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○~第8章~○ 卵管采の門番 不毛明王編
1排卵目! 出口が入口
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崖だ。
草木など一切生えることのない切り立った崖。灰色の崖。まさに断崖絶壁。
アタシ達の目の前に現れた崖は紛れもなく崖であり、途方もないくらいの崖だった。
#崖
アタシと婆やとワキ汗毘沙門天の3人が崖を見上げる。崖のてっぺんは雲に隠れており、見えないことからこの崖がいかに高いのかが分かる。
「ねえ婆や。これ、崖よね?」
『いいえ膣美さま。これが不毛明王、卵管采エリアの門番にございます』
そう。
にわかに信じがたいが、婆やはこれが、この崖が不毛明王だと言うのだ。
その時だった――
≪ほう。その声はキヨ子ですな?≫
!?
崖の上の方から野太いダンディな声が聞こえてきたのだ。声は周りの崖に反射し、至る所から聞こえる気がした。
『久しぶりにございますね。不毛明王』
婆やが上を向いてその声に応えると同時に、
≪キヨ子が来ると私の頂上で魔法の修行をしていたことを思い出しますですな。あの精子とはどうなったんですな?≫
今度は下からダンディな声が聞こえてきたのだ。
それにしても――
「婆や。あの精子ってまさか……」
『ち、違います膣美さま! わわわ私が若い頃は“一人で”この不毛明王の頂上で魔法の修行をしていたのでございますすす!」
明らかに動揺している婆やを尻目に、この崖…… いや不毛明王が
≪フォッフォッフォですな≫
と笑った。しかし今度は上からでも下からでもなく、アタシが立っている真横の崖から声が聞こえてきた。
「ねえ婆や…… この不毛明王さ、いろんなところからしゃべってるみたいなんだけど……」
『作用でございます膣美さま。不毛明王には固定された体の部位はなく、自在に移動させることができるのでございます』
アタシは「ふーん」と言いながら、声が聞こえてきた崖に近づき凝視した。すると単なる崖が口の形に変形し、
≪フォッフォッフォですな≫
と再び笑ったのだった。
※フォフォフォの“フォ”は下唇を軽く噛んでから発音する“フォ”にございます。
#フォーエバーの“フォ”
なんだか気味が悪く、声のダンディさ以外は嫌悪感を感じたが、婆やと不毛明王が知った仲であるということに違いはなかったため、すぐさまここを通して卵管采エリアに行かせてもらえるよう、婆やから頼んでもらうこととした。
『――というわけでございます故、不毛明王よ、無理を承知でここを通していただきたく存じます』
≪……それは無理ですな≫
『そこをなんとかと申しているのです』
≪だからそれは無理ですな≫
『不毛明王よ、あまり聞き分けがないのはみっともないでございますよ。こちらにはワキ汗毘沙門天という人質がおります故』
「不毛明王様! お願いします! 私を助けると思ってここを通してください!」
両脇をガッチガチに凍らされ、しもやけができたワキ汗毘沙門天が悲痛な叫びをあげた。しかし不毛明王からは無慈悲な返答しか得ることができなかった。
「婆やどうする? このままじゃコイツ(ワキ汗毘沙門天)人質としても役に立たないじゃん。もういっそのこと息の根を止めちゃおうよ」
「ひぃ!」
『膣美さまお待ちください。不毛明王がなぜ頑なな返答しかしないのか、ちと妙でございます。ここは私にお任せを』
婆やがそう言うから仕方がなかったけど、実際何の役にも立たないワキ汗毘沙門天を見ると、このワキ汗が混じった川の水を飲んでしまったことを再び思い出し、アタシは拳を打ち込んでしまうのであった。
ゴスっ!
