うちの猫は液体です

秋葉夕雲

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第一章

第12話 代償

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 推測をきっちりそろえた私は自慢げに尋ねた。
「どう? 満点でしょう?」
「いいえ。三十点くらいですが……脱線しすぎるのも良くないので話を戻しましょう」
 ……うん。やっぱりこの澄ました声、むかつく。
「コピー能力なら弱点を突き放題ですし、意外な使い道のあるギフトもあります。はっきり言いますがレベルをどれだけ上げても相性が致命的に悪い相手には勝てません」
 どこか悔いるような口調だった。そういう経験があるのだろうか。
「でも口調からしてコピーのギフテッドは倒されてるのよね? どうやったの?」
「悪側と善側が一時的に協力したそうです」
「共通の敵をみつけて一致団結するってやつ? 感動的な展開ね」
 私の皮肉はほぼ無視され、話は続けられた。
「多くの組が戦闘に参加したようですが……最終的にそのギフテッドを倒したのは河登さんらしいです」
「じゃああの人が今一番強いの?」
「はい」
 きっぱりと断言された。
 よかった。あの人がくくく、奴は四天王の中でも最弱なんて言われるような相手ならさすがにショックだった。
 よし、なんとかして寝首を搔く方法を考えよう。まともに戦ったら勝てない気がする。
「ただ、河登さんは代償が厳しいので積極的に戦いたがりません」
「代償? それってギフトを使うときに……何かが必要ってこと?」
 出血、と言わなかったのは少しでも情報を渡したくなかったからだ。
 おそらく言葉を濁したのは気づかれていたけれど、深くは追及してこなかった。
「そうです。代償は主に四種類。自分の体の一部や所有物を捧げて使用する消費型。自分の記憶や体を永久的に破棄する一括型。何らかの条件を破るとギフトが弱体化したりする罰則型。特定の行動を行ってギフトが使用可能になる認可型」
「……一括とか罰則とか借金みたいね」
「神から与えられた力ですからね。負債のようなものです。ただ、特に消費型の場合は暴走しやすいので注意してください」
「暴走?」
「ええ。なり立てのギフテッドに過剰な代償を注いでコントロールを失うという事例がまれに起こるそうです。代償を大量に捧げればギフトを強化しやすいというメリットもありますが」
「ふうん。あんたも経験あるの? っていうかあんたの代償って何なの?」

 葵としてはちょっとした探りのつもりで聞いてみただけだったが、五月の反応は予想外だった。
「見てわかりませんか?」
 彼女は人形のような無表情で問いかけた。ある種のあきらめを含んだ問だった。
 だが。
「……? わかんないけど……何か見落としてる……?」
 後半はほとんど独り言だった。そんな葵に対してむしろ不思議そうだったのは五月だった。
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