Sオナ! ~SランクDNAの精子だけど、今回どう見てもオ○ニーです~○~○

巻き爪たろう

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○~第3章~○ SランクDNAの秘密

6射精目! 必ず受精できるヒミツ

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≪続きまして4グループです。4グループの皆さまは砲台前までお集まりください≫

 とうとう4グループ集合のアナウンスが入ると、俺が位置する第5ゲートの中からもゾロゾロとたくさんの精子たちが動き出したのだが……

――SランクDNAの精子は必ず受精できる。
――今回はここにおる精子、全員死ぬで。

 スパ次郎のこの矛盾した発言がずっと気になり、不安をかき立てていた。
 そう思いながらも、他の精子たちが動き出すと何故かその波に身を任せ、行動を共にする俺がいた。

≪砲台前に着いた4グループの皆さんは、神父様よりアシッドシールドを付与してもらって下さい≫

 そう言うと、たくさんの神父様たちが前から順番にやってきて、俺のところにもやってきた。
 そして両手をかざし、何かモゴモゴ呟いている。

『これが魔法を発動させる詠唱ってやつや。テツオ、今後のこともあるからよう聞いときや』

 スパ次郎が言う“今後のこと”とはいつのことかとても気になったが、俺は神父様の詠唱とやらに耳を傾けた。

「……たい。……帰りたい。……はよ帰えりたい。はよ帰って氷結飲みたい……」
 ※氷結はレモンが至高です

(これが詠唱…… なんか…… 微妙!)
 ※ファンタジー感が30%ダウンしました

 神父様はその後、“はよ帰りたい”と、“氷結飲みたい”を3回ほど繰り返し唱えると、なんと俺の体の周りの空間に変化が起き始めた。
 具体的には、俺の周りの空間が少しだけ白く濁っているのだ。

(こ、これが魔法…… アシッドシールドか)

 右手を伸ばし、人差し指と中指でアシッドシールドを触ってみる。

ニュルッ

「うわっ! なんだこれ! ニュルニュルじゃん!」

 思わず指の匂いを嗅いでしまった。

「くっさっ!」

 初めて嗅ぐ匂いだった。

『くっさいよな! これ飲む人とかほんま信じられへんわ』
「…………」

 俺は黙った。何か触れてはいけないような気がしたからだ。
 
◇◆◇

 そして、俺たち4グループが大砲の砲尾部から大砲内へ入り、その後ろのグループである5グループも入り終わると、静かに砲尾部の蓋が閉められたのだった。

ズゥウウウン……

 蓋が閉まった大砲の中は真っ暗になり、2億5千万人の精子たちがザワザワしている音だけが鳴り響いていた。

「スパ次郎。頼む教えてくれ! 俺は本当に大丈夫なんだよな? な? な?」
『まあ…… 今回は……』
「だからさっきからなんなんだよ! 今回とか! 今後はとか! いい加減にしろよお前!」

 俺の不安が爆発した。
 その瞬間!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

「キャッ! じ、地震よ!」
「しかもかなり大きいっ!」

≪皆さま始まりました。カウントを開始します。射精まで残り5分40秒……39、38、37≫

 大きな地震が起こる中、カウントダウンが始まり大砲の中の精子たちはパニック寸前だった。

『やっぱりな。間違いないわ。テツオ、今回は残念の回や』
「な、なんだよ残念の回って!」
『射精までのカウントが長すぎる』
「だから何の話なんだよっ!」

『……オナニーや』

「えっ?」
『だからオナニーや言うてるやろ』

≪5、4、3…… それでは皆さん! いってらっしゃいませ!≫




ドンッ!!




 それは凄まじい発射速度だった!
 後ろから大砲の砲口まで一気に押し出される感覚!
 凄まじい重力!

 手も足も指すらも動かすことができず呼吸もできない!
 このままでは……

(し、死ぐ……)

 そう思った瞬間だった。
 前方に出口の光が見えたのだ。

『テツオ! よう見とけよ! これが…… 世界やっ!』

 出口の光が大きくなり、光に包まれた俺は“世界”とやらに飛び出した!
 音にすればこうだっ!

