか彼は眉間にシワを寄せ、低く唸った。

どぢゅんっ!♡♡♡ごりゅっ!♡♡♡ずごぉっ!♡♡♡じゅぶぅうっっ!!♡♡♡

「っ……あんたのケツまんこ、すごい締まるよ……そんなに俺のちんぽ美味しい?」
「んぎぃっ!??♡♡ふぎぃいっっ!?♡♡お゛ぉっ!♡おぐッ♡しゅごいぃ♡」

 崖っぷちさんのちんぽはまるで槍のように真っ直ぐで太くて長い。そのちんぽが僕の腹の中で暴れまわるのだ。その快楽はまるで凶器のように鋭く、僕をダメにしていく。
 僕はもうなにがなんだか分からなくなり、ただひたすらに与えられる快感を享受するだけの肉塊と化していた。
 そしてついに―


どっっちゅんッッ!♡♡♡
どっっちゅんッッ!♡♡♡
どっっちゅんッッ!♡♡♡
どっっっっっっちゅんッッ!♡♡♡


「お"ぉ"ぉっ!?♡♡んぎぃっ!?♡♡あぐっ!?♡♡あぐぅうっ!?♡♡おっおっおっ♡♡♡」

  一際強く腰を押し付けられた瞬間、僕の一番深いところに熱いものが注がれた。
びゅーーっっ♡♡♡びゅるっ♡♡どぷっ♡どぷどぷ……♡♡と 熱い奔流が僕の腹を満たしていく感覚に、僕はまた絶頂を迎えた。

ぴゅるるっ♡♡♡ 

 僕のちんぽからはもうほとんど色も粘り気もない水のような液体がとろとろと力なく流れ出るだけだった。しかし彼はまだ満足していないらしく、その腰の動きを止めようとはしない。それどころかさらに激しくなる一方だ。

ばちゅんっ♡どちゅんっ♡ごちゅっっ♡♡

 またも熱い子種が僕の一番深いところに注がれる。
 もう無理だ……これ以上は死んでしまう……。

「あ……♡でてるぅ……♡」

 僕はビクビクと痙攣しながら絶頂を迎えた。しかし、まだ彼のちんぽは僕の尻の穴に挿入されたままである。

「はぁ……♡すごい……まだ、まだ出てる……♡」

 彼はそう言ってまたもゆるゆると腰を振り始めた。その動きに僕の体は敏感に反応し、またすぐに絶頂を迎えてしまう。

「んぉお゛っ?!♡♡♡」
「あれ?もうイっちゃったの?ふふ……可愛いね。」
「ばかぁ…♡ あ、あと一回だけって♡…、言ったのにぃ♡…!!」

 さすがに僕は限界だった。しかし彼のちんぽはまだまだ元気が有り余っているようだ。僕はこのまま意識を失うまで彼に犯されるのだろう。
 あぁ、明日のバイトはどうしようか……なんてことを考えながら僕は意識を手放した。






 朝になって目が覚めると、目の前には裸の崖っぷちさんの姿があった。どうやらあのまま眠ってしまったらしい。慌てて彼の上から飛び起きようとするが腰が痛くてうまく動けない。すると僕の動きに気付いたのか崖っぷちさんが目を覚ました。彼は寝ぼけているのか、ぼんやりとした目で僕を見つめるとふわりと笑った。
 その笑顔に不覚にも―

「か、可愛い……」
「ん……?なんか言った?」
「いえ!その……なにも……」

 思わず口に出してしまったらしい。僕は慌てて両手で口を押えて取り繕ってから自分の格好を確認する。よかった、昨日着ていた服は床に落ちてたからきっと彼のであろうシャツを一枚羽織っただけの状態だろうと思っていたのだが……予想に反して僕の体はきちんと清潔な下着とズボンに包まれていた。不思議に思って崖っぷちさんを見ると彼は少し照れくさそうに笑った。