「ぐふぅ……」
『膣美さま! お止めください! むやみに手を上げるものではございませぬ』
≪フォッフォッフォですな。このかわいらしいお嬢さんが公爵の娘ですな?≫
『左様。この国の未来を背負うお方にございます。ですから不毛明王よ、ここは一つ我らに道を譲るのです』
≪いや、だからですな――≫
『不毛明王!』
≪いやちゃんと聞いてですな。キヨ子と久しぶりにあったから通してやりたいのは山々なんですな≫
『だったらさっさと!』
≪だからそれができないのですな≫
『何故です!』
≪いや…… それが…… その……ですな≫
不毛明王の声のトーンが上がり、いかにも恥ずかしそうな口調となった。
とは言えアタシ達の目の前には崖しかなく、不毛明王には顔もないため、ただ単に崖が恥ずかしがっているという微妙な空気が流れ始めた。
≪キヨ子も知っておろうですな? 卵管采エリアに繋がる私の入り口を≫
『知ってるも何も、よく通った道にございます。私どもは卵子をお守りする卵胞細胞にございます』
≪その入り口が私のなんなのかも知っておろうですな?≫
『無論。入り口は不毛明王の肛門。出口は不毛明王の左乳首と記憶しております』
婆や、今さらっととんでもないこと言った。
≪そう。正解ですな。しかし…… その入り口が今や……≫
不毛明王がそう言うと、アタシ達の目の前の崖が変形し、渦を巻いた模様が出現した。
渦を巻いたような模様の大きさはアタシたちの背の2倍くらいはあった。しかし、他の崖の部分と比べると妙にテカテカしている。アタシは試しにそのテカテカした部分を手で撫でてみた。するとそこは妙にツルツルしており、なんだろう?まるで透明のプラスチックを触っている感触に似ていた。
『こ、これは……』
≪さすがキヨ子ですな。気付きましたですな?≫
『確かにこれは不毛明王の肛門! 卵管采エリアへの入り口にございます!』
いやアタシ今このテカテカ触ってもうたし……
と言おうと思ったが、会話的に大事な部分のような気がしたため声を押し殺した。その代りワキ汗毘沙門天を数発殴った。
『し、しかしこのテカテカは…… まさか!?』
≪そうなのですな。このテカテカは…… アロンアルファでガッチガチに固められた肛門なのですな!≫
草木など一切生えることのない切り立った崖。灰色の崖。まさに断崖絶壁。
アタシ達の目の前に現れた崖は紛れもなく崖であり、途方もないくらいの崖だった。
#崖
アタシと婆やとワキ汗毘沙門天の3人が崖を見上げる。崖のてっぺんは雲に隠れており、見えないことからこの崖がいかに高いのかが分かる。
「ねえ婆や。これ、崖よね?」
『いいえ膣美さま。これが不毛明王、卵管采エリアの門番にございます』
そう。
にわかに信じがたいが、婆やはこれが、この崖が不毛明王だと言うのだ。
その時だった――
≪ほう。その声はキヨ子ですな?≫
!?
崖の上の方から野太いダンディな声が聞こえてきたのだ。声は周りの崖に反射し、至る所から聞こえる気がした。
『久しぶりにございますね。不毛明王』
婆やが上を向いてその声に応えると同時に、
≪キヨ子が来ると私の頂上で魔法の修行をしていたことを思い出しますですな。あの精子とはどうなったんですな?≫
今度は下からダンディな声が聞こえてきたのだ。
それにしても――
「婆や。あの精子ってまさか……」
『ち、違います膣美さま! わわわ私が若い頃は“一人で”この不毛明王の頂上で魔法の修行をしていたのでございますすす!」
明らかに動揺している婆やを尻目に、この崖…… いや不毛明王が
≪フォッフォッフォですな≫
と笑った。しかし今度は上からでも下からでもなく、アタシが立っている真横の崖から声が聞こえてきた。
「ねえ婆や…… この不毛明王さ、いろんなところからしゃべってるみたいなんだけど……」
『作用でございます膣美さま。不毛明王には固定された体の部位はなく、自在に移動させることができるのでございます』
アタシは「ふーん」と言いながら、声が聞こえてきた崖に近づき凝視した。すると単なる崖が口の形に変形し、
