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○~第4章~○ 膣美の修行
1排卵目! 弱いアタシ
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「ん…… んん……」
目が覚めるとそこは真っ暗な空間だった。
上半身を起こそうと全身に力を入れてみる。
ピリリッ!
「っ痛ぅ……」
(ダメだ。痛みが強すぎる)
体を動かそうとすると、全身に痛みが走り、座るのが限界だった。
なぜこんな痛みに襲われているか、もう分かっていた。
――能力を使いすぎた反動
(この痛みは昔から慣れないな……)
アタシは再び目をつむり、排卵最終試験での満子との闘いを思い出した。
◇◆◇
「死ね! 膣美ぃいいいい!」
(バカね。そんなまっすぐ突っ込んできてもアタシの能力前では無力よ)
フッ……
「き、消えた? 膣実が…… 消えただと!?」
(そう。これがアタシの能力。純粋な透明よ)
アタシの姿が見えない満子はガードをとらず隙だらけだった。
(ふふっ。焦ってる焦ってる。それじゃあ挨拶代わりに腹に一発! っと!)
ドゴォオン!
「ぐぁぁああああ!」
のたうちまわる満子、湧き上るスタンドからの歓声。
アタシは勝利を確信した。
なのに……
・
・
・
(はあ…… はあ…… なによこの子…… 一体何発入れれば倒れるのよ……)
あれから軽く100発以上は急所を目がけて拳を打ち込んだはず。
なのに満子は痛がりはするものの全く弱っていかない。逆に元気になっていってるような恐怖を感じた。
「膣美ぃ! そろそろ体力が尽きてきたんじゃねえのか? 姿は未だに見えねえけど苦しそうな呼吸が聞こえてきてるぞ!」
「くっ…… あんたいつからそんなタフになったのよ!」
(このままではヤバい)
そう思った矢先、能力が解けてしまった。
フワッ……
「おっ! やっと出てきたじゃねーか! くらえ膣美ぃ!」
満子は反動をつけ、自分の全体重をかけた大ぶりのパンチを放ってきた。
「や、やばっ!!」
両腕を顔の前で合わせたガードをとるのが精一杯の反応だった。
ガンっ!!
その衝撃力は凄まじく、アタシは数メートル先まで吹っ飛ばされた。
「っ痛ぅうううう! これほんとにヤバいわ…… こんなのまともに受けたら……」
「まともに受けたらなんだってぇ?」
アタシが下を向いているほんの一瞬の間に、満子は目の前まで移動してきたのである。
(しまった!)
即座に立ち上がり、その場から立ち去ろうとするも時すでに遅しだった。
満子の何の遠慮もないボディブローがまともに突き刺さったのである。
ドスン……
「か、カハッ!」
内臓をかき交ぜられたようなこの痛みと苦しみは生まれて初めてだった。
朝ご飯で食べたパンとウィンナーが胃液に交じって逆流し、その場で嘔吐し膝をつく。
「ゲホッ! ゲホッ! グエェ……」
「あぁん。苦しそうね膣美ぃ。それじゃあいま楽にしてあげるから!」
“死ぬ”
薄れゆく意識の中で、生まれて初めてそう思った。その瞬間!
(え? くっさ!)