ザッパァァアアアアン!

 だっ!

 と思っていた。
 が、実際は“ジュン……”がいいところだった。

◇◆◇

 ようやく“世界”とやらの明るさに目が慣れてきた俺は辺りを見回す。
 そこは真っ白な世界だった。

 他のたくさんの精子たちも目が慣れ始め、辺りをキョロキョロ見回している。

「こ、ここは…… 膣美さん! 膣美さんは?」
『残念やけどここはティッシュの上や』
「ティッシュ?」
『そう。今回は残念やけどオナニー回やったな……』

(オナニー…… どこかで聞いたような……)

「この白い物体はなんじゃろうか?」

 俺の横におじいさん精子がやってきて、スパ次郎が言うティッシュに興味を示し、触ろうとしていた。

『触らんほうがええと思うけどな……』

 スパ次郎の声はおじいさんに届くわけもなく、興味本意でティッシュとやらに触れてしまった。
 その瞬間、

ジュン……

 ティッシュがアシッドシールドを吸い込んでしまったのだ。
 驚いたことはそれだけじゃなかった

「く、苦しい! 息が! 息ができにゃいぃぃいいいいい!」

 アシッドシールドがなくなったおじいさんは呼吸ができない様子で、その場でのたうち回り、間もなく死んでしまったのだ。

「キャァァアアアアアアア!」
「おい! その白いのに触るなぁぁあああああ!!」
「終わりだ! 俺たちは終わりだぁぁああああ!!」

 それを見ていた他の精子たちは悲鳴を上げ、文字通りパニックに陥った。
 そして追い打ちをかけるかの如く、視界一面に広がっていたティッシュがなんと動き始め、四方八方からその範囲を縮めてきたのだ!

ジュン…… ジュン…… ジュン…… ジュン……

 ティッシュに触れた精子たちが続々とアシッドシールドを吸い込まれ、呼吸困難に陥り絶命していくのを目の当たりにしていた。
 その様子はまさに地獄だった。

「いやぁぁああああああ!」
「うわぁあああああああ!」

 声だけがこの世界にこだましていた。
 高齢者も、女性も、俺と同い年くらいの精子も、関係なしに死んで…… いや殺されていった。

 俺は両足が震えて怯えきってしまい、逃げることすらできず、その場で立ちつくしたままだった。
 そうしている間にも、前後左右ともティッシュが迫ってくる。
 これが生き物なのかなんなのか分からない。
 目も口も手も足もなく、言葉も話さない大量殺戮兵器にしか見えなかった。

(なんだよ…… SランクDNAとか関係なしに俺も普通に死ぬじゃんかよ……)

 俺は左目から大粒の涙を1つ流した。
 そして

ジュン……

 ティッシュが俺を包み込むと同時にアシッドシールドを吸い込んだ。

(終わった……)

 そう思った時のことだった。

『まあ最初はこんなもんやろな。次に期待や』

 薄れゆく意識の中でスパ次郎が目の前に現れ、頭にかぶっていた金卵の殻を脱ぎ、頭頂部をこっちへ向けてきたのだった………… そしてそのまま俺は…………

(死んだな……)



~○ ~○ ~○ ~○ ~○



「はっ!」

 俺が次に目を覚ますと、そこは見たことのある天井だった。

「と、トモ! トモ! テッちゃんが! テッちゃんが!」
「えっ! マジか!」

(ま、まさか……)

 俺はゆっくりと体を起こし辺りを見回す。見たことのある病室だった。
 そしてムーが僕のところへかけ寄ってくる。

「良かったぁテッちゃん……」

 目にたくさんの涙を溜めこんだムー、そしてその奥にトモハル、じいちゃんが立っていた。

(まさか……)

「ここはおちんちんビローン病院じゃよ」
 ※国立です
「テツオ、お前マジで大丈夫か? ずっと昏睡状態だったんだぞ……」

「こ、これって……」
『せや。SランクDNAの精子ができる秘密が、これや』
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