ダメダメ淫魔でごめんなさい!

パイ生地製作委員会

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マカミくんとの生活@人間界

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 目が覚めるとベッドの上に居た。体は洗われたのか綺麗になっていた。マカミくんの香りがする。夢の世界とおおよその間取りは同じなので、ここはきっとマカミくんの人間界でのお部屋なのだろう。

「いつ、っ」

 殴られた頬や蹴られた腹部にはまだ鈍い痛みが走る。どちらにも冷却用の湿布のようなものが貼られているので、マカミくんが手当をしてくれたのかも知れない。

 しかしどれだけ見渡しても部屋にマカミくんの姿は見当たらない。急に不安になって、部屋から出ようとベットから降りドアへと向かう。

 ―チャリチャリチャリ…

「チャリ?……うぐぇっ!げほっごほっ!」

 僕の動きに合わせて馴染みのない音がするが、気にせず歩を進めると首が締まって咳き込んだ。原因を見遣るとそこには…!

「あの時の首輪!それに鎖も!」

 かつてマカミくんの夢の世界に出てきた懐かしのアイテムである。

「あ。起きた?良かった目ぇ覚めて。も~、現実世界におるやん!て喜んだらいきなり倒れるんやもん、体も服もボロボロやし。」
「あ、あ、あの、マカミくん…!こ、これは一体…?」
「ああ、それ?」

 マカミくんは僕の首元を見てうっそりと微笑む。

「俺からのエンゲージリング。」

 マカミくんはあの時と、夢の中で僕を捕らえた時と同じ、妖艶で美しい笑顔を浮かべる。
 そして、鎖を引っ張り僕を引き寄せるとそのまま耳元に唇を寄せてきた。
 まるで内緒話をするような体勢に自然と頰が赤く染まる。マカミくんは僕の首元にある首輪を愛おし気に指で撫でながら耳元で囁く。耳元に息がかかるせいでくすぐったくて仕方がないのに、声を発することは憚られてしまい身悶えることしか出来ない。なんだか頭がぼうっとして思考がまとまらない。マカミくんから発せられる艶っぽいオーラに支配されてしまいそうだ。

 え、えんげーじって、人間の言葉でこ、婚約って意味だよね…あの、それって。マカミくんは、あの、…僕のこと………?

 僕はこんなにもこの人に支配されてしまっているのに、マカミくんは僕よりもよっぽど余裕があるように見える。それが悔しくて堪らないけれど、今はこの心地良い雰囲気に身を任せても良いような気がして……――。

 そこまで考えたところでハッとする。危うく雰囲気に流されるところだった!僕は淫魔で、誰か一人の人間に入れ込むなんてしちゃいけなくて、何より、僕はもう他の人に汚されてしまったのに。こんな僕を、マカミくんが受け入れてくれるなんて期待しちゃいけないのに。

「なあ、何で逃げるん?」
「だ、だって、僕は、よごれてる、…き、きたないからっ!」

 涙で滲む視界の中、僕はマカミくんの手から距離を取ろうとするものの鎖を引っ張られてしまい身動きがとれない。いつの間にか完全にマウントを取られていて逃げることは不可能だったようだ。さらに首輪を引っ張り無理やり上を向かされるとそのまま唇をキスで塞がれる。

「ん、ふ、んんぅ…!」

 歯列を割って入り込んできた熱い舌に驚く間もなく口内を蹂躙される。逃げる舌を追いかけまわされ、付け根からじっくりと扱きあげられる感覚に背筋がゾクゾクとする。必死にマカミくんの胸を押してみるがビクともしない。それどころかさらに激しくなるばかりで抵抗もできずにされるがままだ。
 やがて酸欠状態で意識が朦朧としてきた頃にようやく解放されたが、僕の体は思念体だったときにマカミくんに躾けられていたせいかすっかり熱を持ち始めてしまっていた。