「あ~……俺ね、結構片付けとか得意な方でさ……。昨日汚しちゃった服とかもちゃんと洗ってあるよ。」
「え、そうなんですか?」
「うん。でもごめんね?勝手に色々しちゃったから怒ってない?」

 彼はそう言うと不安げに僕を見上げた。その仕草が可愛くて、僕は思わず笑ってしまった。すると彼は少しほっとしたような顔を見せた後、また僕の胸に顔を埋めてきた。そしてそのまま僕の体を抱き寄せたかと思うと、今度は首筋に舌を這わせてくる。

「あ……♡ちょっと……だめだよ……♡」

 僕は彼の体を押して引き剥がそうとしたが、彼は構わずに僕の体をまさぐり始める。

「んっ…ふ…ひぁ……」
「ねぇ、俺の恋人になってよ。」

 彼は突然そんなことを言い出した。そしてそのまま僕の耳を甘噛みしながら続けた。

「俺ね、あなたから送られてくるたくさんの感想を見た時に思ったんだ……この子を絶対に自分のものにしたいって。だからお願い、俺の恋人になって?」
「え……と……」

 僕は突然のことに頭が回らず口籠ってしまった。すると彼は僕の体をぎゅっと強く抱きしめてきた。そしてまたも耳元で囁くように言うのだ。

「ねぇ、ダメ?俺じゃ嫌?」
「い、嫌では……ないんですけど……むしろ畏れ多いと言うか……」
「ほんと?!」

 彼は嬉しそうに目を輝かせた。そしてそのまま僕の唇を塞ごうとする。僕は慌てて彼の口を両手で覆った。すると彼は不服そうに唇を尖らせながら僕を見る。その顔がまた可愛くて思わずキュンとしてしまった。しかしそれでもここで流される訳にはいかないと思い直し、彼を押し返すように肩を押した。すると彼は思いのほかすんなりと離れていった。

「ねぇ平凡学生さん、俺本気だよ?」
「う……」

 崖っぷちさんは真剣な眼差しで僕を見る。その目に射抜かれて僕はドキッとした。だって崖っぷちさんは本当に格好良いのだ。こんなにも長年憧れ続けた素敵な作家さんに告白されて、嬉しくないはずがないじゃないか……。

 しかしいくら彼が憧れの作家さんも、いくら僕が彼に惚れていると言っても、それでも僕は彼の恋人になるわけにはいかなかった。なぜなら僕には絶対に譲れない条件があって……。

「や、約束して欲しいことがあります…!!」
「約束?」


「僕の感想に、僕と同じだけの熱量で、お返事もらえますか?僕が一通送ったら一通、二通送ったらちゃんと二通、返してくれますかッ?」


 今までのつらい記憶が全て蘇り、泣きそうになりながら質問する。泣きそうというか、半分泣いてしまっていた。

「もちろん、約束する。平凡学生さんから丁寧な感想を貰えることは俺にとってもはや人生の楽しみの一つなんだって気づいたから。だからあなたから感想を貰えなかった日々はすごく気落ちしてた。もうあんな気分を味わいたくない。あなたに、あなたの意見や感想が、俺の作品にとってどれほど大切か分かってほしい。君が送ってくれる手紙には必ず同じ熱量で返事をする。約束するよ。」

 だから、泣かないで……。
 そう言って彼はまた僕の体を抱きしめた。そして優しく頭を撫でてくれる。僕はそんな彼の優しさにまた泣きそうになったけれど、ぐっと堪えて彼の背中に腕を回した。

「あの、ところでさ。」
「はい」

 突然崖っぷちさんがもじもじと恥ずかしそうにこちらを見る。

「そろそろハンドルネームで呼び合うのやめない?」
「ぁっ……!」


 こうして僕と推し作家さんの奇妙な関係が始まったのだった。

 …ちなみに崖っぷちさんの新作は「デッサン力がいつも以上にすごい!特にえっちシーンの臨場感がヤバい!」と評判の嵐だったという。

 ところで、崖っぷちビルさんの声をどこかで聞いたことがある気がするのは俺だけだろうか?
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