≪フォッフォッフォですな≫
と再び笑ったのだった。
※フォフォフォの“フォ”は下唇を軽く噛んでから発音する“フォ”にございます。
#フォーエバーの“フォ”
なんだか気味が悪く、声のダンディさ以外は嫌悪感を感じたが、婆やと不毛明王が知った仲であるということに違いはなかったため、すぐさまここを通して卵管采エリアに行かせてもらえるよう、婆やから頼んでもらうこととした。
『――というわけでございます故、不毛明王よ、無理を承知でここを通していただきたく存じます』
≪……それは無理ですな≫
『そこをなんとかと申しているのです』
≪だからそれは無理ですな≫
『不毛明王よ、あまり聞き分けがないのはみっともないでございますよ。こちらにはワキ汗毘沙門天という人質がおります故』
「不毛明王様! お願いします! 私を助けると思ってここを通してください!」
両脇をガッチガチに凍らされ、しもやけができたワキ汗毘沙門天が悲痛な叫びをあげた。しかし不毛明王からは無慈悲な返答しか得ることができなかった。
「婆やどうする? このままじゃコイツ(ワキ汗毘沙門天)人質としても役に立たないじゃん。もういっそのこと息の根を止めちゃおうよ」
「ひぃ!」
『膣美さまお待ちください。不毛明王がなぜ頑なな返答しかしないのか、ちと妙でございます。ここは私にお任せを』
婆やがそう言うから仕方がなかったけど、実際何の役にも立たないワキ汗毘沙門天を見ると、このワキ汗が混じった川の水を飲んでしまったことを再び思い出し、アタシは拳を打ち込んでしまうのであった。
ゴスっ!
「ぐふぅ……」
『膣美さま! お止めください! むやみに手を上げるものではございませぬ』
≪フォッフォッフォですな。このかわいらしいお嬢さんが公爵の娘ですな?≫
『左様。この国の未来を背負うお方にございます。ですから不毛明王よ、ここは一つ我らに道を譲るのです』
≪いや、だからですな――≫
『不毛明王!』
≪いやちゃんと聞いてですな。キヨ子と久しぶりにあったから通してやりたいのは山々なんですな≫
『だったらさっさと!』
≪だからそれができないのですな≫
『何故です!』
≪いや…… それが…… その……ですな≫
不毛明王の声のトーンが上がり、いかにも恥ずかしそうな口調となった。
とは言えアタシ達の目の前には崖しかなく、不毛明王には顔もないため、ただ単に崖が恥ずかしがっているという微妙な空気が流れ始めた。
≪キヨ子も知っておろうですな? 卵管采エリアに繋がる私の入り口を≫
『知ってるも何も、よく通った道にございます。私どもは卵子をお守りする卵胞細胞にございます』
≪その入り口が私のなんなのかも知っておろうですな?≫
『無論。入り口は不毛明王の肛門。出口は不毛明王の左乳首と記憶しております』
婆や、今さらっととんでもないこと言った。
≪そう。正解ですな。しかし…… その入り口が今や……≫
不毛明王がそう言うと、アタシ達の目の前の崖が変形し、渦を巻いた模様が出現した。
渦を巻いたような模様の大きさはアタシたちの背の2倍くらいはあった。しかし、他の崖の部分と比べると妙にテカテカしている。アタシは試しにそのテカテカした部分を手で撫でてみた。するとそこは妙にツルツルしており、なんだろう?まるで透明のプラスチックを触っている感触に似ていた。
『こ、これは……』
≪さすがキヨ子ですな。気付きましたですな?≫
『確かにこれは不毛明王の肛門! 卵管采エリアへの入り口にございます!』
いやアタシ今このテカテカ触ってもうたし……
と言おうと思ったが、会話的に大事な部分のような気がしたため声を押し殺した。その代りワキ汗毘沙門天を数発殴った。
『し、しかしこのテカテカは…… まさか!?』
≪そうなのですな。このテカテカは…… アロンアルファでガッチガチに固められた肛門なのですな!≫
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