 鎖を片手に僕を抱きしめながら、もう片方の手で優しく背中を擦ってくれる。
 マカミくんが触れたところが、じんわり温まって心地いい。
 頭も撫でられて、撫でられる度に快楽物質が全身に広がっていくような感覚に陥る。あまりの心地よさにだんだんと思考を放棄しそうになるけれど、それでも何とか必死に抵抗する僕を嘲笑うかのように、今度は耳朶に唇を落とされ吐息を吹き込まれる。その刺激に反応して体を跳ねさせると再び笑われたような気がしたが、それでも何とか意識を繋ぎ止めて睨み返してやる。
 しかしそれも無駄な抵抗だと言わんばかりにマカミくんは僕をベッドへ押し倒す。そのままシャツのボタンに手を掛けられるが、その手を掴んで必死に抵抗すると再び唇を奪われた。今度は触れるだけの優しいキスだ。
 抵抗できないように両手ともしっかりと押さえ込まれ、そのままシャツ越しにマカミくんの掌が僕の胸の突起を摘まんだ瞬間、全身を駆け巡る甘い快感に頭が真っ白になった。
 今まで散々開発されたせいで敏感になっている乳首を重点的に攻められればひとたまりもなく達してしまうのは必然で……――。
 暫くの間余韻に浸るようにぼうっとしていた僕は、それでもまだ体に残る熱に流されまいと必死で呼吸を整える。しかしそんなことはお構い無しというようにマカミくんの手は止まらない。
 今度はベルトに手をかけられズボンを脱がされる。そして下着越しに撫でられただけで僕のそこは既に先走りで濡れてしまっていたようで、マカミくんの手によって小さく水音を立てながら染みを作っていく様が何とも恥ずかしくて思わず顔をそむけてしまった。その快楽を甘んじて受け入れてしまいそうになる衝動を、歯を食いしばることで必死に耐えることしか出来ない。
 次第に強くなる快感から逃れようと足をばたつかせてみるも、あっさりと足を押さえつけられてしまい身動きが取れなくなってしまう。そしてついに下着に手が掛かったかと思うと一気に下ろされてしまう。
 外気に触れたことでひんやりとした感覚に襲われるがそれも一瞬のことですぐに熱い昂ぶりに触れたかと思うと上下に擦られる。するとたちまち腰がビクビクと震えだし我慢が出来なくなってきた僕は縋るように繋がれたマカミくんの手を握り返す。ハッと息を飲む音が上から聞こえた気がしたが、気のせいだったのかもしれない。
 大きな片手で中心を握り込まれそのまま激しく扱かれてしまえばひとたまりもない訳で、結局また絶頂を迎えてしまった僕は荒い呼吸を繰り返しながらぐったりとしていた。
 しかしマカミくんはまだ満足していないようで休む暇も与えずにイったばかりのそこを再度握り込まれ上下に擦られ始める。最初はゆっくりとした動作だったが徐々に速度を上げていくとその刺激に耐えられずまたすぐに達してしまいそうな程だ。それでも何とか我慢していると今度は亀頭部分を重点的に責められると同時に尿道口に爪を立てられてぐりぐりと抉られた瞬間、僕はあっけなく達してしまったようだ。

 その後も延々と続けられる行為に次第に思考力が鈍ってきた頃ようやく解放されたが、僕のそこはもうすっかり蕩けきっておりマカミくんを受け入れる準備が出来てしまっていた。

「アンウィルくんは汚ぁないよ。それでももし自分が汚いと思うんやったら、ほら俺が上書きして、全部きれいにしてあげる。な?」

 マカミくんは僕の頭を撫でながら優しい言葉をかけてくれた。

「うっ、うっ…」
「ヒクヒクして切なそう。挿れてほしい?ココ。…俺にきれいにしてほしい?」

マカミくんの指が僕の蕾の縁をなぞるようにくるくると円を描くようにして撫でる。

「…き、きれいにしてほしいです!僕はっ、マカミくんのことがっ…!マカミくんのがほしいです…っ!」

 焦らすような動きに耐えられず頷くと、マカミくんはニヤリと妖艶な笑みを浮かべたあと僕の額に触れるだけの優しいキスを落としてくれた。そしてそのまま仰向けに押し倒されてしまうと今度はゆっくりと指が侵入してきて中を広げるように動かされる。
 その間にも首筋や鎖骨、胸元にキスマークを付けられてどんどんマーキングされていくのが心地良くて仕方がない。やがて十分に解れたところでマカミくんのものがあてがわれたかと思うとゆっくりと挿入され始めた。

