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2章

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あれから毎日アイリとレイカとはお昼を共にする仲になった。

気兼ねなく話を出来る友人との時間はとても心が安らいだ。
きっとカリナも、まずは友達関係から人とコミュニケーションを取ればこんなに拗れることは無かったんだと思う。


前の世界と変わらない環境だと思っていたけど、こうした友人が出来たこちらの世界の方が好きだと感じ始めている。

でもここは私の生まれた世界ではない。


大階段の踊り場にも1日1回は行っている。
でも1度も窓の中に花梨菜の姿を見ることは出来なかった。


そうこうしているうちに、この世界は8月を迎えた。
この学園では年に1度、学園に泊まり込み数日に渡って行われる交流会というイベントがある。

泊まる部屋は3.4人の相部屋で、そんな所で寝れないという貴族もいる為自由参加だ。
しかし、高位貴族の子息との交流が可能である事から多くの生徒が参加する。

ビジネスの為に交流するもの、結婚相手を探すもの、理由は様々だが純粋な交流を求めるものは少なそうだ。




そんなイベントが来週に迫っている。

相部屋は自分たちで決められるため、私はアイリとレイカと同じ部屋になった。


『貴方たち2人と同じ部屋で安心しました。よろしくね。』

「こちらこそですわ!自由時間もあるので、今まで行けなかった街にも一緒に行きましょうね!」
そうアイリが元気に言った。

するとレイカが
「そうね、カリナ様は放課後直ぐに帰らなくちゃ行けないから一緒に街に行くには初めてよね。とても楽しみです。」


『自由時間もあるのですね。私も楽しみです。知らないことばかりなので色々教えて貰えると助かりますわ。』

私は街に出ること自体が初めてでとてもワクワクしていた。

『おふたりが交流会に出る目的はそれだけじゃないですよね?』


「もちろん!そんなに必死って訳じゃないですけど婚約者探しも兼ねてます!
あ、でも1番はカリナ様とのお出かけですからね!」

「アイリは素直すぎるわ。
まあ私もアイリと大体一緒です。」

そう言ってレイカは少し照れた顔をした。


『良い方に巡り会えるといいですね。応援しています。』


心の底からこの2人には幸せになって欲しいと思った。


「カリナ様はハルト様の婚約者として挨拶回りをされるのですか?」


不意に聞かれてハッとした。
そうだ、私は皇子の婚約者としての仕事も果たさないといけなかったわ。
友達と遊んで、入れ替わりの方法を探していればいいだけじゃなかったんだった。

『はい、皇子の婚約者として周りに認めて頂けるよう頑張ろうと思います。』


「大きなお世話かも知れないのですが、、」

『なんでしょう?』

「幼なじみの方が恋人だと噂が広がっているのはカリナ様もご存知ですか...?」

そうレイカが恐る恐る口にした

『はい、承知済みです。
しかし私が皇子に聞いた時はただの幼なじみで妹のように思っていると答えて下さいましたので、私はそれを信じています。』



私が入れ替わる前、レイカが皇子に詰め寄っている描写があった。
その時に皇子はそう言ったのだ。
もちろんカリナは納得出来ずに怒っていた。



「それならいいのですが。
何かあれば私たちに相談してくださいね。解決できるか分からないけど、人に話すことで気持ちが軽くなることはあると思うので!」

『ありがとうございますレイカさん。その気持ちが嬉しいです。』

「絶対1人で溜め込んじゃだめですよ!カリナ様がお強いのは分かっていますが、人は皆弱い所を見せる相手が絶対に必要なんですからね!!」

アイリは立ち上がって興奮したように言った。
本当に心配してくれている様子が嬉しくて、つい笑ってしまった。

『フフっ。分かりました。何かあれば必ず2人にお話します。頼りにしていますね。』

そう言うと2人は満足したかのように微笑んだ。




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