嘔吐した朝ご飯の凄まじい臭いが上昇し、アタシの鼻の粘膜を刺激した。
一瞬でも正気に戻れたアタシは、再びその能力である純粋な透明を使い、なんとかその場から逃げ切った。
◇◆◇
(っていうところまでしか覚えてないなあ…… しかし、満子があんなに打たれ強いなんて計算違いだったわ……)
「って、ちょっと待って! よく考えたらアタシほぼワンパンじゃん!」
そう思うと自分の弱さに改めて腹が立った。
(こんなことなら婆やとの格闘のお稽古、もっとちゃんとしとけば良かったなあ……)
「あっ! そう言えば婆や! 婆やはどこ行ったのかしら? っていうかここどこだろ? え、怖っ! 急に怖っ!」
“現在の自分がおかれている状況が分からない”ということを理解したアタシは不安になり、大声で婆やを呼んだ。
「婆や! 婆や! どこにいるの? ここどこなの! お腹減ったんだけど!」
アタシが放った声はこの暗い空間のあちこちに反射し、こだまとなって遠くの方へ消えていった。
それだけこの空間が広大であるということも同時に分かり、更に怖くなった。
「婆やどこ行っちゃったんだろ……」
婆やはアタシが物心ついたときからずっと一緒で、唯一の家族だった。
◇◆◇◆◇◆◇
「ねえ婆や。アタシには“ママ”っていう人はいないの?」
「膣美さま、どうしたのですか急に」
「今日ね、お友達の満子ちゃんからね、膣美にはママがいないんだバーカっ!って言われたの……」
「それは大変お心苦しかったことでございましょう。この婆や、今から満子お嬢様の息の根を止めに行って参ります。鉄の女! 第2形態:モデル膣鳩!」
「違うの違うの! 別にバカにされたとかそんなことはどーでもいいの! アタシには“ママ”がいるかどーか聞いてるの!」
「そうでございましたか。それは大変失礼致しました。でもご安心ください。膣美さまにも母君はおられますよ」
「えっ!? 本当?」
「本当にございます。ですが今は遠く離れた場所におられるのです。お会いしたいですか?」
「ううん。いい! “ママ”っていうモノがアタシにもいるって分かったからもーいーの! だってアタシには婆やがいるからヘーキ!」
「これはなんとまた嬉しいお言葉を。では本日の夕食はブロッコリーを少し減らすと致しましょう」
「えー少しだけー?」
◇◆◇◆◇◆◇
「アタシには…… 婆やしかいないのに……」
(もしかしてアタシが弱いから、満子に負けたから、婆やは愛想尽かして出てっちゃったのかも……)
そう思うと大粒の涙がポロポロと両目から溢れ出てきた。
「婆やぁぁああああ! お願い出てきてよ! これからちゃんとブロッコリーも食べるから! お稽古もするから! アタシ強くなるからぁぁあああ! うわーーーーん!」
だけどまたしてもアタシの泣き声はこだまとなって、遠くへ吸い込まれていくだけだった。
――と思ったそのとき、
『本当でございますね? 膣美さま』
婆やの声が天井から聞こえてきたのだった。
目が覚めるとそこは真っ暗な空間だった。
上半身を起こそうと全身に力を入れてみる。
ピリリッ!
「っ痛ぅ……」
(ダメだ。痛みが強すぎる)
体を動かそうとすると、全身に痛みが走り、座るのが限界だった。
なぜこんな痛みに襲われているか、もう分かっていた。
――能力を使いすぎた反動
(この痛みは昔から慣れないな……)
アタシは再び目をつむり、排卵最終試験での満子との闘いを思い出した。
◇◆◇
「死ね! 膣美ぃいいいい!」
(バカね。そんなまっすぐ突っ込んできてもアタシの能力前では無力よ)
フッ……
「き、消えた? 膣実が…… 消えただと!?」
(そう。これがアタシの能力。純粋な透明よ)
アタシの姿が見えない満子はガードをとらず隙だらけだった。
(ふふっ。焦ってる焦ってる。それじゃあ挨拶代わりに腹に一発! っと!)
ドゴォオン!
「ぐぁぁああああ!」
のたうちまわる満子、湧き上るスタンドからの歓声。
アタシは勝利を確信した。
なのに……
・
・
・
(はあ…… はあ…… なによこの子…… 一体何発入れれば倒れるのよ……)
あれから軽く100発以上は急所を目がけて拳を打ち込んだはず。
なのに満子は痛がりはするものの全く弱っていかない。逆に元気になっていってるような恐怖を感じた。
「膣美ぃ! そろそろ体力が尽きてきたんじゃねえのか? 姿は未だに見えねえけど苦しそうな呼吸が聞こえてきてるぞ!」
「くっ…… あんたいつからそんなタフになったのよ!」
(このままではヤバい)
そう思った矢先、能力が解けてしまった。
フワッ……
「おっ! やっと出てきたじゃねーか! くらえ膣美ぃ!」
満子は反動をつけ、自分の全体重をかけた大ぶりのパンチを放ってきた。
「や、やばっ!!」
両腕を顔の前で合わせたガードをとるのが精一杯の反応だった。
ガンっ!!