 最初は異物を受け入れる違和感に耐えていたが次第に快楽の方が勝っていき、気付けば自分から腰を振ってしまっていた。
 それに気を良くしたのかマカミくんの打ち付ける速度が速くなっていく。どんどんとスピードが上がっていくにつれて、頭は真っ白になって何も考えられなくなるほど気持ち良くなっていく。
 やがて絶頂を迎えようとした時突然根元を強く握られてしまった。あと少しで絶頂を迎えることができたのにそれを阻まれ、ただビクビクと体を震わせているとそのまま激しく奥を突かれてしまいあっけなくナカだけでイってしまった。しかしそれでもまだマカミくんは動きを止めようとしない。それどころかさらに激しさを増す律動に意識を失いかけた頃ようやく解放されたのだが、今度は仰向けからうつ伏せにされ、突き出した腰を抱えられたまま激しく抽挿され、その間も何度も絶頂を迎えそうになってしまう。
 しかしそれでも最後まではイかせてもらえず、もう限界だというところで突然根元から手を離してもらえたおかげで僕はそのまま絶頂を迎えることができた。
 その後も何度も何度も中に出され続け、ようやく解放される頃にはすっかり僕の体はマカミくんに作り変えられていたようで……――。

 僕は大好きなマカミくんに抱きしめられ体内を満たされた多好感で胸がいっぱいになり、泣くつもりなんかなかったのに嬉しくて涙を流してしまった。
 そうして涙が落ち着いたころ、僕はようやくマカミくんにこれまでの事情を説明することができたのだった。

     ▽

 マカミくんは意外と心配性らしい。

「いい?外の世界は危ないことがいっぱいなんやから絶対に外出禁止。」
「あ、あの、でも搾精業務が…!」
「精気は俺があげるから。あ、もしかして朝あげた精気でも足りんかった?」
「いいえ!足りてます!お腹いっぱいです!」

 パタンとドアが閉まり、外からガチャリと鍵がかかる。
 こうして僕の搾精業務は無期限のお休みとなってしまったのであった。

 マカミくんは心配性な上に嫉妬深くもあるらしい。首につけられた首輪はいまだに外されておらず、マカミくんの自室に軟禁された僕はどこへ行くにもマカミくんと同伴するよう命じられていたのだった。そのため、マカミくんが大学に行かない時は一人でトイレへ行くことすら許されない。毎日お風呂上がりには全身くまなくチェックされ、傷の治りや汚れがないかなど徹底的に確認されるのだ。もうずっとお風呂上がりのボディークリームも欠かさないし、赤ちゃん用のベビーパウダーまで用意周到にまぶされる。食事もかいがいしくまるで親鳥からエサを与えられる雛のように食べさせられるし、着替えすらマカミくんが全部する。さすがの僕でも少し申し訳ない気持ちになってくる。
 それでもマカミくんは幸せそうだし、何より幸せそうに笑うマカミくんを見ると僕も幸せな気持ちになるのでそれで良し、……としても良いのだろうか?何もかもを与えられすぎて、自分で何でも出来なくなるのが少し怖い気がする。

 そんなことを考えていると僕の部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。マカミくんが忘れ物でもしたのかと思い、玄関まではギリギリ届く長さの鎖を引きずってドアの鍵を開け返事すると、「やほー」とマカミくんの声が聞こえた。

「え?知らない人です?」

 そこにはマカミくんと同じ声なのに、外見もすごくすごく似ているのに、同じじゃない。全くの別人がいた。

「いや、キミこそだれやねん。」


「ええ?!マカミくんには双子の兄弟がいたんですか?!」
「うん。ていうかよお分かったな、マカミでないって。普通、ハジメマシテの奴はみんな見分けがつかんのに。」

 そう言ってソファ代わりのベッドの上で長い足を組み、マカミくんの部屋で自由にくつろぐのは、彼の片割れである湊 漁(ミナト イザリ)くんというお方らしい。

「ぜんぜん違います!確かに声も顔のパーツも同じですけど、喋り方もホクロの位置も、や、優しそうな感じとか…えへへ…と!とにかくマカミくんはイザリくんとは全然違います!」

 途中、マカミくんの素敵な部分やそれに付随するむふふな記憶を思い出して顔がにやけたが、急いで顔の筋肉を引き締める。

「へぇ~。で、キミ名前は?なんでここおんの?」

 興味深げに僕の首輪から伸びてベッドヘッドに繋がった鎖をいじりながらイザリくんは問うてきた。

「僕はアンウィル。淫魔ですが事情があって生身の身体を手に入れて、今は人間界で搾精業務をしております!見て下さい、この淫紋!これが発言している間は魔法だって使えるんです、えっへん!」

 今朝も起き抜けにマカミくんから搾精業務させてもらったおかげで顔をのぞかせている淫紋を得意げにイザリくんに見せる。マカミくんの大きなシャツを借りているので袖も裾もブカブカでかなり見せにくかったが。すると「は?誘ってんの?」とイザリくんのキレ気味に返答されたがちょっと何のことを言っているのかわからない。

「学校行く前にマカミに頼まれとったやつ届けよう思て寄ったのにマカミおらんのかい。」
「はい、ほんのついさっき部屋を出ていきましたよ。イザリくんが来たことを伝えておきましょうか?」
「いや連絡先知ってるし自分で言うとく。…ん?待って。コンセントのこれって…。」

 喋っている途中でイザリくんが何かに気づいた。壁に開いている穴に刺さっている機械を取り外し詳しく観察している。

「あは、あいつあげたヤツさっそく使ってるやん。この鎖も自分で買うたんかなあ。なあ、アンウィルくん、キミよっぽど愛されてるんやな。」
「な、何の話をしてるんです?」
「ホラこれ盗聴器。監視カメラも探したらどっかにあるんちゃう?」
「へ?!」

イザリくんが見せてくれた小さな機械は、どうやらマカミくんが僕の部屋に取り付けたであろう盗聴するためのものらしい。イザリくんは「自分のおらん間が気になってしゃーないんやろな。」と笑っているが僕はそれどころじゃない。

 なぜならイザリくんがベッドに座る僕を押し倒し、シャツの前をはだけさせてきたからだ。

「な、なななな?!何するんですか?!」
「え?いつもマカミにどんな風に可愛がられてんのか気になってさあ。マカミが帰って来る前にちょっと味見しよかな~って。マカミ、聞こえてんねやろ?はよお来なこの子食べてまうで。」

 そう言うとイザリくんは僕の胸に顔を寄せてちゅ、と軽く乳首を吸い上げた。僕はくすぐったくて身を捩るが逃げられないようしっかり押さえつけられていて動けない。そうこうしているうちにもう片方の胸は指でコリコリとつままれてしまい思わず変な声が出そうになったので慌てて口を塞ぐ。するとそれを咎めるように強く噛み付かれてしまったため痛みで涙が滲んできた。

「ひぅ……やめ、やめてくださ……ぁ……!」
「ふふ、感じとるくせに。ほらココもビンビンやで?」

 イザリくんの手が僕の股間を撫で上げる。ズボンの上からでも分かるくらい膨らんでしまっているそこはイザリくんが刺激する度にピクンと震えてしまう。僕は恥ずかしくて足を閉じようとしたがそれすらも許されない状況だった。そのうちシャツの下に着ていた下着に手をかけられ一気に脱がされてしまい、生まれたままの姿になってしまうと恥ずかしさのあまり顔を手で覆って隠したがその手を退かされ、唇を奪われる。

「んっ……ふぁ……だめ、ですよぉ……」
「淫魔なんやろ?マカミとしてんやろ?じゃあ俺ともして問題ある?…ないよなあ?」

 確かに淫魔的にはそれはそうなんだけど!でもマカミくんは僕にこんな強引にキスしてきたりしないし!なんかイザリくん乱暴そうで怖いし!!
 イザリくんは僕の両手をベッドに縫い止めるとまたキスしてきた。今度はさっきよりも深く濃厚なもので口内を舌で犯されていく感覚に頭がボーッとしてきて思考力が低下していくようだった。それに気を良くしたのかイザリくんの手が僕の露わになったそこに直接触れてくる。

「ひゃ……んっ、やだよぉ……」
「なんで?キスだけでこんなにしといて今更イヤは無理があるやろ。」

 イザリくんは僕のものに指を絡めて上下に動かし始めた。その動きに合わせてどんどん息が荒くなっていく自分がいて恥ずかしいのに止められない。

「あぅ……あっ、あんッ、やだぁ……!」
「嫌じゃないくせに。はあーあ、しゃーない。素直でない子ぉにはお仕置きやな?」

 そう言うと今度は僕のものを口に含みしゃぶり始めた。イザリくんの口の中はとても温かくて柔らかくて、それでいて的確に感じる部分を責めてくるのですぐに限界を迎えてしまいそうになる。