その衝撃力は凄まじく、アタシは数メートル先まで吹っ飛ばされた。
「っ痛ぅうううう! これほんとにヤバいわ…… こんなのまともに受けたら……」
「まともに受けたらなんだってぇ?」
アタシが下を向いているほんの一瞬の間に、満子は目の前まで移動してきたのである。
(しまった!)
即座に立ち上がり、その場から立ち去ろうとするも時すでに遅しだった。
満子の何の遠慮もないボディブローがまともに突き刺さったのである。
ドスン……
「か、カハッ!」
内臓をかき交ぜられたようなこの痛みと苦しみは生まれて初めてだった。
朝ご飯で食べたパンとウィンナーが胃液に交じって逆流し、その場で嘔吐し膝をつく。
「ゲホッ! ゲホッ! グエェ……」
「あぁん。苦しそうね膣美ぃ。それじゃあいま楽にしてあげるから!」
“死ぬ”
薄れゆく意識の中で、生まれて初めてそう思った。その瞬間!
(え? くっさ!)
嘔吐した朝ご飯の凄まじい臭いが上昇し、アタシの鼻の粘膜を刺激した。
一瞬でも正気に戻れたアタシは、再びその能力である純粋な透明を使い、なんとかその場から逃げ切った。
◇◆◇
(っていうところまでしか覚えてないなあ…… しかし、満子があんなに打たれ強いなんて計算違いだったわ……)
「って、ちょっと待って! よく考えたらアタシほぼワンパンじゃん!」
そう思うと自分の弱さに改めて腹が立った。
(こんなことなら婆やとの格闘のお稽古、もっとちゃんとしとけば良かったなあ……)
「あっ! そう言えば婆や! 婆やはどこ行ったのかしら? っていうかここどこだろ? え、怖っ! 急に怖っ!」
“現在の自分がおかれている状況が分からない”ということを理解したアタシは不安になり、大声で婆やを呼んだ。
「婆や! 婆や! どこにいるの? ここどこなの! お腹減ったんだけど!」
アタシが放った声はこの暗い空間のあちこちに反射し、こだまとなって遠くの方へ消えていった。
それだけこの空間が広大であるということも同時に分かり、更に怖くなった。
「婆やどこ行っちゃったんだろ……」
婆やはアタシが物心ついたときからずっと一緒で、唯一の家族だった。
◇◆◇◆◇◆◇
「ねえ婆や。アタシには“ママ”っていう人はいないの?」
「膣美さま、どうしたのですか急に」
「今日ね、お友達の満子ちゃんからね、膣美にはママがいないんだバーカっ!って言われたの……」
「それは大変お心苦しかったことでございましょう。この婆や、今から満子お嬢様の息の根を止めに行って参ります。鉄の女! 第2形態:モデル膣鳩!」
「違うの違うの! 別にバカにされたとかそんなことはどーでもいいの! アタシには“ママ”がいるかどーか聞いてるの!」
「そうでございましたか。それは大変失礼致しました。でもご安心ください。膣美さまにも母君はおられますよ」
「えっ!? 本当?」
「本当にございます。ですが今は遠く離れた場所におられるのです。お会いしたいですか?」
「ううん。いい! “ママ”っていうモノがアタシにもいるって分かったからもーいーの! だってアタシには婆やがいるからヘーキ!」
「これはなんとまた嬉しいお言葉を。では本日の夕食はブロッコリーを少し減らすと致しましょう」
「えー少しだけー?」
◇◆◇◆◇◆◇
「アタシには…… 婆やしかいないのに……」
(もしかしてアタシが弱いから、満子に負けたから、婆やは愛想尽かして出てっちゃったのかも……)
そう思うと大粒の涙がポロポロと両目から溢れ出てきた。
「婆やぁぁああああ! お願い出てきてよ! これからちゃんとブロッコリーも食べるから! お稽古もするから! アタシ強くなるからぁぁあああ! うわーーーーん!」
だけどまたしてもアタシの泣き声はこだまとなって、遠くへ吸い込まれていくだけだった。
――と思ったそのとき、
『本当でございますね? 膣美さま』
婆やの声が天井から聞こえてきたのだった。
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