「はあっ、ああぁっ!イクッ、イッちゃう……!だめですよぉ……!」
「ん……出してええで?ほら全部出し?」

 そう言うとさらに強く吸われてしまい呆気なくイってしまった。僕が肩で息をしていると今度は僕の出したものを手のひらに吐き出してからお尻の穴に指を入れてきた。

「ひっ?!やあっ!やめてぇ!」
「うわキッツ。でもちょっとずつ解してかんと痛いから我慢してな?」

 イザリくんは僕のものから出る液体を潤滑油にしてどんどん指を増やしていった。そしてついに指が三本入るほど広がった頃、ようやく満足したのかずるりと指を引き抜いた。

「よし、こんなもんかな……挿れるで?」
「だ、だめですっ!…ぁあッ~!」

 僕の足を持ち上げて肩に担ぐと一気に貫いてきたイザリくん。僕はあまりの衝撃に一瞬意識を失いかけたが、すぐに激しいピストン運動が始まり強制的に現実へと引き戻される。

「ふぐっ!ふあ、ああッ!あんッ、あぁ!」
「はあ……めっちゃ気持ちええわ。中もトロトロで絡みついてきて最高やね。」

 イザリくんは僕の乳首を指先でくりくりと弄りつつ何度も奥を突いてくるので僕はもう何も考えられなくなっていた。ただひたすら与えられる快楽を享受するだけの存在になってしまったかのような錯覚を覚えるほどだ。そしてついに、僕の一番感じる部分を集中的に攻め始めたのである。

「ああっ!ダメッ!そこはぁ……っ!」
「ここ好きやろ?ほら、ここグリグリされるとめっちゃ締まるやん?…あ。何これ。」

 一瞬イザリくんの動きが止まる。

 何かと思いイザリくんが手に掴んでいるものを見ると、なんと僕の尻尾が生身の体からぴょこりと姿を現し、イザリくんの手に握られていたのだ。もしかしてと頭上に手を伸ばすと角もあるし、背中には羽が生えている感覚もある。おそらく、相性の良いマカミくんに朝、生身の体にたっぷりと精気を注ぎ込まれたのが原因だろう。

「淫魔とかジョーダンで聞いてたらマジやったんや。ふは、マジでおもろいやん。」
「ひゃう?!し、尻尾は強く握らないでくださ…あ、そこコリコリしないれ…!」

 尻尾を掴まれると力が抜ける。そうすると余計に前立腺に神経が集中してしまうのだった。僕の弱点を見つけたイザリくんは尻尾を片手に執拗にそこばかりを攻め続ける。その度に僕の中はきつく締まりイザリくんも感じているのか熱い吐息混じりの声が聞こえてくる。そして一際強く腰を打ち付けられた瞬間、僕は絶頂を迎えてしまった。それと同時にイザリくんのものを強く締め付けてしまい彼もまた僕の中で果てたようだ。ずるりと引き抜かれるとぽっかりと開いた穴からは出されたものが垂れてきて、恥ずかしさに身を捩る。
 すると今度はうつ伏せに寝かされた僕の足の間に入り込んできたイザリくんが再び僕の中へと侵入してきた。

「ふぁっ?!やだっ!もう無理ですぅ……!」
「淫魔くんが何言うてんねん。まだできるやろ?」

 その時、バン!と大きな音がして、キッチンからベッドルームに続く扉が勢い良く開かれた。びっくりして目をやるとそこにはゼーハーと肩で息をしながらこちらを…主にイザリくんを睨みつける人物がいた。

「ま、マカミくん…っ!!た、たすけてくだしゃ…!」
「は~?『助けて』だ~?よお言うわ人聞きの悪い。さっきまで自分もアンアン言うて楽しんどったくせに。なあ?マカミ?」
「イザリ!!!!」

 「おお、怖い怖い。」と全然怖くなさそうに肩をすくめるイザリくんを押しのけて、マカミくんが僕を抱え込む。ナカからイザリくんの怒張が抜けていく感覚に思わず息をつきそうになったが唇を噛んで我慢する。
 抱き寄せられ、大事そうに腕に包まれれば、マカミくんが僕のことを大切に思ってくれている…なんて都合の良い解釈をしてしまいそうになる。

 「マカミもソレ、苦しいやろ?」とイザリくんが指摘する。そう、マカミくんに抱き寄せられているからより鮮明に分かる。僕の腰辺りに当たっている、硬くて熱いモノ、マカミくんのが完全に反応しているのが。おかげでお尻のフチが寂しそうにクパクパと期待してしまっている。

「さんぴーしよや。」

 なんでもないことのようにイザリくんが笑う。まさかと思ってマカミくんの方を見ると、露骨に胡散臭そうなものを見る視線をイザリくんに送っていた。

「この子は俺の。今までイザリと色んなもん共有してきたけど、この子だけは俺のんや。」
「ええやん、減るもんでもないし。どーせ付き合ってないんやろ?」
「……。」
「やっぱり。 しかも淫魔なんやろ、その子。ほないろんな人間から精気もらわなあかんやん?じゃあ俺もそれに協力してあげよ~って言うてんねん。なあ?アンウィルくん?」
「うえぇ?!ぼ、僕ですか?!」
「それが淫魔にとって正しい姿ちゃうの?ん?」
「そ、それは…たしかに…そうですけど…。」
「な?マカミ?大丈夫。お前の好きなコ盗ろうなんて思てないよ。素直になりきれん二人の恋のキューピッドとしてサポートしたるから。」

 マカミくんは一瞬の間逡巡する仕草を見せたものの、すぐに覚悟を決めたように服を脱ぎ捨てた。
 そうして僕を挟んで再び二人がかりで貪られることに。
 僕のお腹はとっくに限界を超えていて、イザリくんが大量に出したものが孔から漏れて太股を伝っていくのを感じるほどになっていたが、それでもまだ終わらないらしい。
 マカミくんはイザリくんの触ったあとを消毒するかのように僕の身体中にキスマークを付け始め、その度に僕はビクビクと反応してしまって恥ずかしいったらありゃしない。しかもイザリくんが乳首を舐めるときはマカミくんがお尻の穴を指で解していて、僕は快楽に抗う術もなくひたすら喘ぐことしか出来なかった。二人から同時に責められるなんてこと、生まれて初めて体験したが、テンポが速く、あっちもこっちも反応してしまって精神が追い付かない。本当に壮絶だった。
 そしていよいよマカミくんが僕の孔へ自分のものをあてがってきた時、脳がどろどろに蕩けていた僕はもう理性をかなぐり捨てて懇願していた。マカミくんのが欲しいです、と。
 それを聞いたマカミくんは一瞬驚いた顔をした後、すぐに優しく微笑んでくれて………次の瞬間には一気に最奥まで突き入れられ突き入れられていた。
 あまりの強い衝撃と快楽に目の前に火花が散ったかと思った。マカミくんはそのまま激しく抽挿を繰り返し始め、僕はもうただただ喘ぐことしかできず、あられもない姿を二人に晒すことになってしまった。さらにイザリくんが自分のをしゃぶらせてきたため、僕はまた快楽地獄へと引き戻されるハメになったのである。
 
 もうどれくらい時間が経ったのだろう?いつの間にか意識を失っていて目が覚めると精液で濡れた体は整えられており、マカミくんだけが僕の隣で眠っていた。その腕は僕の身体をしっかりと捉えており、僕は身動き一つできなかったがマカミくんの温もりに包まれていると不思議と安心感を覚えた。

 そしてハタと思い出す。自分がとんでもないことをしてしまった事実を。

 そう、僕は二人が交互に攻め立てて来るのに射精は管理されているせいで自由にイけなかった。「イかせてください、お願いします。」と顔中の穴という穴から水分を出してぐしゃぐしゃになりながら絶叫し、あまりの快楽に息も絶え絶えになった僕は、生身の体でも契約書にサインをしてしまった。砂糖を煮詰めた様な声音で『好き』だとか『愛してる』だとか、そんな言葉を紡ぐマカミくんに対して。

『マカミくんのお嫁さんになります』と――。
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